譲渡企業
株式会社MeTa
代表取締役 春日 幹雄 様 インタビュー
「数学が苦手」な視点から始まった創業
―まず、御社の創業の経緯について教えてください。
東北大学在学中の2020年に創業しました。私自身、数学は得意でしたが、数学科出身ではないからこそ「数学が苦手な生徒のつまずき」が理解できると考えたのがきっかけです。既存の塾では、得意な人が得意な人に教える傾向があり、本当に困っている生徒へのアプローチが不足していると感じていました。生徒3名からスタートし、徹底して生徒の悩みに寄り添う形で組織を拡大させていきました。
数学克服に特化した独自の教育モデル
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
高校生の数学克服に特化した、完全個別指導のオンライン学習塾です。現在、生徒数は約300名、講師数は約80名の規模まで成長しました。デジタルマーケティングを駆使し、進学校で数学だけが苦手な生徒や、定期テストで伸び悩む生徒に対し、全国どこからでも質の高い指導を受けられる体制を構築しています。課題が根深い領域に特化した、質の高いサービス提供が弊社の強みです。
徹底した仕組み化で属人化を排除
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
創業時から「自分が抜けても回る組織」を目指し、仕組み化を徹底しました。具体的にはマニュアルの整備や、システム設定によるタスク管理などです。例えば、講師のシフトはアルバイトが各々組み、社員は最終確認のみ行うことで、管理業務を大幅に軽減しました。定型業務を自動化・効率化することで、経営陣が戦略的な視点にリソースを割ける環境を整え、迅速な事業拡大を実現しました。
「0から1」の創出へ再び挑むための決断
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
私は「0から1」を創ることに強い情熱を持っています。事業が3年目を迎えた頃、組織をさらに成長させるには、教育そのものに高い熱量を持つ組織の傘下に入る方が、生徒や社員にとって幸せであると考えるようになりました。私自身も、再び新しい領域で社会課題の解決に挑みたいという想いが強くなり、前向きな出口戦略として譲渡を決断しました。
従業員の環境維持とシナジーを重視

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
社員や講師陣が、譲渡後もこれまで通り、あるいはそれ以上にのびのびと働ける環境の維持を最優先しました。また、教育分野での熱意を正当に評価し、弊社のサービスをさらに広めてくれるパートナーを求めました。単なる規模の拡大ではなく、お互いの強みを活かし合える譲受企業との信頼関係を構築できるかどうかを大切にしました。
フラットな姿勢とハード領域への期待
―最終的にテクノホライゾン様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
初回の面談から非常にフラットに接していただき、弊社の価値を認め、共に成長しようとするホスピタリティを感じました。また、老舗メーカーとして学校教育のハードウェアに強みを持つ同社との提携は、オンライン専門の弊社にはない大きな魅力でした。自分たちが手を出せないハードウェア領域のリソースを持つ、理想的なパートナーだと確信したことが決め手です。
譲渡後に実感した円滑なPMIの秘訣
―譲渡後の引継ぎ(PMI)において工夫された点はありますか。
譲渡前から「私が稼働しなくても回る仕組み」を完成させていたため、引継ぎは非常にスムーズでした。また、信頼できる後任に権限を委譲し、私が意識的に一歩引くことで、新しい組織体制が自律的に動き出せるよう配慮しました。テクノホライゾン様の理解もあり、非常にポジティブな形でバトンを渡すことができたと感じています。
社会インフラとしての物流DXへの挑戦
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
譲渡後は組織の安定性が増したと感じています。私個人としては、今回の実績を自信に変え、現在は国際物流のデジタル化という新たな社会課題の解決に向けて準備を進めています。レガシーな産業にデジタルで変革をもたらし、社会に大きなインパクトを与える事業を、再びゼロから立ち上げていく決意です。
「実績」というお金で買えない武器
―連続起業家を目指す上で、M&Aで得た最大の武器は何ですか。
資金面もさることながら、上場企業に譲渡を完遂したという「実績」が最大の武器です。社会的な信用度につながり、次なる挑戦においても強力な後押しとなります。若いうちに厳しいデューデリジェンスを乗り越え、成約まで至った経験は、今後の経営において何物にも代えがたい誇りであり、自信に繋がっています。
出口戦略を見据えた経営が選択肢を広げる
―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
私は早い段階から出口戦略を意識していたことで、精神的な負荷なく今回の成約を迎えることができました。どのような形が正解かは人それぞれですが、早めに準備を進めておくことで将来的な選択肢が広がり、結果として納得のいく決断ができるようになります。プロのアドバイザーと共に歩むことで、無駄な時間の短縮と理想的なマッチングが実現できるはずです。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーの圧倒的な熱意が決め手でした。弊社の事業を深く理解し、上場企業への譲渡という目標に対し、初期段階から解像度の高い提案をいただいたことで、信頼してお任せすることができました。
旧エルモ社を源流に100年超の歴史を持つ老舗企業と、デジタルネイティブな感性で教育の課題に挑む新進気鋭のスタートアップ。一見対照的な二社の出会いは、ハードとソフト、伝統と革新がお互いの強みを活かし合う理想的なM&Aとなりました。春日氏が創業時から出口戦略を見据えて仕組み化を徹底していたことが、譲受企業による厳格な審査のスムーズな通過と、成約後の円滑な引継ぎを実現させました。譲渡後、春日氏は次なる社会課題解決へと踏み出し、MeTaはテクノホライゾンのリソースを得て、教育の未来を変える新たなステージへと歩み始めています。
担当者からのコメント

本件は、オンライン教育の最前線を走る譲渡企業様と、教育ICTハードウェアの雄である譲受企業様による、次世代の教育インフラを創出する極めて意義深い事例となりました。「教育×オンライン×グローバル」という高い志を掲げるなか、MeTa様が持つ数学特化の運営ノウハウやAI活用力は、テクノホライゾン様の盤石な事業基盤において最大の相乗効果を発揮すると確信しております。実務面では、若き経営陣のスピード感と上場企業に求められるガバナンスの調和が鍵となりましたが、両社の未来への共感を通じて、円滑な合流を実現することができました。譲渡後、両社のリソースが融合し、新たな教育体験が世界へ広がっていくことをお聞きし、大変嬉しく思います。教育DXの先駆者として、さらなる飛躍を遂げられることを心より祈念いたします。
(企業情報本部 シニアマネージャー 原 拓弥)