譲渡企業
不動産管理業J社
代表取締役 S.Y.様 インタビュー
収益不動産の資産管理会社
―まず、御社の創業の経緯について教えてください。
約10年前に、収益ビルを購入する際に設立したことが始まりです。当時は入居率が半分ほどでしたが、妻が内装デザインを手掛けることで物件の価値を高め、半年ほどで満室にすることができました。これが事業の成功につながったと思います。
入居率100%を維持した内装の強み
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
事業内容は、資産運用会社として不動産を管理・運用しています。当社の強みは、内装に徹底的にこだわったことです。妻がデザイナーとして、カラーコーディネートやブリザーブドフラワー、アクアリウムなども取り入れ、独自の空間を創り出すことで、入居者様に喜んでいただけました。その結果、入居者が次の入居者を呼んでくれるようになり、コロナ禍でも家賃を値下げすることなく、満室を維持し続けることができました。
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
不動産管理事業で安定した収益を得られるようになった後、集金できるシステムを構築し、太陽光発電への投資を始めました。当初は10件を目指していましたが、最終的には個人所有を含めて5件の太陽光発電所を設置しました。これも事業拡大の一環です。
“いい状態”のまま事業を売却したい

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
特殊なビル運営だったので、東京の会社に勤めていた息子に引き継がせるのは難しいと感じていました。また、性格的に空室が出るのが嫌で、常にプレッシャーを感じていたことも大きいです。満室という一番良い状態のうちに売却することで、精神的な負担を減らしたいと考えたのが一番のきっかけです。
―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
最優先したのは金額でした。過去に2社とM&Aの話を進めたことがあったのですが、理想と現実のギャップを感じていました。今回、M&A総合研究所の莊さんから具体的な着地点を提示いただいた上で話をスタートできたことが、希望に沿う結果につながったと感じています。
書類とは異なる相手の印象が決め手
―最終的にK社様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
最初はとても緊張していましたが、実際に社長にお会いすると、書類で感じた印象とは全く違い、人間味のある方で頭の回転も速く、安心できました。最終的には、提示された金額と人柄が決め手となりました。
新たな資産運用会社で悠々自適な生活を
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
今回のM&Aによって得た収益を元に、新たな資産管理会社を立ち上げる予定です。M&Aで得た利益は、働かずとも年金のように生活できるための不労所得と位置付けており、今後はWeb3や暗号資産にも興味があるので、そうした分野への投資も検討しています。また、個人で所有する太陽光発電所などからも収益を得ながら、悠々自適な生活を送りたいと考えています。
理想を追求しすぎず現実を見極める
―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
私は約2年間M&Aを検討しましたが、最初の1年で理想を追求しすぎたため、現実とのギャップに苦労しました。一番良い数字と一番悪い数字を把握し、その間の着地点を目指すのが重要だと感じています。また、担当アドバイザーとの相性も大切です。心揺れ動くときに、様々な角度から提案してくれるアドバイザーがいるかどうかで結果は大きく変わると思います。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由を教えてください。
アドバイザーの荘さんに出会えたことが全てです。2度お断りしたにもかかわらず、粘り強く提案してくれ、最終的に納得できる内容にまとめてくれたことが決め手でした。
満室を維持するというプレッシャーと闘いながら、M&Aという決断に至ったY氏。そして、事業拡大を目的として優良物件を探していたK社。理想の金額を追求するY氏の想いと、K社の戦略が見事に合致した結果、今回のM&Aが実現した。書類とは異なる温かい人柄に触れ、安心して事業を託すことができた今、M&Aをセカンドキャリアの構築と捉え、新たな人生を歩み始めている。
担当者からのコメント

当初のご相談では、M&Aだけでなく「不動産のみを売却する」あるいは「会社を清算する」という選択肢もご検討されていました。
しかし不動産のみの売却では、資産移転や税務処理の煩雑さが残ることや、清算では長年積み重ねてきた法人としての価値を十分に活かせないという懸念がありました。
その中で、「良い状態のまま次に繋ぎたい」というオーナー様の想いのもと、最終的に株式譲渡によるM&Aを選択されたことで、会社という『器』をそのまま承継でき、手続き面や税務面での効率化と、手残り金額の最大化の両立が実現しました。
資産管理会社においては、特に株式譲渡がスムーズかつ合理的な出口戦略となり得ますが、オーナー様の一世一代ともいえる大切なご決断の瞬間にご一緒できたことを、担当者として心から嬉しく思っております。
(企業情報第一本部第三部 マネージャー 莊 友博)