譲渡企業
株式会社アスノア
代表 須野 裕様インタビュー
広告業から化粧品企画へ。現場の声からヒットを生む
―まず、御社の創業の経緯について教えてください。
もともとは広告関連の事業で起業しましたが、その後、広告と親和性の高い健康食品やサプリメントの販売に着手しました。その流れの中で、自社で化粧品の企画を始めたのが現在の事業の原点です。
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
主に化粧品の企画を行い、製造はOEM先に委託するスタイルです。強みは小売店様との圧倒的な関係値にあります。現場のバイヤーの方々と密にコミュニケーションを取り、マーケットが今何を求めているかを徹底的に吸い上げます。この「マーケットイン」の姿勢こそが、高い打率でメガヒット商品を生み出す源泉です。
プロダクトアウトではなくマーケットの声を形にする
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
大手にありがちな「良いものを作ったから置いてほしい」というプロダクトアウトではなく、先に現場の声を聞き、「これなら売れる」という確信を持ってから商品化します。まずはリアルの量販店で数を捌き、そこからAmazonなどのECへ流れる仕組みを構築しました。この泥臭い営業力と開発ノウハウを、少数の精鋭メンバーで回してきたことが成長の要因です。
次なる投資へ向けた「アーリーイグジット」の決断

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
事業拡大に伴いラインナップが増えたため、リソースをどこに投下すべきかという課題がありました。2023年にもブランドの譲渡経験がありますが、私は常に「出口戦略」を意識して経営しています。今回もヒット中の主力ブランドをあえて早期に譲渡することで資金を確保し、次なるメガヒット候補へ全投下する「選択と集中」のために、戦略的アーリーイグジットを決断しました。
シーズン性を考慮した「3月末」までのスピード譲渡
―検討を進める上で、大事にされた条件を教えてください。
最も重視したのは「スケジュール」と「最低限の金額」の両立です。化粧品には季節性があり、タイミングを逃すと半期先まで動けなくなります。2024年11月頃から本格的に動き出し、どうしても翌年3月末までに譲渡を完了させたいと考えていました。
―最終的に株式会社Aへの譲渡をご決断されましたが、決め手は何でしたか?
当初の交渉先との破談を経て、1月から再スタートする過酷な状況でしたが、以前からラブコールをくれていたA社様が、こちらの希望するタイトなスケジュールを「守ります」と約束してくれました。A社様の意思決定の速さと、こちらの状況に寄り添ってくれた誠実な姿勢が最大の決め手となりました。
将来の理想は海外移住。趣味としてのビジネスを追求したい
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
譲渡したブランドが新天地でさらに成長することを願う一方、私は残したヘアケアブランドの拡大に注力します。将来的には家族と海外移住し、在庫や借入に追われる経営ではなく、純粋に楽しみながら続けられる「趣味のビジネス」に昇華させることが目標です。今回の譲渡はその理想に近づくための大きな一歩です。
「まだいける」と思う時こそが、最大の譲渡タイミング
―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
「まだいける」と思っている伸び盛りのタイミングこそが、実は出口戦略として最適な譲渡タイミングなのかもしれません。M&Aは終わりではなく、次のステップへ向かうための原動力です。バイタリティがある若いうちに一度イグジットを経験することで、視座が一段高まります。情に流されすぎず、スピード感を持って判断することをお勧めします。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください。
アドバイザーの岡本さんは、常に私と同じ目線と熱量で伴走してくれました。
特に今回は社内体制が未整備な状態でしたが、スピード感のある成約を実現するため、譲受企業側の在庫精査の現場にも同行いただきました。数千本に及ぶロット番号の確認という泥臭い作業も厭わずサポートしてくださり、大変心強かったです。
当社の事情を深く理解し、私の要望を叶えるために尽力する姿からは仕事への純粋な情熱が感じられ、安心して任せることができました。他社へ依頼していた時期もありましたが、改めて岡本さんにお願いして本当によかったです。本当に良いご縁を頂いたと感謝しております。

ヒットメーカー・アスノア社と、株式会社A。両社を繋いだのは、「マーケットに価値を届ける」という共通の信念と、期限内に成約させるという強い意志でした。 ブランドの切り出しという複雑な事業譲渡プロセスにおいて、アドバイザーの岡本が現場に深く入り込み、売り手の感情に寄り添いながらリード。その結果、経営者の描く「戦略的イグジット」が見事に形となりました。譲渡後、須野氏は次なる挑戦へ走り出し、株式会社Aは新たなブランドを自社のポートフォリオに加えました。M&Aをバネに加速する両社の未来を、M&A総合研究所はこれからも支援し続けます。
担当者からのコメント
今回のご成約は、私にとっても非常に思い入れの深い案件となりました。
須野代表と初めてお会いした際は、既に他社アドバイザーの方と進められていましたが、3月末というタイトなスケジュールを踏まえると難しい局面に差し掛かっておられました。その後しばらく時間が空いてから「残り時間は少ないが、もう一度入ってもらえないか」とご連絡をいただいた時は、改めて頼っていただけたことを大変嬉しく思いました。
本件は事業譲渡という複雑なスキームに加え、化粧品特有のシーズン性から一切の遅延が許されない状況でした。譲受企業様のデューデリジェンスにおいて在庫の実査が必要となった際には、少しでもスケジュールを前倒しするため、私自身も倉庫に足を運び数万本の商品を一緒に数えました。今となっては忘れられない思い出です。
須野代表の「出口戦略を常に意識する」という経営哲学と、決断のスピード感には終始感銘を受けました。ヒット中のブランドをあえて手放し、次の挑戦へ全力投球される姿勢は、まさにヒットメーカーたる所以だと感じております。
譲渡されたブランドがA社様のもとでさらなる成長を遂げること、そして須野代表の次なるビジネスが大きく花開くことを心より応援しております。両社の持続的な発展を願いながら、今後もお力になれる機会があれば幸いです。
(企業情報本部 副部長 岡本 勝也)
