運送会社・物流会社のM&A動向!会社売却のメリットや注意点・事例38選を徹底解説【2023年最新】

企業情報第一本部 第四部 シニアマネージャー
堀江 大也

大学卒業後、証券会社に入社。富裕層、医師、中小企業オーナーなどを中心に資産運用や相続などの提案業務に従事。その後、大手人材会社において、大手から中小企業まで幅広い企業の採用支援と、M&A事業の新規立ち上げに携わる。M&A総合研究所では人材業、小売・卸売業、運送業など幅広い業種を担当。

近年、運送会社・物流会社では人材不足解消や2024年問題への対応などを目的として、M&A・買収が活発に行われています。この記事では、運送会社・物流会社のM&A・買収事例、業界の動向や課題、譲渡相場などを紹介します。

目次

  1. 運送会社・物流会社とは
  2. 運送会社・物流会社の現状
  3. 運送会社・物流会社のM&A動向
  4. 運送会社・物流会社のM&Aメリット
  5. 運送会社・物流会社のM&Aデメリット
  6. 運送会社・物流会社のM&A・積極買収企業
  7. 運送会社・物流会社のM&A・買収・売却相場
  8. 運送会社・物流会社のM&A成功事例38選【2023年最新】
  9. 運送会社・物流会社M&Aを行う際の注意点
  10. 運送会社・物流会社のM&A成功ポイント
  11. 運送会社・物流会社のM&Aアドバイザーコメント
  12. 運送会社・物流会社のM&A・買収まとめ
  13. 運送・物流業界の成約事例一覧
  14. 運送・物流業界のM&A案件一覧
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1. 運送会社・物流会社とは

運送・物流は、現在の生活に欠かせない存在です。近年はEC市場の伸びに伴い需要が高まっており、運送・物流業界の規模拡も期待されています。

その一方で、慢性的な人材不足や競争激化によって事業運営が厳しい企業が増えているのも事実です。なかでもトラックドライバー不足は深刻な状況であり、さらに2024年問題への対応も必要であるなどの理由から、運送・物流業界ではM&Aが活発化しています。

運送・物流業界の定義

運送と物流は同じ意味だと思いがちですが、両者はその範囲が異なります。「運送は人や物を目的の所に運ぶこと」であるのに対し「物流は生産者から消費者に至るまでの商品の流れ」です。

運送業界は人や物を目的地に運ぶ事業を営む企業群、物流業界は商品が流通する過程を手掛ける企業群と定義できますが、総務省「日本標準産業分類」では以下の業界は「運輸業」に分類されています。

  • 鉄道業
  • 道路旅客運送業
  • 道路貨物運送業
  • 水運業
  • 航空運輸業
  • 倉庫業
  • 運輸に付帯するサービス業郵便業

また、運送・物流業界の多くを占めるのはトラック運送業ですので、この記事ではトラック運送業に焦点を当てて解説していきます。

運送・物流事業の特徴

公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業ー現状と課題 ー2022」によると、トラック運送業者662,844社(令和3年3月末現在)のうち9割以上を占めるのは従業員300名以下の中小企業です。

中小企業が多い理由としては、トラック1台とドライバー1名でも事業が始められるため新規参入が容易であることが挙げられるでしょう。

業特性から他社と差別化を図るのが難しいため「価格競争が起こりやすい」「燃料費の価格転嫁が難しい」といった傾向が強く、さらに人材不足のため収益確保するのが難しいケースもあります。

参考:公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業ー現状と課題ー2022」

2. 運送会社・物流会社の現状

ここでは、運送会社・物流会社のM&A買収の現状・動向を解説します。

市場規模

国土交通省統計資料によるとトラック運送業のほか鉄道、海運、航空運送など運送業界全体の営業収入は28兆5813億円です。うち、トラック運送は19兆3576億であり物流市場の約7割を占めています。

国内貨物輸送料はほぼ横ばいですが、2020年に大きく減少しています。理由としては新型コロナウィルスの拡大が影響をうけ大幅に貨物量が減少しました。

 

2024年問題の懸念

出典:経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf

働き方改革関連法により、2024年4月1日からは自動車運転業務の時間外労働が年に960時間の上限が設けられることになりました。

ドライバー1人の走行距離が短くなるため遠隔地までモノが運べなくなることが懸念されており、それに起因して起こりうる問題が「2024年問題」と呼ばれています。

運送・物流会社の売上・利益の減少や荷主企業の運賃上昇、ドライバーの収入減少なども心配されており、業界各社は対応を迫られている状況です。

また、時間外労働に対する割増賃金引上げや勤務間インターバル制度なども、業界に大きく影響すると考えられています。

業界全体に渡って赤字営業が過半数

公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業ー現状と課題ー2022」によれば、国内のトラック輸送産業の市場規模は2018時点で約19兆円です。

EC事業の成長に伴い運送・物流の需要は高まっていますが、経営赤字のトラック運送業者は過半数を超えるといわれています。

その理由として考えられるのは、新規参入業者が増えたことによる価格競争です。貨物自動車運送事業法の規制緩和によって、運送・物流業界への新規参入が急増しました。
 
低価格でメリットを打ち出す新規参入業者への顧客流出阻止するには料金を低く抑えなければならず、利幅が減少しているのが要因のひとつとなっています。

参考:公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送ー産業現状と課題ー2022」

トラックドライバーの不足

出典:経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf

前述のように、取り扱う荷物量は増加しましたが、業界ではトラックドライバー不足が深刻な状況となっています。その要因となっているのは長時間労働と低賃金です。

国土交通省自動車局貨物課「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の告示について」をみると、運送・物流業界はドライバーは労働時間が長いもの他業種と比べ賃金が低いことがわかります。

今後は、時間外労働の上限設置によってドライバーは残業代が減るため、今まで以上に賃金が下がるケースもあるでしょう。そうなれば離職を選ぶドライバーの増加が懸念され、人材確保がさらに厳しくなる可能性もでてきます。

参考:国土交通省 「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の告示事案」に関する答申について 

生産性向上に向けた施策

人材不足などの課題を解決するためには業界全体の生産性向上が必要です。国土交通省は、運送業の生産性を向上するための施策として以下の5つを挙げています。

  • 実働性の向上
  • 実車率(時間あたり)の向上
  • 実車率(距離あたり)の向上
  • 積載率の向上
  • その他

具体策は、中継輸送ネットワークの形成による長距離輸送防止、ITを用いた貨物積み下ろし受付予約システムの導入によるドライバーの待機時間削減などであり、大手企業を中心にドライバーの労働生産性を上げる取り組みが実施されています。

競争激化による単価下落と燃料費上昇で収益が悪化

我が国の物流を取り巻く現状と取組状況 - 経済産業省

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf

新規参入業者が増えたことによる価格競争は激化が進み、運送会社・流通会社は単価の引き下げを余儀なくされている状況です。

結果的に利幅減少につながってしまうため、人件費や運用費用などの確保が難しくなってきている企業も増えてきています。

さらに、近年はガソリン代高騰が続いており、アメリカや中東諸国の貿易摩擦の影響もあり燃料費は高止まりの状態です。トラック運送を主体とする運送会社・物流会社にとっての影響は非常に大きく、収益悪化を招く深刻な問題となっています。

3. 運送会社・物流会社のM&A動向

業界再編・集約の活性化

運送・物流業界のM&A件数は近年大きく増加しており、業界再編が進んでいます。中小企業にとって自社単独で十分なドライバー数を確保したり事業拡大をしたりするのは難しいケースも多いです。

これらの課題解決手段として、M&Aを活用して大手企業の傘下となるケースも多くみられるようになりました。譲渡側にとってもドライバーを一度に確保でき、譲渡側の拠点を活かして物流量を増やすことができます。

業界再編の動きはしばらく続くことが考えられますが、M&Aを検討している場合は動向を注視しておく必要があるでしょう。

経営者の高齢化に伴う引退の増加

後継者不在で悩む中小企業は非常に多く、国の大きな課題ともなっています。運送会社・物流会社も例外ではなく、引退時期に差し掛かった経営者が多いなか、後継者がいないために廃業せざるを得ないケースも多いです。

経営者自身だけだけでなく従業員やドライバーも高齢化していますが、運送会社・物流会社の労働環境から新規人材の確保が難しい企業も少なくありません。そのようななか、後継者不在でも事業承継を実現すべくM&Aを活用するケースも増えてきています。

IT・ベンチャーへの投資

経済産業省は国内企業のDX化に取り組んでおり、運送会社・物流会社においては自動化や機械化などのデジタル化が推進されています。

業界の大手企業は先進的な分野への投資を始めているところも多く、IT・ベンチャー企業とM&Aを行い内部に取り込む動きがみられるようになりました。

しかし、中小企業においてはシステムはあってもデータ活用ができていなかったり、既存システムが複雑化しすぎていて対応しきれなかったりするケースも多く、DX化を推進しようとしても頓挫してしまうケースもみられます。

顧客ニーズの多様化に対応し業務効率化を図るためにはデジタル化が重要ですが、自社のみで進めるのは難しいケースも多いものです。効率的にDX化を進める方法として、M&AによるIT・ベンチャーへの投資は非常に有効と考えられます。

M&A・買収の需要は急増している

コロナ禍の影響でM&Aに消極的な姿勢をみせる業界が多いなか、運送・物流業界はM&Aが活発に行われています。ドライバー確保と2024年問題への対応を目的として、M&A・買収の需要が高まっている状況です。

また、同業種同士のM&Aに限らず、IT・ベンチャー企業とM&Aを行い業務効率の向上を図り売上拡大を狙うケースも増え、積極的に攻めの姿勢をみせる企業もあります。

以下の動画では、運送業界の動向とM&Aによる課題解決についてアドバイザーがわかりやすく解説していますのでぜひご覧ください。

  • 運送・物流会社のM&A・事業承継

4. 運送会社・物流会社のM&Aメリット

運送会社・物流会社でM&A・買収を行うメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。運送会社・物流会社のM&Aを行うにあたり、売却側と買収側のメリットを説明します。
 

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 大手グループに参入できる
  • 後継者問題の解消
  • 資金獲得
  • 債務解消
  • 事業の集中と選択を図れる
  • 事業規模拡大
  • 新規参入のリスク回避
  • 資源獲得
  • ドライバー獲得
  • ノウハウ獲得
  • シナジー効果の発揮

売却側のメリット

売却側が得られるメリットとしては以下のような点が挙げられます。

大手グループに参入できる


運送会社・物流会社をM&Aで売却する相手は、大手グループのケースも考えられます。大手グループとのM&Aであれば、安定した事業継続が見込め、売上拡大にも期待できます。

後継者問題の解消


地域でのシェアや技術を持っていても、後継者不在であれば事業の継続はできません。こうした運送会社・物流会社の後継者問題もM&Aで解決でき、従業員の雇用も維持できます。

資金獲得

運送会社・物流会社の経営者が高齢化などで、事業継続が困難な場合があります。事業を継続できなければ、今後における経営者の資金確保は難しくなるでしょう。

このようなケースでも、廃業などを選択せずにM&Aによる売却を選択すると、退職後の資金を獲得できます。

債務解消

昨今は、資金繰りに苦しんでいる運送会社・物流会社も少なくありません。債務に追われている運送会社・物流会社にとって、M&Aによる売却は債務解消の有力な手法となるでしょう。

事業の集中と選択を図れる

複数の事業を行っていると、一つの事業に投資できる資金や人材などの経営資源が限られます。採算が取れない事業を継続している場合は、コストに対して得られるリターンが少なく非効率です。

採算の取れない事業を売却すれば、利益率や将来性が高い主力事業に資金を注げるため、会社全体の業績向上にもつながります。

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買収側のメリット

買収側が得られるメリットとしては以下のような点が挙げられます。

事業規模拡大

運送会社・物流会社のM&Aによる買収側のメリットに、事業規模の拡大があります。自社がウィークポイントだった地域でも、地域に密着した運送会社・物流会社のM&Aを行うと、短期間での地域シェア確保が可能です。

新規参入のリスク回避

異業種同士でM&Aを実施すると、買い手側はゼロから事業を立ち上げるよりも、はるかに低いリスクで新規事業に参入できるメリットがあります。

新規事業は、顧客開拓・従業員の採用・ノウハウの習得などに相当のコストと時間を要するため、事業の収益化が低いです。参入したい分野ですでに事業を行っている会社を買収すれば、失敗するリスクを軽減できます。

資源獲得

運送会社・物流会社のM&Aは、資源獲得にもメリットがあります。トラックや運送機材など、運送会社・物流会社が必要とする資機材をM&Aによりスピーディに獲得できるでしょう。

ドライバー獲得

トラックなどのドライバー不足は運送会社・物流会社の抱える問題のひとつです。その一方で、物流のニーズは今後も増加が見込まれています。

自社のみでドライバーを短期間で確保するのは難しいですが、M&Aで運送会社・物流会社を買収することで相手企業のトラックドライバーの雇用を引き継げるため、効率的な解決が可能です。

ノウハウ獲得

運送会社・物流会社のM&Aで、人材や運送ノウハウの獲得は大きなメリットです。異業種が運送会社・物流会社の業界に参入したくても、ノウハウがないケースが少なくありません。短時間で運送会社・物流会社のノウハウを獲得できるM&Aは有効な手段といえます。

こうしたM&Aは、運送・物流業界の現状を一様に把握できるだけでなく、地域のインフラ状況や特性などの現状を知るためにも非常に効果的です。

シナジー効果の発揮

運送会社・物流会社がM&Aを行うと、シナジー効果の創出が期待できます。シナジー効果とは、複数の企業あるいは事業がまとまることで、大きな成果を生み出すことです。

運送会社・物流会社同士がM&Aを行うと得意分野を集約できるため、売上拡大やコスト削減にもつながります。
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5. 運送会社・物流会社のM&Aデメリット

運送会社・物流会社のM&A・買収には少なからずデメリットもあります。具体的にはどのようなデメリットが生じうるのか、売却側・買収側それぞれみていきましょう。
 

売却側のデメリット 買収側のデメリット
  • 納得のいく売却を行えない可能性
  • 競業避止義務が課される
  • 顧客や取引先に反発される可能性
  • 簿外債務・偶発債務を承継するリスク
  • 優秀な従業員が流出するリスク
  • のれんの減損に伴うリスク

売却側のデメリット

売却側のデメリットとして考えられる点には主に以下があります。

納得のいく売却を行えない可能性

たとえ自社や事業を売却しても、必ずしも納得のいく結果になるとは限りません。買い手がみつからず売却を断念せざるを得ないケースや条件を譲歩しなければならないケースも考えられます。

納得のいくM&A・売却を実現するためには、希望条件の優先順位をあらかじめ決めておき、できる限り企業価値を向上させておくことも大切です。

より希望に合った相手先をみつけるためにも、できるだけ早い時期から準備を進めておくとよいでしょう。

競業避止義務が課される

M&Aにおける競業避止義務とは、一定の期間は隣接する区域内で売却した事業と同じ事業を行ってはならないというものです。

原則20年間の義務が課されますが、双方の合意があればその期間を自由に定めることができます。事業譲渡を用いた場合は、契約書に条文がなかったとしても、売却側は競業避止義務を負うことが会社法で定められているため注意が必要です。

顧客や取引先に反発される可能性

M&A後に支配権が買い手側へ移行すると、料金設定・契約条件などが変更される可能性があります。ケースによっては、顧客や取引先に反発を招いてしまうこともあるでしょう。

交渉時は条件のすり合わせを丁寧に行い、顧客や取引先に対しては誠実な態度で説明することが重要です。

買収側のデメリット

一方で、買収側のデメリットとして考えられる点には主に以下が挙げられます。

簿外債務・偶発債務を承継するリスク

簿外債務とは貸借対照表に載っていない債務を指し、例えば債務保証や未払い賃金などが該当します。偶発債務は現時点では発生してはいないが発生条件が揃えば生じる債務です。

株式譲渡を用いる場合は包括承継となるため、簿外債務・偶発債務も買収側はすべて引き継ぐ形になります。リスク回避のためには、デューデリジェンスをしっかり行うことが重要です。

簿外債務・偶発債務を承継するリスクがあれば事業譲渡を活用する方法もあるので、その場合は専門家によく相談してみることをおすすめします。

優秀な従業員が流出するリスク

優秀な人材は、M&A・買収を実施するうえで非常に重要な存在です。しかし、M&A後に買収側の企業理念や労働条件が合わない・買収企業の社員とうまくいかないなどの理由で、優秀な従業員が流出するリスクがあります。

買収側は、事前に引き継ぐ人材が働きやすい環境を整えることも大切です。人材が流出するリスクを想定し、買収金額や事業戦略を検討する必要もあるでしょう。

のれんの減損に伴うリスク

M&Aにおける「のれん」とは、売り手における無形資産の価値です。基本的に、M&A・買収をする際は、無形資産の価値・自社とのシナジー効果・将来性も含め、のれん代として買収価格を算出します。

M&A後の事業運営が順調に進み、のれん代を上回る利益を得られれば問題ありませんが、実際には環境の変化などで事業がうまくいかない場合もあるでしょう。

のれんの減損とは、簡単にいえば「M&Aがうまくいかずに生じた損失」です。のれんの価値が消失したり減少したりした場合、会計上の下方修正が必要となり、これを「のれんの減損」といいます。損失が大きいと経営そのものに影響が出るおそれがあるでしょう。

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6. 運送会社・物流会社のM&A・積極買収企業

運送会社・物流会社のM&A・買収を積極的に行っている企業には、以下が挙げられます。

  • センコーグループホールディングス
  • SBSホールディングス
  • ハマキョウレックス
  • NIPPON EXPRESSホールディングス
  • 日本郵政
  • 日立物流
  • 山九
  • 三井倉庫ホールディングス
  • トナミ運輸
  • ヤマト運輸
  • 三菱商事

特に、物流大手のセンコーグループHDと総合物流企業のSBSホールディングスは、積極的にM&A戦略を展開しています。センコーHDは、2007年から中期経営計画の事業戦略としてM&Aを掲げており、2020年までに実施した主なM&A件数は17件にのぼりました。

SBSホールディングスは、2004年からの10年間で20件以上のM&Aを成功させています。以降も国内外を含めM&Aを加速させており、売上高が飛躍的に伸びています。

7. 運送会社・物流会社のM&A・買収・売却相場

運送会社・物流会社のM&A・買収・売却を検討している場合、おおよその相場を把握しておくと役立つことが多いです。ここでは、運送会社・物流会社のM&A・買収・売却相場について解説します。

大まかな相場は時価純資産・営業利益で求める

自社・事業を売却する場合、あらかじめ売却相場を知っておけば安く買いたたかれずに済み、また高値で打診してM&Aが成約できなくなる事態を避けることもできます。

運送会社・物流会社のM&A相場の考え方は他業種と同様であり、一般的な中小運送会社であれば時価純資産に営業利益の2〜5年分をプラスした金額を目安と考えるとよいでしょう。

もう少し細かく知りたい場合は、株式譲渡であれば「時価純資産+ (営業利益 + 役員報酬) ×2〜5年」事業譲渡であれば「事業資産+ 事業利益×2〜5年」で求めるとより近い金額がわかります。

最終的な取引価格は企業価値をもとに交渉で決める

大まかな相場がわかったとしても、必ずしも近い金額でM&Aが成立するというわけではありません。M&Aでは譲渡側の企業価値もとに譲渡側・譲受側とが交渉して最終的な金額が決まります。

保有資産や将来的に見込める収益に加え、ブランド力やノウハウ・技術力など目に見えない部分も含めて総合的に判断されるため、相場より高い価格でM&Aが成立するケースもあります。

企業価値評価の手法・種類

企業価値を算定する方法には、大きく分けてコストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチの3種類があります。それぞれ違った特徴があるので、自社に合った算出方法を選ぶことが大切です。

コストアプローチ

コストアプローチでは、貸借対照表に載っている純資産の金額をもとに企業価値を算出します。代表的なものは、貸借対照表上の純資産をそのまま使う「簿価純資産法」評価するタイミングの時価純資産をもとに使う「時価純資産法」です。

貸借対照表を使うため客観性に優れていますが、将来の収益性は反映されません。また、財務諸表を元に計算するため技術力やノウハウ・ブランドなど目に見えない資産は反映されない可能性があり、その場合は営業権を別途加える手法が取られます。

インカムアプローチ

インカムアプローチでは、評価対象企業の収益性をもとに企業価値を算出します。将来的に得るキャッシュフローを現在価値に割り引いたものを使うDCF法、予想配当金を資本還元して企業価値を求める配当還元法などがあり、DCF法は実務で広く使われる方法です。

インカムアプローチは、将来の収益力や対象企業に固有の事情を反映できるメリットがありますが、企業価値算定の根拠となるキャッシュフローや配当金・利益は譲渡側が作成した事業計画書の数字を使用するため、主観などが入りやすく客観的な企業価値を求めにくい面もあります。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場・同業他社・類似のM&A事例などをもとに企業価値を算出する方法です。事業内容が似ている上場企業の株価倍率(EBITDA、PERなど)を使う類似会社比較法、過去の似たM&A取引の価格を基にする類似取引比較法などがあります。

類似した市場・取引・会社がもととなるので客観性が高く、上場企業や類似上場企業がある非上場企業のバリュエーションで広く用いられる方法です。

しかし、類似した上場会社がなければ使用できない方法であり、一時的な市場株価の変動で評価がゆがめられるケースもあります。

【関連】M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法の種類、メリット・デメリットを解説【事例・動画あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

8. 運送会社・物流会社のM&A成功事例38選【2023年最新】

運送会社・物流会社では、M&A・買収の需要が高まっています。ここでは運送会社・物流会社のM&Aの事例を紹介します。

スクロールによるサンワネッツの買収

2023年10月10日、スクロールはサンワネッツの株式取得(子会社化)に関する基本合意書締結を決議したと発表しました。

スクロールは2023年度からの中期経営計画において、「EC・通販企業」からダイレクトマーケティングに関するあらゆる知見やノウハウを駆使して顧客のニーズに応える「ダイレクトマーケティングソリューションカンパニー(DMSC)」への転換を目指しており、この株式取得によってその目標を達成することができると考えています。

サンワネッツ社は、1970年から運送業や倉庫業など幅広い物流サポートを提供し、関東・静岡・中京を結ぶ強力な事業基盤を築いています。

スクロールはこの株式取得により、ソリューション事業領域が拡大し、シナジー効果が期待されるとしています。

参考:サンワネッツの株式取得(子会社化)

日立物流による蘭CyberFreight社の買収

2022年9月、日立物流は、オランダのCyber Freight International Holding B.V.を完全子会社化すると発表しました。日立物流は、倉庫保管・輸送のほか小売業・製造業の物流システム構築や運営も請け負っています。

子会社となったCyberFreightは、医薬・食品関連を中心とした輸出入業務や運送手段の手配などをワンストップで提供する企業です。

日立物流は、CyberFreightが有する医薬品のオペレーションノウハウやネットワークを活用し、グローバルにおける医薬品事業拡大を目指すとしています。

参考:オランダ国際フォワーディング会社の株式取得(子会社化)

センコーグループHDによるオーナミの買収

2022年12月、センコーグループホールディングスは、日立造船の子会社オーナミを子会社化すると発表しました。物流会社大手のセンコーグループホールディングスは、物流・農業・商事などの事業を展開しています。

子会社となったオーナミは海上・陸上一貫の輸送体制を持ち、重量物や大型貨物の荷役、保管、輸送、通関などを強みとする運送会社です。

センコーグループホールディングスのグループには海陸運事業を行う会社が複数あり、重量貨物輸送ネットワークを展開しています。本M&Aにより、オーナミの重量物輸送や輸出梱包ノウハウと自社のネットワークを活用し、グローバルな重量物輸送事業の拡大を目指すとしています。

参考:国内外の重量物輸送拡大を図る

セイノーHDによる貨物自動車運送事業4社の合併

2022年4月、セイノーホールディングスは、西濃運輸を存続会社として、西濃運輸、関東西濃運輸、濃飛西濃運輸、東海西濃運輸、西濃運輸を合併すると発表しました。

セイノーホールディングスは、岐阜県大垣市に本社を置く大手運輸企業西濃運輸グループの持株会社です。貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業、航空運送代理店業、通関業、国際複合一貫輸送事業他などを手掛けています。

西濃運輸・関東西濃・濃飛西濃・東海西濃は、いずれも貨物自動車運送事業などを展開している企業です。

本件M&Aにより、セイノーホールディングスは、当事会社の4社が展開するエリアで効率的かつ柔軟性のある物流プラットフォームの構築に向けて幹線ダイヤを再編し、運行効率の全体最適化を進めています。

参考:西濃運輸を存続会社として4社を統合

アクセンチュアによるトランコムITSの買収

2022年3月、アクセンチュアは、トランコムITSの株式を取得すると発表しました。トランコムITSの完全子会社として新設立された会社に対して、外販事業を吸収分割させたうえで、当該新会社の株式を全て取得します。

買収側は、東京都港区を拠点に、「ストラテジー&コンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の4つの領域でサービスとソリューションを提供している企業です。

対する売却側は、トランコムの連結子会社であり、物流システム構築などのITサービスを提供しているほか、製造・物流・情報通信事業者など外部企業にもサプライチェーンの変革支援事業を展開している企業です。

本件M&Aにより、買収側では、新たなものづくりの構築および、それを支える物流DX実現に向けた共同ソリューション開発・新たなDXソリューション構築にかかる協業を推進していくと発表しています。

参考:トランコムITSから、次世代の物流ソリューションおよびデジタルエンジニアリングの創造につながる事業の獲得

東部ネットワークによる東北三光の買収

2022年3月、東部ネットワークは、東北三光の株式を全て取得し、子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、1943年12月に横浜市の東部地区に国策による統合会社として発足し、総合物流企業として成長してきました。対する売却側は、セメント輸送や販売・出荷管理業務・施設保全業務などを展開している企業です。

本件M&Aにより、買収側では、東北地区の営業拡大を図るほか、グループインフラの利活用をはじめとする人的資源・車両配車の連携や情報システムの共有など協業化の推進・生産性の拡大・さらなる企業価値の向上を図っています。

参考:東北三光の株式取得(子会社化)

ベストラインによる前川運輸の買収

2022年3月、ベストラインは、鴻池運輸を通じて、その連結子会社の前川運輸の株式81%を取得すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、一般貨物自動車運送業を主体とする物流事業者です。倉庫保管・製造・出荷作業・出張サービス・車両整備・中古車販売・デザイントラック制作なども提供しています。売却側は、一般貨物自動車運送事業、第一種貨物利用運送事業、倉庫業を手掛ける企業です。

本件M&Aにより、買収側では、共同営業、車両・車庫・整備場、運行管理システムの利用を深めることで、幹線輸送の連携強化を図り、シナジー効果の創出を目指しています。

ヒガシトゥエンティワンによる山神運輸工業の買収

ヒガシトゥエンティワンは、2022年2月、山神運輸工業の全ての株式を取得し、子会社化しました。ヒガシトゥエンティワンは、3PL・総合物流サービス、総務系物流やBPOソリューション、PCキッティング・IT関連サービスなど、幅広い事業を行っている企業です。

対象会社である山神運輸工業は、鋼材や機械の重量物輸送を中心に、海上コンテナ輸送など、さまざまな輸送を行う一般貨物輸送事業を行う会社です。他にも、機械据付・メンテナンスなどを実施し、一貫対応も行うエンジニアリング事業も展開しています。

今回のM&Aにより、山神運輸工業のノウハウを獲得し、グループ全体の輸送力強化と新たな分野での事業展開を目指します。

参考:子会社の異動(取得)に関するお知らせ

ニッコンHDによる安川トランスポートの買収

ニッコンホールディングスは、2022年2月、安川電機の子会社が所有する、安川トランスポートの株式を取得し、子会社化しました。安川トランスポートは、社名をニッコン北九へ変更し、連結子会社となります。

ニッコンホールディングスは持株会社として、物流サービス事業を展開しています。安川電機は、モーションコントロール、ロボット、システムエンジニアリングを行う会社で、子会社である安川トランスポートは、運輸・物流サービス事業を展開する会社です。

今回のM&Aにより、両社の物流に関する豊富な経験とネットワークを活用し、さらなる品質、価格、納期などのサービス向上を目指します。

参考:安川トランスポートの株式取得

センコーグループHDによる豪AirRoad Pty Ltdの買収

センコーグループホールディングスは、2021年4月に、オーストラリアの精密機器や自動車部品の輸送をしているAirRoad Pty Ltdの株式6割を取得し、グループ化しました。

これにより、センコーグループが持つ倉庫のノウハウ、およびロボティクス技術の導入による3PL事業拡大を図り、長距離輸送や域内配送を確立し、コールドチェーン事業の参入も目指します。

参考:ASEAN・オセアニア地域で3PL 事業を拡充

SBSホールディングスによる古河物流の買収

SBSホールディングスは、2021年4月に、古河電気工業の子会社である古河物流の普通株式の66.6%を取得し、連結子会社化しました。古河物流は、電子部品、自動車部品、ワイヤーなどの輸配送、流通加工、国際物流、保管事業を行うなど高いスキルやノウハウを持っています。

これにより、SBSホールディングスは、総合物流事業者としてより価値のある総合的な物流サービスの提供を目指します。

参考:古河物流株式会社株式の一部取得

SBSホールディングスによる東洋運輸倉庫の買収

SBSホールディングスは、2020年12月に、SMCの子会社である東洋運輸倉庫の株式を取得し、連結子会社化しました。東洋運輸倉庫は、通関業、営業倉庫、貨物運送取扱業、保税蔵置場、損害保険取扱業務などを事業として行っています。

これにより、SBSホールディングスは、インフラやノウハウの共有、物流業務における協業とシナジー効果により企業価値の向上を目指す予定です。

参考:東洋運輸倉庫株式会社の株式取得

トナミホールディングスによる御幸倉庫の買収

トナミホールディングスは、2020年12月に、御幸倉庫における全ての株式を取得しました。御幸倉庫は倉庫業、一般区域貨物運送事業、自動車運送取扱業、荷造・梱包作業、組立加工業、包装資材の仕入や販売、不動産貸付業などを行いメーカー系の物流を強みとする会社です。

これにより、物流システムを提供、事業を展開するトナミホールディングスは、グループインフラの利活用と、経営資源の連携や情報システムの共有などを進め、生産性の拡大や企業価値の向上を目指します。

参考:株式会社御幸倉庫の株式取得

キユーソー流通システムによるKIAT ANANDAグループ4社の買収

キユーソー流通システムは、2020年9月、インドネシアに拠点のある物流会社KIAT ANANDAグループにおけるPT Kiat Ananda Cold Storage、PT Ananda Solusindo、PT Manggala Kiat Ananda、PT Trans Kontainer Solusindoの第三者割当増資を引き受け、子会社化しました。

キユーソー流通システムは、倉庫業、一般物品の包装、荷造、配送などの引き受け業務、貨物利用運送事業、運送取次事業、貨物自動車運送事業、通関業などを行う会社です。

これによりキユーソー流通システムは、KIAT ANANDAグループの営業力や現場力と自社の物流機能を合わせた相乗効果で、急速な発展を遂げているインドネシアでさらなる物流ネットワークの構築を目指します。

参考:低温物流会社 KIAT ANANDA グループ4社の 第三者割当増資引受(子会社化)

ハマキョウレックスによるシティーラインの買収

ハマキョウレックスは、2019年12月、物流サービス会社シティーラインを買収しました。これにより、物流センター事業や貨物自動車運送業を主に手掛けるハマキョウレックスグループは、新規顧客の獲得、九州エリアにおける拠点の拡充が可能となります。

参考:シティーラインの株式の取得(子会社化)

鴻池運輸による香港BEL社の買収

鴻池運輸は、2018年10月に、香港にあるBEL INTERNATIONAL LOGISTICS LTD.(BEL社)を完全子会社化しました。BEL社は、航空貨物事業を主力とし、欧州をはじめ中東やインドさらには北米にもシェアを広げています。

鴻池運輸は、国際物流サービスによる取引拡大を視野に入れています。

参考:「BEL INTERNATIONAL LOGISTICS LTD.」の株式取得(完全子会社化)

西日本鉄道による仏GLOBAL STAR INTERNATIONAL SASの買収

国際物流事業の拡大と強化を進めている西日本鉄道は、2018年10月に、ファッションや石油プラントなどを主力とするフランスの物流会社であるGLOBAL STAR INTERNATIONAL SASを買収しました。これにより、新たなノウハウを事業に取り込み事業強化を図ります。

SBSホールディングスによるリコーロジスティクスの買収

SBSホールディングスは、2018年8月に、運輸・倉庫業を手掛けるリコーロジスティクスの株式66.6%を取得し、連結子会社化を行いました。これにより、運送ネットワークの強化を図り、機械化や自動化といったIoTへの対応とともに海外への事業拡大をもくろんでいます。

参考:リコーロジスティクス株式会社株式の一部取得

ビックカメラによるエスケーサービスの買収

ビックカメラは、2018年7月、一般貨物運送業を行うエスケーサービスを子会社化しました。エスケーサービスが主力としている大型家電の配送や設置を強化する狙いです。

参考:簡易株式交換によるエスケーサービスの完全子会社化

鴻池運輸によるエヌビーエスの買収

鴻池運輸は、2018年5月に、エヌビーエスの全株式を買い取る形で完全子会社化しました。エヌビーエスは、横浜や高砂そして長崎を拠点とする電気工事業社で、鴻池グループのエンジニアリングサービスを強化した形です。

参考:エヌビーエスの全株式を取得

シーアールイーによるブレインウェーブの買収

シーアールイーは、2018年5月に、物流プラットフォーム「はぴロジ」を運営するブレインウェーブが実施する第三者割当増資により、ブレインウェーブを子会社化しました。この子会社化により、両社の地盤や強みを生かした事業展開を図ります。

参考:ブレインウェーブの第三者割当増資の引受(子会社化)

トナミホールディングスによるケーワイケーの買収

事業拡大のシナジー効果を期待して、2018年4月にトナミホールディングスは、ケーワイケーの株式を全て取得し、完全子会社化しました。

参考:「株式会社ケーワイケー」の株式取得

日本通運による伊Traconf社の買収

日本通運は、2018年3月に、イタリアのファッション物流会社Transcof S.r.l(Traconf)をM&Aにより買収しました。Transcofは、ファッション関連の配送サービスを中心にイタリアやオーストラリア、米国、中国でシェアを誇る会社です。

このM&Aにより日通グループは、ネットワークを拡大して世界の「ファッションロジスティクスのリーディングカンパニー」を目指します。

参考:Traconf S.r.lの出資持分取得(子会社化)

丸和運輸機関によるコープデリ商品個配事業の取得

2018年3月に丸和運輸機関は、コープデリ生活協同組合連合会における商品個配事業のM&Aを行いました。

丸和運輸は、もともと関西圏における生活協同組合の商品個配事業を行っていました。今回のM&Aにより、首都圏での事業展開に乗り出しています。

参考:事業譲受けによる新規個配事業の開始

商船三井による蘭Azalea Maritime B.V.の買収

2018年1月に商船三井は、欧州での働き手確保を目的として、オランダの船員配乗会社であるAzalea Maritime B.V.をM&Aにより買収しました。これにより、欧州での人材育成や地域シェアの確保を図ります。

参考:欧州船員配乗会社の完全子会社化

ハマキョウレックスによる千代田運輸の買収

ハマキョウレックスは、2017年4月に、山口県と福岡県に拠点を置く千代田運輸の発行済株式を全て取得し、株式譲渡契約を締結しました。

これにより、ハマキョウレックスグループは、中国エリアでの拠点を確保するとともに、物流ノウハウにより付加価値を生み出す見込みです。

参考:千代田運輸株式会社の株式の取得(子会社化)

香港ヤマト運輸によるWTDへの出資

中国での一貫輸送サービス提供を目的として、香港ヤマト運輸は、2016年11月に、中国広州市にある広州威時這沛運集団(WTD)に出資をしました。

日本通運と名鉄運輸の資本業務提携

日本通運は、2016年4月に、名鉄運輸(愛知県)の株式20%を獲得し、資本業務提携を締結しました。これにより、特別積合せ輸送におけるネットワークの相互利用による事業強化を図り、物流の連携強化や情報システムの共同開発などを行います。

参考:名鉄運輸との資本業務提携契約

サカイ引越センターによるSDホールディングスの買収

2016年4月に、引越運送業を主体とする運送会社のサカイ引越センターは、SDホールディングスの株式を取得して、子会社化を行いました。

サカイ引越センターは、同ホールディングスをグループに入れることで、清掃サービス需要を確保し、グループの業績やブランドイメージの発展を狙っています。

参考:社 SD ホールディングスの株式の取得

日本郵政による豪トール・ホールディングス社の買収

2015年5月に、海外展開への準備として、日本郵政は、豪州の最大手であるトール・ホールディングス社の株式を買収しました。トール・ホールディングス社は、国際宅配便や宅配などで、豪州以外にも欧米諸国やアジアにネットワークを保持しています。
 

鴻池運輸による九州産交運輸の買収

鴻池運輸は、2014年3月に、医薬品輸送を主力とした運送会社である九州産交運輸を買収しました。これにより、両社で配送システムの効率的な構築を目指すとともに事業の拡大を図っています。

参考:九州産交運輸の全株式取得に関する株式売買

センコーによるアストの買収

輸送や保管などを提供するセンコーは、2013年9月に、家庭紙卸売が主力のアストをM&Aで買収しました。この買収により、製造から販売までを一気通貫で提供できる環境を目指します。

日本通運によるパナソニックロジスティクスの買収

日本通運は、2013年3月に、パナソニックロジスティクスにおける普通株式をパナソニックから取得し子会社化すると発表しました。これにより、運送シェアの安定化を図ります。

参考:パナソニック ロジスティクス株式の一部譲渡

日立物流による物流企業4社の買収

日立物流は、資生堂物流サービス・タカノ物流サービス・オリエント・ロジなどを買収し、2013年3月には日立電線ロジテックのM&Aにも成功しました。これにより、日立物流は、多種多様な物流形態を獲得しています。

DHLサプライチェーンによるコニカミノルタホールディングスの物流業務受託

DHLサプライチェーンは、2013年3月に、コニカミノルタホールディングスの物流業務を受託しました。これにより、DHLサプライチェーンは、コニカミノルタ物流から国内拠点などの事業を承継しています。

郵船海陸運輸と北日本倉庫港運との合併

郵船海陸運輸は、2012年2月に、北日本倉庫港運と合併しました。北日本倉庫港運を存続会社として選択したうえで、「ノーススタートランスポート」と社名を改め事業を継続させています。

ロジネットジャパンによる青山本店の買収

2011年11月に、ロジネットジャパンが、青山本店をM&Aにより買収しました。青山本店は、西日本の食品輸送などに強い業者で、これにより大手食品メーカーなどのコネクトを確保し、陸運輸送と食品保管の分野で強化を図るとしています。

レンゴーによる山陽自動車運送の買収

レンゴーは、2011年5月に、山陽自動車運送における51%の株式を阪神電気鉄道より取得し、子会社化を行いました。段ボールや板紙のリーディングカンパニーとして業界最大手だったレンゴーは、これによりさらなる運送の効率化を確保しています。

参考:山陽自動車運送株式会社への資本参加

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9. 運送会社・物流会社M&Aを行う際の注意点

この章では、運送会社・物流会社がM&A・買収を行う際の注意点を確認します。

運送業許可の引継ぎには国土交通省による認可が必要

貨物自動車運送事業法の第30条に「国土交通大臣の認可を受けなければ、運送事業の譲渡および譲受の効力は生じない」という定めがあります。事業譲渡の認可を申請する際は、下記を記載した「事業の譲渡譲受認可申請書」を提出しなければなりません。

これは、貨物自動車運送事業法施行規則の第17条で定められています。

  • 譲渡人および譲受人の氏名あるいは名称と住所(法人は代表者氏名)
  • 事業譲渡の価格
  • 事業譲渡の予定日
  • 事業譲渡が必要な理由

申請書には、「事業譲渡契約書の写し」「事業譲渡価格の明細書」「定款や貸借対照表、資産目録などの資料」の添付が必要です。事業譲渡により運送事業あるいは許可のみを売却する際は、法律に基づいた許可取得の手続きが要り、自動的に引き継がれません。

運送業許可を引継ぐための要件

貨物自動車運送事業法の第30条第3項に「第5条および第6条の規定は、前第2項の認可について準用する」とあります。買収側が運送事業の許可を引き継いで事業を実施するためには、第5条および第6条に規定の新規許可を受ける条件をクリアしなければなりません。

運送業許可を引継ぐための要件は、第6条および公示における処理方針の資料で定められています。要件は非常に複雑なため、運送事業の許認可に精通した専門家と一緒に手続きするとよいでしょう。

主なものを簡単にまとめると、下記のとおりです。

  • 運送事業を運営する際に必要な資源の確保
  • 運行管理者や整備管理者、運転者の確保
  • 運送事業に必要な資金の確保

労務管理を徹底する

物流業界は、他の業界に比べ拘束時間が長時間化しやすく、サービス残業が常態化していることも少なくありません。現在は以前よりも良くなってきているものの、問題の多い会社もあります。

労務管理が整っていないことにより売却のタイミングで従業員から未払賃金を請求される可能性があります。買い手にとって売り手が労務問題を抱えているとは大きなリスクとなります。従業員からの請求がなくても売却後に買い手企業に知られることで損害賠償を求められることがありますので事前に労務管理を改善しておくことが必要です。

従業員離れの防止

離職率が比較的高い物流業界では買い手は人材を求めていることが多いです。しかし、売り手側企業は従業員がM&Aをきっかけに離職する可能性があることに注意が必要です。

従業員はM&Aによって雇用条件や会社風土の変化、希望しない業務に回されるのではないかなどの不安を感じます。M&Aを行う際は、従業員離職を防ぐためにもしっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。

10. 運送会社・物流会社のM&A成功ポイント

運送会社・物流会社におけるM&Aや買収、売却、売買のポイントを、5点に絞って解説します。

①タイミングが命

運送会社・物流会社のM&Aでは、経済の状況が大きく影響しています。運送会社・物流会社のM&Aでは、特にトラックドライバーなどの確保の側面が大きく、ドライバー年齢が高くなるにつれてM&Aに対する抵抗が強くなる傾向です。

環境や状況に左右されやすい運送会社・物流会社のM&Aは、タイミングが非常に重要といえます。

②シナジー効果の最大化

運送会社・物流会社のM&Aがもたらすシナジー効果を最大限に発揮させることもポイントです。事業の内容や営業エリアなどはもちろんのこと、ドライバーやトラックなどの車両や物流設備の状況をしっかりと把握し、M&Aを検討しましょう。

③M&A会社選び

運送会社・物流会社のM&Aが成功するかどうかは、M&A会社選びにかかっています。運送会社・物流会社のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、M&Aに精通したM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。

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④税金対策

運送会社・物流会社の買収や売買、売却などを進める際は、高額な税金がかかります。M&Aを進めるときは、税金対策を計画するのが重要です。

事業承継などのM&Aでは、贈与税などを考慮する制度があります。M&Aを検討する際は、調べて有効に活用するとよいでしょう。

⑤相場の把握

運送会社・物流会社のM&Aを考える際は、価格相場の把握が必要不可欠です。条件ばかりに目を向けていると、価格で損をするケースも多いため、しっかりとした相場の把握を行うことも重要なポイントといえます。

ただし、M&Aによる相場を把握するのは容易ではないため、M&Aの経験豊富な専門家を活用しましょう。

11. 運送会社・物流会社のM&Aアドバイザーコメント

企業情報第一本部 第四部 シニアマネージャー
堀江 大也

大学卒業後、証券会社に入社。富裕層、医師、中小企業オーナーなどを中心に資産運用や相続などの提案業務に従事。その後、大手人材会社において、大手から中小企業まで幅広い企業の採用支援と、M&A事業の新規立ち上げに携わる。M&A総合研究所では人材業、小売・卸売業、運送業など幅広い業種を担当。

運送会社・物流会社のM&A動向

運送・物流業界は、物流は製品や商品を生産地から消費者まで輸送・管理する業界で、大きく鉄道やタクシートラックなどの陸上輸送、港湾運送などの水運、航空運送や国際貨物フォワーダーなどの空輸に分類されます。運送・物流業界ではM&Aが活発化しており、特に盛んであったのはの多くを占めるのは物流の中でもトラック輸送の部門となりました。トラック業界はトラックを用いた、企業の調達物流、販売物流、社内物流等に分けられ、荷主から物流業務も全てまたは一部の委託を受け持つ3PLを担う企業も含まれます。それらのトラック輸送のM&Aが活発化しており、その理由として、下記2点が挙げられます。

経営者の高齢化

帝国データバンクの「全国社長年齢分析調査(2022)」によると、国内「運輸・通信」業の社長の平均年齢は60歳を超えており、60歳を定年と定める企業が多くを占める日本において、かなりの高齢化が進んでいると言えます。この高齢化の状況に加え、後継者不在という悩みを抱える企業は数多く存在するため、事業存続・従業員の雇用継続のためにM&Aを実施する企業は今後益々増えていくものと考えられます。

全国「社長年齢」分析調査(2022年)

ドライバー不足

運送・物流業界では、ドライバーの存在が大変重要です。一方働き方改革関連法により、2024年からドライバーの時間外労働が年に960時間の上限が設けられることとなり、ドライバー1人の走行距離が短くなることが懸念されております。取り扱う荷物量は増加傾向にあるものの、業界ではドライバー不足が深刻な状況となっており、十分な運送サービスが提供出来ない可能性があります。

大手事業者が人材の獲得や顧客基盤の拡大を目的に優良な企業をM&Aという方法で、自社のグループに迎え入れたい買手企業は数多く存在しています。

運送会社・物流会社におけるM&Aの今後の展望

運送・物流業界では上記の通り、今後益々M&Aが加速していくものと考えられます。運送・物流業界は、顧客基盤・人材が大変重要な要素です。顧客基盤・人材といった自社の成長に欠けるピースを埋めるべく、M&Aを実施したい買手の企業も数多く存在します。将来的にM&Aを検討されている経営者様は、事業の継続・従業員の継続雇用のためにもタイミングを的確に見極め、市場のニーズが高い時期を逃さず決断することで、良いM&Aの実現ができるものと考えられます。

12. 運送会社・物流会社のM&A・買収まとめ

運送のニーズが高まる一方、トラックドライバーなどの人材不足に悩まされている運送会社・物流会社では、課題解決手段としてM&Aが活用されるケースが増えてきました。

また、2024年問題への対応も急務であるため、今後もM&Aの需要が高まると考えられます。運送会社・物流会社のM&Aを実施する際は、M&Aの専門家へ相談してしっかり準備をしておくことが成功のカギともいえるでしょう。

13. 運送・物流業界の成約事例一覧

14. 運送・物流業界のM&A案件一覧

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