■インタビュー
譲渡企業:株式会社A社 代表取締役 E.K. 氏
譲受企業:株式会社カルシウム ディレクター 中島 広典 氏
“1日1組でも続けてほしい”──母の想いが背中を押した
A社を創業したのは、E.K.氏の母だった。
「もともとは映画業界にいた父を経済的に支えるために、母が店を始めたんです」。
保健所や役所の協力を得て、ようやく開業にこぎつけた店は、「1日1組だけでも続けてほしい」と周囲から背中を押されながら、静かに育ってきた。
だが、長年続いた店舗も、親族間で共有している不動産問題を抱えており、母の言葉をきっかけに第三者への事業承継を検討するようになった。
「不動産会社のイメージが変わった」──カルシウムとの出会い

「最初は正直、不動産会社ということで身構えていた部分もありました」。
だが、実際に中島氏と対面したA社代表は、印象が一変したという。
「とても丁寧で、誠実な方でした。“ここまで自分たちのことを理解してくれるのか”と驚きました。あの時の印象が、最終的な決断の大きな要因になりました」。
カルシウムの中島氏も、譲り受けを決めた背景をこう語る。
「共有状態の不動産を適切に管理し、価値を維持・発展させる方法を模索する中で、本件が最適なかたちになると確信しました」。
“空間と文化”を未来に活かす
カルシウムにとって今回のM&Aは、単なる不動産取得ではない。
「今後、宿泊施設や体験型施設など、空間の持つ価値を最大限に引き出すプロジェクトを想定しています。歴史あるお店を、さらに魅力的な空間として活用できればと思っています」。
これまでに4件のM&Aを経験してきたカルシウムにとっても、本件は“文化”という新たな視点が加わる事例となった。
“M&Aをしなければ何も変わらない”という覚悟
今回のM&Aを決断するにあたり、A社代表は何度も葛藤を繰り返した。
「M&Aに踏み切ることで、今までのスタイルが変わってしまうのではないかという不安は正直ありました。でも、動かなければ現状のまま。何かを変えたいなら、自分が動かなければと思ったんです」。
相談相手は必要だが、最終的に決めるのは“自分”。
そう語るE.K.氏の言葉には、深い覚悟が滲んでいた。
“本質を見抜く”M&Aアドバイザーの存在
両者をつないだのは、M&A総合研究所のアドバイザー・鞠子。
「案件の本質をしっかりと見極め、丁寧に導いてくれた」。
中島氏は、そう振り返る。
A社代表も、「常にこちらの立場に立ち、無理のない距離感で寄り添ってくれました」と語る。
“地に足をつける”姿勢が未来をひらく
最後に、中島氏はこうアドバイスを寄せる。
「譲り受け企業にとっても、M&Aは“人の想い”を受け取ること。問題解決の意志と、丁寧に歩む姿勢が何より大切です」。
一方のA社代表は、「費用などに躊躇する場面もあるかもしれませんが、信頼できる人に出会えれば、その価値は十分にあると思います」と後押しした。
“場所”と“想い”の両方を受け継ぐ──
文化と空間の承継という新たなかたちを私たちに提示してくれる。
担当者からのコメント

オーナー様はご高齢且つご体調も芳しくなく、後継者不在のため、事業の廃業を検討されていました。好立地の不動産を保有していたため、手残りが多くなる不動産M&Aを提案しました。保有不動産では親族間トラブルを抱えており、譲渡を急いでいたため、スピード感のある支援が必要でした。
譲受企業様には状況を初期段階からよくご理解頂き、ご決断もスピーディーに行って頂いた為、受託から成約まで2カ月弱で進めることが出来ました。 また譲受企業様には歴史ある建物を有効活用してほしいというオーナー様の気持ちも汲んでいただき、不動産をバリューアップの上、有効活用を頂けると話を聞いております。
今回のご成約により、売り手様の歴史、想いをカルシウム様に繋いで頂けたことを嬉しく思います。
今後も、M&Aを通じてお客様の発展に貢献できるよう、精一杯努めてまいります。
(企業情報本部 副部長 鞠子 功太郎)