譲渡企業
株式会社浅間鋼機
前代表取締役 小林 正人 様 インタビュー
父の急逝で事業を承継
ーまず、御社の創業の経緯、事業内容と強みについて教えてください。
もともとは父が経営していましたが、病気で急逝したため私が事業を引き継ぐことになりました。創業は昭和55年で、主に建築金物の製造を行っています。手すりや門扉、ドアなどを手がけており、特に軽井沢の別荘向けの案件が全体の6割を占めています。当社の強みは、設計事務所からの要望に柔軟に対応できる技術力です。指名依頼も増え、着実に販路を拡大してきました。
ーどのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
父の代では公共事業が中心でしたが、私が社長になってからは「中間層が減り、富裕層が増える」という時代の変化を感じ、別荘案件の割合を増やしていきました。今では公共事業は全体の1割程度になっています。経営の舵を切ることで、会社の成長を促すことができたと思っています。
経営課題とM&Aという選択肢
ー譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
正直、2025年の1月頃までは9割方「M&Aはやらない」と思っていました。息子が4人いるため、将来的に誰かが継ぐかもしれないという気持ちもありましたが、経営者の知人の息子さんが事業を継いだものの途中で辞めてしまった例を見て、息子に責任を負わせるのは危ういと感じるようになりました。そんな時、M&Aを経験して業績を伸ばしている友人の話も聞き、決断に至りました。
従業員の待遇維持が第一条件
ーご検討を進められる上で、ご希望や大事にされた条件を教えてください。
一番強く希望したのは、従業員の待遇が変わってしまうことだけは避けてほしいということです。また、M&Aの話を進める上で、お相手が安心できる会社であるかどうかも非常に重要な点でした。従業員の中には育児休暇で会社を離れている者もいましたが、そういった人も含め、誰も切り離さずに雇用を継続してほしいとお願いしました。
ー最終的に株式会社シマキュウホールディングス様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
初めてお会いした時は、緊張しすぎて正直あまり覚えていません...。ただ、近隣の会社をM&Aで統合している様子を以前から見ていて、「ここなら問題なさそうだ」と直感的に感じたことが大きかったです。また、非常に安定した会社であること、こちらの意思を尊重してくれることに安心感がありました。
経営の安定と将来への期待

ー今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
当社は受託製造のため、受注量に波があることが課題でした。今後はグループ会社からの継続的な仕事を受注することで、この波を減らし、経営の安定化を図っていきたいと考えています。また、私個人としては、これまで一人で抱え込んできた経営の悩みを相談できる相手ができたことも、とても心強いです。
経営者は体力があるうちにM&Aを
ーM&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
私自身、50代前半でM&Aはまだ早いと考えていましたが、今振り返るとちょうど良いタイミングだったと思います。M&Aには体力やエネルギーが必要ですし、完了後も会社の体制が変わるため、それに対応するためのエネルギーも必要です。もしM&Aを検討されているなら、切羽詰まってからではなく、体力がある50代のうちに始めるのが良いとアドバイスしたいです。
譲受企業
株式会社シマキュウホールディングス
代表取締役 島田 隆昭 様 インタビュー
創業90年を迎える産業資材の総合商社
ーまず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。
当社は来年で創業90年を迎える産業資材の総合商社です。本社は新潟県長岡市にあり、祖父が機械工具の販売から始め、父の代で産業用ガス事業に拡大しました。私が4代目の社長になってからは、北関東に進出するため、10年ほど前からM&Aを積極的に活用してきました。これまでに約15社をM&Aし、現在はその管理体制を整えるためにホールディングス体制を構築しています。
救済型M&Aから成長戦略へ
ーM&Aを検討されたきっかけを教えてください。
M&Aという言葉が一般的になる前から、経営難に陥った同業者を救済する形で吸収合併を行っていました。しかし、同業者だけでは大きな成長は望めないと感じ、クロスセル(既存顧客に別の商品を販売すること)による事業拡大を考えるようになりました。そこで、商品戦略と地域戦略の2つの軸でM&Aを行うことにしたのです。
「真面目さ」と「誠実さ」に惹かれて
ー最終的に株式会社浅間鋼機様を譲り受けされましたが、印象や譲り受けを決められた理由を教えてください。
小林社長は一言で言うと、「とにかく真面目」です。これまでのM&Aで出会った経営者には、駆け引きをする方が多かったのですが、小林社長はご自身の弱い部分をはっきりと話してくださり、非常に誠実な印象を受けました。そのおかげで、私たちも提案がしやすく、話がスムーズに進みました。また、製造業のM&Aは初めてでしたが、グループ内で鋼材から加工、販売まで一貫して手掛けることで、コスト削減や競争力強化を図れることに魅力を感じました。

ー今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
当社グループでは、単一商品だけの販売が難しくなり、ユニット化や加工を含めた付加価値の提供が求められています。これまでは外注に頼っていた加工を、浅間鋼機さんにお願いすることで、グループ内で完結させることができ、コスト削減につながると期待しています。また、浅間鋼機さんにとっても、グループ会社からの継続的な仕事が入ることで、経営の安定化につながると思っています。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
浅間鋼機 小林様: M&Aを成功させるには、譲渡企業と譲受企業の双方にメリットがなければ成り立ちません。契約に至る前に、お互いのメリットを十分に確認することが重要です。
シマキュウホールディングス島田様: M&A後、そこで働く従業員が「このM&Aをやってよかった」と思えるようなビジョンを示すことが大切です。特に、従業員は給与や転勤など、自分の待遇がどうなるかを一番心配しています。その不安を事前に解消し、明確なビジョンを提示してあげるべきです。
担当者からのコメント
当初、オーナー様から、「まだ若く、現役として続けていける状況ではあるが、将来の懸念を払拭したい」という切実な思いのご相談をいただきました。そうした中でオーナー様が強く望まれたのは、M&Aというプロセスへの不安を乗り越え、「従業員全員が心から納得し、未来に希望を持てる承継」を実現することでした。
譲受企業様とのTOP面談は、この不安を払拭する決定的な転機となりました。譲受企業様は、自社の明確な事業計画をご提示いただくとともに、オーナー様や従業員様への深い配慮と誠実なお人柄を示され、この姿勢がオーナー様の理念と強く共鳴し、信頼関係が構築されたようにお見受けします。その後のプロセスにおいても、買収監査はスピーディかつ要点を絞って実施されるなど、オーナー様にかかる精神的なご負担やM&A特有のストレスを最小限に抑えることができました。今後は、グループ各社様との連携を強化することで、シナジー効果を最大限に発揮し、地域社会にさらに必要とされる企業へと発展されることと確信しております。今回のご成約により、両社の事業発展と従業員様一人ひとりの安定した未来を繋ぐ架け橋となれたこと、担当としてこの上ない喜びと誇りを感じております。
(企業情報本部 シニアマネージャー 中島 良太)
