成約インタビューM&A事例

飲食業のM&A事例【東京都】

譲渡で手放した苦労と、決断の先に描く未来

  • 譲渡企業

    株式会社パスカル

    元代表取締役

    大澤 光司 様

    業種
    飲食業
    地域
    東京都
    売上
    1.5億円
    社長の年齢
    77歳
    譲渡理由
    後継者不在
  • 譲受企業

    株式会社ケンコーホールディングス

    業種
    飲食業
    地域
    神奈川県
    売上
    174億円(グループ連結)
    上場有無
    未上場
    譲受目的
    スイーツ事業の成長拡大

創業から約40年にわたり、地元・江戸川区に愛されるケーキ店「パスカル」を運営してきた株式会社パスカル。後継者不在と事業の未来を真剣に考えた譲渡企業の大澤光司氏と、新規事業への参入を模索するケンコーホールディングス。本インタビューでは、M&Aという選択で出会った両社の想いと、事業の更なる成長への期待を伺った。

【譲渡企業】株式会社パスカル
本社:東京都
事業内容:ケーキや軽食を提供するカフェ「パスカル」を運営。

【譲受企業】株式会社ケンコーホールディングス
本社:神奈川県
事業内容:ラーメン店・焼肉店などの飲食店の運営や、フランチャイズ運営を手掛る。

譲渡企業
株式会社パスカル
元代表取締役 大澤 光司 様 インタビュー

創業はレストランから、苦労を重ねた事業の始まり

ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。

当初はイタリアンレストランを経営していました。親が経営していた飲食店の手伝いがすぐできるよう、実家の近くで店を始め、繁盛した店を譲渡して海外に行こうと考えていたんです。しかし、店舗契約の関係で内装をすべて元に戻さなければならないと分かり、断念しました。大きな借金を抱え、高金利の返済に追われながら、深夜まで無我夢中で働いていたのが事業の始まりでした。

 ―御社の事業内容と強みについて教えてください。

レストランを経営していた頃、近所の大手スーパーマーケットの関係者から「お店で出しているケーキをうちで販売しないか」と声をかけていただいたのが、ケーキ事業を始めるきっかけです。やってみたらケーキが飛ぶように売れて、毎日夕方には品切れになるほどでした。当初の強みはレストランで培った料理の美味しさでしたが、その後は地域に密着した店舗運営で長くお客様に愛されてきました。

 ―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。

 ケーキ事業が軌道に乗ると、さまざまなショッピングセンターから出店依頼のオファーが来るようになりました。2店舗目も繁盛し、デパートの担当者からも熱心に誘われ、欲を出して次々と店舗を増やしていきました。最大で7店舗まで拡大した時期もありますが、それは積極的に事業を拡大したというよりは、「このチャンスを逃すまい」という気持ちでオファーに応えていった結果でした。

後継者不在と事業譲渡を考え始めた背景

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。

 優秀な人材が次々と独立していき、後継者が見つからないことが大きな理由でした。経営マインドを持つ社員は皆、自ら事業を立ち上げてしまうんです。また、海外に住む娘たちに事業を継がせることも考えていなかったので、いずれは譲渡を検討しなければならないと思っていました。身内に頼れる人がおらず、従業員に任せることも難しくなったことも背景にあります。

譲渡先に求めた「スタッフの生活」

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。

多くのスタッフがいるので、何よりも従業員の雇用条件や福利厚生を大事にしてくれる会社を最優先に探していました。現在は、譲渡先がしっかりとした資金力と人材を持っているので、大胆に事業を展開でき、従業員がより良い環境で働けるようになることを願っています。

大胆な決断力を持つ経営者への信頼

―最終的に株式会社ケンコーホールディングス様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。

株式会社ケンコーホールディングスの社長にお会いして、商売がとても上手そうな方だと感じました。特に、その大胆な決断力に惹かれましたね。決めるべきところはすぐに決める。最初に会った時から物怖じしないざっくばらんな人柄に、「この方ならうまくやってくれるだろう」という信頼感を持ちました。その行動力も決め手の一つです。

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

長年、一人で事業の苦労を背負ってきたので、何よりもそこから解放されたいという気持ちが強かったです。引き継ぎ期間も3カ月と短くしてもらえたので、肩の荷が下りて、精神的にとても楽になりました。今後のビジョンというよりも、まずはゆっくりと自分の時間を楽しみたいです。譲渡という決断が、私の人生設計において必要な通過点だったと感じています。

M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。

自分が考えている条件を明確にすることが何よりも重要です。「いい条件で」という抽象的な希望ではなく、具体的な条件をしっかり決めるべきです。それがなければ、相手も見つけにくく、話も進みません。M&Aは経営者自身の決断が必要なものですから、まずは自分の希望を固めることが大切です。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください。

 M&Aのプロセスを進める中で、段階ごとに慎重に、かつ着実に話が進んでいくことに驚きました。ひとつひとつのステップが非常にプロフェッショナルで、まさに一歩ずつ前に進んでいるという感覚でした。この丁寧なプロセスを見て、これはM&A総合研究所に任せても大丈夫だと確信しました。

担当者からのコメント

松下 亮
本件は後継者不在に悩む売主様からのご相談でしたが、当初はM&Aに対して「不当に買い叩かれるのでは」「従業員が解雇されるのでは」といった不安をお持ちでした。ご面談を重ね、売主様の抱える疑問を解消するとともに、譲れない条件を明確化していくことで、少しづつではありますが、着実に本件を進めることができました。何より従業員様の未来を第一に考えていたことが心に残っています。好立地と生産能力に優れた工場が大きな強みとなり、複数の候補先から関心をお寄せ頂きました。最終的には、売主様の条件と想いに最も真摯に寄り添ってくださった素晴らしい買主様とご縁をお繋ぎすることができました。今回のM&Aを通じて、事業と従業員の雇用が守られただけでなく、更なる成長への道筋を築くお手伝いができたことを大変嬉しく思います。
(海外事業本部 海外事業部 次長 松下 亮)

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