譲渡企業
機械器具卸売業 D社
顧問 M.T. 様 インタビュー
独立からニッチ市場への展開
―御社の創業の経緯、事業内容を教えてください。
1983年に貿易商社から独立して創業しました。独立のきっかけは、当時の取引先から「あなたになら海外企業のサポートを任せたい」と背中を押していただいたことでした。当初は輸出が事業の7割を占めていましたが、急激な円高の進行により輸出事業が厳しくなりました。その際、取引先から「海外に良い製品はないか」と相談を受けたことを機に、海外の防水壁メーカーを見つけ出し、現在の主力である輸入販売へと大きく舵を切りました。
環境変化への適応と堅実な成長
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
輸出から輸入への転換という環境変化に柔軟に対応しながら事業を展開してきました。主力となった防水壁に加え、前職の縁で特殊なコネクターの取り扱いを始めたり、静電関連の優れた商品を見出したりと、日本のメーカーが参入していない海外のニッチな製品を次々と開拓しました。むやみに事業規模を追うのではなく、自社の体力に見合ったニッチ市場で専門性の高い商材を丁寧にお届けすることで、強固な基盤を築き上げてきました。
事業のさらなる発展を見据えて
―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
会社の業績が順調に推移する一方で、長らく後継者の不在という課題を抱えており、会社のさらなる発展をどう実現するべきか検討していました。そのような時期に、M&A総合研究所のアドバイザーからご提案をいただきました。非常に熱心かつ長期的な視点で親身にご相談に乗っていただき、的確で手厚いサポート体制に信頼感を持てたことが、本格的に譲渡を進める大きなきっかけとなりました。
全商品の引き継ぎを最優先に

―ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。
私たちが長年大切に育ててきた商材と商圏を、すべて引き継いでいただけることを最重要の条件としていました。当社は複数の専門的なニッチ分野を扱っているため、企業様によっては一部の事業のみを希望されると懸念していました。金額等の条件面以上に、当社の取り扱う全商品とその価値を正しく理解し、責任を持って次世代へと承継していただける譲受企業様とのご縁を望んでいました。
企業理念の浸透と誠実な姿勢
―最終的にH社様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡を決められた理由を教えてください。
H社様はエレクトロニクス分野の専門商社ですが、トップ面談にて「本業とは異なる新しい分野に挑戦したい」という強い意向を伺い、当社の全商材を高く評価していただいたことが最大の理由です。また、会社の規模が拡大しても経営方針を忠実に守り、その理念が従業員の皆様にも深く浸透している点に感銘を受けました。この企業様であれば、安心して大切な会社をお任せできると確信いたしました。
既存基盤を活かした新たな展開
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
H社様には、当社の事業基盤をそのまま引き継いでいただく予定です。異業種からの参入においても、既存の資産を活用することでスムーズな展開が可能になると考えております。私自身も顧問として1年間サポートを継続し、H社様が新しい分野で円滑に事業を拡大できるよう、商材の知識やノウハウを丁寧に引き継ぎ、スムーズな承継に尽力してまいります。
想いを承継し、会社を育てる
―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
それぞれの企業が長い時間をかけて築き上げてきた商圏や資産には、唯一無二の価値があります。M&Aは単なる譲渡ではなく、その価値をきちんと引き継ぎ、さらに育てて大きくしていただける譲受企業を見つけることが何よりも重要です。譲受企業にとっても、新しい事業を成長させることが本来の目的です。双方にとって前向きで、確かな発展につながるご縁を大切にしていただきたいと思います。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーには、長期間にわたり誠実かつ戦略的なご提案をいただきました。手続きが複雑なデューデリジェンスの際も、先回りして的確にフォローしていただいたおかげで、私は必要な資料の準備に専念することができ、大変心強かったです。M&A総合研究所のサポートがなければ、H様との素晴らしいご縁は結べなかったと感じております。
長年培ったニッチ市場における専門性と商圏を次世代へ引き継ぎたいD社と、新たな事業領域への挑戦を目指すH社。両社の強みと未来への想いが深く結びついた、非常に前向きなM&Aとなりました。D社の確かな基盤とH社の強固な組織力が融合することで、今後のさらなる飛躍と発展が期待されます。
担当者からのコメント

オーナー様はご高齢且つ後継者もご不在の状況であり、M&Aが成立しない場合は、将来的には廃業しか選択肢がないとのご状況でした。しかし、ニッチかつ確実に需要のある複数の海外製品の日本総代理店を務められており、今後ますますの需要の高まりも感じておられるなかで、なんとか事業を続けていきたいとの想いも強く持たれていました。譲受企業様には状況を初期段階からご理解をいただき、オーナー様のお気持ちに寄り添いながらスピーディーにご決断いただき、オーナー様のM&Aのストレスも最小限に進めることができました。今後は対象会社が販売する全商品をお持ちの広いネットワークを強みに販売を強化される予定で、更なるグループ売上拡大に相互に貢献できると確信しております。今回のご成約により今まで大切に育て上げられてきた企業を守り次世代につなぐことができたことを担当として心から嬉しく思います。
(企業情報本部 次長 本山 裕大)