2024年09月24日更新
東北地方のM&A・会社売却・事業承継の動向は?案件一覧や事例も紹介!
本記事では、東北地方のM&A・事業承継・会社売却の現状や動向から相談先の選び方などを紹介しています。東北地方は全国的に見ても経営者の高齢化が進んでおり、M&A・事業承継・会社売却が増えています。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 東北地方のM&A・会社売却・事業承継の動向
東北地方は、全国的に見ても高齢化が特に進んでおり、経営者の高齢化による会社売却・事業承継が今後さらに加速すると考えられます。
それを踏まえて、行政や地方自治体も東北地方の事業承継支援に乗り出しており、事業承継・引継ぎ支援センターの設置など、後継者がいない中小企業のバックアップに取り組んでいるのです。
東北地方の産業・経済動向
東北地方は農業・林業などの第一次産業が強く、関西・中部などの大都市圏よりも高い生産高を上げています。
また、東北地方における、生産業の「電子部品、デバイス、電子回路」「情報通信機械器具」「木材・木製品」は、全国と比べるとやや高い水準です。
東北地方の産業の特色
東北地方の産業は農業が中心であり、秋田平野や庄内平野、仙台平野は稲作が盛んな地域で、日本の穀倉地帯と呼ばれています。盆地などでは果樹栽培が行われており、津軽平野ではリンゴ、山形盆地では洋なしやサクランボの栽培が有名です。
山が多いため、林業も古くから盛んであり、青森ヒバや秋田杉は全国的に有名なブランドとなっています。また、伝統産業も盛んで、青森県や福島県会津地方の漆器、山形県天童市の将棋の駒、宮城県のこけし、岩手県の南部鉄器などは、工芸品や生活用品として安定した人気を誇っています。
東北地方の経済動向
2011年の東日本大震災により一時的に東北経済は落ち込みましたが、その後、被災地での建設業などが大幅に活性化しました。製造業では、「電子部品、デバイス、電子回路」「情報通信機械器具」「木材・木製品」の生産は全国平均よりも高い水準にあります。
また、東北地方の人口は全国と比較して高齢化率が高く、今後もさらに増加すると予想されています。
2. 東北地方のM&A案件一覧
この章では東北地方におけるM&A案件の中から、最近の事例を5つピックアップして紹介します。
①東北エリアの金属加工業の譲渡
東北地方で金属加工業を営む企業です。EBITDA1億円越えの高収益体質を維持し、現状も生産キャパシティにまだ余剰を残していることから、さらなるトップラインの引き上げ余地があります。
業種 | 商社・小売・流通 |
都道府県 | 東北 |
法人形態 | 株式会社 |
譲渡価格 | 2.5億円〜5億円 |
②【東北地方/財務優良】道路舗装工事業
主に舗装工事業、土木事業、特殊工事業を営む企業です。長年の業歴から官公庁や民間企業からの受託をメインとしています。橋面舗装や一般道路舗装を手掛けており高い技術力を有します。
業種 | 住宅・不動産・建設 |
都道府県 | 東北 |
法人形態 | 株式会社 |
譲渡価格 | 5億5千万円(応相談) |
③【Netcash3億円/3期平均ebitda6,000万円/無借金】内装工事業者
ゼネコン・地場建設会社の下請け業者として建物の内装工事を行う企業です。従業員数は10名前後ながら、有資格者も多数在籍し内装工事全般を一貫して対応可能です。
業種 | 住宅・不動産・建設 |
都道府県 | 岩手県 |
法人形態 | 株式会社 |
譲渡価格 | 2.5億円〜5億円 |
④【東北地方】複数の漁法を活用している漁業
漁獲から製造、販売までの6次産業化を目指す東北の漁業会社です。複数の漁法により、一年中かつ豊富な種類の漁獲が可能です。
業種 | その他サービス等 |
都道府県 | 東北 |
法人形態 | 株式会社 |
譲渡価格 | 2,500万円+役員借入金一部返済 |
⑤【東北】レジャーホテルの運営
東北エリアにて、コテージタイプのレジャーホテルの運営を手掛ける企業です。コロナ禍も安定した売上を維持し、実質無借金経営です。
業種 | 商社・小売・流通 |
都道府県 | 東北 |
法人形態 | 株式会社 |
譲渡価格 | 5,000万円〜1億円 |
3. 東北地方のM&A総合研究所での成約事例
弊社がお手伝いさせていただいたM&Aのうち、東北地方での成約事例をご紹介いたします。
人材派遣業のM&A成約事例
弊社では、人材派遣業の企業様とアウトソーシングサービス業の企業様とのM&Aをお手伝いいたしました。
譲渡企業と譲受企業の社長のお二方に、M&Aを決意した背景や今後へのビジョンについてインタビューいたしました。
詳細は以下のURLからご覧ください。
【譲渡企業:人材派遣業G社】
東北エリア 人材派遣を主業務とし、本社周辺の製造業者に営業基盤を確立している。
【譲受企業:アウトソーシングサービス業H社】
関東エリア メーカー向けアウトソーシングサービスの提供や労務管理などを行う。
4. 東北地方のM&A・会社売却・事業承継の事例7選
この章では、東北地方のM&A・会社売却・事業承継の事例を見ていきましょう。
①イオンビッグとマックスバリュ南東北のM&A
2023年9月、イオンの子会社のイオンビッグとマックスバリュ南東北が吸収合併を行いました。
イオンビッグを存続会社とし、マックスバリュ南東北が消滅します。イオンビッグ、マックスバリュ南東北は、イオングループのディスカウントストアの事業を行っており、ザ・ビッグ」を展開しています。
今回のM&Aにより、経営資源の共有、構造改革に繋がる投資とシナジー効果を図り、成長拡大を目指します。
出典:イオンビッグ株式会社とマックスバリュ南東北株式会社の合併契約締結に関するお知らせ|イオン株式会社
②ナチュラリによる東北薬理研のM&A
2023年4月、ナチュラリは東北薬理研の全ての株式を取得しました。
ナチュラリは、高度医療機器等の販売や東京PCR衛生検査所の運営を行う企業です。東北薬理研は、東北地方を拠点とした臨床試験の受託事業を展開しています。
今回のM&Aによりナチュラリは、東北における事業基盤の強化を目指します。また、東京オフィスを設立し事業拡大を図る予定です。
出典:親会社変更のお知らせ|株式会社東北薬理研
③デジタルキューブのヘプタゴン買収
2022年12月1日、神戸市のデジタルキューブは青森県三沢市のヘプタゴンを買収しました。
ヘプタゴンはAWS Partner Network(APN)アドバンストティアサービスパートナーに認定されている会社です。デジタルキューブは本M&Aでヘプタゴンが有するインフラサイドのクラウドに対する技術力・知見を融合させています。
出典:株式会社デジタルキューブによる弊社の子会社化に関するお知らせ
④東北電力の八甲田風力発電への資本参加
東京都のエコワークスが運営している八甲田風力発電へ東北電力が資本参加しました。
八甲田風力発電は2024年11月に「大中台牧場風力発電事業」の運転開始を予定しており、本M&Aにより電気事業の知見を活用し開発を進める方針です。
出典:大中台牧場風力発電事業への参画ならびに(仮称)深持風力発電事業の開発可能性調査の実施について|東北電力
⑤forestのヒラケドア買収
風防版・焚き火台などのプロダクトを開発・展開しているヒラケドアをforestが買収しました。
forestは商品力の改善・ラインナップの強化のために本M&Aを実施。すべてプロダクトを自社開発しているヒラケドアのものづくりブランドを譲受け、成長支援に取り組んでいます。
出典:キャンプ用品ブランドCAMP GREEBを展開する株式会社ヒラケドアの株式を取得|forest株式会社
⑥ミライト・ホールディングスによるTTKのM&A
2018年4月、ミライト・ホールディングスは、TTKを株式交換の手法で子会社化することを決めました。TTKは上場廃止となります。ミライト・ホールディングスは通信工事の大手で、TTKも同業です。
このM&Aにより、ミライト・ホールディングスとTTKの経営資源を広域に連携させ、競争力を向上させる見込みです。
出典:株式会社ミライト・ホールディングスと株式会社TTKによる 経営統合及び株式交換契約締結のお知らせ|株式会社ミライト・ホールディングス
⑦ウエルシアホールディングスによる丸大サクラヰ薬局のM&A
2017年4月、ウエルシアホールディングスは、丸大サクラヰ薬局を株式譲渡の手法で子会社化することを決めました。ウエルシアHDは、ドラッグストア事業を行っています。丸大サクラヰ薬局は、青森県の会社です。
これにより、ウエルシアHDは、東北地方でグループにおける事業基盤の強化を狙い、ノウハウの共有で経営効率を向上させることを見込みます。
出典:株式会社丸大サクラヰ薬局の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ|ウエルシアホールディングス株式会社
5. 東北地方内のM&A・事業承継に役立つ公的支援
東北地方内の主なM&A・事業承継に役立つ公的支援は、以下です。
- 中小企業基盤整備機構 東北本部
- 東北経済産業局
- 事業承継・引継ぎ支援センター (東北各所)
①中小企業基盤整備機構 東北本部
中小企業基盤整備機構は、中小企業の総合的なサポートを業務とする独立行政法人で、仙台市に東北本部があります。事業承継だけでなく、海外展開や新事業創出など幅広いサポートを行っています。
②東北経済産業局
東北経済産業局は経済産業省の公的機関です。中小企業や地域経済の支援に加え、知的財産やものづくり支援など、幅広い活動を行っています。
③事業承継・引継ぎ支援センター (東北各所)
中小企業経営者の高齢化・後継者不在問題の対応策として、経済産業省東北経済産業局は、事業引継ぎ支援センターを一新し、2021年4月に事業承継・引継ぎ支援センターを設け、東北全県で活動しています。
東北地方で、後継者不在に悩んだり事業承継や引継ぎに取り組んだりしている中小企業の経営者が活用できる公的支援です。
後継者人材バンク
東北各所に、後継者人材バンクが設置してあります。相談は無料です。後継者人材バンクでは、創業を志す起業家や経験・技術を生かして独立したい方と、後継者がいない会社を引き合わせて、事業引継ぎを実現するためのサポートを実施しています。
事業承継・引継ぎ支援センターの活用を政府も後押し
近年の経営者の高齢化を受けて、中小企業庁は「事業承継5ヶ年計画」を打ち出し、中小企業の事業承継を積極的に支援しています。
事業承継・引継ぎ支援センターのバックアップに加え、中小企業等経営強化法の整備や事業承継に関する税制の改正などに取り組んでいるのです。
日本政策金融公庫による資料
日本政策金融公庫は「事業引継ぎ支援センターをご活用ください」という資料を公開して、事業承継・引継ぎ支援センターの普及を支援しています。事業承継に詳しくない方のために、事業内容をわかりやすく説明した資料で、ネット上でも閲覧可能です。
後継者人材バンクについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 東北地方のM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段
東北地方でM&A・会社売却・事業承継案件を探す主な手段は、以下の3つがあります。
【東北地方のM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段】
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①地元の金融機関などに相談する
民間のM&A仲介会社や公的機関以外に、地方銀行や信用金庫といった金融機関もM&A案件を取り扱っています。
金融機関のM&A案件は大規模なものが多いので、事業規模が大きい会社のM&Aを考えている場合は、金融機関に相談するのもおすすめです。
②M&Aマッチングサイトなどを活用する
M&Aマッチングサイトとは、会社の売却・買収を考えている人が売買相手を募集するサイトです。
仲介会社や金融機関などに案件を紹介してもらう以外に、自分でマッチングサイトから案件を探す方法もあります。
Batonz(バトンズ)
Batonz(バトンズ)は、国内最大級マッチングプラットフォームの一つで、案件の豊富さと成約率の高さで定評があります。
自分で交渉から成約まで全て行うだけでなく、必要があればアドバイザーに交渉をサポートしてもらうことも可能です。
トランビ(TRANBI)
トランビ(TRANBI)もバトンズに並ぶ大規模なマッチングプラットフォームです。多くの案件から自分に合った売買相手を探せます。
会社名を伏せて匿名で募集することも可能なので、売買情報を知られたくない方でも安心です。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
M&A・会社売却・事業承継案件を探すには、M&A仲介会社や会計士・税理士などの専門家に相談するのが、最も無難な方法です。広いネットワークで豊富な案件を持つ仲介会社・専門家によって、最適な売買先を見つけましょう。
7. 東北地方でM&Aをする際に仲介会社を選ぶポイント
東北地方でM&Aをする際に仲介会社を選ぶポイントは以下の5つです。
【東北地方でM&Aをする際に仲介会社を選ぶポイント】
- 該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- 案件規模・地元M&A実績などがある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応・相性が良い
以上について、一つずつ紹介します。
①該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
M&Aで最適な売買戦略を練るには、業界の知識や動向に詳しく、同じ業界のM&A実績が豊富であると有利です。
M&A仲介会社を選ぶときは、自分が売買したいと考える会社の業種に関する知識や経験があるところを選びましょう。
②案件規模・地元M&A実績などがある
全国規模で展開している大手仲介会社は案件数は多いですが、東北の案件や実績が多いとは限りません。売買したいと考えている会社と同じ規模の案件がなければ、売買相手を見つけるのは難しくなります。
M&A仲介会社を選ぶときは、同じ規模の案件があるか、地元のM&A実績があるかを確認しましょう。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aは売買する会社の業界知識や会計・税務など、幅広い知識と経験が必要です。しかし、仲介会社のスタッフ全てが、必ずしもこういった知識・経験を豊富に持っているとは限りません。
M&A仲介会社を選ぶときは、M&Aに関する幅広い知識・経験を持つところを選びましょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
手数料や報酬体系はM&A仲介会社によってさまざまで、着手金や月額報酬が必要な会社もあれば、成功報酬しか請求しない完全成功報酬制の会社もあります。
報酬は成功報酬のみとうたっていても、その一部を中間金として成約前に支払うシステムを採用する会社もあるので、M&A仲介会社を選ぶ際は、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすいか確認してください。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
M&A仲介会社を選ぶ際、担当スタッフの知識や経験はもちろん重要ですが、対応の迅速さや性格的な相性の良さなども重要になります。
特に事業承継は長年育ててきた思い入れのある会社を手放すため、その気持ちをくんで親身に取り組んでくれるスタッフに担当してもらいたいと考える経営者も多いです。M&A仲介会社を選ぶときは、担当スタッフの対応や相性も考慮しましょう。
8. 東北地方のM&A・会社売却・事業承継まとめ
東北地方のM&A仲介会社は仙台以外にも、秋田・盛岡など各地に存在します。東北地方でM&Aを考えている経営者・個人事業主の方は、東北を拠点とする仲介会社などに相談するとよいでしょう。
【東北地方でM&Aをする際に仲介会社を選ぶポイント】
- 該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- 案件規模・地元M&A実績などがある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応・相性
【東北地方のM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段】
- M&A仲介会社・専門家に相談する
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
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