2022年06月06日更新
倉庫会社のM&A・買収・売却の完全マニュアル【相場/成功事例あり】
当記事では、倉庫会社のM&A・買収・売却の完全マニュアルとして、M&A動向や相場、メリット・成功のポイントについて成功事例を交えて解説しています。また、倉庫会社のM&A・買収・売却におすすめの仲介会社も紹介しています。
目次
1. 倉庫業界
当記事では、倉庫会社のM&A・買収・売却の完全マニュアルとして、M&A動向や相場、メリット・成功のポイントについて解説していきます。まずは、倉庫会社の概要と業界の市場規模をみていきましょう。
倉庫会社とは
倉庫会社とは、顧客の寄託により物品を倉庫などで保管する受託事業を営む会社をさし、倉庫業または倉庫営業と呼ばれ、運送業と並んで物流の中核になる業種です。
倉庫業法によって規制されており、かつては国土交通省の認可による許可制でしたが、2002年からは登録制へ変更されています。
倉庫業法上の倉庫とは、物品を安全に保管でき、かつ荷役の機能を持つ施設や設備をいい、一般的な倉庫・トランクルーム・ストックヤードなどが該当します。
業務内容
倉庫会社は、依頼された荷物を倉庫に保管する業務を担っており、会社によっては関連する事業も同時に営んでいることもあります。
例えば、製品や商品の輸配送・製品価値を高める流通加工・在庫管理・受発注の管理などのほか、書類・磁気テープ・家財などを保管するトランクルームの事業も手掛けている会社もあります。
倉庫会社の事業を営むためには、製品・商品の保管・管理に電気の供給・設備のメンテナンス・セキュリティの維持などが必要になるので、多額の費用がかかります。
また、業界の動きに合わせた設備の更新も必要になるため、それらの費用も確保しておかなけければなりません。
物流との関係
倉庫会社の業務と物流業務は、関連した事業とされており、国土交通省の「平成29年度倉庫事業経営指標」では、会社全体における事業別営業収益構成の推移(1社平均)を数値化しています。
営業収益の割合は、貨物利用運送事業が25.8%、普通倉庫業は22.6%と、2番目の割合です。さらに、3番目にはその他の事業の18.8%で、4番目には港湾運送事業の14.4%が続いています。
倉庫会社では、依頼された貨物の運搬、船で運ばれてくる荷物の受け渡し・倉庫への搬入・貨物の警備など、物流業務と深い関わりがあり付随・関連する業務も手掛けています。
市場規模
倉庫会社を取り巻く市場規模はどのようになっているのでしょうか。倉庫会社の市場規模には、以下のような特徴がみられます。
- 大手のシェアが低い
- 企業数が多い
- 市場規模は縮小傾向
- 新規事業の拡大
大手のシェアが低い
倉庫会社の市場規模にみられる特徴の1つ目は、大手のシェアが低いことです。下表の売上高をみると、近鉄エクスプレスは約6000億円の売上高を計上していますが、2~5位までは2000億円台、6~9位までが1000億円台となっています。
数社による寡占状態には至っていないことから、倉庫会社の業界では、まだまだ大手のシェアが低いといえるでしょう。
倉庫会社業界の主要企業 | |||
ランキング | 倉庫会社 | 売上高 | |
1 | 近鉄エクスプレス | 5,920億円(2019年3月期) | |
2 | 上組 | 約2,750億円(2019年3月期) | |
3 | 三井倉庫グループ | 約2,420億円(2019年3月期) | |
4 | 三菱倉庫 | 約2,272億円(2019年3月期) | |
5 | 日新 | 約2,180億円(2019年3月期) | |
6 | 住友倉庫 | 約1,860億円(2019年3月期) | |
7 | キユーソー流通システム | 1,691億円(2018年11月期) | |
8 | トランコム | 約1,511億円(2019年3月期) | |
9 | 日本トランスシティ | 約1,000億円(2019年3月期) | |
10 | 日本梱包運輸倉庫 | 約945億円(2019年3月期) |
企業数が多い
倉庫会社の市場規模にみられる特徴2つ目は、企業数の多さです。総務省が行った「平成28年経済センサスー活動調査」によると、倉庫業の企業数は2,243社となっています。
さらに、付随する事業(港湾運送・梱包業など)や、道路貨物運送業者が倉庫業を並行して営んでいるケースも考えられるため、実際はもっと多くの企業が倉庫会社の事業を営んでいると考えられます。
倉庫会社業界に占める大手のシェアはまだ低く、多くの企業が市場でシェア獲得を争っているため、大手や中堅・中小企業が規模の経済を進めるために、中・小規模の事業者を買収する可能性が高いといえるでしょう。
市場規模は縮小傾向
倉庫会社の市場規模にみられる特徴の3つ目は、縮小傾向です。国土交通省「2015年調査/物流サンセス」の全国貨物純流動量によると、年間の出荷量は1990年の36億1千万トンから下がり始め、2015年には25億3千万トンにまで減少しています。
物流量が減ってしまうと管理・保管する在庫の量も減少するため、倉庫会社の事業にも影響がおよび、拠点の縮小・低コスト化の促進などにより、市場規模は縮小していくと推測されます。
新規事業の拡大
倉庫会社の市場規模にみられる特徴4つ目は、新規事業の拡大傾向です。物流量の減少により市場の縮小が予測されているため、倉庫会社は関連する事業に手を伸ばして利益獲得を図っています。
新たに手掛ける事業には、港湾内の荷役や運送事業・一括した物流サービスの3PL事業・製品の価値を高める流通加工事業のほか、文書・デジタル文書の保管事業などがあげられます。
2. 倉庫会社のM&A動向
倉庫会社の業界は大手のシェアが低く、多くの企業が事業を営むため、市場での競争は激化しています。
また、市場規模の縮小が予測されることから、新しい事業に目を向ける・M&Aを実行するといった動きもみられます。ここでは、倉庫会社のM&A動向にみられる3つの特徴について解説します。
【倉庫会社のM&A動向】
- 荷主企業による業界再編
- 中小企業のM&A増加
- 海外市場への展開
荷主企業による業界再編
倉庫会社のM&A動向の1つ目には、荷主企業による業界再編があげられます。大手の製造企業は、荷主企業として自社製品を運ぶため、物流会社を保有しています。
しかし、傘下の物流会社が自社製品をメインに取り扱っていると、企業価値の向上を図ることはできないため、傘下の物流会社を大手の物流会社・倉庫会社などに譲渡する道を選んでいます。
販路・拠点・ノウハウなどを共有できれば企業の成長を見込めるため、倉庫会社は荷主企業の物流会社を譲り受けて事業領域の拡大を進めています。
中小企業のM&A増加
倉庫会社のM&A動向の2つ目は、中小企業によるM&Aの増加です。倉庫会社の市場では、物流量の減少に伴い管理・保管する製品の数が減っています。
経営を維持するには、販路の拡大やコストの引き下げなどの対策を講じる必要があるため、同業者をM&Aによって買収する中小企業が増えています。
海外市場への展開
倉庫会社のM&A動向3つ目は、海外市場への展開です。国内における物流量の減少を受けて、海外市場に目を向ける倉庫会社が増えています。
最近では、需要が期待されるアジア圏などを対象として、倉庫会社や関連業種を買収し、海外市場への進出を図る動きがみられます。
3. 倉庫会社のM&Aを実行するメリット
倉庫会社のM&Aを実行すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、倉庫会社のM&Aを行うメリットについて、売り手・買い手それぞれの立場からみていきます。
売却・譲渡側のメリット
倉庫会社のM&Aで、売却・譲渡側が享受するメリットには、以下の5つがあげられます。
- 設備投資資金の回収
- 雇用の維持が可能
- 負債の解消
- 後継者問題の解消
- 経営基盤の安定化
設備投資資金の回収
1つ目に挙げる売却・譲渡側のメリットは、設備投資資金の回収です。自社・事業の売却や譲渡を行えば、譲渡益を得られる場合や、設備投資資金を回収することが可能です。
倉庫会社が事業を営むためには多額の設備投資が必要になるため、負担が重くなれば経営にも影響がおよびます。
そのため、倉庫会社や倉庫事業の売却・譲渡をして、設備に投じた資金を回収するケースもあります。
雇用の維持が可能
2つ目に挙げる売却・譲渡側のメリットは、雇用の維持ができることです。買収側が倉庫事業や物流事業などの関連事業を営んでいれば、従業員を引き継いでもらえる可能性は非常に高く、雇用の維持が可能です。
また、新規参入企業への売却・譲渡では、買収側は効率的に人材の確保ができるというメリットがあり、雇用の維持が可能になると考えられます。
負債の解消
3つ目に挙げる売却・譲渡側のメリットは、負債の解消です。株式譲渡のスキームを用いると、借入金などの負債は買収側に引き継がれるため、負債を解消できます。
また、買収側が金融機関と交渉し、個人保証・担保の負債を肩代わりしてくれれば、個人保証・担保からの解消も可能といえるでしょう。
後継者問題の解消
4つ目に挙げる売却・譲渡側のメリットは、後継者問題の解消です。親族や役員・従業員のなかに、後継者としてふさわしい人物がいない場合でも、第三者に経営権を譲ることで自社の存続が可能です。
買収先に、事業経験がある・経営のノウハウを持つ企業を選べば、安心して倉庫会社・事業の経営を任せられます。
経営基盤の安定化
5つ目に挙げる売却側のメリットは、経営基盤の安定化です。大手の企業や事業規模の大きな企業と売買を行えば、買収先の経営資源を共有できます。
自社に不足する営業力や資金などを補うことで、安定した経営基盤を構築できます。
買収側のメリット
倉庫会社のM&Aにおける買収側のメリットには、以下の3つがあげられます。
- スケールメリットを享受できる
- 拠点の拡大
- 人材の確保
スケールメリットを享受できる
1つ目に挙げる買収側のメリットは、スケールメリットを享受できる点です。売買により倉庫会社を獲得できれば、拠点となる倉庫が増やせます。
所有する倉庫の数が増えれば保管効率の向上につながり、維持費の削減も可能になります。
拠点の拡大
2つ目に挙げる買収側のメリットは、拠点の拡大です。新たに倉庫を建設するとなれば、多くの費用が必要になりますが、売買により倉庫会社・事業を獲得すれば、新設するよりも安いコストで拠点を手に入れられます。
また、営業している拠点を確保できるため、短期間で拠点を増やすことも可能になるため、効率的に拠点を手に入れたい場合も、M&Aの利用はメリットがあるといえるでしょう。
人材の確保
3つ目に挙げる買収側のメリットは、人材の確保です。売却側との売買によって、事業に従事している人材を確保できます。
新たな人材を育てる手間を省けるだけでなく、短期間で知識と経験を備えた人材の確保が可能です。
4. 倉庫会社のM&Aを成功させるためのポイント
倉庫会社のM&Aを成功させるためには、どのような点を押さえておけばよいのでしょうか。倉庫会社のM&Aを成功させるためには、以下3つのポイントを意識しておくことが大切です。
- タイミング
- 相場を調べる
- 手法
タイミング
倉庫会社のM&Aを成功させるポイント1つ目は、タイミングです。業界の再編が進行したり、関連業種によるM&Aが落ち着きを見せたりすると、売り手・買い手の数は減少します。
そのため、業界再編・関連業種によるM&Aが盛んに行われている時機にM&Aを行うことが、成功のポイントといえるでしょう。
売り手側は、コスト削減・在庫管理体制の見直し・適切な人員配置といった自社・事業のブラッシュアップを行ってから売買を進めることも重要です。
また、買い手側は、売り手側の取引先が属する業界の景気動向を見極めることが大切です。不景気が続けば顧客は在庫の整理を始めて倉庫会社の利用が減少するため、景気が上向いている時機を選んで売買を成立させることが成功のポイントといえるでしょう。
相場を調べる
倉庫会社のM&Aを成功させるポイント2つ目は、相場の下調べをすることです。倉庫会社の売買価格には、はっきりとした相場がありません。
実際の売買価格をみると、数千万~数億円と数十億~100億円前後が相場と考えられますが、倉庫会社のM&A相場は、会社が保有する拠点の面積や数・構築した管理システム・人材などによって変動します。
そのため、倉庫会社の売買では、自社や売り手側が保有する経営資源に基づいて相場が決まることを認識しておきましょう。
手法
倉庫会社の売買価格にはっきりとした相場はないと述べましたが、自社の企業価値を算出することにより、大まかな相場を知れます。
企業価値の評価方法は、以下の手法を組み合わせて算出できますが、正確な評価を行うためには専門的な知識が必要になるため、M&A仲介会社など専門家に依頼して行うとよいでしょう。
企業価値の算出法 | 算出法の詳細 |
時価純資産法 | 貸借対照表の資産と負債を時価に置き換えて算出する |
DCF法 | 将来得られるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算出する |
類似会社比較法 | 業種・事業規模などが類似する上場会社の株価を基に算出する |
倉庫会社のM&Aの際は、M&A総合研究所へ
倉庫会社のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業向けの案件を取り扱う仲介会社で、倉庫会社をはじめするさまざま業種の実績が豊富です。
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5. 倉庫会社のM&Aの成功事例
倉庫会社のM&Aでは、どのような企業が売買を成功させているのでしょうか。ここでは、倉庫会社のM&Aの成功事例を5つご紹介します。
【倉庫会社のM&Aの成功事例】
- 濃飛倉庫運輸株式会社によるつるとみ運輸株式会社のM&A
- セイノーホールディングス株式会社による冷蔵冷凍事業会社2社のM&A
- 株式会社ヒガシトゥエンティワンによる株式会社イシカワコーポレーションのM&A
- 株式会社住友倉庫による株式会社若洲のM&A
- トナミホールディングス株式会社による中央冷蔵株式会社のM&A
事例① 濃飛倉庫運輸による、つるとみ運輸の買収
倉庫会社のM&A成功事例1つ目は、濃飛倉庫運輸株式会社による、つるとみ運輸株式会社の買収です。
売却側と買収側
売却側は、建設設備資材や食料品などの輸送を行うつるとみ運輸株式会社です。つるとみは、関東エリアに2箇所の事務所を構え、小型貨物・大型貨物・冷凍/冷蔵貨物自動車など含む約70台の車両で事業を行っています。
一方の買収側は、濃飛倉庫運輸株式会社です。国内外に向けた物流サービスをはじめ、物流コンサルティングや、文書・カルテ・家財などを保管するトランクルーム・文書保管事業なども手掛けています。
スキーム
使用されたM&Aのスキームは株式譲渡で、濃飛倉庫運輸株式会社は、つるとみ運輸株式会社の全株式を取得して子会社としました。
双方のメリット
売却側のメリットは、経営資源の共有です。売上高が高く事業規模が大きい濃飛倉庫運輸を買収先に選んだことで、資金・ノウハウなどが共有でき、業績向上に期待できます。
買収側のメリットは、輸送効率と提供サービスの向上です。つるとみは東京に本社を置き、千葉にも営業所を構えています。
濃飛倉庫運輸はつるとみを買収することによって、関東エリアにおけるドライバー・車両を確保し、提供する配送サービスの向上が図れるとしています。
事例② セイノーホールディングスによる昭和冷蔵とショーレイフィットの買収
2つ目に紹介する倉庫会社のM&Aにおける成功事例は、セイノーホールディングス株式会社による冷蔵冷凍事業会社2社の買収です。
売却側と買収側
売却側の会社は、昭和冷蔵株式会社とショーレイフィット株式会社です。昭和冷蔵は、東京周辺に3箇所の冷蔵冷凍倉庫を保有しており、3温度帯物流も手掛けています。
また、ショーレイフィットは昭和冷蔵のグループ会社であり、昭和冷蔵の隣接地で10種類以上の氷を製造・販売する製氷事業を展開しています。
一方の買収側はセイノーホールディングス株式会社で、物流・自動車販売・物品販売・不動産賃貸事業などを手掛けています。
スキーム
使用されたM&Aのスキームは株式譲渡で、セイノーホールディングス株式会社は、昭和冷蔵株式会社とショーレイフィット株式会社、2社の全株式を取得して自社グループに収めています。
双方のメリット
売却側のメリットは、シナジーの獲得です。セイノーホールディングスは多くの販路を持っているため、経営資源の共有による売上の向上が期待できるとしています。
買収側のメリットは、低温管理体系の拡充・3温度帯物流を行う拠点の確保・食品市場への対応や、事業領域の拡大です。
セイノーホールディングスは、中期経営計画で国内とアジア圏で、質の高い3温度帯物流の確立を掲げており、3温度帯物流を手掛ける昭和冷蔵を買収することで、目標の達成を目指すとしています。
また、ショーレイフィットを買収した目的は事業領域拡大であり、自社にない製氷事業を獲得することで、将来における冷蔵冷凍事業の拡大に備えるとしています。
事例③ ヒガシトゥエンティワンによるイシカワコーポレーションの買収
倉庫会社のM&A成功事例3つ目は、株式会社ヒガシトゥエンティワンによる株式会社イシカワコーポレーションの買収です。
売却側と買収側
売却側は株式会社イシカワコーポレーションで、官公庁向けに書類の保管・梱包・発送サービスを提供しています。
買収側は、株式会社ヒガシトゥエンティワンで、物流・事務所移転引越・倉庫保管事業などのほか、3PL・書類保管・物流加工といった、現在のニーズに合わせた事業展開も行っています。
スキーム
使用されたM&Aのスキームは株式譲渡で、株式会社ヒガシトゥエンティワンは、株式会社イシカワコーポレーションの全株式を取得して子会社としました。
双方のメリット
売却側のメリットは、効率的な事業運営と事業の拡大です。イシカワコーポレーションは、ヒガシトゥエンティワンの倉庫・車両などを活用して事業運営の効率化を図り、営業網の共有による事業拡大に取り組むとしています。
買収側のメリットは、新分野への事業展開です。ヒガシトゥエンティワンはイシカワコーポレーションが提供する官公庁向けの書類保管・梱包・配送といった高いセキュリティを伴う事業を取得することで、新たな分野への事業を展開するとしています。
事例④ 住友倉庫による若洲の買収
4つ目に紹介する倉庫会社のM&Aにおける成功事例は、株式会社住友倉庫による株式会社若洲の買収です。
売却側と買収側
売却側は、東京都江東区の湾外沿いに2棟の倉庫を保有する株式会社若洲です。倉庫内作業・印刷物や販促品の物流・一貫したメーリングサポートなど提供しています。
買収側は株式会社住友倉庫で、国内外の物流をはじめ、港湾運送・海上運送・情報記憶媒体の管理事業などを手掛けています。
スキーム
使用されたスキームは株式譲渡で、住友倉庫は若洲の全株式を取得し、子会社としています。
双方のメリット
売却側のメリットは、競争力の強化です。住友倉庫は国内外に拠点を持ち、倉庫業界のトップに位置している会社です。
若洲は自社を譲渡することで、法人向けのサービスと買収側のネットワーク・情報記憶媒体の管理事業とを融合し、高品質なサービスの提供から、競争力の強化につなげるとしています。
買収側のメリットは、首都圏の臨海部における物流拠点の拡充です。若洲が保有する2棟の倉庫を活用することで拠点を増やし、両社の事業を融合させたシナジー獲得に期待できるとしています。
事例⑤ トナミホールディングスによる中央冷蔵の買収
倉庫会社のM&A成功事例5つ目は、トナミホールディングス株式会社による中央冷蔵株式会社の買収です。
売却側と買収側
売却側は、広島市に拠点を構える中央冷蔵株式会社です。輸入食品と国産食品の販売や物流・低温物流・製氷事業などを営んでいます。
買収側は、トナミホールディングス株式会社で、3PLをはじめとする物流関連事業・情報処理事業・販売事業を展開しています。
スキーム
使用されたスキームは株式譲渡で、トナミホールディングスは中央冷蔵の株式をすべて取得し、子会社としています。
双方のメリット
売却側のメリットは、販路拡大と物流事業の価値向上です。トナミホールディングスのグループ会社を活用すれば取り扱う食品・製氷の販路を拡大でき、冷蔵倉庫・3温度帯サービスを加えることで、物流事業の価値を高めることが可能です。
買収側のメリットには、新たな事業価値を作り出す・輸送サービスの高度化させる・販売と調達面の拡大させるなどがあります。
トナミホールディングスは3温度帯のサービスを提供する中央冷蔵を買収し、中期経営計画で掲げた3温度帯のサービスを強化する方針です。
6. 倉庫会社のM&Aまとめ
倉庫会社のM&A・買収・売却について、業界動向・相場・成功事例などを紹介しました。
倉庫会社の業界では、取引先の荷主や、中小企業などが、企業価値の向上・競争力強化などのためにM&Aを行うケースが増えています。
【倉庫会社のM&A動向】
- 荷主企業による業界再編
- 中小企業のM&A増加
- 海外市場への展開
【倉売却・譲渡側のメリット】
- 設備投資資金の回収
- 雇用の維持が可能
- 負債の解消
- 後継者問題の解消
- 経営基盤の安定化
【買収側のメリット】
- スケールメリットを享受できる
- 拠点の拡大
- 人材の確保
7. 倉庫業界の成約事例一覧
8. 倉庫業界のM&A案件一覧
【平均年齢35歳/ドライバー20名以上】九州管内一円を配送網とする運輸・倉庫業
倉庫・物流・運送・宅配/九州・沖縄案件ID:2254公開日:2024年09月18日売上高
5億円〜10億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
応相談
九州エリア全体を配送網とする運輸・倉庫業を手掛けております。
【西日本の陸海空の利便性に富む好立地】冷蔵倉庫業、製氷業
食品製造/倉庫・物流・運送・宅配/非公開案件ID:2141公開日:2024年08月09日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
損益なし
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
陸海空の利便性に富む立地に複数の冷凍冷蔵倉庫を有し、倉庫業や製氷業を営む会社
【マレーシア】600店舗以上FC展開のPUDOサービス
倉庫・物流・運送・宅配/海外案件ID:2063公開日:2024年07月19日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
5000万円〜1億円
譲渡希望価格
応相談
・マレーシアにてPUDO(Pick Up & Drop Off)事業をFC(フランチャイザー)にて展開
【大型案件/物流サービス業】シンガポールの譲渡案件
倉庫・物流・運送・宅配/海外案件ID:2017公開日:2024年07月04日売上高
250億円〜500億円
営業利益
2.5億円〜5億円
譲渡希望価格
応相談
・内陸運送・海上運送・航空運送・倉庫サービスを手掛ける
【シンガポール】売上30億円の物流業
倉庫・物流・運送・宅配/海外案件ID:1883公開日:2024年05月21日売上高
25億円〜50億円
営業利益
2.5億円〜5億円
譲渡希望価格
20億円〜
シンガポールにて物流事業を営む企業です。
【EBITDA1.6億/関西】高利益体質の機械器具設置業
建設・土木・工事・住宅/人材派遣・アウトソーシング/倉庫・物流・運送・宅配/近畿案件ID:1841公開日:2024年05月07日売上高
5億円〜10億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
10億円〜15億円
近畿圏内中心に機械器具設置業、とび土木、倉庫業を営む企業
【業歴30年以上/豊富なネットワーク】フォワーダー業(国際複合輸送事業)
倉庫・物流・運送・宅配/近畿案件ID:1772公開日:2024年04月11日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
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