譲渡企業
高升精機株式会社
代表取締役 高升 達也 様 インタビュー
高度な加工技術と高い納期対応力
―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
弊社は1963年に内燃機関の整備業として創業した親会社から、機械加工部門が分社独立する形で設立されました。現在は旋盤による丸物加工から大型の五面加工機及び五軸加工機を用いた機械加工まで幅広く対応しております。弊社の強みは、他社が敬遠するような難易度の高い大型加工や、突発的なトラブルに対して迅速かつ柔軟に対応できる高い技術力と納期対応力です。
緊急時の即応体制と迅速な対応
―どのように事業を展開拡大されてきたのでしょうか。
例えば大阪などでお客様が急なトラブルに巻き込まれた際、現地へ赴き、自社へ部品を持ち帰って加工・修理をして再度届けるという即応体制を貫いてきました。公共事業等では1日の遅れが致命的となるため、顧客が求めるのは安さではなく、何より「いつ直るか」というスピード感です。緊急の要望に真摯に応え続けることで、強固な信頼を積み重ねてまいりました。
先代の信念に基づく設備投資と震災時の飛躍
―先代の教えを色濃く引き継いでいると伺いました。
分社する前の話ですが、先代は「仕事が決まってから設備を入れるのでは遅い」と力説し、周囲が反対する中、大型切削加工機を導入しました。その直後、1995年の阪神・淡路大震災が発生しました。高速道路の防震対策に伴う短納期かつ膨大な緊急加工需要が、この設備と見事に合致し、会社は大きく飛躍しました。五面加工機を導入した際も同様で、常に先進的な設備を整えることで新たな仕事を呼び込んできました。
親族承継や社内承継の限界と雇用の永続
―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
当初は子への承継も検討しましたが、本人の人生を尊重したいと思い強要はしませんでした。また、従業員に経営者としての重責を背負わせるイメージも湧かず、自社単独でのさらなる成長や人材獲得に限界を感じていたため、企業の存続と従業員の生活と雇用を守るべくM&Aの検討を本格化させました。決断には最後まで葛藤がありましたが、従業員へM&Aの理由と今後の展望を伝えたとき、ようやく腹が決まりました。「未来のために!」と契約を締結し、M&Aを経て歩みを進めている現在、あの時決断に踏み切って本当に良かったと思っています。
従業員の待遇維持と長く働ける環境の確保

―ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。
長年会社を支えてくれた従業員の雇用と待遇の維持を最優先とし、給与や退職金、福利厚生面で不利益を被らないことを最も重要視しました。従業員が将来定年退職を迎える際、たとえ苦労はあっても「この会社で長年働いてきて本当によかった」と思える環境を守ることこそが、経営者として果たすべき最大の責任であると考えておりました。
全幅の信頼を置ける譲受企業様との出会い
―最終的にゼロプラス様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡を決められた理由を教えてください。
ゼロプラス様の代表と初めてお会いした際、弊社の強みや課題を深く理解し、誠実に向き合ってくださるお人柄に惹かれました。また、ゼロプラス様は組織形成や採用支援のノウハウが非常に優れており、弊社単独では困難だった人材採用を強化できると確信しました。自社をさらに成長させ、従業員の未来を安心してお任せできる最高のパートナーであると感じ、M&Aを決断いたしました。
グループの基盤を活かした事業規模の拡大
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
強固な経営基盤と高い採用支援力を備えるグループへ参画したことで、単独では不可能だった積極的な設備投資が可能になります。新工場の建設や大型設備の追加導入を視野に入れ、まずはグループ全体で事業規模を1.5倍へと飛躍させるビジョンをゼロプラス様と描いています。グループの力を借りて人材の採用・受け入れを進め、より高付加価値な金属加工サービスを提供し、さらに数十年にわたり残る組織を築きます。
振り返らず覚悟を持って前進する
―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
経営の大きな岐路に立ち、熟考の末に道を選んだのであれば、絶対に振り返らない覚悟を持つことが不可欠です。私自身、調印する瞬間まで「これで引き返せない」という葛藤や、先延ばしにしたいという気持ちはありました。しかし、企業の存続と従業員の幸せを第一に考え、自問自答の末に出した答えです。適切なタイミングで一歩を踏み出すことが、愛着ある事業を未来へとつなぐ鍵になると確信しています。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーは、私の気持ちを汲んで、本音で相談できる関係を築いてくださいました。条件面での粘り強い交渉はもちろん、調印まで終始温かく伴走していただき、心から感謝しております。
高升精機株式会社が誇る大型金属部品の精密加工技術と、株式会社ゼロプラスが有する強力な組織採用支援ノウハウを掛け合わせた、理想的なM&Aが成立しました。愛着のある企業と従業員を未来へつなぎたいという想いと、その志を真摯に受け止めるゼロプラスの情熱が交わり、日本の誇るモノづくりのバトンが次世代へ力強く引き継がれていきます。
担当者からのコメント

本件の譲渡企業様は、高難度な大型精密加工に強みを持つ広島県の金属加工業者様でした。当初より、自社や従業員に最大限のメリットをもたらす提携先を見出したいという強いご意向をお持ちでした。そこで特定のエリア等に縛られず幅広く検討を重ねた結果、新たに金属加工業の子会社化を企図されていた異業種のゼロプラス様と合致し、お話を進めることとなりました。交渉段階では細かな論点もございましたが、当方にて事前の潰し込みを徹底した結果、最優先事項である従業員の待遇維持等についても譲受企業様に全面的に受け入れていただき、スムーズに進行いたしました。当面の間は売主様が経営を継続される予定であり、即時のトップ交代を伴わずに外部の知見を迎え入れたという点で、極めて良好なご縁を紡ぐことができたと考えております。
(企業情報本部 部長 木浪 拓馬)