譲渡企業
運送業 A社
オーナー インタビュー
運送一筋、大手協力会社として東北の物流を担う
ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。
高校卒業後、運送会社に入社しドライバー、中間管理職の経験をして運送会社を設立しました「東北に集まる荷物をすべて自社で運びたい」という思いで、現在は東北に拠点を構え、長距離輸送をメインに行っています。
官公庁からの支援輸送で社名を確立
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
事業内容は主に東北から関東・関西までをカバーする長距離輸送がメインです。強みとしては、長年の経営の中で、東日本大震災のような大きな局面も乗り越えてきた経験が挙げられます。震災の際には、官公庁から支援物資の輸送を任せていただくなど、着実に社名を外に広めることを積み重ね、各運送会社との協力体制の下、安定した収益を確保できている点も強みです。
困難を乗り越え信頼を積み重ねた事業拡大

―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
事業拡大は、特別な秘策があったわけではなく、一歩一歩の積み重ねです。特に、東日本大震災からの復旧では、通常の物流に戻るまでに3年ほどかかりましたが、その間に公的な支援物資輸送を担うなど、会社の存在感と信頼度を高めることができました。困難な状況でも着実に業務を遂行し、現在の事業規模に至ったと考えています。
優秀な人材を取り込み事業の未来永劫を目指す
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
子供が2人いますが、どちらも既に独立しているため、後継者がいませんでした。東北の人間だけで事業を続けていくのではなく、外部の素晴らしい人材や力を取り入れることで、会社が未来永劫に繋がるようにしたいと考えたのがきっかけです。そこで、M&Aの力を借りて我々が持っていない力を社内に入れることを決めました。
重視したのは「一緒に会社を大きくできるか」
―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
検討を進める上で、金額的な条件よりも、譲渡後の未来を最も重視しました。一緒になった後に、手を携えて共に会社を大きくしていけるか、日本の市場に選んでいただけるかどうかという点を一番に考えました。会社の運営体制、管理体制には自信があったため、「共に成長するパートナー」であるかどうかを大事な条件としました。
担当アドバイザーの熱意と一生懸命さが決め手
―最終的にC社様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
担当アドバイザーの黒さんの一生懸命さが強く伝わってきたことが最終的な決め手となりました。私自身、M&Aが初めての経験である中で、こまめに連絡をくれるなど、真摯に本件に取り組む黒さんの姿勢に心を打たれ、譲渡するのなら彼にお任せしたいという思いから、最終的な決断をしました。
地方運送会社のノウハウを活かしM&Aでの成長に期待
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
今後、特に地方の運送会社は単独での経営が難しくなる時代が来ると感じています。今回親会社となっていただいたC社様と、我々が持つ運送業のノウハウや経営資源を組み合わせ、新しい時代のニーズに合った会社を作っていくことを目指していきます。将来的には、地域の運送会社への共同投資などを通じて、業界全体の活性化に貢献できればと考えています。

従業員の待遇向上を考えるなら大きな船に乗るべき
―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
経営者一人ひとり考え方は違うと思いますが、働いてくれている社員さんの待遇が今よりも良くなるのであれば、大きな船に乗るべきだと私は思います。日本の経済情勢は変化が早いので、しがみつくのではなく、時流をしっかりと感じ取り、社員の生活を向上させることを考えるのであれば、M&Aは決して悪い選択肢ではありません。社員の未来を第一に考えることが重要です。
譲受企業
投資ファンド業 C社
マネージャー F.Y.様 インタビュー
社会インフラと人材不足の課題解決に注力
―まず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。
弊社は投資ファンドの運営および投資先企業に対する経営アドバイザリー業務を行う会社です。特に、事業の需要はあるにもかかわらず、人材不足などの課題によって供給が追いついていない社会インフラ系の事業への投資は社会的意義が大きく、注目していました。過去には建設工事会社などへも投資実績があり、そうした企業の経営資源の確保や事業規模拡大(ロールアップ)を通じて、社会的課題の解決と企業のバリューアップを目指しています。
組織としての成長ポテンシャルを重視
―御社の強みについて教えてください。
弊社の強みは、中堅・中小企業に眠る暗黙知を形式知化し、組織力として活用することで会社を大きくしていくノウハウを持つ点です。「社会に対して付加価値を提供し続けられるか」「将来にわたって安定したキャッシュフローを生み出せるか」といった、企業そのものの競争力、組織としての成長ポテンシャルを確認して投資しています。
2024年問題と運送業界の二極化が契機
―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
運送業界はドライバーの担い手不足や2024年問題による働く環境の改善要求など、経営環境が厳しくなっています。また、運送会社の中でも収益を確保できている会社とそうでない会社の二極化が進んでいます。弊社が過去に投資してきた建設業界等と同様に、需要はあっても人材不足で供給が追いついていないという共通の課題から、運送会社への投資に関心を持ちました。
大手の物流会社に対するプレゼンスと確固たる経営基盤を評価
―最終的にA社様を譲り受けされた理由を教えてください。
運送業界の中で、A社様は物流に対する高いプレゼンスを持ち、トラックやドライバーなどの経営資源も豊富で、収益管理・運行管理体制がしっかりしている優良な会社だと評価しました。また、これまでそうした確固たる経営基盤を築き上げてこられた経営者様の胆力も、譲り受けを決定した大きな理由の一つです。
複数の運送会社投資による規模拡大と課題解決
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
今回、経営基盤が豊富な運送会社に投資できたことで、まずは一歩を踏み出すことができました。今後は、運送会社への追加投資を継続的に実行し、より規模の大きな会社にしていくことを目指しています。これにより、輸送能力の確保という社会的な課題に対して、より大きく貢献できる体制を築いていきたいと考えています。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
譲渡企業回答:黒さんの仕事に対する真剣味と熱意がとても伝わりました。求めていないところまで最善の条件になるように一生懸命に動いてくれたので、この人じゃないと譲渡しないと決めました。
譲受企業回答:デューデリジェンスにおいて、タイトなスケジュールにも関わらず、スケジュール通りに資料収集や回答が得られたのは、黒さんがA社様との間に強固な信頼関係を築いていたからだと思います。この親密さがスムーズなプロセスを実現してくれました。
地方の優良運送企業と、社会インフラ分野の課題解決を目指す投資ファンド。この一見異質な二社の出会いは、お互いの強みと戦略的な目的が見事に合致した理想的なM&Aとなりました。A社オーナーの従業員の未来への責任感と事業継続への想い、そしてC社が持つ社会的な課題解決とロールアップ戦略という視点が結実した結果と言えます。A社が持つノウハウがファンドの資本力と経営資源と融合することで、運送業界の構造的課題に挑み、両社の更なる発展、そして業界全体への貢献への期待が高まります。
担当者からのコメント
対象企業様は組織体制、原価管理、安全管理について十分なノウハウを有し、当面の事業運営について何ら問題がない健全な会社でした。一方で、会社の中期的な時間軸で考えたとき、人材の採用、定着化には将来的な課題があるとの認識を持たれていらっしゃいました。その潜在的な課題を解決できるパートナーとのご提携をご決断されましたが、最重要と考えられたのは「会社の成長」と「従業員様の労働環境の改善」ということでした。私どもの業務は、オーナー様のあらゆる選択肢と、直面されている課題への解決策を提示し、十分な議論を通じて、オーナー様ご自身に最善の選択を決定していただくことです。物量の波動を受け止め続けてきた対象企業様、そのオーナー様にお仕えでき、担当として心から嬉しく思います。地場のスター企業として、会社の益々の発展を期待しております。
(企業情報本部 シニアマネージャー 黒 翔也)
