譲受企業
有限会社大坂林業
代表取締役 松村 幹了 様 インタビュー
時代を見据えた事業の選択と集中
―御社の創業の経緯、事業内容を教えてください。
創業時は製材業と造林用苗木の生産を行っていましたが、先代の時期に製材業から早期撤退し、苗木生産へ注力しました。この事業の選択と集中が功を奏し、会社を存続させることができました。近年は50年ぶりの植林サイクルを迎え業績も好調です。また、若手人材の採用を目的に、数年前からリブランディングを進めております。良質な苗木の安定供給という本業を軸としつつ、新しい技術の導入を図り、林業の課題解決にも取り組んでおります。
事業の多角化からの回帰
―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
会社の持続的な成長のため、さまざまな経営手法を研究する中で、M&Aも有力な選択肢として捉えておりました。これまでリブランディングの一環として多角的に事業を展開してまいりましたが、近年、社内から事業の方向性が分かりにくいという声が上がりました。そこで、新規事業を無闇に増やすのではなく、林業に関連するモノづくり企業を迎え入れ、互いの強みを掛け合わせていく手法が最適であると判断いたしました。
失われゆく貴重な職人技術を守り抜く
―譲り受けを通じて実現したかったことはどのようなことでしょうか。
卓越したモノづくりの知見や長年磨かれた職人技能が蓄積されていながら、廃業と共に人材が散逸し、築き上げた歴史や顧客基盤までもが失われてしまうことに、強い危機感を抱いていました。確かな生産体制を誇る中小企業の廃業は、地域社会にとって大きな損失です。歴史に裏打ちされた技能と職人の皆様を堅守し、次世代へ繋ぐ架け橋となることこそが当社の使命であると確信し、M&Aという手法を活用していく方針を固めました。
熱意ある企業文化と柔軟な姿勢への共感
―最終的にA社様を譲り受けられましたが、印象や譲り受けを決められた理由を教えてください。
最大の決め手となったのは、A社様の代表と従業員の皆様の根底にある価値観が、私の想いと深く合致したことです。私は財務的な評価以上に、企業の中核にある熱意や技術を守り抜くという強い信念を何よりも重視しております。業界全体が厳しい環境に置かれる中、代表は決して硬直的にならず、柔軟な思考でさまざまな課題に対応されていました。この企業とならば、困難も共に乗り越えられると確信いたしました。
手仕事を価値の源泉として魅力を最大化

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
確かな職人技を持つ企業は、さらに高度な課題に挑戦できる大きな可能性を秘めています。A社様は、地域のさまざまな有名家具ブランドを下支えする非常に重要な存在であり、その手仕事こそが最大の価値の源泉です。今後は、当社が人員の確保や企業価値を向上させるリブランディングの役割を担い、現場の皆様がモノづくりに集中し、技術や価値を再生産できる体制を強化することで、素晴らしい技術の魅力をさらに社会へ広めてまいります。
中核となる信念と技術の再生産能力
―今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
今後も両社の強みを掛け合わせて成長できるご縁があれば、前向きに検討します。最も重視するのは、中核となる熱意や信念が合致するかどうかです。経営陣から現場の社員まで理念が浸透し、技術を自ら再生産できる体制が不可欠です。確かな生産能力と技術を持つ人材の存在こそが、中小企業譲受の出発点となります。
自社の価値向上と信頼できる専門家の活用
―M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
譲渡を検討する経営者様には、経営数値を正確に把握し、自社を磨き上げておくことをお勧めします。企業価値を高める真摯な努力が良いご縁を引き寄せます。また、譲受を検討する経営者様は、専門アドバイザーに相談することで、スムーズかつ安心して交渉を進められます。いただいたご縁には、誠実に向き合う姿勢が大切です。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーの皆様が適時的確に動いてくださり、非常に安心して手続きを進めることができました。当社は無闇にM&Aを繰り返すスタンスではないですし、私自身の時間も限られています。そのため、安心して円滑に意思疎通が図れるパートナーが1社あれば十分だと考えており、現在は御社に絞ってお任せしております。当社のスタンスを深く理解し、誠実にご対応いただいたからこそ、全幅の信頼を寄せてお任せすることができました。
A社が長年培ってきた確かな職人技術と、大坂林業の次世代を見据えた明確なビジョンが見事に合致しました。互いの強みを深く尊重し、地域産業の未来を切り拓く新たな一歩となりました。
担当者からのコメント

本件の売主様は、後継者問題をはじめ、昨今のコスト高や人材確保といった経営課題を見据え、次なる成長へのステップを模索されていました。当初は事業承継に対してさまざまな不安を抱かれていましたが、対話を重ねる中で、大切な会社と従業員の皆様の未来を守るための前向きなご決断をいただきました。私が特に印象に残っているのは、売主様の経営への熱い想いと、工場見学で目の当たりにした圧倒的な技術力です。そんな売主様のバトンを受け継がれたのが、大坂林業様の松村社長です。松村社長は非常に高い経営手腕をお持ちで、両社は地理的な距離を超え、目指す方向性と事業シナジー、そしてお互いの「想い」が完璧に合致しました。この最高のパートナーシップが、ご両社の新たな成長の足がかりとなったことを、担当者として心から嬉しく思っております。
(金融提携本部 金融提携部 シニアマネージャー 花形 和哉)