成約インタビューM&A事例

ソフトウェア業のM&A事例【埼玉県】

医療ITの未来を拓く戦略的M&A
技術と顧客基盤の融合で描く新たな成長軌道

  • 譲渡企業

    ラジエンスウエア株式会社

    代表取締役

    中嶋 吉男 様

    業種
    ソフトウェア業
    地域
    埼玉県
    売上
    約10億円
    社長の年齢
    70代
    譲渡理由
    成長戦略、後継者不在
  • 譲受企業

    株式会社Ubicomホールディングス

    代表取締役社長

    青木 正之 様

    業種
    ソフトウェア業
    地域
    東京都
    売上
    約60億円
    上場有無
    上場
    譲受目的
    内製化による成長戦略

医療システムの開発・導入を通じて現場の課題解決に尽力してきたラジエンスウエア株式会社と、グローバルなシステム開発リソースと先進的なデータ活用ノウハウを有する株式会社Ubicomホールディングス。確かな技術力と広範な顧客ネットワークを掛け合わせ、医療IT分野における圧倒的なシナジーの創出を目指すM&Aとなりました。社員を守り、事業のさらなる飛躍を描く両社トップに、ご譲渡および譲り受けの背景や今後の展望を伺いました。

【譲渡企業】ラジエンスウエア株式会社
本社:埼玉県
事業内容:医療機関などに医療システムの開発や導入を行っている。

【譲受企業】株式会社Ubicomホールディングス
本社:東京都
事業内容:病院等の医療機関あるいは関連施設に関わる、医療情報システムのソフトウェア商品の 開発・販売、受託開発、コンサルテーションを中心とした事業を展開している。

譲渡企業
ラジエンスウエア株式会社
代表取締役 中嶋 吉男 様 インタビュー

「繋がるシステム」で医療のIT化を支援

―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。

2000年に創業し、医療機関向けのシステムの開発や導入を行っております。私は以前、半導体関連の仕事に携わっており、その関係でDNA解析装置を手がけていました。1997年頃にプロバイダーに関する勉強会で知り合った医師から、医療現場のIT化についてご相談を受けたことが創業のきっかけです。「コンピューターは繋がるもの」という信念のもと、異なるシステム間の連携を実現する技術力が強みです現場の課題を的確に捉え、利便性を高めるソリューションで厚い信頼をいただいております。

ストックビジネスによる強固な事業基盤

―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。

設立当初は少人数でスタートしたため、営業から構築、サポートまで全てを兼任しておりました。大手メーカーが競合となる厳しい環境でしたが、医師会の認定を受け、埼玉県、群馬県、東京都と着実に展開してきました。当初はレセプトコンピューター(ORCA)のみを取り扱っていましたが、後に電子カルテシステムへも事業を拡大しました。保守契約によるストックビジネスの性質を活かし、質の高いサポートを提供することで顧客基盤を拡大してまいりました。

社員を守り、事業を永続させるための決断

―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。

10年ほど前から事業承継を意識し始めました。当初は社内での承継も模索しましたが、事業規模が拡大する中で適切な体制を構築することが難しく、数年前から他社との資本業務提携を検討するようになりました。企業として、自社を信頼して入社してくれた社員を守り、事業を継続させることが何より重要だと考えていましたので、経営陣が心身ともに元気なうちに、最適なパートナーを見つけることが会社の未来に繋がると判断いたしました。

安心できる社風と医療事業への深い理解

―ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。

社員が安心して働き続けられることを前提に、最も重視したのは、お相手の社風と経営者のお考えです。事業面では、利益率が高く強固な財務基盤を持っていらっしゃること、また医療業界特有の業務に対する深い理解がある企業様を探しておりました。単に事業領域を広げたいというだけでなく、医療現場の実態に即した価値提供を共に目指せるかどうかが、提携先を見極める上で重要な基準でした。

共感できる企業文化と圧倒的なシナジー

―最終的にUbicomホールディングス様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡を決めた理由を教えてください。

Ubicomホールディングス様は医療業界での確かな実績に加え、高い利益率と安定した経営基盤をお持ちでした。何より青木代表の「社員やお客様を大切にする」という理念に触れ、当社の文化と深く共感できると感じたことが大きな決め手です。実際にお会いした経営陣の皆様も非常に温和で、相互理解に基づいたスムーズな融合が図れると確信しました。両社が組むことで、かつてない相乗効果が生まれると期待しております。

リソース融合による全国規模の事業展開

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

Ubicomホールディングス様が持つ数万件規模の医療機関ネットワークを活用することで、当社の技術をより広い市場へ展開できると確信しています。今後は関東圏にとどまらず、日本全国へと我々の技術やサービスをお届けし、日本の医療インフラを支える存在へと共に成長していきたいと考えております。これまで強化できていなかったバックオフィス機能も支援いただいており、想像以上にうまく進んでいると感じています。

早い段階での準備が社員の未来を守る

―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。

企業ごとに抱える課題は異なりますが、経営者が元気なうちに準備を始めることが非常に大事だと思います。一番守りたいもの、例えば「社員の雇用や安心」が実現できるのであれば、M&Aによる譲渡は非常に前向きな選択肢となります。またM&Aは社員に相談できないため、自社をよく理解してくれる、信頼できるアドバイザーに相談することも大事です。自社の価値観を共有できる相談役を見つけることが、会社の未来と社員の生活を守ることに繋がります。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください

完全成功報酬制であったことが大きな安心材料でした。担当アドバイザーは、当社の事業や私の想いを深く理解し、的確な提案を行ってくれました。私が業務で多忙な折は、こちらの状況に合わせて迅速かつ真摯に対応していただき、とても助けられました。複雑な交渉においても、高度な専門知識をもって論理的に進めていただけたので、頼もしさを強く感じました。
 

譲受企業
株式会社Ubicomホールディングス
代表取締役社長 青木 正之 様 インタビュー

時代の変化を捉え、医療IT領域へ進出

―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。

私はもともと他業種の出身ですが、震災を機に在庫を持たない情報通信分野へ事業を転換し、ベンチャー企業を立ち上げました。その後、海外の優れたITエンジニア拠点を譲り受け、システム開発事業を本格化させました。医療分野においては、医療データの活用や、継続的な収益を生むリカーリング(サブスクリプション)モデルの構築に注力しています。極めて低い解約率と高い利益率を安定的に実現している点が、当社の最大の強みです。

顧客基盤の拡大と直販体制の構築

―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。

少子高齢化が進む日本において、医療機関の業務効率化は急務です。当社の医療機関経営支援ソリューション「Mighty」シリーズ(ユーザー数約23,000)は全国の医療機関で高い評価をいただいておりますが、さらなるシェア拡大を図るためには、販売網の強化が必要でした。そこで、全国で優れた顧客基盤を持つ医療システムベンダー様をグループ化し、ダイレクトネットワークを構築することを構想しました。これにより、全国の医療機関へ当社のプラットフォームを直接、かつ迅速にお届けできる体制を目指しております。

信頼できる経営者と誇りある組織風土

―最終的にラジエンスウエア様を譲り受けられましたが、印象や譲り受けを決められた理由を教えてください。

中嶋代表とお話し、責任感が強く社員の皆様を非常に大切にされている経営者様だと感じました。ITリテラシーが高く、社員の皆様に誇れるビジョンを明確にお持ちだった点も印象的でした。長年築き上げられた強固な事業基盤と、社員の皆様が持つ高い専門性は、当社にとって大きな魅力です。両社が融合することで、これまでの取り組みをさらに大きな成果へと導く「掛け算」のシナジーが生み出せると確信し、決断いたしました。

サービスの相互提供による成長の加速

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

まずは当社からコンサルティングセールス等の人員リソースを提供し、ラジエンスウエア様が抱える豊富な受託案件を円滑に進め、事業規模をさらに拡大させます。その上で、当社のAIを活用した付加価値の高いソリューションを、ラジエンスウエア様の顧客ネットワークを通じてご提供していきます。両社の強みを相互に活かすことで、医療IT分野におけるリーディンググループとしての地位を確立したいと考えております。

戦略的パートナーシップ構築

―今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。

はい、事業展開の柱として積極的に活用していく方針です。メディカル事業においては、国内で優良な顧客基盤を持つベンダー様を対象に、2025年~2030年で累計8~10社のグループ化を進めていきたいと考えております。今後も当社の収益性最大化に向け、戦略的なパートナーシップを探求し続けます。

互いを尊重し、「掛け算」の融合を目指す

―M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。譲渡企業様、譲受企業様の両者に向けてアドバイスをいただきたいです。

譲渡企業様には、会社を「我が子」のように思うからこそ、社員の皆様が新しい環境でいきいきと夢を描けるお相手を慎重に見極めていただきたいです。譲受企業様にお伝えしたいのは、M&Aは単なる足し算ではなく「掛け算」の化学反応を起こすものだということです。上から目線で接するのではなく、譲渡企業様のこれまでの歩みに敬意を払い、互いの文化を尊重しながら、同じ目標に向かって笑い合えるような信頼関係を築くことが不可欠です。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください

担当アドバイザーは、単に両社を引き合わせるだけでなく、高い当事者意識と専門的知見をもってサポートしてくださいました。税務や法務の知識も深く、論理的かつ的確なアドバイスに何度も助けられました。また、スケジュール管理が見事で、効率的な進捗管理により、スムーズな承継に大きく貢献していただきました。最後まで見届けてくださる真摯な姿勢に感銘を受けました

独自の連携技術で長年地域医療を支え続けてきたラジエンスウエア様と、革新的なデータ活用で医療IT業界を牽引するUbicomホールディングス様。両社の出会いは、互いの企業文化に対する深い共感と、未来の医療現場を共に良くしていきたいという想いによって結実しました。双方の強みが「掛け算」のシナジーを生み出す今回の素晴らしいM&Aは、日本の医療インフラに新たな価値をもたらし、より豊かな社会の実現へ向けて力強く前進していくことでしょう。

担当者からのコメント

栗原 章充
本件は、医療IT分野における「ロールアップ(直販化)戦略」と「事業承継」が合致した理想的なM&A事例となりました。ラジエンスウエア・中嶋様が重視したのは、単なる条件面だけでなく「従業員の皆様やお客様の未来を安心して託せるか」という点です。Ubicomホールディングス様との対話を通じ、直販体制強化という事業シナジーはもちろん、医療IT発展に貢献する双方のビジョンが重なり合う姿に、私も深く感銘を受けました。またクロージング式には従業員様からの花束贈呈等、素晴らしいセレモニーがあり、両社が手を取り合い、さらなる飛躍へと向かう最高のご縁に貢献できたことを、担当者として心から嬉しく思います。両社の今後ますますのご発展を祈念しております。
(金融提携本部 本部長 栗原 章充)

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