2024年07月29日更新
保育園の事業承継マニュアル!相談先や成功事例を解説!
当記事では、保育園の事業承継について、事業承継の流れや成功させるポイントなど、保育園の事業承継を行う場合に把握しておくべき事項をわかりやすく解説しています。そのほか、保育園の事業承継を行う際におすすめの相談先や、成功事例も紹介しています。
目次
1. 保育園の事業承継
保育園の事業承継の流れやおすすめの事業承継・M&A相談先、保育園の事業承継を成功させるポイントなどについて述べる前に、まずは、保育園の事業概要や事業承継について説明していきます。
保育園とは
保育園とは、0歳~就学前までの乳児および幼児がいる家庭に代わって、子供の保育を行う児童福祉施設をいいます。
子供が安全・健康・正しく成長できるように、国によって定められた基準が設けられています。
この基準を満たし、都道府県知事から認可を得ている児童福祉施設のことを「認可保育園」と呼びます。
一方で、定められた基準を満たしておらず、都道府県知事からの認可が無いまま運営している施設が「認可外保育施設」です。
認可外保育施設には、企業内・病院内などに独自で設置されている「事業所内保育園」や、東京都が独自で認定している「認証保育園」などが含まれます。
事業承継とは
事業承継とは、文字通り事業を誰かに引き継ぐことをさします。したがって、保育園の事業承継とは、自分で運営してきた保育園事業を他の誰かに引き継ぐことを意味するのです。
事業承継は、引き継ぎ先や方法の違いによって親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類に分類できます。
①親族内事業承継
親族内事業承継とは、経営者の親族に事業承継することです。例えば、保育園事業を運営してきた経営者が自分の息子に保育園事業を引き継ぐ場合などは、親族内事業承継に当てはまります。
20年ほど前の日本では親族内事業承継が主流でしたが、近年では親族内事業承継件数は減少しています。
②親族外事業承継
経営者の親族のなかに事業を引き継ぐに値する後継者がいれば、親族内事業承継を行えますが、親族内に必ずしも適任者がいるとは限りません。
そのような場合に実施されるのが親族外事業承継であり、親族以外の後継者(役員や従業員)に事業を引き継ぎます。例えば、自社の運営する保育園の従業員に事業を引き継ぐ場合などは、親族外事業承継に該当します。
③M&Aによる事業承継
親族内に後継者となるべき人物が存在せず、かつ親族外(役員や従業員)にも適任者がいない場合、M&Aによる事業承継で事業を引継ぎます。
M&Aとは、第三者に企業や事業を売却する・第三者から企業や事業を買収することを意味します。
M&Aを実施することで、これまで自分たちの保育園とは関わりのなかった第三者に、保育園事業を承継することが可能です。
2. 保育園の事業承継先別の流れ
保育園を事業承継する際は、事業承継先によって手続きの流れが大きく異なります。この章では、保育園の事業承継先別の流れについて、親族内事業承継(親族外事業承継)・M&Aによる事業承継それぞれのケースごとに詳しく解説します。
保育園の親族内事業承継(親族外事業承継)
保育園の親族内事業承継・親族外事業承継をする場合は、以下の流れで進められます。
【親族内事業承継・親族外事業承継する場合の流れ】
- 事業承継計画の策定
- 後継者の教育
- 資産・財産・株式・許認可等の引継ぎ
- 個人保証・担保の処理
①事業承継計画の策定
保育園を親族内・親族外に事業承継することを決定したら、最初に事業承継計画の策定をします。
事業承継計画では、保育園事業の財政状態の現状把握・経営者自身の資産等の現状把握・後継者候補の決定・事業承継の時期や施策の策定などを行います。
事業承継計画書を作成する際は、M&A仲介会社などのサポートを受けながら進めると自社に合った施策の策定ができるため、事業承継の検討段階からM&Aの専門家に相談しておくとよいでしょう。
事業承継計画を作る前には、まず親族や従業員の理解を得る必要があります。親族や従業員への説明を怠ってしまうと不信感が生まれてしまい、従業員が退職してしまったり後継者への引継ぎがうまくいかなかったりする可能性があります。
このような事態を避けるためには、事業承継実施が決まったら関係者に対してしっかりとした説明を行うことが重要です。
②後継者の教育
事業承継計画の作成が完了したら、次は後継者の教育・育成を進めていきます。教育・育成が不十分な段階で事業承継を行ってしまうと、承継した途端に経営状況が悪化してしまったり、後継者に対する不満によって従業員が離職してしまったりする可能性も考えられます。
スムーズに事業承継を進めるためには、後継者の教育・育成に十分な時間を割き、基礎的な経営の知識や保育園事業運営のノウハウなどを伝えていくことが大切です。
③資産・財産・株式・許認可等の引継ぎ
続いて、保育園の資産や財産・保育園運営会社の株式・許認可等の引継ぎを進めていきます。
後継者の経営権を確保するためには、役員や従業員に分散している株式をできる限り買取して、後継者に集約させる必要があります。
④個人保証・担保の処理
事業承継では、経営者の個人保証や担保なども引き継がれるため、経営者に借入金がある場合、後継者はその借入金も承継しなければなりません。
したがって、事業承継時の個人保証や担保などについて処理・対応をしておかなければ、後継者の負担が大きくなってしまい、円滑な事業承継が難しくなります。
保育園のM&Aによる事業承継
続いて、保育園のM&Aによる事業承継の流れについて解説していきます。M&Aを実施する場合は、以下のような流れで事業承継が進められます。
【保育園のM&Aによる事業承継の流れ】
- 仲介会社などへの相談
- 承継先の選定
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
①仲介会社などへの相談
M&Aを実施して保育園を事業承継する場合、まずM&A仲介会社などの専門家に相談するのが一般的です。
M&Aを行うためには、非常に複雑な手続き・交渉が必要となるため、M&Aを円滑・安全に進めるためには、専門知識・経験を有するM&A仲介会社など専門家のサポートが不可欠であるといえるでしょう。
また、M&Aによる保育園の事業承継を進めるためには、後継者となる相手先を探さなくてはなりませんが、全国に幅広いネットワークを持つM&A仲介会社を利用すれば、スムーズに適切な後継者を見つけられます。
なお、M&A仲介会社へ相談を行って今後のM&A手続きの仲介を依頼することを決めた場合、その時点で秘密保持契約書の締結を行います。
②承継先の選定
続いて、事業承継先の選定を行います。M&A仲介会社などに依頼すれば、候補先をいくつかリストアップしてもらえるので、その中から事業承継先を選定し交渉を進めていきます。
ネットワークがしっかり構築されているM&A仲介会社を利用すれば、適切な承継先を見つけることが可能です。
③基本合意書の締結
選定した事業承継先と面談・交渉を行い、お互いにM&Aを進める意思が確認できたら、基本合意書を締結します。
基本合意書とは、最終契約を締結するまでの協議中に締結される基本的事項を定めた書面です。基本合意書自体に法的拘束力はありませんが、記載する守秘義務や独占交渉権などには法的拘束力を持たせることが一般的です。
④デューデリジェンスの実施
基本合意書を締結したらデューデリジェンスが実施され、事業承継を行う保育園・企業の経営状況や問題点などのチェックが行われます。
デューデリジェンスとは企業監査のことをいい、財務・税務・法務・人事などの視点から企業の収益性やリスクを調査することです。
⑤最終契約書の締結
デューデリジェンスの結果、M&Aを実施しても問題がないと判断したら、最終条件の交渉へと進みます。
最終条件交渉では、M&Aの取引金額の決定などを行い、この交渉において買い手・売り手ともに納得できたら、最終契約書を締結します。
⑥クロージング
最終契約書の締結が完了したら、M&A手続きのクロージングとなります。クロージングとは、株式譲渡・事業譲渡などの引渡しや代金の支払いを行い、経営権の移転を完了させることです。
一般的にクロージングには1か月程度の期間を要し、クロージングが終わるとM&Aにおける保育園の事業承継が完了します。
3. 保育園の事業承継・M&Aの相談先
保育園の事業承継・M&Aを成功させたいのであれば、M&A専門家へ相談してサポートやアドバイスを受けることが不可欠といえるでしょう。
しかし、どこに相談すべきかわからないという人もいるでしょう。そこで、この章では保育園のM&A・事業承継における主な相談先を紹介します。
【保育園の事業承継・M&Aの相談先】
- 金融機関
- 公的機関
- 税理士・会計士・弁護士など
- マッチングサイト
- M&A仲介会社
①金融機関
保育園の事業承継・M&A実施時の相談先の1つ目は、銀行や証券会社などの金融機関です。金融機関の中にはM&Aを取り扱う部署があるところもあるので、事業承継やM&Aに関する相談をすることができます。
金融機関では、高い専門性・豊富な経験を活かしたサポートを受けられますが、大手企業のM&Aのみを扱っているケースもあるため、自社の行う事業承継と同規模の案件を扱っているかどうかを最初に確認しましょう。
②公的機関
保育園の事業承継・M&A実施時の相談先の2つ目は、公的機関です。近年は、国による中小企業サポートが活発化していることもあり、中小企業の事業承継について相談・サポートを行う公的機関も増えています。
保育園の事業承継について相談できる公的機関には、事業引継ぎ支援センターや商工会議所などがあります。
③税理士・会計士・弁護士など
保育園の事業承継・M&A実施時の相談先の3つ目は、税理士・会計士・弁護士などの士業家です。
M&A手続きを確実に進める際には、税務・会計などの専門的知識が不可欠であるため、税理士事務所や弁護士事務所などでもM&Aサポートを行うところが増えています。
しかしながら、保育園の事業承継に精通しているとは限らないため、得意分野や取り扱う案件規模については事前に確認したほうがよいでしょう。
④マッチングサイト
保育園の事業承継・M&A実施時の相談先の4つ目は、M&Aマッチングサイトです。近年はM&Aマッチングサイトも増加しており、売り手・買い手とも無料もしくは仲介よりも安価に利用できます。
マッチングサイトでは、基本的に自身で相手先を探して直接交渉を行いますが、サイトによっては相手先が見つかったら、仲介業務を依頼できるところもあります。
⑤M&A仲介会社
保育園の事業承継・M&A実施時の相談先の5つ目は、M&A仲介会社です。M&A仲介会社は、M&A・事業承継の仲介業務を専門で取り扱っているため、ノウハウ・知識・経験を豊富に持っています。
保育園の事業承継を成功させるためには、M&Aに関する幅広い知識・経験に加え、高い交渉力も必要になります。
したがって、保育園の事業承継・M&Aをスムーズに進めていくためには、M&A仲介会社に相談するのがもっともおすすめだといえるでしょう。
保育園の事業承継・M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
保育園の事業承継・M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーによるフルサポートを行っています。
保育園の事業承継・M&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任に就き、戦略策定・交渉・クロージングなど、M&A手続きを徹底的にサポートいたします。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっており、着手金は完全無料です。無料相談を随時お受けしていますので、保育園の事業承継・M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
4. 保育園の事業承継・M&Aの成功事例
ここでは、保育園のM&A・事業承継の成功事例を紹介していきます。
- ITグループがTAISETSUを子会社化
- SHIFTがインフィニックを子会社化へ
- ポピンズホールディングスによるテンプスタッフ・ウィッシュのM&A
- 城南進学研究社によるJBSナーサリーのM&A
- 双日グループによるアンジェリカのM&A
- ヒューマンホールディングスによるみつばのM&A
- 京進によるビーフェアのM&A
- 桧家ホールディングスによるPURE SOLUTIONSのM&A
①ITグループがTAISETSUを子会社化
2024年5月、SDエンターテイメントの孫会社であるITグループは、TAISETSUを子会社化しました。
ITグループは保育コンサルティング、保育施設の運営、人材派遣などを展開する会社です。対象会社のTAISETSUは、保育事業・介護事業を行っています。
親会社のSDエンターテイメントは、ウェルネス事業の成長戦略として保育部門の拡大を推進しています。今回のM&Aにより、ウェルネス事業の成長を目指します。
②SHIFTがインフィニックを子会社化へ
2023年8月、SHIFTは、インフィニックの全ての株式を取得し、子会社化しました。
SHIFTは、ソフトウェアの品質保証やテスト事業を行っている企業です。インフィニックは、保育園運営や保育のコンサルティングを行っています。
今回のM&Aにより、両社の保有する強みをグループで融合することで企業価値を高めます。
③ポピンズホールディングスによるテンプスタッフ・ウィッシュのM&A
保育事業や介護事業などを行っているポピンズホールディングスは、パーソルホールディングスの子会社で、東京で保育事業や保育士の派遣、介護事業などを行うテンプスタッフ・ウィッシュを株式取得によって子会社化しました。なお、株式取得価額は非公表です。
ポピンズホールディングスは、全国規模で事業を拡大させることを目的にM&Aを実施しています。
④城南進学研究社によるJBSナーサリーのM&A
予備校・幼児児童英語教室・認可保育園運営などを行っている城南進学研究社は、東京や千葉などで小規模保育園施設を運営しているJBSナーサリーを株式取得によって子会社化しました。なお、株式取得価額は1億5,000万円です。
城南進学研究社は、総合教育機関としての事業発展と事業エリアにおける顧客ニーズを満たすためのサービス展開を目的にM&Aを実施しています。
⑤双日グループによるアンジェリカのM&A
双日は、グループ会社の双日総合管理を通じて、東京都で保育園事業を展開しているアンジェリカを株式取得によって子会社化しました。なお、株式取得価額は非公表です。
双日は、自社の国内不動産事業と連携を取って保育園運営事業へ新規参入することを目的に、当M&Aを実施しています。
⑥ヒューマンホールディングスによるみつばのM&A
ヒューマンホールディングスは、完全子会社であるヒューマンアカデミーを通じて、神奈川県を中心に保育園を運営するみつばを株式取得によって子会社化しました。なお、株式取得価額は非公表です。
ヒューマンホールディングスは、自社の教育・保育プログラムで育成した人材が活躍する場の提供と、保育園利用者に対する充実したサービス提供を目的に、当M&Aを実施しています。
⑦京進によるビーフェアのM&A
学習塾サービスなどを展開する京進は、保育園運営を行うビーフェアを株式取得によって子会社化しました。なお、株式取得価額は5億2,000万円です。
京進は、首都圏での保育園事業の展開を図っており、出店ノウハウの共有やシナジー効果創出を目的に、当事例のM&Aを実施しています。
⑧桧家ホールディングスによるPURE SOLUTIONSのM&A
注文住宅事業・不動産事業・介護保育事業などを展開している桧家ホールディングスは、保育園事業を運営している連結子会社のライフサポートを通じて、英語教育による認可保育園の運営を行うPURE SOLUTIONSを子会社化しました。
なお、株式取得価額は非公表です。桧家ホールディングスは、PURE SOLUTIONSの英語教育ノウハウを活用した英語保育園施設の展開を目的に、当事例のM&Aを実施しています。
5. 保育園業界の動向
保育園の事業承継・M&Aを検討されている場合、保育園業界の動向を把握しておくことが重要になります。
というのは、業界の動向によってM&Aの状況も大きく変わってくるためです。市場が好況のときは、相場よりも高い売却価額で取引できる可能性がありますが、市場が不況であれば交渉相手がなかなか見つからなかったり、相場よりも低い金額で取引せざるを得なくなったりします。
M&A・事業承継を実施したい場合は、対象業界・業種の動向をしっかりチェックしておくことが大切です。近年の保育園業界の動向には、以下4つの特徴がみられます。
【保育園業界の動向】
- 少子化の影響で利用者の減少
- 解決しない保育士の不足
- 進まない保育士の待遇改善
- 助成金や補助金など複雑化する法改正
少子化の影響で利用者の減少
保育園は、乳児・幼児などの保育・教育を行うため、少子化の影響を大きく受けます。近年では、少子化によって利用者が減少しているという動向が見られます。
ただし、国内全体では利用者が減少しているものの、都心部などでは保育園が少ないため待機児童の問題が深刻化しています。
解決しない保育士の不足
最近の保育園業界では、保育士の不足が深刻化しています。労働環境の厳しさなどが影響して、保育士の人材を増やすことが難しくなっています。
進まない保育士の待遇改善
保育園業界では、保育士の待遇改善が進んでいない状況が続いています。保育士の給料・職場環境改善などが実施されなければ保育士不足の問題を解決できないため、早急な待遇改善が求められています。
助成金や補助金など複雑化する法改正
近年の保育園業界では、法改正によって助成金や補助金などが複雑化しています。保育士の待遇改善・待機児童削減などに向けて、今後も法改正が進んでいくと推測されます。
6. 保育園の事業承継を成功させるためのポイント
ここでは、保育園の事業承継を成功させるための4つポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
- 強み・アピールポイントを理解する
- 事業承継を計画的に準備する
- 事業承継・M&A先は選定する
- 事業承継・M&Aの専門家に相談する
強み・アピールポイントを理解する
保育園の事業承継を成功させるポイントの1つ目は、自社の強み・アピールポイントを理解することです。
事業承継する保育園にどのような強みがあるのかをしっかりアピールすることで、スムーズに引き継ぎ先を見つけられたり、相場以上の金額で取引したりすることが可能になります。
保育園の強み・アピールポイントを理解するためには、利用者数の推移・従業員の質や人数・地域性などをチェックするとよいでしょう。
①利用者数の推移もデータ化する
事業承継を行う相手先に、自社保育園の強みやアピールポイントを理解してもらうためには、利用者数の推移をデータ化しておくとよいでしょう。
具体的な数字を示すことによって、利用者数の変化を適切に伝えられるので、事業承継の交渉もスムーズに進む可能性が高くなります。
②従業員の質や人数
M&Aの買い手や事業承継の引継ぎ側にとって、専門的知識や技術を有した人材を確保できるか否かという点は、M&A・事業承継を判断する重要なポイントの一つです。
そのため、保育園に在籍する従業員の質・人数をアピールすることで、事業承継しやすくなるといえるでしょう。
③地域性
保育園の強み・アピールポイントを理解するうえでは、地域性をチェックしておくことも重要です。
地域内にはどのくらいの乳児・幼児がいるのか、保育園の需要が高い地域であることなどをアピールすることで、事業承継に成功しやすくなります。
事業承継を計画的に準備する
保育園の事業承継を成功させるポイントの2つ目は、事業承継を計画的に準備することです。具体的には、以下の5つを意識して進めるようにしましょう。
- 事業承継が完了するまでは従業員などに報告しない
- 事業承継先の選択肢を絞らない
- 譲れない条件を明確にする
- できる限り園児への影響を抑えるようにする
- 事業承継後のプランを計画しておく
①事業承継が完了するまでは従業員などに報告しない
事業承継手続きの早い段階で従業員などに事業承継実施について報告してしまうと、従業員や関係者を不安にさせてしまう可能性があります。
事業承継による労働環境や待遇の変化を心配し、退職する従業員が出ることも考えられるため、従業員や関係者への事業承継に関する説明は、事業承継が完了したタイミングで行うようにしましょう。
②事業承継先の選択肢を絞らない
事業承継先の選択肢を絞りすぎてしまうと、事業承継手続きを進めていく段階で交渉が決裂した場合などは、再度相手先を探さなくてはなりません。
M&Aでは予期せぬトラブルが起こる可能性も考えられるため、最初から事業承継先の選択肢を絞ることはせず、複数のパターンに対応できるよう柔軟に対応していくことも必要です。
③譲れない条件を明確にする
計画的に事業承継手続きを進めるためには、保育園の理念・経営者の意思・従業員の待遇など、譲れない条件を明確にしておくことが大切です。
自分たちにとって譲れない部分を明確化しておき、交渉のうえで可能な部分は譲歩するなどの対応をすることにより、事業承継をスムーズに進められます。
④できる限り園児への影響を抑えるようにする
事業承継を行った結果、保育園を利用する園児たちに悪影響が及んでしまっては本末転倒です。
保育園の事業承継を計画する段階から、できる限り園児への影響を抑えることを意識して進めていくことが大切です。
⑤事業承継後のプランを計画しておく
事業承継を進めることだけを考えるのではなく、承継後のプランを計画しておくことも重要です。
事業承継後の計画立案を怠ってしまうと、事業承継手続きが上手くいったとしても経営状況が悪化したり、従業員の多くが退職したりする可能性も考えられます。
事業承継が完了した後も問題なく保育園の運営ができるよう、事業承継後の計画もしっかり立てておくことが大切です。
事業承継・M&A先は選定する
保育園の事業承継を成功させるためには、事業承継・M&A先をしっかり選定することが重要です。事業承継・M&A先を選定する際には、以下の3つを意識して行うようにしましょう。
- 円満な事業承継ができるように交渉する
- 引継ぎに関する条件を明確にする
- 事業承継相手の経営能力を精査する
①円満な事業承継ができるように交渉する
保育園の事業承継・M&A先を選定する際には、まず円満な事業承継ができるように交渉することが重要です。
事業承継の手続きを急ぎすぎると、不利な条件で交渉を進めてしまうことも考えられるため、M&A仲介会社などの専門家のサポートを受けながら交渉を進めていくとよいでしょう。
専門家のサポートを受けながら交渉を進めていくことにより、安心・スムーズに事業承継を進められます。
②引継ぎに関する条件を明確にする
保育園を後継者に引き継いだ後に、従業員の雇用環境の大幅な変化や労働条件の悪化、事業運営の大幅な見直しにより、従業員が退職・経営状況が悪化するなどのトラブルが発生するケースは少なくありません。
事業承継を成功させるためには、事業承継後のトラブルを想定して引継ぎ条件を明確にすることが重要です。
③事業承継相手の経営能力を精査する
事業承継・M&A先の選定を行うときは、対象となる相手の経営能力をしっかり精査することが大切です。
経営能力を持ち合わせていない相手に保育園を引き継いでしまえば、従業員離れが生じたり保育園利用者が不利益を被ったりする可能性が出てきます。
事業承継相手の経営能力が不明な場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら慎重に精査することをおすすめします。
事業承継・M&Aの専門家に相談する
保育園の事業承継をより確実に成功させるためには、M&A仲介会社など事業承継・M&Aの専門家に相談することをおすすめします。
事業承継・M&Aを進めるうえでは、M&Aに関する幅広い知識や見解、実務経験、高い交渉力などが求められます。
事業承継・M&A実績が豊富で、専門的知識を有した専門家が在籍しているM&A仲介会社に相談することで、保育園の事業承継の成功確率を大幅に高められます。
7. まとめ
今回は、保育園の事業承継について、事業承継の方法や流れ・保育園業界の動向・事業承継を成功させるためのポイントを解説しました。
保育園の事業承継を成功させるためには、業界の動向を把握したうえで計画的に進めていくことが大切です。
【保育園の事業承継を成功させるためのポイント】
- 強み・アピールポイントを理解する
- 事業承継を計画的に準備する
- 事業承継・M&A先は選定する
- 事業承継・M&Aの専門家に相談する
【保育園の事業承継・M&Aの相談先】
- 金融機関
- 公的機関
- 税理士・会計士・弁護士など
- マッチングサイト
- M&A仲介会社
保育園の事業承継を成功させるためには、専門的な知識や見解が不可欠であるため、M&Aの専門家のサポートを受けながらすすめていくようにしましょう。
8. 保育園・保育所業界の成約事例一覧
9. 保育園・保育所業界のM&A案件一覧
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