塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収!動向や事例、ポイントを解説【2024年最新】

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

当記事では、塗料・塗料卸売業界のM&A買収・売却を解説します。塗料・塗料卸売業界の動向をはじめ、成功のポイントもまとめました。M&A・売却・買収の事例なども紹介しているので、あわせて参考にしてください。

目次

  1. 塗料・塗料卸売業界とは
  2. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収動向
  3. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収の相場
  4. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収の事例
  5. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収のメリット
  6. 塗料・塗料卸売業界の動向やM&A・売却・買収の成功ポイント
  7. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収まとめ
  8. 塗料・塗料卸売メーカー業界の成約事例一覧
  9. 塗料・塗料卸売メーカー業界のM&A案件一覧
  • 塗料・塗料卸売メーカーのM&A・事業承継

1. 塗料・塗料卸売業界とは

塗料・塗料卸売業界とは、塗料の製造・販売を行う塗料メーカーや塗料の卸売を担う塗料卸売業者などが属する業界のことです。

塗料には、建設・建築現場で使用される塗料のほか、飛行機・自動車などの重工業に関連した塗料など、さまざまな種類があります。

塗料メーカーの中でも扱われる塗料の種類は異なり、さまざまな種類の塗料を扱う「総合メーカー」もあれば、特定の塗料を専門に扱うメーカーもあるでしょう。

以降の章では、「塗料・塗料卸売業界」のM&Aに関して解説します。塗料・塗料卸売業界のM&A動向をはじめ、業界の現状、実際の買収・売却・譲渡の事例などもまとめました。

塗料工事の種類

塗装工事は主に、住宅塗装、店舗・工場塗装、橋梁塗装などがあります。それぞれの特徴を紹介します。
 

種類 特徴
住宅塗装 住宅やマンションなどの居住空間が対象。見栄えを良くするだけでなく、雨水や紫外線から建物を保護するなどを目的に外壁や屋根の機能を改善するのが目的です。一般的な塗料や工法が用いられます。
店舗・工場塗装 工場や倉庫などの産業施設を対象。長期的な耐久性が求められるため、特殊な塗料や工法が用いられます。
橋梁塗装 山間部などの厳しい環境にある橋梁の鋼材を腐食から守る必要があります。鋼構造物の故障や災害事故から守るため、塗装にも高度な技術が必要で、定期的に補修工事を行います。

塗料・塗料卸売業界の現状

塗料・塗料卸売業界のM&A動向を解説する前に、まずは塗料・塗料卸売業界の現状に触れます。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3305#:~:text=2022%E5%B9%B4%E3%81%AE%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0,%E5%B1%95%E6%9C%9B%E3%82%92%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2023年)」によると、2022年の住宅リフォーム市場規模は7.3兆円でした。2023年は7.4兆円、2024年は7.2兆円をの予想です。

災害への対応や脱炭素社会の実現に向けた住宅の確保を背景として、断熱・耐震・バリアフリーなど住宅の性能向上を目的とするリフォーム工事が活発化しています。それに伴い工事原価の上昇傾向が続いており、塗料・塗料卸売業界においても堅調に推移する見込みです。

塗料・塗料卸売業界のM&Aは、業界の現状によって内容が大きく異なる点が特徴的です。特に塗料・塗料卸売業界の買収・売却を検討されている方は、M&Aの実施前に塗料・塗料卸売業界の現状を十分に把握しましょう。

  • 1990年代後半から減少傾向
  • 海外への販路拡大が急務

それぞれの項目を順番に見ていきます。

1990年代後半から減少傾向

塗料・塗料卸売業界のM&A実施を検討されている方がまず知っておくべき内容は、塗料・塗料卸売業界の総販売額が1990年代後半から「減少傾向」にある点です。

たとえ国内向けの塗料生産を継続しても、販売数が減少している現状では、塗料・塗料卸売業界の売上増加が見込めません。

海外への販路拡大が急務

上記のとおり、国内における塗料・塗料卸売業界の将来性は非常に厳しいです。現状を打破して業界全体の売り上げ増加を目指すうえで、塗料・塗料卸売業界では「海外展開」を視野に入れる必要があります。

特に重要な展開エリアは「新興国市場」です。先進国の塗料・塗料卸売業界は、軒並み成長しにくい状況にあります。世界的に見ると、先進国の塗料・塗料卸売業界の大手企業が続々と新興国へ海外展開している状況です。

この流れに取り残されないよう、日本国内の塗料・塗料卸売業界も海外市場への参入が急務となっています。

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塗料・塗料卸売業界の今後

塗料・塗料卸売業界の今後は、環境配慮型塗料の開発、IoTやAIなどのデジタル技術の活発化されると予想されています。それぞれ説明します。

環境配慮型塗料の開発が進む

塗料・塗料卸売業界では、塗料に含まれている化学物質の環境負荷の低減が大きな課題となっています。従来の油性塗料には、揮発性有機化合物が含まれており、環境汚染の原因となっていました。

近年は、水性塗料や低VOC塗料など、環境配慮型塗料の開発が進んでいます。塗料メーカー各社は、環境配慮型塗料の性能向上に努めており、さらなる普及拡大を目指しています。

環境規制の強化、消費者の環境意識の高まりを背景に、塗装事業者は技術力の向上と、さらなる環境対応の取り組みが求められています。

IoTやAIなどのデジタル技術の活発化

塗料・塗料卸売業界では、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した取り組みを強化しています。

従来は、品質のばらつきや工期の遅延などのさまざまな問題がありました。しかし昨今はデジタル技術の活発化し、タブレット端末などを用いて、工程管理をデジタル化し、品質の向上と工期の短縮が可能となっています。

他にもドローンを使用した高所の調査や、3Dスキャナーでの図面作成などの最新の技術も活用されています。デジタル技術を活用することで、作業の効率化、品質の向上、技術の継承も進められるでしょう。

最新技術の導入と活用により、業界全体の生産性向上につながることが期待されています。

2. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収動向

ここからは、塗料・塗料卸売業界のM&A・買収・売却動向を詳しく解説します。

特に塗料・塗料卸売業界の会社を売却・買収しようと検討されている方は、M&A動向を逐一チェックしましょう。なぜなら、対象業界のM&A・買収・売却動向によって取るべきM&A戦略などは変化するためです。

  1. 市場規模が減少しており、新規参入もしにくい
  2. 海外市場を目指したM&Aが増えてくることが予測される
  3. 生産コストを抑えるための海外M&Aも増える可能性
  4. 大手企業同士のM&Aによる経営統合も進んでいる

それぞれの項目を順番に解説します。

①市場規模が減少しており、新規参入もしにくい

1990年代の後半から、塗料・塗料卸売業界の市場規模は減少傾向にあります。その影響により、M&Aによる新規参入は難しく、「新規参入数が少ない」点に特徴が見られます。

市場が縮小傾向にある業界なので、国内企業を買収して新規参入しても大きな利益は見込めません。

もともと塗料・塗料卸売業界は、M&Aによる参入障壁が高い業界としても知られています。塗料の原料は石油化学に依存しているためです。原油価格により生産量が変動してしまうリスクを伴うため、利益率が低くなる恐れがあり新規参入しにくくなっています。

②海外市場を目指したM&Aが増えてくることが予測される

国内の塗料・塗料卸売業界がすでに成熟し成長が見込めない一方で、海外(特に新興国)ではこれからの成長が期待されます。「海外市場をターゲットとしたM&Aが今後増加していく」という動向が推測できるでしょう。

国内市場の成長がストップしているのに対して、新興国の塗料・塗料卸売市場は今後ますます発展すると見込まれます。将来性が高い市場へ参入すれば企業の売上増加も期待できるため、M&Aによる新興国に対する参入の動きが加速している状況です。

③生産コストを抑えるための海外M&Aも増える可能性

国内市場の低迷・海外市場の高い将来性による海外展開が進んでいる状況に加え、生産コストを抑えるための海外M&Aも増えると見込まれます。

もともと海外市場へ参入するには、海外を拠点に会社を設置したり、現地の言葉を話せる人材を採用したりするなど、ネットワークを構築しなければなりません。

特に異業種の大手企業では、海外で新たに会社を立ち上げて新規の塗料・塗料卸売事業を進めるうえで、非常に多くの生産コストが必要です。生産コストを下げるためには、海外企業をM&Aにより買収する戦略が有効といえます。

海外の塗料・塗料卸売会社を買収すると、人材や取引先の確保・ネットワークの構築・拠点の設置といった手間・コストを省けるため、ゼロから新規参入するよりも低コストで販路拡大できるでしょう。

④大手企業同士のM&Aによる経営統合も進んでいる

塗料・塗料卸売業界では、大手企業同士のM&Aによる経営統合も進んでいます。経営統合を行い、さらにシェアを広げる動きも見られる状況です。

塗料・塗料卸売業界で大手のアクゾ・ノーベル(オランダ)やシャーウィン・ウィリアムズ(アメリカ)などは、次々に同業の企業を買収して規模を広げています。

今後、塗料・塗料卸売業界は、世界的な市場でシェアを維持できる大手が占めることが推測されるため、さらなる海外進出とグローバル化を見据えた経営戦略が欠かせません

⑤日本ペイントHDの積極的なM&A戦略

2021年1月、シンガポール投資会社ウットラムグループによる出資が引き上げられたことを受けて、日本ペイントホールディングス(HD)が海外の塗料メーカーの買収を積極的に行っています。

主な事例を挙げると、フランスのクロモロジーを2022年1月に買収したほか、スロベニアのユブを同年前半に買収すると決定しています。

日本ペイントHDでは、低金利に加えて、ウットラムに実施した第三者割当増資などの影響で、M&A資金を確保しやすい環境が整ったと考えられています。今後とも経営の手堅い建築関連の塗料メーカーを中心に傘下に収めることで、事業の手薄な欧米も含めた世界のトップクラス企業を目指すと見込まれている状況です。

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3. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収の相場

塗料・塗料卸売業界のM&A・買収・売却を検討されている方の中には、買収・売却時の相場が気になる方も多いでしょう。そこで、塗料・塗料卸売業界のM&A・買収・売却相場を解説します。

とはいえ、塗料・塗料卸売業界におけるM&A・買収・売却時の相場を一概に断言するのは非常に難しいです。

M&Aは、売却・譲渡対象企業が持つ資産・負債をはじめ、企業の利益などを総合的に判断して売却・譲渡価額を決定します。対象企業の規模などで相場は大きく変わるでしょう。

なお、塗料・塗料卸売業界のM&A動向として海外企業の買収が進んでいますが、海外に拠点を置く企業の買収は非常に高額な取引価格でM&Aが実施されるケースが多く見られます。

特に大手企業の買収・売却・譲渡であれば、数十億円~数兆円規模の取引も少なくありません。

  • 塗料・塗料卸売メーカーのM&A・事業承継

4. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収の事例

この章では、塗料・塗料卸売業界におけるM&A・売却・買収の事例を紹介します。どのような企業が塗料・塗料卸売業界のM&Aを実施しているのか、どのようなM&A手法が取られているのかなどに注目し確認しましょう。

  1. 関西ペイントによるWEILBURGER社の株式取得
  2. 日本ペイントホールディングスによるインドの塗料メーカー2社の株式取得
  3. TBMと武蔵塗料HDによる資本提携
  4. アックによる久米商会の買収
  5. 日本ペイントHDによる豪州塗料メーカーの買収
  6. 日本ペイントHDによる中国塗料メーカーの株式取得
  7. 日本ペイントHDによる米国塗料メーカーの買収
  8. 関西ペイントによる東アフリカ塗料メーカーの買収
  9. 日本ペイントHDによる中国木工用塗料メーカーの買収
  10. 関西ペイントによる欧州工業用塗料メーカーの買収
  11. 関西ペイントによるトルコ塗料メーカーの株式取得
  12. 関西ペイントによる米国塗料メーカーの買収
  13. シャーウィン・ウィリアムズによるバルスパーの買収
  14. 積水樹脂による日本ライナーの株式取得
  15. デュポンによる塗料事業の売却

①関西ペイントによるWEILBURGER社の株式取得

2024年2月、関西ペイントは欧州の連結子会社であるKansai Helios Coatings GmbHを通じてWEILBURGER Coatings GmbH社とWEILBURGER Asia Ltd.(Hong Kong)社の全ての株式を取得しました。

関西ペイントは建築用、自動車用分野をはじめ各種塗料などの総合塗料の製造販売を行う塗料メーカーです。WEILBURGER社は、欧州および北南米・アジアなどで塗料等の製造・販売を行っている老舗塗料メーカーのグループ企業です。

今回のM&Aにより、鉄道車両用塗料分野や耐熱塗料などの技術を獲得し、工業用塗料分野の相乗効果の創出、持続的な企業価値の向上を目指します。

②日本ペイントホールディングスによるインドの塗料メーカー2社の株式取得

2023年8月、日本ペイントホールディングスは、Nippon Paint(India)Private LimitedおよびBerger Nippon Paint Automotive Coatings Private Limitedの株式を取得することを決議しました。

日本ペイントホールディングスは、建築内装、自動車塗装、工業用塗料事業などを展開するグループの持株会社です。

対象会社のNippon Paint(India)Private Limitedは、塗料の購入、製造、販売などを行う企業です。Berger Nippon Paint Automotive Coatings Private Limitedは自動車用塗料の製造・販売を行っています。

今回の2社のM&Aにより、企業価値向上を目指します。

③TBMと武蔵塗料HDによる資本提携

2021年6月、TBMと武蔵塗料ホールディングス(HD)は、資本提携を結びました。両社は、植物由来成分由来のバイオ塗料を組み合わせたLIMEXとCirculeX製品の用途開発を共同して推し進める見込みです。

これにより、両社は、環境配慮素材を用いた高い付加価値がある製品の提供を図ります。

④アックによる久米商会の買収

2019年8月、塗料販売店を運営するアックは同じく塗料販売店である久米商会の全株式を取得し子会社化しました。取得価額は非公開です。アックは、拠点拡大および同業同士の連携による成長を目的にM&Aを実施しました。

⑤日本ペイントHDによる豪州塗料メーカーの買収

2019年4月、日本ペイントホールディングス(HD)は、オーストラリアの塗料メーカーであるデュラックスグループの全株式を取得し子会社化すると発表しました。取得価額は約3,005億円です。

日本ペイントHDは、建築用塗料における事業基盤の強化を目的にM&Aを実施しています。もともと日本ペイントHDはアジアを中心とするグローバル展開を進めており、オーストラリアを含むアジア地域で圧倒的ポジションを確立すると宣言していました。

⑥日本ペイントHDによる中国塗料メーカーの株式取得

2018年11月、日本ペイントホールディングス(HD)の合弁会社であるNippon Paint Chinaは、中国の工業用塗料メーカーである2社「Shanghai Mega Coatings Co., Ltd.」と「Mega Coatings (Nantong) Co., Ltd.」の株式70%を取得すると発表しました。なお、株式取得額は非公表です。

Nippon Paint Chinaは、製品ラインの拡充や新規市場への本格参入を目的にM&Aを実施しました。

⑦日本ペイントHDによる米国塗料メーカーの買収

2017年3月、総合塗料メーカーの日本ペイントホールディングス(HD)は、米国の塗料メーカーDunn-Edwards Corporationを株式取得によって完全子会社化しました。なお、株式取得額は非公表です。

日本ペイントHDは米国における建築用塗料事業の拡大を目指し、M&Aを実施しました。

⑧関西ペイントによる東アフリカ塗料メーカーの買収

2017年2月、関西ペイントは連結子会社を通じて、東アフリカで塗料事業を展開するSadolinグループ各社を株式取得によって100%子会社化しました。なお、株式取得額は非公表です。

関西ペイントグループは、東アフリカ市場の基盤強化・アフリカ全体における事業拡大を目的にM&Aを実施しました。

⑨日本ペイントHDによる中国木工用塗料メーカーの買収

2017年1月、日本ペイントホールディングス(HD)における中国の合弁会社Nippon Paint Chinaは、中国における塗料メーカーHuizhou CRFの株式を60%取得しました。なお、株式取得額は非公表です。

日本ペイントHDは中国における木工用塗料市場の急速な拡大を踏まえ、同市場での事業拡大を目的にM&Aを実施しました。

5. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収のメリット

続いて、塗料・塗料卸売業界におけるM&A・売却・買収のメリットを説明します。塗料・塗料卸売会社の「売却・譲渡することで得られるメリット」「買収することで得られるメリット」をそれぞれの立場から見ていきましょう。

売却・譲渡側

まずは、塗料・塗料卸売会社を売却・譲渡する側のメリットを説明します。主なメリットは、以下の5点です。

  • 従業員の雇用確保
  • 後継者問題の解決
  • 売却・譲渡益の獲得
  • 大手企業の下で安定した経営
  • 個人保証・債務・担保などの解消

それぞれのメリットを順番に解説します。

従業員の雇用確保

塗料・塗料卸売業界の会社を売却・譲渡すると、「従業員の雇用を確保できる」メリットがあります。

これは、特に中小企業に大きなメリットです。塗料・塗料卸売業界の中小企業は、経営不振に陥っている会社も多く見られます。経営が立ち行かなくなり会社が継続できなくなると、働く従業員の雇用確保は不可能です。

しかし、M&Aによって会社を大手企業に売却・譲渡して従業員を大手企業に引き継げば、従業員の雇用を確保できます。

後継者問題の解決

塗料・塗料卸売業界に限った話ではありませんが、多くの中小企業では後継者問題が深刻化しています。会社経営者の高齢化・少子化などがもたらす後継者不足によって、事業承継を進められない中小企業は非常に多いでしょう。

こうした状況の中、M&Aにより会社を売却できれば、深刻な後継者問題を解消できます。

【関連】後継者がいない!社長は事業承継で会社を引継ぎする必要がある?選択肢5選!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

売却・譲渡益の獲得

M&Aを実施して会社売却・事業譲渡すると、売却益・譲渡益を獲得できます。戦略的にM&A手続きを進められれば、高額な売却・譲渡益の獲得も狙えるでしょう。

大手企業の下で安定した経営

会社を大手企業に売却・譲渡して大手企業の傘下になると、安定した経営が可能です。厳しい現状の塗料・塗料卸売業界では、利益をうまく上げられず経営不振に陥る企業が多いでしょう。

そこでM&Aを実施して大手企業のグループ会社になれば、大手企業が抱える経営資産を活用できるため、自社の経営を安定化させられる可能性があります。

個人保証・債務・担保などの解消

M&Aで会社を売却したり事業を譲渡したりすると、個人保証・債務・担保などを解消できるメリットがあります。これにより、経営者自身が個人保証や債務によるプレッシャーから解放されるメリットもあるでしょう。

【関連】会社売却のメリットとデメリット!ポイントを知って会社を高く売ろう| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

買収側

次に、買収側のメリットです。M&Aを実施して、塗料・塗料卸売業界の会社を買収すると、主に以下のメリットを得られます。

  • 人材の確保
  • 必要な事業を低コストで獲得
  • 海外進出のための拠点・販路拡大
  • 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
  • 事業エリアの拡大

それぞれのメリットを順番に解説します。

人材の確保

M&Aによって会社を買収すると、人材を確保できる大きなメリットがあります。特に塗料・塗料卸売業界へ新規参入を図る企業は、専門的知識・技術を持った人材の獲得に多くの時間・コストが必要です。

しかし、M&Aを実施して塗料会社を買収すれば、会社の従業員をそのまま引き継げるため、スピーディーな人材確保が狙えます。

必要な事業を低コストで獲得

塗料・塗料卸売業界に新規参入すると、時間・費用・労力といった多くのコストが求められます。

しかし、新規参入したい事業をすでに運営する会社をM&Aで買収すると、ゼロから事業をスタートするよりも低コストでの新規参入が可能です。

海外進出のための拠点・販路拡大

塗料・塗料卸売業界では、海外での事業展開を図るM&A動向が見られます。すでに海外市場で塗料・塗料卸売業界に関連した事業を展開する会社を買収すれば、海外進出のための拠点・販路拡大をスムーズに進めることが可能です。

国内市場が低迷する塗料・塗料卸売業界では、M&Aにより海外拠点を低コストで手に入れたり、スムーズに販路拡大したりする動きが今後ますます活発化すると予測されます。

顧客・取引先・ノウハウなどの獲得

M&Aにより会社を買収すると、顧客・取引先・ノウハウなどを獲得できるメリットがあります。

新規事業に参入する場合、顧客や取引先をゼロから構築するには、多くの時間が必要です。事業をスムーズに展開するには、ノウハウの獲得が必要不可欠だといえます。

参入したい市場ですでに事業展開している会社を売却できれば、その会社が持つ顧客・取引先・ノウハウを引き継げるでしょう。

事業エリアの拡大

M&Aにより塗料・塗料卸売会社を買収すると、事業エリアの拡大も狙えます。自社と異なる基盤で事業を展開している企業を買収すれば、買収企業の基盤を用いて自社事業をスムーズに展開することが可能です。

塗料・塗料卸売業界は、海外企業を買収して事業エリアを海外に広げる事例も多く見られます。

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6. 塗料・塗料卸売業界の動向やM&A・売却・買収の成功ポイント

塗料・塗料卸売業界のM&A実施を検討されている方に向けて、M&A・買収・売却を成功させるための5つのポイントを解説します。塗料・塗料卸売業界のM&Aを成功させるには、以下のポイントを意識して進めましょう。

  1. 海外進出を目指したM&Aの実行
  2. 国内需要喚起のための統合や合併
  3. 大手企業の傘下入りすることによる事業の安定
  4. 新興国では塗料卸売業界の市場規模が拡大中
  5. M&Aの専門家への相談

それぞれのポイントを順番に解説します。

①海外進出を目指したM&Aの実行

塗料・塗料卸売業界のM&Aを成功させるには、海外進出を目的としたM&Aの実行が大切です。塗料・塗料卸売業界の国内市場は将来性が低く、今からM&Aで参入しても失敗するリスクが高いといえます。

一方、塗料・塗料卸売業界の成長が今後も見込める海外市場への進出を狙ってM&Aを実施すれば、成功確立を高めることも可能です。

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②国内需要喚起のための統合や合併

塗料・塗料卸売業界における国内でのM&Aは、決して意義が薄いわけではありません。国内需要喚起を目的とした統合・合併を行えば、成功する可能性は大いにあります。

特に大手企業同士がM&Aによる合併・統合をすると、国内市場のシェア拡大が狙えるでしょう。実際に、シェアを拡大するためのM&A事例も多く見られます。

③大手企業の傘下入りすることによる事業の安定

塗料・塗料卸売業界の中小企業が取るべき戦略として、大手企業に会社売却・事業譲渡する戦略が有効です。中小企業の中には、国内市場の低迷に伴う経営不振や後継者不足による事業承継の失敗などで、廃業間近の会社もあります。

何らかの対策を講じなければ、会社の存続はもちろん、従業員の雇用を維持することも難しいです。しかし、M&Aを実施して大手企業の傘下入りを果たせば、安定した事業運営を実現できます。

④新興国では塗料卸売業界の市場規模が拡大中

M&Aを実施して海外市場に参入する場合、参入する地域も精査する必要があります。海外の中でも先進国は、日本と同じく塗料・塗料卸売業界の市場が低迷している状況です。一方、新興国では、今後も市場拡大が見込まれます。

つまり、海外に進出して売上・シェアを増加させたい場合は、新興国の塗料・塗料卸売会社を買収すると、成功確率が高くなるでしょう。

⑤M&Aの専門家への相談

M&Aを成功させる重要ポイントとして、M&A専門家への相談が挙げられます。M&Aは、手続きをスムーズに進めるうえで、専門的知識が求められる場面が非常に多いでしょう。

M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に依頼すれば、安心してM&A手続きを進行させられます。とはいえ、専門家選びに迷ってしまう経営者も多いでしょう。

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へお任せください。M&A総合研究所では、M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。

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7. 塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・買収まとめ

今回は、塗料・塗料卸売業界におけるM&A・買収・売却の動向や事例、M&A成功のポイントなどをまとめました。塗料・塗料卸売業界のM&Aに興味がある方は、ぜひ当記事を参考にしてみてください。

塗料・塗料卸売業界のM&Aを成功させるうえで意識すべきポイントは、以下のとおりです。M&Aを成功させたい方は、念入りに確認しておきましょう。

  1. 海外進出を目指したM&Aの実行
  2. 国内需要喚起のための統合や合併
  3. 大手企業の傘下入りすることによる事業の安定
  4. 新興国では塗料卸売業界の市場規模が拡大中
  5. M&Aの専門家への相談

8. 塗料・塗料卸売メーカー業界の成約事例一覧

9. 塗料・塗料卸売メーカー業界のM&A案件一覧

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