譲渡企業
株式会社シープ
代表 藤東 宣博様インタビュー
デザインへの情熱から生まれた事業
ーまず、御社の創業の経緯、事業内容と強みについて教えてください。
大学卒業後、デザインの道に進み、最初は株式会社資生堂でデザイナーとして勤務しました。男性用化粧品「MG5」や、西武デパートの新しい商業施設「パルコ」のデザインに携わるなど、様々な経験を積みました。その後、地元札幌に戻り、看板やネオンサインの設計・製作・施工を手掛ける会社を立ち上げました。当社の強みは、デザイン力と、それを実現する技術力です。特に、デザイン学校時代から培ってきたスクリーン印刷の技術は、独自のデザインを生み出す基盤となりました。
バター飴をきっかけに事業を拡大
ーどのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
札幌に戻り、当初は5人ほどの小さな看板会社で、デザインと営業を担当しました。デパートの仕事などを次々に獲得し、会社の規模を3~4倍に拡大させました。その中で、北海道の土産物であるバター飴に着目し、デザイン性に優れたパッケージを提案したところ、爆発的にヒットしました。北海道内の大手製菓会社様など、様々なお菓子メーカーのバター飴のパッケージを手掛け、会社の成長を加速させました。その後、独立して株式会社シープを創業し、お客様が営業に来てくれるほどに事業を大きくしていきました。
従業員の幸せを最優先に考えた決断
ー譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
事業が拡大する中で、ある時、従業員と会社の未来について深く考えるようになりました。会社を大きくすることだけが正しい道ではない、もっと人間らしく働ける環境を作るべきだと感じ、従業員の数を半分に減らしました。それでも売上は維持したまま、外注先が増え、協力会社とのつながりも深まりました。そして、従業員が高齢化する中で、会社をどうすべきかを考え始めました。大きなビルを建てる計画も立てましたが「従業員を増やすよりも、給料を増やしてあげたい」という気持ちが強くなり、M&Aという選択肢を考えるようになりました。
従業員の未来と夢の実現を託す

ー検討を進められる上で、ご希望や大事にされた条件を教えてください。
今回のM&Aで最も重要視したのは、従業員を大切にしてくれるかということです。そして、会社が次のステップへと進み、新たな夢を追いかけていけるかどうか、という点も重視しました。フィールド・クラブ株式会社の三上代表とお話をする中で、当社の事業と従業員の未来を託すことができる、と確信しました。
人生は人を大切にすること
ー譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いします。
人生において、周りの人を大切にすることに勝るものはありません。それは、どんな職業であれ、性別や身体の不自由に関係なく、誰もが同じように幸せを求めているからです。いつもこのことを胸に刻んで、経営者として歩んできました。M&Aを考えている経営者様にも、会社の規模だけでなく、関わる人々の幸せを第一に考えてほしいです。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください。
会社をより良い未来へ引き継ぎたいと考えていたところに、M&A総合研究所の高橋さんとのご縁がありました。多くの候補企業を紹介してくれましたが、今回のフィールド・クラブ株式会社との出会いは特別なものでした。彼らが持つ夢のある事業に、当社の未来を託せると思いました。高橋さんは非常に熱心で、これからM&Aを通じて多くの人の幸せを築いていってくれると信じています。
従業員の幸せを第一に考え、自らの事業に情熱を注いできた藤東氏。その想いを引き継いだフィールド・クラブ株式会社の代表は、看板事業が持つ可能性と、シープの技術力に大きな期待を寄せています。今回のM&Aは、単なる事業の譲渡ではなく、長年培ってきた技術と、それに関わる人々の想いを次世代へ繋ぐための決断でした。両社が持つ強みを活かし、互いに成長していくことで、北海道から全国へと、新たな価値を創造していくことが期待されます。