譲渡企業
宿泊業 M社
代表 S.R.様 インタビュー
100余年の歴史と伝統建築
―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
明治時代に創業し、代々受け継がれてまいりました。最大の強みは、歴史的・文化的価値を持つ重厚な木造建築と、源泉掛け流しの温泉です。また、館内には先代から大切にしてきた貴重な美術品を展示しており、お客様からは「美術館のようだ」とお褒めの言葉をいただきます。歴史と文化が織りなす静けさと清潔感を大切に守り、寛ぎの空間を提供してまいりました。
心の通うおもてなし
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
お客様に美味しいお食事を召し上がっていただき、静寂の中で心身ともにリラックスしていただくことを第一に運営しております。徹底してきたのは、妥協のない清潔感とおもてなしの心です。そのこだわりを愚直に積み重ねてきた結果、世代を超えて何十年も通い続けてくださるリピーターのお客様や、遠方からご家族を連れて訪れてくださるお客様が多くいらっしゃいます。
後継者不在と個人経営の限界
―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
70代後半になり、後継者不在であることが最大の理由でした。この歴史ある旅館と日本の素晴らしい宿文化を未来へ遺すには、誰が運営していくかに固執せず、組織力のある企業様に運営していただくほか選択肢はありませんでした。また、個人経営では人件費や労働環境の改善に限界があったことも理由の一つです。強固な組織力を持つ企業様へ事業を託すことで、大切な文化と従業員の雇用を守る決断をいたしました。
従業員の雇用継続と歴史ある暖簾の存続

―ご検討を進められる上で、大事さにれていた希望条件を教えてください。
何よりも重視したのは、長年共に苦労を重ねてくれた従業員が安心して働ける環境の確保と雇用の継続です。また、旅館の暖簾と雰囲気をそのまま残し、みすぼらしくすることなく守り続けていただくことを強く希望いたしました。個人の力では難しかった設備投資や労働環境の改善を確実に行い、大切なお客様と歴史ある建物を未来へ継承していただける体制を求めておりました。
人柄への深い信頼と誠実な事業承継への意欲
―最終的にK社様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡を決めた理由を教えてください。
代表のお人柄の素晴らしさと、伝統への深い敬意に強く心を打たれました。お目にかかるたびに「楽しく仕事をしましょう」と温かいお言葉をかけてくださり、現場の目線に立った設備改善や週休二日制の導入など、具体的なお約束をしてくださいました。この方とならば、当館の歴史を安心してお任せできると直感し、譲渡を決意いたしました。
日本の伝統文化を守り次代へ繋ぐ宿へ
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
週休二日制の導入など労働環境が改善され、従業員からも喜びの声が上がっており大変嬉しく感じております。今後は強固な組織力のもとで施設の維持修繕を進めていただきたいです。そして何より、遠方やご高齢のリピーター様が何度も足を運んでくださるこの場所を守り、日本の素晴らしい伝統文化を未来へ継承し続けていただくことを心より願っております。
信頼できるアドバイザーと共に歩む
―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
M&Aの検討にあたっては、周囲から否定的な言葉を掛けられることも少なくありません。しかし最も大切なのは、自社の未来や経営者の想いに真摯に向き合ってくれる、信頼できるアドバイザーに出会うことです。周囲の声に惑わされることなく、自分のことを本気で考えてくれるパートナーを信じて一歩を踏み出し、恐れることなく前向きな選択をしていただきたいと思います。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーの方が一生懸命に私の想いと向き合ってくださいました。こちらの譲れない希望条件にも妥協せず誠実に交渉を重ねて実現してくださり、「あなたを信じて本当によかった」と心から感謝しております。
創業100余年の歴史と伝統建築を誇る老舗温泉旅館の想いを次代へ繋ぐ、理想的な事業承継が成立いたしました。働きやすくなった新たな体制のもと、長年親しまれてきた憩いの場を守り、日本の素晴らしい宿文化を未来へと継承していく新たな歩みが始まっています。
担当者からのコメント

初めてオーナー様とお会いさせていただいた日のことを、今でも鮮明に覚えています。「名門の暖簾と、長年支えてくれた従業員を守りたい」。その強い思いの裏には、「息子たちに、この重責を背負わせたくない」という切実な親心もありました。オーナー様を一番近くで支え続けてこられた経理担当の方や、顧問税理士の先生をはじめとする皆様の温かさに触れ、私自身、旅館存続のお力になりたいと強く決心致しました。譲受企業様は、初期から旅館に対して最大級のリスペクトを示してくださりました。歴史ある名門旅館のバトンが、これ以上ない最高のパートナーへと引き継がれ、オーナー様の肩の荷が下りた晴れやかな笑顔を見られたことは、私のアドバイザー人生において最も誇り高い瞬間の1つです。両社の益々のご発展を心より祈念しております。
(企業情報本部 マネージャー 廣瀬 哲也)