成約インタビューM&A事例

クリーンエネルギー事業のM&A事例【埼玉県】

創業60年の老舗と
太陽光ベンチャーが描く未来

  • 譲渡企業

    株式会社エナジークオリティー

    代表取締役

    大友 晴喜 様

    業種
    クリーンエネルギー事業
    地域
    埼玉県
    売上
    10億円以下
    社長の年齢
    30代
    譲渡理由
    事業の更なる成長の実現
  • 譲受企業

    辰美産業株式会社

    代表取締役

    伊川 辰茂 様

    業種
    塗装業
    地域
    愛媛県
    売上
    10~20億円
    上場有無
    未上場
    譲受目的
    事業の多角化

埼玉県川口市で太陽光パネル・蓄電池の販売を手掛ける株式会社エナジークオリティーが、愛媛県西条市で60年の歴史を持つ塗装・塗料卸の老舗、辰美産業株式会社への譲渡を決断した。東日本大震災の経験から「エネルギーの自給自足」を広めるべく奔走してきた大友晴喜代表と、100年企業を目指し、組織の若返りと多角化を模索していた辰美産業の伊川辰茂代表。一見、接点の薄そうな両社を結びつけたのは、共通の価値観と「人」を大切にする想いだった。成約に至るまでの葛藤と、スピード感あふれる決断の背景を伺った。

【譲渡企業】株式会社エナジークオリティー
本社:埼玉県
事業内容:太陽光パネルの販売を手掛けている。

【譲受企業】辰美産業株式会社
本社:愛媛県
事業内容:塗装工事および塗料の卸売などを行っている。

譲渡企業
株式会社エナジークオリティー
代表取締役 大友 晴喜 様 インタビュー

震災の記憶を原動力に、独立から経営権取得へ

―まず、御社の創業の経緯について教えてください。

私は創業者ではありませんが、経営を引き継いだ背景には東日本大震災での経験があります。高校2年生の時に長期間の停電を経験し、電気のありがたみを痛感しました。その後、太陽光・蓄電池の販売会社に入社しましたが、一社員ではできることに限界を感じていました。前オーナーから経営権を買い取るチャンスが訪れた際、この手で「停電から人々を守る設備」を世に広めたいと決意し、代表に就任しました。

訪問販売から独自の営業モデル展開へ、コロナ禍での転換

―御社の事業内容と強みについて教えてください。

主に家庭用蓄電池や太陽光発電設備の販売を行っています。最大の強みは、独自に構築した販売ノウハウを「仕組み化」し、他社へ展開できる点にあります。もともとは訪問販売が主軸でしたが、コロナ禍で対面営業が困難になった際、蓄電ニーズの高まりを背景に、SNS(Instagram)を活用した集客モデルを確立しました。このノウハウをパッケージ化し、フランチャイズのように業務委託契約で営業力を強化したことが現在の成長に繋がっています。

経営の限界を打破し、家族との時間を守るため

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。

業績は順調でしたが、私一人の経営能力では「頭打ち」を感じていました。事業をさらに拡大し、より多くの方に製品を届けるには、組織力のある企業と組むべきだと考えたのが一点。もう一点は家族の存在です。これまで仕事に心血を注いできましたが、まとまった資金を得て運用することで、妻や子供たちとの時間を最優先できる人生を歩みたいという想いが強くなり、M&Aという選択肢を真剣に検討し始めました。

社員と顧客の未来を託せるパートナーを求めて

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。

「社員を大切にしてくれること」、これに尽きます。私の家族はもちろんですが、これまで共に歩んできた社員、そして弊社を信頼してくださっているお客様を絶対に守らなければなりません。ですから、私の経営手腕の限界を補い、会社をさらに成長させてくれる安定した基盤を持ちつつ、誠実に「人」に向き合ってくださるお相手であることを最優先の条件として探していました。

スピード感と熱意が決め手となった運命の出会い

―最終的に辰美産業様への譲渡をご決断されましたが、決め手は何でしたか?

辰美産業様の歴史と、伊川社長、そして担当の神原様の誠実なお人柄です。他候補もいらっしゃいましたが、神原様が「やりきります」と断言してくださったスピード感に圧倒されました。条件も大切ですが、何より私の想いを汲み取り、従業員の未来を真剣に考えてくださる姿勢に「この方々なら任せられる」と直感しました。まさにベストパートナーに出会えたと感じています。

家族との新たな出発と、第二の起業への夢

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

辰美産業様の資本力と管理体制が加わることで、会社が飛躍的に成長することを確信しています。私個人としては、一度肩の荷を下ろし、子供たちとキャンピングカーで旅をするような時間を過ごしたいですね。また、今回の経験を活かし、将来は妻と共に「M&Aによる出口戦略」を前提とした新たな事業を立ち上げることも視野に入れています。自由を手に入れた今、ワクワクが止まりません。

譲れない「軸」を持ち、妥協せず対話を

―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。

会社を「売る」という言葉に抵抗がある方もいるかもしれませんが、それは事業と社員を守り、次なるステージへ進むための前向きな選択です。相手を選ぶ際は、決して妥協しないでください。自分は何を一番大切にしたいのか、その軸を貫き通せば、必ず想いに応えてくれる相手が見つかります。時間をかけてでも、心から信頼できるパートナーを妥協せず探し抜いてほしいと思います。

譲受企業
辰美産業株式会社
代表取締役 伊川辰茂 様
M&A担当 神原ランディフ 様 インタビュー

原子力から民間へ、変化を恐れぬ60年の歩み

―まず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。

弊社は父が創業し、私で二代目となる塗装・塗料卸会社です。かつては売上の9割以上が原子力発電所関連の仕事で、数年先まで案件が決まっている安定した環境でした。しかし、震災により状況は一変。数年の赤字を経験しましたが、そこから民間工事やJR関連など販路を多角化し、現在は原子力の仕事も戻ってきたことで、ここ数年で過去最高の利益を出し、内部留保も蓄積される強い組織へと生まれ変わりました。

100年企業への布石としてM&Aを戦略化

―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。

創業60年を超え「100年企業」を目指す中で、今後40年をどう生き抜くかが課題でした。人材不足が深刻化する中、一から人を育てるには時間がかかります。そこで、既存事業の補強や多角化を目的としたM&Aを経営戦略に据えました。ただ、社内に専門知識がなかったため、M&Aのスペシャリストである神原を迎え入れました。彼の目利きと実行力があったからこそ、今回の決断に至ることができました。

「テコ」となる事業性と、共通する創業の原点

―最終的にエナジークオリティー様を譲り受けされた理由を教えてください。

(神原氏)同社の販売ノウハウと将来性に「テコ入れすればさらに伸びる」という確信を持ちました。あえて本業の塗装とは少し距離のあるクリーンエネルギー分野を選んだのは、独立採算で成功体験を作るためです。また、大友社長の震災を起点とした想いが、弊社の歩みと重なったことも、ストーリーラインとして非常に美しいと感じ、譲り受けを決めました。

組織基盤を固め、トップラインの飛躍を目指す

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

(神原氏)まずはオーナー経営特有の体制から、組織的なコーポレート体制へとテコ入れを行います。ミドルオフィスの機能を強化し、座組をしっかりさせることで、利益がトップラインに比例して伸びていくモデルを確立させます。中長期では、弊社の資金力と大友社長が培った営業ノウハウを融合させ、グループ全体の売上目標である「100億円」達成に向けた強力な推進力にしていきたいと考えています。

M&Aは「採用」と同じ、積極的な経営選択

―今後、事業展開の一つとしてM&Aを活用されることはありますか?

もちろんです。今回の成約を最初の成功体験とし、今後も利益をどこに投資すべきかという視点で、M&Aを積極的に活用します。M&Aは特別なことではなく、人材採用や設備の仕入れと同じ「経営の選択肢」の一つに過ぎません。会社の箱を守りたいのか、思想を繋ぎたいのか、目的を明確にしていればこれほど有効な手段はありません。今後もうまくいくなら、次の一手も当然考えています。

経営者の「山」の時期にこそ次の一手を

―M&Aをご検討されている経営者様にメッセージをお願いいたします。

経営には必ず波があります。谷の時期に動くのは大変ですが、余裕のある山の時期にこそ、次の展開を考えるべきです。また、地方ではまだ会社を売ることへのネガティブなイメージがありますが、一から立ち上げる時間を買うM&Aは、非常に合理的な手段です。還暦を過ぎた私でも、新しい挑戦にワクワクしています。信頼できる専門家を味方につけ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください

譲渡企業回答:私にとってまさに「神」のような存在でした。どんな時間に連絡をしても即座に返信をくださり、当社だけでなく辰美産業様の状況も踏まえた多角的なサポートに深く感謝しています。

譲受企業回答:元仲介経験者の神原も驚くほどのスピード感と専門性でした。タイトなスケジュールの中、地銀との交渉やLBOを意識した複雑な資金調達スキームの構築まで、抜かりなく並走してくれたおかげで成約できました。
 

震災という共通の原点を持ちながら、一方は「家族と未来」のために、一方は「100年企業への飛躍」のために。埼玉県と愛媛県、業種も背景も異なる二社の出会いは、M&Aという手段を通じて最高の結果をもたらした。
大友氏が情熱を持って育てた太陽光・蓄電池事業のノウハウに、辰美産業の盤石な資本力と組織力が加わる。今回の約4ヶ月という短期間での成約を実現させたのは、アドバイザーの仲介力に加え、何より両代表の「社員を思う心」と「決断の胆力」が共鳴したからに他ならない。歴史ある老舗に新しいエネルギーが吹き込まれ、両社のさらなる発展が今から期待される。

担当者からのコメント

今回のご成約にあたり、大友代表から過分なお言葉を頂戴し、大変恐縮しております。私としては、大友代表の「停電から人々を守りたい」という創業の原点と、ご家族や社員様を想う真摯なお気持ちに応えたい一心で伴走させていただいただけでした。大友代表は若くして経営権を取得され、独自の営業モデルを確立されるなど、その行動力と決断力には常に感銘を受けておりました。一方で「一人の経営では限界がある」と冷静にご自身を見つめ、社員様とお客様の未来のために最善の選択をされた姿勢は、経営者として本当に素晴らしいものでした。辰美産業様にとっては今回が初めてのM&Aとなりましたが、神原様と綿密に連携しながら、LBOを活用した資金調達スキームをはじめ、あらゆる選択肢を網羅的に検討・比較いたしました。両社にとって最適な座組みを追求できたことが、約4ヶ月という短期間でのご成約に繋がったと考えております。震災という共通の原点を持つ両社が結ばれたことに、深いご縁を感じずにはいられません。辰美産業様の組織力のもとでエナジークオリティー様がさらなる成長を遂げ、より多くのご家庭にエネルギーの安心をお届けされることを心より願っております。そして大友代表には、ご家族との大切な時間を存分に楽しんでいただきたいと思います。両社の明るい未来に微力ながら貢献できたことを、担当として光栄に思います。
(企業情報本部 副部長 岡本 勝也)
岡本 勝也

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