譲受企業
投資業 S社インタビュー
─豊洲市場での新たな挑戦
M&Aを通じた成長戦略と未来への展望
ーまずは御社についてご紹介いただきたいと思います。事業内容と強みについて教えてください。
当社は、日本の優れた事業を継承し、発展させることを目的に投資事業を展開しています。シンガポールでのスタートアップ経営を経て、ライフワークとして関心のあるビジネスへ投資する形を取っています。特に水産業に興味があり、新規参入が難しい豊洲市場へM&Aを通じて進出しました。仲卸業は競争が激しく、既存企業との連携が重要です。事業の持続的な成長を目指し、豊洲市場という環境を最大限に活用したいと考えています。
ーM&Aを検討されたきっかけを教えてください。
日本の伝統的な産業を維持しながら成長させることを目的に、数年前からM&Aを検討していました。特に水産業は、新規参入が難しく、流通ネットワークを活用するためにはM&Aが最適な手段と考えました。仲卸業のM&Aがどの程度可能なのかも分からない状態でしたが、事業承継が必要な企業があると知り、具体的な検討を開始しました。豊洲市場という競争環境の中で、事業を維持・拡大することが重要だと判断しました。

ー水産卸業T社様を譲り受けることを決めた理由を教えてください。
当初は他の市場の仲卸業も検討していましたが、豊洲市場の影響力と事業環境の魅力を考慮し、最終的にT社に決めました。豊洲市場での事業は、単なる仲卸業にとどまらず、業界全体への影響力を持ちます。また、社長は職人肌の経営者かと思っていましたが、実際には数字にこだわる戦略的な方であり、経営の安定性が見込めると判断しました。市場環境と経営ビジョンが一致したことが、M&Aを進める決断の決め手となりました。
ーM&A成立後の期待と今後のビジョンについて教えてください。
今回のM&Aを機に、水産業のバリューチェーンを広げていきたいと考えています。豊洲市場は競争が激しく、今後もM&Aの機会があれば積極的に動いていく予定です。物流や加工業などの関連事業にも注力し、水産業の持続的な成長を支えていきたいと考えています。日本の水産物は世界的に評価が高いですが、流通構造には改善の余地があります。市場の成長を促し、より強固なビジネスモデルを築くことを目指します。
ー今後のM&A戦略について教えてください。
当社は投資ファンドではありませんが、事業拡大の手段としてM&Aを継続していきます。特に水産業に関連する事業領域でのM&Aを積極的に検討する方針です。水産業は上流(漁業)から下流(小売・飲食)まで広範囲にわたるため、バリューチェーンを強化しながら産業全体の成長に貢献していきたいと考えています。市場の環境が整い、新たな機会が生まれれば、さらなるM&Aを活用して事業を拡大し、日本の水産業をより強固なものにしていくことを目指します。
ーM&Aを検討している経営者様へのアドバイスをお願いします。
M&Aは単なる取引ではなく、経営者同士の信頼関係が重要です。「この人になら任せられる」と思えるかどうかが、成功の鍵を握ります。実際に会って話すことで、より良い選択肢が見えてくることがあります。M&Aを検討する際には、事業の価値を見極めるとともに、相手の経営理念や人柄を重視することをお勧めします。選択肢を狭めず、対話を重ねながら判断することが、長期的な成功につながります。
ーM&A総合研究所のサポートについての感想をお聞かせください。
担当アドバイザーの内さんのサポートは非常に大きな役割を果たしました。交渉中に一時は譲り受けを見送る可能性もありましたが、「もう一度面談したい」との希望をすぐに調整していただき、最終的にM&Aを成功させることができました。この迅速な対応がなければ、今回のM&Aは実現しなかったかもしれません。本当に感謝しています。
担当者からのコメント

譲渡企業様は、業績は好調で順調に成長を遂げられておられましたが、将来への不安や、自社の更なる発展によって従業員様の待遇を向上させたいとの素晴らしい想いから、譲渡を検討されておりました。一方、譲受企業様は、元々水産業界に関心を持たれていたことに加え、日本の優れた事業を継承・発展させることを目的に譲受を検討されておりました。本件は、両社様の経営ビジョンが一致し、お互いの人柄を尊重し合える関係を築けたことにより成立したと思っております。私も、このご縁をサポートさせていただいたことを大変光栄に思っております。本件を通じて、両社様が更なる発展を遂げ、より良い未来を築かれることを心より願っております。
(企業情報第一本部第三部 次長 内 孔明)