成約インタビューM&A事例

小売業のM&A事例【群馬】

「出口」を持つ戦略的事業承継
老舗スーパーの未来を託すM&A

  • 譲渡企業

    有限会社小松屋

    代表取締役会長

    今井 幸吉 様

    業種
    小売業
    地域
    群馬県
    売上
    6.5億円
    社長の年齢
    65歳
    譲渡理由
    後継者不在
  • 譲受企業

    LH株式会社

    代表取締役社長

    林 昭信 様

    業種
    飲食・イベント業
    地域
    東京都
    売上
    19.1億円
    上場有無
    未上場
    譲受目的
    消費者に商品を届ける“出口戦略”、地方創生

群馬県沼田市で半世紀以上にわたり地域に根ざした営業を続けてきたスーパーマーケット「こまつや」。
その「こまつや」が、関東を中心にBBQ場や飲食事業を展開するLH株式会社に譲渡を決断しました。地元に根ざした老舗企業と都市発のベンチャー企業がなぜ手を結んだのか、その背景と未来図を、今井会長と林代表に伺いました。

【譲渡企業】有限会社小松屋
本社:群馬県
事業内容:スーパーマーケット「こまつや」を運営している。

【譲受企業】LH株式会社
本社:東京都
事業内容:バーベキュー場や飲食店、サロンの運営を手掛けている。また関東圏を中心に、BBQ場の運営・生鮮品を使った食に関するイベント等の開催をしている。

食の未来をつくるための”出口戦略”
小松屋とLHが描く、地域スーパーの再定義

■インタビュー
譲渡企業:有限会社小松屋 前代表取締役社長(現・会長) 今井 幸吉 氏
譲受企業:LH株式会社 代表取締役社長 林 昭信 氏

「青果卸」から始まった、家族で紡いだ商いの歴史

「母方の家業だった青果卸から始まり、父が引き継ぎ、東京の市場から仕入れて販売を始めたのが、こまつやのはじまりです」。

22歳で家業に戻った今井会長は、弟2人と共に三兄弟で経営を支え、小売と業務用卸を融合させた独自のスタイルを築いてきた。

「生鮮品の量・質には特にこだわり、業務用にも対応できる体制が強みでした」。

次の世代を見据えた決断

「親族承継も検討しておりましたが、借入保証の切り替えや、沼田市での自社だけでの継続的な経営を考えると不安がありました。」

「このままでは従業員に迷惑をかけてしまう」と今井会長は振り返る。

「正直、良い相手が見つからなければ2~3年以内に廃業も覚悟していました。でも、従業員が若いうちに新しい環境で活躍できる道を探してあげたかったんです」と語る。

従業員が安心できる環境を第一に

譲渡先としてLHを選んだ理由は、まず「従業員の雇用を継続して守ってくれる」ことが大きかったという。

「それが一番ありがたかったですね。さらに、実際にお会いしてみて、とても安心できる方々だと感じました。
LHさんの社風も明るくて、従業員も前向きにやっていけると思えたんです」。

“出口”を持つことが戦略を完成させる

一方、LH林代表にとってもこまつやは理想的な譲り受け先だった。


「これまでBBQ用精肉や牡蠣の水産加工といった“入口”の強化を進めてきました。こまつやさんのように、消費者に商品を届ける“出口”を持つことで、供給から販売までを一貫して行える体制が整うのです」。

実際に店舗を視察した際の印象も良かった。
「現場は、掃除や整頓が行き届いていて、やるべきことがしっかりできていた。これは間違いなく伸ばせると思いました」。

両社の広がる供給の可能性

「LHさんはBBQ場の運営をされていて、精肉や野菜などを日常的に扱っている会社です。今回のM&Aを機に、まずはそのカット野菜などをうちの店舗から納品する形で連携が始まりました」と今井会長は話す。

業務用に対応できる体制を備えているのが、こまつやの大きな強みだ。
さらに、「牡蠣もLHさんの得意分野で、群馬県という海なし県において人気が高い。今後はそうした商品も徐々に展開していけたらと思っています」と、両社間で商品供給を図ることによる、将来的な広がりにも期待を寄せた。

“地方創生”を事業として成立させる視点

林代表は、地方でのM&Aにこそ強い社会的意義があると考えている。

「当社は都心のベンチャーですが、地方の老舗企業には、私たちにない“地域との信頼関係”という無形資産があります。そこに新しい視点と仕組みを融合させて、地方を活性化させる。これは、単なる事業承継ではなく“地方創生そのもの”だと考えています」。

M&Aを考える経営者様へのメッセージ

今井会長は、「実際に事業について悩んでいる方は多いと思います。私もそうでした」と語る。

「M&Aのプロセスの中でも、特にDD(デューデリジェンス)対応時の書類提出は本当に大変でした」。
それでも、「改めて見直すなかで、書類整理や未処理だったものに気づけるきっかけにもなりました。」と前向きに振り返った。

林代表からは、譲り受け企業としての姿勢について語られた。
M&Aは“継いでよかった”と思っていただけるかがすべて。バイアウト目的の会社は検討対象外ですし、交渉の段階から誠実に向き合う覚悟が大切です」。

※デューデリジェンス:投資対象の価値やリスクを調査する活動

アドバイザーの支えが信頼を生んだ

今回のM&Aを支えたのは、M&A総合研究所のアドバイザー・大谷真生。

最終調整中には言いずらいこともあった中、両社の目線に立って交渉を進めてくれ、信頼に繋がりました。またどのような場面も誠実に向き合っている姿が伝わってきました」。と林代表。

こまつやの今井会長と大谷は、かれこれ3年の関係だという。
アドバイザー・大谷も、「移動の時間も含めて、今井会長とは本当にいろんな話をしてきました。最初のご縁から3年、ようやく無事にお引き渡しができて感慨深いです」と語る。

“人の想い”を引き継ぎ、地域の未来を切り拓く─
地方スーパーの可能性を広げ、地域に新しい循環を生み出す一歩となった。

担当者からのコメント

大谷 真生
オーナー様は三兄弟で経営をされており、ご高齢且つ、後継者もご不在の状況でした。 当初は親族内承継も検討されておりましたが、複数の要因から難易度が高く、 M&Aが成立しない場合は、廃業しか選択肢がないとのご相談も受けておりました。 一方で、地元で長年に亘り地域の方々に愛されてきたスーパーということもあり、 「地域の人のために、ここで働いてくれる従業員のために」なんとしてもこの会社を残してあげたい、 という人を大切にする今井様の熱い想いも日々の面談の中でお聞きしておりました。 譲受企業様は、人を大切にするオーナー様の企業文化をよくご理解いただき、 譲受後もその企業文化を踏襲し、さらに明るく楽しいグループ企業へと進化させてくれると感じました。 今回のご成約により、長年の歴史のある会社の未来を作るお手伝いができたこと、心より嬉しく思います。
(企業情報本部 部長 大谷 真生)

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