成約インタビューM&A事例

サッシ工事業のM&A事例【東京都】

84歳創業者の決断。
共通の友人から始まった「信頼の縁」への承継で、
社員と独自の技術を守り抜く

  • 譲渡企業

    サッシ工事・メンテナンス業 S社

    会長

    T様

    業種
    サッシ工事・メンテナンス業
    地域
    東京都
    売上
    8億円
    社長の年齢
    84歳
    譲渡理由
    後継者不在、事業の継続
  • 譲受企業

    内装工事業 H社

    社長

    C様

    業種
    内装工事業
    地域
    東京都
    売上
    11億円
    上場有無
    未上場
    譲受目的
    相互成長

マンションサッシの部品交換・メンテナンスというニッチな分野で独自の地位を築いたS社。80歳を超え、従業員の雇用と技術の承継を第一に考えたT会長が選んだお相手は、共通の友人を通じて知り合ったH社でした。同じ内装工事という類似業種であり、活動エリアも近いことから親交を深めていた両社。互いの事業への理解と信頼を積み重ねる中で、M&Aという形で手を組むことになった確かな縁と、その決断の背景を伺いました。

【譲渡企業】サッシ工事・メンテナンス業 S社
本社:東京都
事業内容:金属製建具のメンテナンスを中心としたリフォームを行っている。

【譲受企業】内装工事業 H社
本社:東京都
事業内容:各種建物の内装工事を行っている。

譲渡企業
サッシ工事・メンテナンス業 S社
会長 T様 インタビュー

59歳からの再挑戦。部下を守るための起業

―まず、御社の創業の経緯について教えてください。

もともと私は近畿車輛という会社でサッシ事業に従事していました。当時、マンションの玄関ドアで高いシェアを誇っていましたが、事業譲渡に伴いLIXIL(当時はトステム)へ転籍することになりました。その後、東京で共に働いていた約100名の部下の雇用を守る必要に迫られた際、「サラリーマン生活はもういいかな」と一念発起し、59歳で会社を設立したのが始まりです。当初は後輩に経営を任せ、私は65歳から本格的に合流しました。

大手が参入しない「隙間産業」での独自戦略

―御社の事業内容と強みについて教えてください。

主力事業は、マンションのサッシやドアの部品交換・メンテナンスです。窓枠ごと交換する大規模工事ではなく、戸車や鍵などの部品を交換することで機能を回復させる仕事です。これはメーカーが手間を嫌がって手を出さない隙間産業なんです。
当社の強みは、メーカー系列に縛られず、あらゆるメーカーの製品に対応できるノウハウと、きめ細やかな調査力です。設計事務所やマンション管理組合に対し、現地調査を行って「どのメーカーのどの部品が必要か」という調査報告書の作成からサポートします。これにより、改修設計の段階で当社のスペックが採用され、指名での受注に繋がる独自のスタイルを確立しました。利益率の高い部品交換に特化し、メーカーからも頼られる存在になれたことが成長の要因です。

80歳を超えて、社員の未来を案じて

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。

自身が80歳を超え、体力的な限界を感じていたことが最大の理由です。当初は77歳くらいでの引退を考えていましたが、ズルズルと来てしまって。息子達は異業種で働いており、建設業とは全く畑違いです。本人に継ぐ意思がないことは分かっていましたし、無理に継がせて苦労させたくないという親心もありました。しかし、私の引退によって会社を畳むわけにはいきません。私がいなくなった後も会社が存続し、社員が路頭に迷わない環境を作ることが、経営者としての最後の責任だと考え、第三者への承継を決意しました。

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件は何でしたか?

「会社を存続させること」と「社員全員をそのまま引き受けてくれること」を最優先しました。複数の仲介会社からご提案いただきましたが、利益追求だけでなく、そこで働く「人」を大切にしてくれる相手でなければ意味がありません。社員が安心して働き続けられる環境を守ってくれることが、絶対条件でした。また、検討にあたっては、当社のF監査役との二人三脚で行い、客観的なアドバイスを受けつつ進めていったのが、非常に良かったと思います。

―最終的にH社様への譲渡をご決断されましたが、決め手は何でしたか?

決め手はC社長の人柄と、「ご縁」です。実はC社長とは、共通の友人を介して知り合った間柄でした。同じ内装工事に関わる業種で、活動エリアも近かったことから親睦を深め、直接やり取りを続ける中で信頼関係を築いてきました。改めてM&Aという形で向き合った際、「1+1を単なる2ではなく、3にしていこう」という彼の前向きな姿勢と、交流を通じて知っていた誠実な人柄に、「彼なら社員を大切にしてくれる」と確信しました。また、企業同士の規模感のバランスも重要だと感じていて、お互いの良さを活かせる対等な関係だと感じた点も大きかったです。

相互補完で強固な組織へ

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

当社にはH社様にはいない有資格者が在籍しており、人材交流や出向を通じて相互に事業を補完できると期待しています。また、当社では手書きやエクセルで行っていた業務管理やバックオフィス機能について、H社様のノウハウを導入することで標準化・効率化が進むことを望んでいます。M&Aしたからといって急激に変化させるのではなく、互いに干渉しすぎず、ゆっくりと融合していくことで、両社にとってプラスの成長を目指していきたいです。

規模感とタイミングを見極めることが重要

―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。

相手企業との「歩幅の合わせやすさ」は、非常に大切な視点だと思います。率直な意見交換ができる適切なバランスを意識することで、互いに尊重し合える関係が築きやすいと、自身の経験から感じました。 また、私自身は84歳まで決断を延ばしてしまいましたが、気力・体力が充実し、柔軟に動ける65歳や70歳といった早めのタイミングで検討を始めることをお勧めします。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください

担当アドバイザーが建築・不動産業界の出身で、我々の業界に対する理解と共感を持ち、当社の強みを深く理解してくれました。また、スピード感を持って対応してくれたおかげで、知人同士のM&Aでも角が立たず、スムーズに交渉がまとまりました。間にプロが入ることで、条件面の調整などが感情的にならずに進められた点も良かったですね。

部品交換というニッチな分野で独自の地位を築いた老舗企業と、内装工事で成長を続ける企業。思いがけない「人の縁」で結ばれた二社は、互いの不足を補い合う理想的なパートナーとなりました。T様会長の「社員を守りたい」という強い想いと、H社の現場を尊重する姿勢が合致した事例になりました。有資格者の活用と管理体制の強化というシナジーにより、両社の更なる発展と技術の承継が期待されます。

担当者からのコメント

瀬戸 智久
オーナー様はご高齢且つご病気を患わられており、後継者もご不在の状況であったことから数年前よりM&Aを検討されていました。これまでにも何度かM&Aを検討していたものの、良い企業様と巡り合えずの状況でした。社員の働きやすさを第一に考えていたオーナーにとって、今回信頼できる企業様と巡り会えたことはアドバイザーとして非常に嬉しく思います。そんな信頼できるお相手とのM&Aであったからこそ、類似企業、同地域企業として更なる成長発展を遂げられることと確信しております。本件についてアドバイザーとして携わらせていただいたことを感謝しております。両社の益々のご発展を心より願っております。
(企業情報本部 次長 瀬戸 智久)

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