譲渡企業
株式会社アンドフィーカ
代表取締役 今泉 幸子 様 インタビュー
北欧と日本の「架け橋」でありたい
―まずは、御社の創業の経緯と事業内容について教えてください。
もともとはスウェーデンのライセンス会社の日本子会社としてスタートしたのが始まりです。当時は「ハローキティ」などが欧州でブームになっていた時期で、日本のキャラクターをスウェーデンへ、逆にスウェーデンのIP(知的財産)を日本へ紹介する事業を行っていました。しかし、親会社の撤退が決まり、私は「2年も経たずに会社を畳むなんて無責任なことはできない」という一心で、2012年に会社を引き継ぎました。
私が大切にしてきたのは、単なるライセンスビジネスの枠を超え、「北欧と日本をつなぐ」という意識です。北欧には、新人でも良いアイデアがあれば任せてもらえるフラットなカルチャーがあります。その文化に魅了され、北欧との深いつながりと信頼関係を強みに事業を展開してきました。
次世代へバトンをつなぐための決断
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
年齢的なこともあり、一人で好きなことを続けていても、それが次につながらないという限界を感じていました。自分の代だけで終わらせるのではなく、これまで培ってきた北欧との関係や事業を、次の世代へしっかりと伝えていきたいと考えたのがきっかけです。また、私は北欧流のフラットな関係性を大切にしてきたので、M&Aをするにしても、権威的な上下関係ではなく、感覚的に合い、人間的に惹かれるお相手と出会いたいと強く願っていました。
背中を押した「元気なうちに働きなさい」という言葉
―最終的に株式会社エクスプラス様への譲渡をご決断されましたが、その理由を教えてください。
決め手は、やはりトップ面談で感じた人柄と空気感です。最初はトップ面談に緊張していたのですが、エクスプラスの大橋会長から「元気なうちは働かなきゃだめだよ」という言葉をいただき、ハッとさせられました。「これは引退するためのM&Aではなく、さらに前に進むためのものなんだ」と、大きな元気をいただいたのです。また、実際にエクスプラス様の3つのオフィスを見学させていただいた際、社員の皆様が熱心にものづくりに励み、のびのびと働いている姿を拝見しました。ビジネスのシナジーといった理屈以前に、その楽しそうな空気感に直感的に惹かれたことが、何よりの決断理由でした。
M&Aで広がる世界展開と新領域への挑戦

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
これまで、北欧側からのオファーがあった際も、私一人では知識や経験が十分ではなく、日本以外での展開は断念してきました。エクスプラス様と連携することで、こうした世界展開の可能性が現実的なものになると期待しています。「やったことがないなら、やってみればいい」というエクスプラス様のチャレンジ精神に共感しており、これまでにない新しいことにも挑戦していきたいですね。
自分の「思い」に妥協しない相手探しを
―M&Aを検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
まずはポジティブに相手を探してみることが大事だと思います。そして、金額などの条件だけでなく、自分の「思い」を妥協しないことです。自分の大切にしてきた思いが途絶えてしまっては意味がありません。「誰でもいい」ではなく、一生後悔しない、心から共感できるお相手を見つけることが大切だと感じています。
譲受企業
株式会社エクスプラス 代表取締役会長兼CEO
大橋 孝夫 様 インタビュー
「成功」よりも「役に立つか」を軸に
―まず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。
私はもともと繊維の専門商社に20年近く勤務していましたが、自分のビジョンを達成するために独立しました。当社の理念において最も大切にしているのは、「成功するかどうか」ではなく「世界の役に立つかどうか」です。役に立つ限りは終わりなく事業を続けたいと考えています。そのため、時代に合わせてアパレルから雑貨、そして現在はソフトウェアやライセンス事業へと、変化を恐れずに事業領域を広げてきました。
決め手は「人柄」と「理念」の一致
―M&Aを検討されたきっかけと、最終的にアンドフィーカ様を譲り受けされた理由を教えてください。
M&Aのお話は多くいただきますが、今回の決め手は間違いなく今泉さんの「人柄」です。ライセンス事業というベースはもちろんですが、それ以上に、長年の経験の中で築き上げられた信用と、北欧での独自の人脈に大きな魅力を感じました。私たちもフィンランドなどでのビジネスを模索しており、今泉さんと一緒なら、ライセンスに限らず新たな人脈づくりや事業展開ができると確信しました。トップ面談でお会いして、「この人だ」と直感しましたね。
実行力とスピードで新たな価値を
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
M&Aで重要なのは、一緒になった後に「いかに実行するか」です。当社は「誠実」即ち「約束を守る」ことを大切にしていますが、そのためには実行力が不可欠です。今泉さんの知見をお借りしながら、まずはお互いに信頼して事業を次々と実行していきたいと考えています。また、当社は「スピード」も重視しています。失敗を恐れずに決断し、どんどん前に進めていくことで、生産性を高め、グループ全体を成長させていきたいと考えています。
相性と文化統合がM&Aを成功へ導く秘訣
―M&Aをご検討されている経営者様にメッセージをお願いいたします。
一番大切なのは、お互いに「気が合う」ことです。シナジー効果も重要ですが、一緒にやっていて疲れてしまっては意味がありません。気が合い、同じ方向を向ける仲間を作れるかどうかが成功の鍵です。そのためトップ面談は非常に重要ですし、M&A後も全社総会を月に1回実施するなどの企業文化の統合も大事にしています。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
譲渡企業回答:当初は「当社のような小さな会社を扱ってくれるのか」と不安もありましたが、私の本音を含めて全てを受け止め、非常に丁寧にアドバイスをくださいました。その誠実な対応に心から感謝しています。
譲受企業回答:非常にスピード感を持って進めていただきました。私たちのポリシーである迅速な判断をサポートしていただき、感謝しています。
北欧の風土や文化を愛し、誠実なビジネスを続けてきたアンドフィーカと、変化を恐れず「世界に役立つ」ことを追求するエクスプラス。両社を結びつけたのは、互いの実績へのリスペクトと、トップ同士の人間的な共鳴でした。北欧と日本、そして世界へ。両社の強みが掛け合わさることで、新たな文化と価値が創造されていくことでしょう。
担当者からのコメント
譲渡企業様は東京都目黒区でブランドライセンス業を運営されています。北欧デザインに特化した国内唯一のライセンス会社として独自のポジショニングを確立され、日本を代表する様々な企業様と豊富な取引実績をお持ちです。最良のパートナーを慎重に検討された結果、成約まで約2年という月日は要しましたが、最終的に心からご納得できる企業様とのご縁をつなげたことは、アドバイザーとして大きな喜びです。TOP面談後の打ち合わせでは、事業シナジーのみならず「社会に対してどのような貢献ができるか」を建設的に議論されていたのが特に印象的でした。今後は両社が一丸となり、既存事業に加えて新規事業にも積極的にチャレンジされるとのことで、更なる発展を心より確信しております。
(企業情報本部 副部長/経営企画部 藤井 雅浩)
