譲渡企業
株式会社せんぼくおひさまプロジェクト
代表取締役 日髙 英樹 様インタビュー
地域の自然エネルギーへの想いが原点
ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。
一番最初に銀行からお話をいただいたのがきっかけです。当時、株主含め自然エネルギーの重要性が高まっていたこと、原発問題などもあり、社会的に正しい方向だと思い始めました。仙北市には化石燃料の発電所がなく、水力・太陽光・風力しかないため、観光面なども含め自然エネルギーが良いと考えたのです。営利目的というより、社会的な意義が大きいものでした。また、本業として営んでいる建設会社として、太陽光発電所を一度作ってみたいという思いも、きっかけの一つとなりました。
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
事業内容は秋田県での太陽光発電事業です。発電所を作ってからは特別なことはしておらず、売電状況の確認を日課にしていました。収益も銀行が計画していたよりも良かったので、今後もチャンスがあればと考えてはいましたが、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の価格がどんどん下がっていきました。雪が降る地域ではこれ以上拡大しても収益に繋がらないと感じ、既存施設の維持に注力して事業を続けていました。
FIT価格の下落と保険料高騰がM&A検討の契機に
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
本業の建設会社の今後を考えたときにM&Aに興味を持ち、担当アドバイザーの黒田さんとお会いしたことがきっかけです。その後、2025年の春頃から太陽光発電の買い取り制限が始まり、さらに保険代が当初の150万円程度から950万円程度まで大幅に値上がりし、20年間の事業計画が成り立たない可能性が出てきました。赤字にはならないと思いつつも、予想していた収益が見込めないと考え、株主に相談したところ、M&Aも検討してみようというのが総意となりました。FIT20年後も継続するか撤廃するかという問題もありました。
株主の納得と事業継続性を最優先
―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
私を含む4人の株主が満足できることが最重要でした。M&Aに関しては全員から私に一任されていたので、投資として考えた際に、20年間の想定利益を崩したくなかったため、ある程度高めの金額設定を希望しました。また、スムーズに会社が移行すること、そしてできればFITの買い取り期間終了後も、有効に有意義に発電所を活用してくれる譲受企業様がいればと思っていました。
誠実で人柄の良い担当者に安心感

―最終的に株式会社オカモト様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
会ってみて、またオンラインで話していても、非常に良い会社という印象しかありませんでした。7名ほどにお会いしましたが、皆さん物腰が柔らかく、どなたにも嫌な印象を抱くことが全くなかったんです。この会社なら譲渡してもいいと思えましたし、全く横柄なところがなく、大変良いお相手だと思っています。
20年以降の有意義な活用に期待
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
オカモト様は電力小売も手掛けていらっしゃるので、将来にわたって事業を継続していかれる姿が見え、安心できました。また、今回の譲渡資金の一部を使って、株主のうち3人で新たな事業として宿泊業への参入も検討中です。本業の建設業のノウハウを活かし、地域のホテル不足の解消に貢献できたらと考えています。
採算が取れるうちにM&Aを
M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
私の会社は、働く人が少なくなりつつある本当の過疎地域にあります。事業がしっかり動いているうちにM&Aを考えることで、ちゃんとした終わり方ができる可能性があります。現在、採算が取れていて良い会社であれば、廃業せざるを得ないほど財務が悪化する前に、M&Aを検討すべきですし、価値のある選択肢だと思います。
譲受企業 株式会社オカモト
管理本部 常務執行役員 統括本部長
碓井 哲平様インタビュー
創業75周年を迎えた多角化企業
―まず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。
オカモトグループは今年で創業75周年を迎えます。元々は北海道で雑穀業から始まり、その後ガソリンスタンドに進出しました。現在はこれがメイン事業ですが、途中から事業の多角化を図り、コングロマリットとして全国に800店舗以上を展開しています。特に1980年代からM&A戦略を導入し、さらにその戦略を加速させ、業態や事業エリアを広げています。
再生可能エネルギー比率の向上とエリア拡大
―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
エネルギー事業において、再生可能エネルギーの比率を高めることが重要な課題でした。また、安定供給のために北海道以外の電力会社の管内で発電所を持ちたいという長年のニーズもありました。今回の案件は、まさにこのニーズと合致しました。さらに、M&Aは譲渡企業様の貴重なノウハウや人材を引き継ぐことができ、ゼロから始めるよりも効率的だと判断しています。最近では建設コストなどが上がっているため、過去に投資された資産を割安に獲得できる点も、M&A戦略の有効性を高めています。
地域密着の経営姿勢と株主構成への信頼
―最終的に株式会社せんぼくおひさまプロジェクト様を譲り受けされましたが、印象や譲り受けを決められた理由を教えてください。
決め手は、オーナー様を含めた4名の株主様全員が発電所に近い地元の方々であり、仙北市の融資制度などを活用し、地域に密着した形で経営されてきたという点です。地域に根差した経営姿勢に非常に信頼感を覚えました。また、日髙社長は非常に気さくで人望の厚い方という印象で、市役所での説明会などでも近隣の方や市長が挨拶に来られる姿を見て、安心感を得ました。

FIT終了後の自社電力小売への活用
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
FIT期間中は、これまで通り順調な収益を上げていくことに期待しています。そして、FIT終了後は、我々が展開している電力小売り事業の発電所として活用していきたいと考えています。これにより、FITの買い取り期間中だけでなく、その後も長期にわたって当社の業績に寄与してくれると見込んでいます。
既存事業拡大と新規事業開拓の二軸で
―今後、事業展開の一つとしてM&Aを活用されることはありますか?
はい、今後もM&Aは積極的に活用していきます。大きく分けて二つの方向性で考えています。一つは、既存事業の勢力拡大です。もう一つは、我々のスコープでは見えない、あるいは見えないと思い込んでいる全く新しい新規事業の開拓です。M&A総合研究所様にもご教示いただきながら、知っている商売と知らない商売の両軸でソーシングしていきたいと考えています。
従業員はM&Aで仲間が増え、より安心できる
―M&Aをご検討されている経営者様にメッセージをお願いいたします。
譲渡企業側の方々へ
事業承継などさまざまな理由で譲渡を考えると思いますが、M&Aによってノウハウはもちろん、従業員の皆様の仲間が増えます。全国に同じ商売をやる仲間が増え、交流やノウハウの交換ができるようになることで、より安心して暮らすことができるという点で、安心して決断していただきたいです。
譲受企業側の方々へ
M&Aの価値はますます高まっています。世間的にも経営手法として認知され、行政が推進を図る方向もあるので、自信を持って進めていければと思います。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由を教えてください。
せんぼくおひさまプロジェクト様:
黒田さんはとても誠実なアドバイザーでした。スケジュールも変な期待を持たせず、最終的に前倒しになったことで安心感がありました。上場している安心感もあり、信頼できました。
オカモト様:
黒田さんはレスポンスが早くて正確な点に感心しました。特に今回の案件では、FITの名義変更など複雑な手続きが多く、本来、譲渡企業・譲受企業双方でやるべき部分を、現地説明会も含めて非常に寄り添ってフォローしていただき、大変感謝しています。
地域の社会貢献を第一に太陽光発電事業を営んできた株式会社せんぼくおひさまプロジェクトと、創業75周年を迎え、M&Aによる多角化を加速させる株式会社オカモト。
FIT価格の下落と保険料の高騰という事業環境の変化に直面した日髙社長の、株主への責任感と事業継続への強い想い。一方、岡本社長の、再生可能エネルギー比率向上と北海道外での安定的な発電所確保という戦略的ニーズ。この二つの思いが、地域密着の経営姿勢という信頼感のもとに見事に合致しました。
担当者からのコメント
本件は、事業環境の変化を見据えたオーナー様の英断と、買い手様の成長戦略が見事に合致した事例となりました。譲渡企業様は秋田県の4法人が共同経営されておりましたが、FIT制度後の展望やランニングコストの上昇という課題に直面されていました。一方で、東日本を中心に「オカでん」を展開する株式会社オカモト様にとっては、本件は再生可能エネルギーの調達ソースを確保し、製販一体の「垂直統合」を加速させる戦略的に重要な案件でした。
特筆すべきは、オカモト様の圧倒的な経営基盤がもたらした信頼感です。譲渡により得た資金で「地域を活性化させる新事業へ着手したい」というオーナー様のご希望に対し、事業を安心して託せるオカモト様の存在があったからこそ、迷いなくスムーズな意思決定へと至りました。 地域のインフラを守りながら、オーナー様の新たな挑戦のスタート地点を作ることができ、双方にとって未来志向のベストマッチングができたと確信しております。
(企業情報本部 次長 黒田 廉太郎)
