譲渡企業
アプロス株式会社
前代表取締役社長 立藤 智基 様 インタビュー
(現アステナホールディングス株式会社)
化粧下地NO.1企業の新たな挑戦
―御社の創業の経緯と強み、そして新規事業の立ち上げ背景を教えてください。
当社は上場企業グループの孫会社として、長年紙媒体を中心とした単品リピート通販による化粧品販売を展開してきました。化粧下地の分野でトップシェアを誇り、60代から80代を中心とする顧客基盤による安定した収益構造が当社の強みです。一方で、単一商品への依存や顧客の高年齢化といった課題を抱えていました。会社全体のさらなる成長に向け、デジタル施策を通じた新たな顧客層の開拓を目指し、新規事業の立ち上げに至りました。
新規ブランドの立ち上げ
―今回譲渡された事業の詳細と、事業自体の強みを教えてください。
生活の質を向上させる総合生活ブランド「アプロスライフストア」を展開しています。主力商品のダニ捕りシート「ダニとり酵母」をはじめ、機能性健康食品や化粧品を取り扱っています。当事業の強みは、化学物質不使用でペットやお子様がいるご家庭でも安心して使用できる高い製品力にあります。さらに、SNS等のデジタル集客を駆使することで、20代から50代の幅広い定期購入顧客の獲得に成功しています。
事業譲渡という合理的な判断
―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
新規事業は3年間の高い目標を掲げてスタートし、主力商品は2年で約4億円の売上規模まで成長しました。しかし事業計画全体としては未達となる見通しが明確になり、グループから事業を切り離すか、清算するかの判断を求められました。上場企業グループとして合理的な決断が必要な中、単なる事業の清算ではなく、これまでに投資して築き上げた商品やブランド価値を適切に評価してくださる第三者へ引き継ぐ、事業譲渡の選択に至りました。
実行確実性と期日の厳守

―ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。
親会社からの要請もあり、事業譲渡を完了させる明確な期日が設定されていました。そのため、定められた期間内に譲渡を実行できる確実性を最も重視しました。また、事業自体は広告宣伝費による先行投資フェーズであったため、現状の事業価値を論理的かつ適切に評価していただける企業であることも、重要な条件の一つとして交渉を進めました。
迅速な意思決定と実行力
―最終的にアートナップ様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡を決められた理由を教えてください。
アートナップ様は意思決定の速さが際立っていました。会長自らがしっかりと検討にコミットしてくださる企業で、期日までに確実に譲渡手続きを完了していただけるという信頼感が決め手となりました。引き継ぎ期間においても権限委譲が適切になされており、非常にスムーズな承継を実現することができました。
新規事業の新たな出口戦略
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
今回の事業譲渡は、グループ内における新規事業の出口戦略として「カーブアウト」という一つのモデルケースを作ることができたと考えています。清算という形をとらず、商品やブランドを存続させることができました。今後は、若手世代の社員がこうした出口戦略も視野に入れながら、無理のない計画のもとで新規事業へ挑戦しやすい環境が醸成されることを期待しています。
事業計画における出口の想定
―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
新規事業を立ち上げる際、あらかじめ事業譲渡という選択肢を出口戦略の一つとして想定しておくことが重要だと感じました。撤退ラインを明確に引くことはもちろんですが、事業が外部から評価されるタイミングと、自社で撤退を判断するタイミングが一致していなければ、交渉は難航します。常に事業の客観的な価値を把握し、合理的に判断を下せる準備をしておくことをお勧めします。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
M&Aのプロセス全体を通じて、常に先を見据えた戦略的な提案をいただき、大変安心感がありました。私自身、事業を譲渡する側の経験は初めてでしたが、主導的に実務を進めていただいたことで、無駄な時間の短縮につながりました。特に、会計処理に関する助言や、在庫確認の場におけるサポートなど、質の高い支援をしていただいたことに感謝しています。
上場企業グループの新規事業として生まれ、確かな製品力を有していたアプロス株式会社のライフストア事業。親会社の経営判断に基づく合理的な意思決定と、期日を厳守する実行確実性を重視した結果、迅速な意思決定力を持つアートナップ株式会社との間に理想的なご縁が結ばれました。事業清算という形を避け、培ってきたブランド価値を次代へつなぐ今回の事例は、新規事業における戦略的カーブアウトの好例と言えます。
担当者からのコメント

今回のご成約にあたり、身に余るお言葉を頂戴し大変恐縮しております。 本件はアプロス株式会社 会長の村口様より直接お声がけいただき、ご支援する運びとなりました。上場企業グループの新規事業を清算ではなく「カーブアウト」で次代へ繋ぐ、出口戦略のモデルケースとなる案件でした。厳格な期日が設定される中、限られた時間内で確実に実行し、先行投資フェーズにある事業価値を適切にご評価いただける譲受企業様を見極めるべく伴走いたしました。クロージング当日には私自身も倉庫へ足を運び、在庫実査に立ち会わせていただいたことが深く印象に残っております。 立藤様の客観的で合理的なご判断と、アートナップ様の圧倒的なスピードと実行力が、この理想的なご縁を確かなものにしました。急成長を遂げたブランドが新たな担い手のもとでさらに花開き、両社の未来が輝かしいものとなるよう心より願っております。
(企業情報本部 副部長 岡本 勝也)