成約インタビューM&A事例

飲食業のM&A事例【鹿児島県】

老舗の技術と大手の経営力で描く
新たな食の未来

  • 譲渡企業

    有限会社寿楽フードサービス

    顧問

    鯵坂 英賢 様

    業種
    飲食業
    地域
    鹿児島県
    売上
    3億円
    社長の年齢
    61歳
    譲渡理由
    後継者不在、事業拡大
  • 譲受企業

    株式会社オーイズミフーズ

    業種
    飲食業
    地域
    神奈川県
    売上
    200億円超
    上場有無
    未上場
    譲受目的
    エリア拡大

新しい料理文化を鹿児島に築き上げた有限会社寿楽フードサービス(鹿児島県鹿児島市)が、全国で多業態の居酒屋チェーンを展開する株式会社オーイズミフーズ(神奈川県厚木市)に譲渡を決断された。60歳を超え、事業の継続と従業員の待遇改善に真剣に向き合った譲渡企業の鯵坂英賢顧問(元代表)と、直営店にこだわる経営戦略の中で、老舗の持つ「本物」の技術と鹿児島という新たな市場に魅力を感じた譲受企業。その決断の背景とM&Aで期待する未来について伺った。

【譲渡企業】有限会社寿楽フードサービス
本社:鹿児島県
事業内容:「和心創菜」などの居酒屋の運営や店舗プロデュースを行っている。

【譲受企業】株式会社オーイズミフーズ
本社:神奈川県
事業内容:多彩な業態の居酒屋チェーンを運営している。

譲渡企業
有限会社寿楽フードサービス
顧問 鯵坂 英賢 様 インタビュー

修行で培った確かな技術力

ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。

父が飲食店を経営していたことが創業の背景です。父の店は採算の合わない状態で、しっかりと料理人の修行を積む必要があると思い、高校卒業後に地元鹿児島を離れ、食の都・大阪で修行することを決意しました。寝る場所もない状況で理想の店に飛び込み、同期が辞めていく中、約6年で料理の基礎と流れを習得。その後、バブル期に800席の4店舗を統括する料理長を務め、30歳で退職。自分の故郷である鹿児島で「本物」の料理を提供したいと思い、31歳で創作居酒屋として創業しました。

「基本の掛け算」が生む創作和食

―御社の事業内容と強みについて教えてください。

当社は「和心創菜」などの創作居酒屋を運営しています。巷によくある家庭料理を謳う店とは違い、私の目指す料理は、ベーシックとベーシックを重ね合わせることで初めて生まれる「創作料理」です。簡単に真似できる料理は本物ではないという信念のもと、長年の修行で培った確かな技術を追求してきました。その結果、多くの職人を育て、独立させてきたことが当社の大きな強みだと自負しています。

複数店舗の展開で事業を拡大

―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。

店舗を増やすことで事業を展開・拡大してきました。現在、鹿児島市内の5店舗で、県内の食材を使った料理を提供しています。

労務環境の限界と事業継続への責任感

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。

60歳を超え、体力的な限界を感じていたことに加え、新しいものを取り入れないと時代遅れになってしまうという危機感を抱いていました。しかしそれ以上に、現在の労務環境が大きな問題でした。週休二日制の導入や労働時間の制限、原価高騰や人件費の底上げなど、小さな企業では太刀打ちできない状況に直面しました。後継者はいましたが、私が創業したときとは違う、厳しい環境で事業を任せるのは申し訳ないという気持ちもあり、黒字のうちに事業継続の道を模索し始めました。

従業員を第一に考えた「直営店」のこだわり

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。

当社の従業員は家族のような存在なので、人間味のある会社に受け入れてもらい、彼らを守り、待遇を改善してもらうことが最も大事な条件でした。そのため、店舗プロデュースを行う会社やフランチャイズ(FC)企業ではなく、直営店のみを運営されている会社を希望しました。直営店なら従業員の待遇や店のコンセプトを大切にしてもらえると考えたからです。

利益追求も理解できる「直営店」への信頼

 ―最終的に株式会社オーイズミフーズ様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。

やはり直営店しかやっていないという点が決め手です。FCは誰でも簡単に始められる分、長続きしないのが飲食業界の常です。オーイズミフーズ様は「大きな会社で利益追求型」という印象も受けましたが、ビジネスとしては当然のこと。それよりも、直営店にこだわる経営姿勢に、従業員や当社の事業を大切にしてもらえるという信頼を感じました。

南九州のフラッグシップ店として成長したい

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

まず、ITシステムによる効率化です。手書きだったレジがエアレジに変わり、発注や労務の負担が大幅に軽減しました。今後は、当社の持つ仕入れ先やスキルをオーイズミフーズ様にもっとアピールし、「これぞ鹿児島」というお店を南九州のフラッグシップ店に育てたいと思っています。

商売を「始める時」と「終わる時」の決断を

―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。

商売を始める時も決断、終わる時も決断です。その勇気をしっかり持てるかどうか、意思を貫けるかが重要です。「ああでもない、こうでもない」と損得ばかり計算している間に、時間はあっという間に過ぎてしまいます。時間は限られていますから、どこかで決断する勇気が必要です。
 

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください

完全成功報酬制だったため、気軽に相談でき、話を進める上で安心感がありました。また、他の仲介会社様ともお会いしましたが、担当アドバイザーの川島さんとのインスピレーションが一番良かったので、それが決め手です。従業員との面談の時間も設け、極めてスピーディーに成約までまとめることができました。

老舗の技術と大手の経営戦略が見事に合致したM&Aとなりました。鯵坂氏が長年こだわり続けた「本物」を追求する料理技術と、従業員を家族のように思う責任感。そして、オーイズミフーズが掲げる直営店経営へのこだわりと、IT・採用・販促ノウハウといった大手の経営資源。この二つの強みが結びつくことで、寿楽フードサービスは労務負担の軽減と待遇改善を実現し、オーイズミフーズは新たな技術と南九州の市場を獲得しました。両社の強みを活かし、今後の更なる発展への期待が高まります。

担当者からのコメント

川島 史聖
本件は、後継者不在と事業拡大の課題を抱えられたオーナー様からのご相談でした。特に印象的だったのは、コロナ禍で競争が激化する飲食業界の中、従業員の待遇や教育を何よりも大切にされていた姿勢です。地域に根ざした経営のもと、現場を支える従業員への感謝と責任を常に忘れず、「従業員ファースト」を経営の軸とされた鰺坂様の想いが周囲の協力を生み、本件を前進させる原動力となりました。オーナー様のご志向とオーイズミフーズ様の成長ビジョンが融合し、今後の更なる発展に向けた確かな一歩を共に築くことができましたことを、深く光栄に存じます。
(企業情報本部 次長 川島 史聖)

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