内部統制とは?M&A、事業承継で求められる役割と導入方法を解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&A・事業承継の際、売り手側は内部統制を構築することで買い手の評価を高められ、買い手側はM&A・事業承継後にスムーズな事業の引き継ぎを果たせます。この記事では、M&A・事業承継における内部統制の役割や導入方法などについて解説します。

目次

  1. 内部統制とは?
  2. 内部統制を導入する目的と要素
  3. M&A、事業承継で求められる内部統制の役割
  4. 内部統制の導入方法
  5. 事業承継M&Aに向けた内部統制の推進ポイント
  6. 内部統制・M&Aに関する相談先
  7. 内部統制のまとめ
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1. 内部統制とは?

内部統制とは?

内部統制とは、ずさんな管理や情報開示を行っていたり不祥事を起こしたりする企業を減らすために、社内の統制システムを整備すること、またはその方法のことです。

日本では、大企業による重大な不祥事が相次いだこともあり、内部統制の必要性が強く求められるようになりました。現在は、ずさんな管理や情報開示を行っていたり、不祥事を起こしたりする大企業に対して、内部統制の構築に関する法的責任が追及されます。

本記事では、M&Aおよび事業承継における内部統制の必要性を解説しますが、まずは内部統制の基本的な知識を見ていきましょう。

内部統制の概要

日本の内部統制報告制度(J-SOX法)は、米国の制度を参考に導入されました。米国では、エンロンやワールドコムといった大企業による多額の粉飾決算が発生したため、2002年にサーベンス・オクスリー法が生まれました。

日本では2004年に西武鉄道による有価証券報告書の虚偽記載が発覚し、その後毎年のように大企業による不祥事が発覚していきます。大企業による不祥事が相次いだことをきっかけとして、日本の内部統制報告制度(J-SOX法)が導入されました。

J-SOX法

上記の出来事をきっかけとして、内部統制報告制度(J-SOX法)は、2008年度以降の事業年度から適用されました。内部統制報告制度とは、上場企業に対して内部統制報告書の提出と外部監査の受け入れを義務化した制度で、金融商品取引法のなかで定められています。

内部統制報告制度の導入により、上場企業が外部に対して財務などに関する適正な説明責任を負うようになりました。これにより、それまでずさんだった上場企業の内部統制は急速に整備されます。

内部統制を導入する際のそれぞれの役割

内部統制を適切に導入する際は、それぞれの関係者が役割と責任を果たす必要があります。本節では、内部統制を導入する際のそれぞれの役割を見ていきましょう。

  • 経営者 
  • 取締役会 
  • 監査役・監査委員会 
  • 内部監査人 
  • その他(組織内部)

経営者

経営者には、適正な内部統制の構築責任があります。内部統制に必要なルールを作成し、体系的に整備するのは経営者の仕事です。

内部統制報告制度(J-SOX法)導入以前は、社内ルールやマニュアルをきちんと整備しない経営者や、内部監査をしっかり行わない経営者が多く見られましたが、内部統制報告制度が導入されてからは、ルールやマニュアルが整備され、内部監査が適正に行われています。

経営者は外部監査人と内部監査人などによる内部統制の有効性評価結果を受けて、内部統制報告書を提出する義務を負います。内部統制報告書を提出しなかったり内容に虚偽があったりした場合は、経営者が責任を負うでしょう。

取締役会

取締役会は経営者の言動を監視し、問題がある場合は修正する役割を果たします。

内部統制がしっかりと構築できている組織の場合は、経営者と取締役がそれぞれ自律した関係にあり、取締役会が経営者に対して問題点をきちんと指摘できる環境にあるでしょう。

内部統制が取れていない組織の場合は、取締役会よりも経営者の権力が圧倒的に強い状態で、問題点があっても十分に指摘できない問題を持ちます。

監査役・監査委員会

監査役・監査委員会は、内部監査人と協力して企業の内部統制リスクを洗い出し、適正な評価を下す役割を果たします。前述のとおり、内部統制報告制度(J-SOX法)の導入前まで、外部監査の受け入れは義務化されていませんでした。内部統制の評価を行う内部監査が機能していない上場企業も少なくありませんでした。

内部統制報告制度導入後は、外部監査人も経営者や内部監査人が行った内部統制の評価を客観的に検証するようになり、有効な評価が行われています。

内部監査人

内部監査人は主に財務報告の内容を確認します。取締役会と同じく、内部監査人は財務報告の内容に問題があれば経営者に対して率直に進言しなければなりません。

内部統制が取れていない組織の場合は、内部監査人が経営者に対して進言できない問題が発生します。経営者に対して問題点を進言できる組織作りと、内部監査人をサポートする外部監査役の存在が重要です。

その他(組織内部)

経営者・取締役会・監査人以外にも、従業員は日常業務の統制活動に深くかかわります。日常業務の統制活動は、以下です。

  • 仕入先管理
  • 発注管理
  • 検収管理
  • 支払管理
  • 在庫管理
  • 得意先管理
  • 受注管理
  • 出荷管理
  • 入金管理
  • 個人情報の取得
  • 個人情報の利用・加工
  • 個人情報の保管
  • 個人情報の管理
  • 委託先管理

従業員がこれらの管理を適正に行うことで、内部統制もしっかりと取れるでしょう。株主・投資家も内部統制に深くかかわってきます。

株主・投資家は、経営者が内部統制をきちんと行わなかった結果、損失を被ると、株主代表訴訟を提起したり情報開示請求をしたりする権利を持ちます。株主・投資家は内部統制の監視役も担うでしょう。

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内部体制とコーポレート・ガバナンスの違い

内部統制とコーポレート・ガバナンスは混同されがちですが、コーポレート・ガバナンスは内部統制のなかの一つです。コーポレート・ガバナンスとは、各ステークホルダーが経営者の行動を監視するために行うもので、前述した4つの目的と6つの基本的要素に含まれています。

コンプライアンスも内部体制やコーポレート・ガバナンスと混同されがちです。コンプライアンスも、4つの目的と6つの基本的要素のなかに含まれています。

2. 内部統制を導入する目的と要素

内部統制を導入する目的と要素

内部統制は、4つの目的と6つの基本的要素から成り立っています。4つの目標とは、内部統制によって成し遂げる目標のことで、6つの要素とは内部統制を実現するための手段のことです。本節では、内部統制に欠かせない目的と基本的要素を解説します。

【内部統制の目的】

  • 業務の有効性および効率性
  • 財務報告の信頼性
  • 事業活動にかかわる法令などの遵守
  • 資産の保全

【内部統制の基本的要素】
  • ITへの対応
  • モニタリング
  • 情報と伝達
  • 統制活動
  • リスク評価と対応
  • 統制環境

上記の目的と要素は、金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 」にも記載がある項目です。

重要なポイントなので、しっかりと把握しておきましょう。

目的

まずは、4つの内部統制における目的から見ていきましょう。

業務の有効性および効率性

業務の有効性とは、事業や業務がどの程度達成されるかをさし、業務の効率性とは、経営資源がどの程度合理的に活用されているかをいいます。

企業は事業活動を行うなかで、さまざまな業務目標の達成を目指します。そのなかでも、業務の有効性は、例えば販売促進戦略の効果や、顧客満足度など、業務の効果を高めることが目的です。

業務の効率性は、製造コストや事務コストなどを削減し、効率良く事業を進めていくことを目指します。

財務報告の信頼性

財務報告の信頼性とは、企業が従業員や取引先、株主・投資家、金融機関、規制当局などに対して、信頼できる財務情報の開示を目指すことです。

これらのステークホルダーは、企業が開示した財務報告が正しいことを前提として分析・判断を下します。財務報告に誤りがあったり虚偽記載があったりすると、ステークホルダーは判断を誤り、大きな損失を被る可能性があるでしょう。

こうした事態を防ぐため、後述する内部統制の基本的要素を適切に遂行することで、財務報告の信頼性を担保できます。

事業活動に関わる法令等の遵守

企業の法令遵守(コンプライアンス)は、近年非常に重視されるようになりました。法令遵守が重視されるようになった背景には、これまで名のある大企業が相次いで起こしてきた重大な法令違反があります。

企業が守るべきコンプライアンスは多岐に渡りますが、大きく分けると以下です。

  • 法令
  • 法令以外の基準など
  • 社内ルール

これらを遵守すれば、企業内で健全な内部統制が構築されるので、企業の存続にもかかわります。

資産の保全

資産の保全とは、資産の取得と使用、処分がきちんと行われるように資産を管理することです。近年は有形資産だけでなく、無形資産の保全が重視されます。

例えば、顧客の情報を不正な方法で取得したり、目的外のことに使用したり、顧客情報の処分方法が適切でなかったために個人情報が流出したりした場合、その企業における責任が厳しく追及されます。

こうした有形資産・無形資産のずさんな取り扱いは企業の信頼性を著しく落とし、ときには企業の存続にさえ影響をおよぼしかねません。

基本的要素

次に、6つの内部統制における基本的要素を見ていきましょう。

ITへの対応

企業経営にとってITの活用は欠かせないものとなり、内部統制の目的を達成するにはITへの適切な対応が重要です。ITへの対応には、「IT環境への対応」と「ITの利用および統制」があります。

IT環境への対応とは、内部統制の目的を達成するためにIT環境を適切に構築することです。ITの利用および統制とは、内部統制の要素を有効に機能させるためにITを利用することと、IT活用の方針や手続きを決めることをさします。

モニタリング

モニタリングとは、内部統制がしっかりと機能しているかどうかを監視し評価する仕組みのことです。

最適な内部統制は一度完成すればよいわけではなく、常に変化していくので、モニタリングを行いながら最適な内部統制に修正しなければなりません。モニタリングには、日常的モニタリングと独立的評価があります。

日常的モニタリングとは、日常的に行われる通常業務で行われるモニタリングのことです。

独立的評価とは、通常業務から独立して行われるモニタリングのことで、経営者や取締役会、監査役、内部監査人などによって行われるモニタリングをいいます。モニタリングの結果、問題点が発覚した場合は、改善を求めて責任者に報告しなければなりません。

情報と伝達

内部統制を適切に機能させるには、情報を適切なタイミングで正確に社内または外部に伝える必要があります。情報を伝達する際は、情報の信頼性をしっかりと確認し、伝えた相手が利用できる形で提供しなければなりません。

社内における情報伝達の場合は、トップが発信した情報が下の方まで正確に伝わることが重要です。下から上がってきた情報が経営陣まできちんと上がってくる仕組み作りも必要です。

外部との情報伝達は、適切な情報を適切なタイミングで外部へ発信する体制を整えると同時に、外部からの重要な情報を適切に把握・分析する仕組みを作りましょう。

統制活動

統制活動とは、経営者の指示が適切に社内へ伝わる体制を整えることです。適切に統制活動を行うには、全社共通のルールを定めた方がよい場合と、部門ごとにルールを定めた方がよい場合があります。

統制活動の内容によって、その範囲までルールを適用するのが最適かどうかを適切に判断する必要があり、経営者の指示が適切に伝わるよう人材配置を行う必要もあります。

指示系統が重複していたり、分散していたりすることで統制活動がうまくいかない場合は、職責を調整することで解決できるケースもあるでしょう。

リスク評価と対応

内部統制を構築するには、4つの目的達成に悪影響をおよぼすリスクを洗い出し、適切にリスクコントロールする必要があります。リスクの種類には、内部環境・外部環境・業務プロセスの3つがあります。

すべてのリスクを洗い出しコントロールするのは簡単ではありませんが、一般的によく起こりうるリスクを一覧で確認しながら、リスク評価と対応を行いましょう。

【リスクの対応方法】

  • 回避
  • 低減
  • 移転
  • 受容

回避とは、リスク要因を含む活動を回避することで、低減とはリスクの影響を弱めることです。移転とはリスク要因を外部へ移すことで、受容とはリスクに対する対策をせず受け入れることをさします。

これらの対応方法をうまく用いながら、リスクのコントロールを行いましょう。

統制環境

統制環境とは、企業風土や従業員の意識に影響を与えるさまざまな統制の要素をさします。

【統制環境の主な種類】

  • 経営方針
  • 経営者の価値観
  • 企業の倫理観
  • 権限の振り分け
  • 人材管理
  • 取締役会・監査役による監視

経営者が経営方針や経営態度で発信するメッセージは、統制環境に大きな影響を与えます。経営方針や企業倫理が従業員にまで浸透しているかどうかも重要です。

適切な部署に適切な権限が付与され、適切な人材配置が行われていることも、統制環境には必要です。取締役会や監査役などによる監視が機能しているかどうかも、健全な統制環境に必要といえます。

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内部統制を導入する際の課題

内部統制の整備と運用には、多くの費用と時間がかかります。最適な内部統制を構築できたからといって、トラブルが起きないとは限りません。

いくらルールをマニュアル化しても、人為的なミスを完全にはなくせません。想定外のトラブルが起きることもあります。例えば、前述したITへの対応を万全に行ったつもりでも、ハッキングによって個人情報が抜き取られてしまう事例は少なくありません。

経営者は、内部統制の整備と運用をどの分野にどの程度優先して行うかなどを、慎重に検討する必要があります。

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中小企業においても内部統制を導入すべき理由

中小企業においても内部統制を導入することは重要です。

理由としては、下記の4つがあります。

  • 企業の信頼性が向上するから
  • 経営の安定化が図れるから
  • 投資家にとっての信頼になるから
  • 事業拡大のための基盤作りができるから

安定した経営状態であれば事業拡大もスムーズに進む可能性が高く、企業としての信頼性も高まります。

その結果投資家からの信頼も得やすいため、中小企業においても内部統制は積極的に導入すべきでしょう。

3. M&A、事業承継で求められる内部統制の役割

M&A、事業承継で求められる内部統制の役割

通常業務で内部統制が必要なことは浸透してきていますが、M&A・事業承継時の内部統制はあまり意識していない企業がほとんどです。

M&A・事業承継時の内部統制は、売り手・買い手ともに重要といえます。売り手側はM&A・事業承継の際に内部統制がしっかりと構築できていれば企業価値を高められ、買い手の評価も高められます。

買い手側には、M&A・事業承継における買収リスクを判断する重要な材料です。買い手側は、M&A後に売り手企業の内部統制を再構築しなければなりません。

M&Aに成功しても、M&A後における内部統制の構築に失敗すると売り手企業内は混乱してしまい、さまざまなリスクを抱えることにもなりかねません。

M&A・事業承継の際はしっかりと内部統制の構築と運用ができているか確認し、M&A・事業承継後は内部統制を最適な状態に再構築してください。

4. 内部統制の導入方法

内部統制の導入方法

内部統制の導入は戦略的に進めていく必要があります。本章では、内部統制の導入方法について、その概要を見ていきましょう。

  1. 内部統制の整備・運用を行う
  2. 役割を分担する
  3. 効果を測定する

①内部統制の整備・運用を行う

内部統制の整備とは、ルールをマニュアル化し、社内に浸透している状態をさします。内部統制の運用とは、マニュアル化したルールを従業員が把握し、それぞれの役割を果たしている状態です。

内部統制のマニュアルを一般化するのは簡単ではありません。企業によって状況が大きく異なるからです。特に、日本企業は欧米企業に比べて、内部統制のマニュアル化が進んでいません。

内部統制の整備・運用を効果的に行うには、自社の状況を客観的かつ的確に把握し、自社に合った方法を工夫しながら作り上げなければなりません。

②役割を分担する

前述したとおり、内部統制は通常業務で日常的に行われるので、社内関係者それぞれの役割分担が重要です。経営者には全体を取り仕切る役割と責任があり、取締役会には方針の決定や経営者を監視する役割と責任があります。

監査役・監査委員会・内部監査人は内部統制のモニタリング機能を果たし、ほかの従業員はそれぞれの担当業務に応じ、さまざまな役割と責任を担います。これらの役割分担が適切に機能することで、内部統制の導入は成功したといえるでしょう。

③効果を測定する

内部統制は導入が完了すれば、終わりではありません。必要となる内部統制は状況に応じて日々変わっていきます。内部統制の効果を定期的に測定し、問題が出てきた点は新たな形に修正するなどの対応が必要です。

徹底的に行うと多くの費用と時間がかかるため、どこまで行うかのバランスはよく検討する必要があります。

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5. 事業承継M&Aに向けた内部統制の推進ポイント

事業承継M&Aに向けた内部統制の推進ポイント

この章では、事業承継M&Aに向けた内部統制の推進ポイントを見ていきましょう。

社長自身の内部統制の推進

M&Aにより事業承継を進める際は、会社に仕組みがあるかが重要です。企業を経営する仕組みがなければ、属人性の高い組織となり企業としての価値が下がるでしょう。

事業承継では、仕組みができていないのに譲渡を計画しても、後継者がうまく事業を引き継いで経営できないと判断し、買い手が見つかりません。こうした状態では、会社の価値を低く見られ、譲渡時の株価にも影響するので、内部統制の有無はM&A事態の成果を左右するといえます。

ワンマン社長やオーナー社長が、強いリーダーシップで社内を率いてうまくいっている場合でも、二代目からは強いリーダーシップがあるとは限りません。仕組みを作り、内部統制を推進する必要があります。

社外人材の参画と従業員の意識づけ

家族経営の場合は、事業承継へ動く前に、会社の信頼性を高めるために内部統制を始めることをおすすめします。社外取締役を設けて、弁護士など社外の人材を経営に参画させることで内部統制を実施すれば、会社の信頼性や透明性が高まるでしょう。

M&Aなどで事業承継を検討している場合は、カリスマ性の高い経営者でも、承継者へカリスマ性を求められません。次世代のためにも仕組み作りをすることが、会社を持続するために必要です。

内部統制計画書を作り、役割分担を行いながら、リーダーが全社へ仕組み作りをする重要性を示してください。時間をかけて計画を進行し、役割分担を明らかにして、複数社員での業務分担が生じた時点でマニュアル作成を進めましょう。

仕事を分担すると自分の存在価値がなくなると考え、抵抗を示す従業員がいるかもしれません。旧来の価値観を持つ場合、自分だけができる仕事がある方が価値のある人材と考えがちですが、人材の流動化が進んだ現在、属人化はリスクが大きいです。

ベテランの従業員が多ければ、多くのベテランが引退した後を考慮して、仕事の分担の重要性について時間をかけて説明しましょう。

人材の定着にも配慮

内部統制の推進は、人材の定着にも貢献します。

企業を支えているのは従業員です。将来、人口減少に伴って、特に若手社員を確保するのが難しくなるでしょう。若手社員に、「見て覚える」といった仕事の教え方は通用しないため、マニュアルを作成して、読めばすぐに仕事ができる組織体制を築く必要があります。

創業者や経営陣は、会社や事業へ強い思い入れがあり、主体的に仕事を覚えて自発的に質問するのが当然と考えますが、一般社員で熱意を持って仕事に取り組む人材は少ないでしょう。ほとんどの社員は、会社で指導し、マニュアルなどに沿って業務を進めることで仕事への自信ができ、仕事や会社への愛着が生まれます。

人材が定着する会社ほど内部統制に従って入社してから一人前になるまでの効果的な育成計画を立て、人材マネジメントを実施しています。

6. 内部統制・M&Aに関する相談先

内部統制・M&Aに関する相談先

内部統制の構築には適切な戦略が必要で、そのためには専門家の力が求められます。特にM&Aの場合は、M&Aの専門家によるサポートが望ましいでしょう。

内部統制・M&Aに関する相談先をお探しの際は、ぜひM&A総合研究所へお任せください。M&A総合研究所では、知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが親身になって案件をフルサポートします。

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7. 内部統制のまとめ

内部統制のまとめ

本記事では、M&A・事業承継における内部統制の役割や導入方法などについて解説しました。

内部統制とは、ずさんな管理や情報開示を行っていたり、不祥事を起こしたりする企業を減らすために、社内の統制システムを整備すること、またはその方法のことをさします。

内部統制は4つの目的と6つの基本的要素から成り立っています。内務統制を導入する際は、それらをしっかり把握したうえで戦略的に進めることが重要です。

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