グループホームのM&A・事業売却・譲渡の現状は?動向やメリットから流れまで解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、グループホームのM&A・事業売却・譲渡の現状から動向やメリットなどをまとめました。売却・譲渡相場やM&Aのプロセスを解説するとともに、グループホームのM&A事例も紹介します。M&Aを検討している方は必見です。

目次

  1. グループホームのM&A・事業売却・譲渡について
  2. グループホームを取り巻く環境と現状
  3. グループホームのM&A動向
  4. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を行うメリットとデメリット
  5. グループホームのM&A・事業売却・譲渡の成功事例
  6. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を行う流れ
  7. グループホームのM&A・事業売却・譲渡相場
  8. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を成功させるポイント
  9. グループホームのM&A・事業売却・譲渡における注意点
  10. グループホームのM&A・事業売却・譲渡におすすめの仲介会社
  11. グループホームのM&A・事業売却・譲渡のまとめ
  12. 施設介護・老人ホーム業界のM&A案件一覧
  • 施設介護・老人ホームのM&A・事業承継

1. グループホームのM&A・事業売却・譲渡について

グループホームの業界動向やM&A・売却・譲渡事例を紹介する前に、グループホームやM&Aによる事業売却・譲渡の定義を解説します。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症高齢者向けの小規模介護施設です。スタッフの支援を受けながら、少人数で共同生活を送る住居型施設であることから、在宅サービスとみなされています。運営要件は、以下のとおりです。

  • 定員:2ユニットまで(1ユニットは5人以上9人以下。用地確保が困難な地域は3ユニット可)
  • 入居者は原則個室
  • 1ユニットごとの食堂スペース
  • 住宅地に所在(地域住民と交流を行うため)

入居条件は以下のようになっています。
  • 原則65歳以上(若年性認知症、初老期認知症の場合は65歳未満でも可)
  • 介護度:要支援2または要介護1以上
  • 医師からの認知症診断
  • 施設と同地区に住民票がある
  • 集団生活が可能

介護度とは、介護の必要度合いを示すものです。要支援が2段階、要介護が5段階に分かれ、合わせて7段階があります(要介護よりも要支援の方が介護度は低い)。ただし、グループホームは、看護師配置が義務づけられていません。

したがって、基本的に亡くなるまで入居し続けられる有料老人ホームとは異なり、グループホームでは、症状が重くなるなどして医療行為が必要になっても対応できないため、その場合、退所しなければならないこともあります。

M&A・事業売却・譲渡とは

M&Aによる事業売却・譲渡とは、事業を第三者に引き渡すことをさします。引き継ぐ方法としては、運営会社の経営を引き渡すか、施設だけを売却・譲渡するなど事業の一部を切り離して引き渡すかの2種類です。

東京商工リサーチによると、2019(令和元)年上半期における老人福祉・介護事業の倒産件数は過去最高でした。人材不足や経営難が主な倒産理由で、小規模の事業者ほど厳しい経営を強いられています。

グループホームを含む中小規模の介護事業者の間では、大手企業へのM&A・事業売却・譲渡を検討する動きが増えてきました。

有料老人ホーム・介護施設の事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】有料老人ホーム・介護施設の事業承継マニュアル!相談先や成功事例を解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. グループホームを取り巻く環境と現状

グループホームの業界動向は、以下のように推移しています。

  1. 高齢者・要介護者が増加し続けている
  2. 介護給付費は膨張し続けている
  3. 介護報酬の改定が行われ続けている
  4. 介護士など人材が不足している
  5. グループホームを含む介護業界全体で施設数が増加している

①高齢者・要介護者が増加し続けている

厚生労働省の調査によると、高齢者の数と要介護認定者の数は年々、増加し続けているのが現状です。特に75歳以上の後期高齢者と要介護度3や4の介護度が重い高齢者は、今後も増加していくと推測されています。

②介護給付費は膨張し続けている

要介護認定者の増加に伴い、介護給付の総費用額も年々増加し続けています。介護給付費の増大分をまかなうため、介護保険料負担額も上がり続けており、介護給付費と介護保険料の増加率は今後さらに上昇するでしょう。

③介護報酬の改定が行われ続けている

介護事業者が介護サービスを行った際に支払われる介護報酬は、事業種ごとに改定されます。グループホームの介護報酬も、改定により大幅に引き下げられた年がありました。その際には、グループホーム事業者は対応に追われてしまい、経営に悪影響があります。

④介護士など人材が不足している

グループホームを含む介護サービス事業者は、慢性的な人材不足に苦しんでいます。介護従事者の人数自体は増加していますが、介護サービス事業者が求める人数にはまったく足りていません。介護従事者を増やすため、賃金上昇や労働環境改善が急務です。

⑤グループホームを含む介護業界全体で施設数が増加している

介護施設の高い需要に応じて、グループホームや有料老人ホームなど、介護施設の数は増加しています。しかし、順番待ちの介護施設がある一方で利用者数に空きのある介護施設もあるなど、利用率や収益性に大きな偏りが生まれているのが現状です。

需要に対して介護施設数は足りていないものの、利用者数や利益を確保できずに廃業・倒産する介護事業者が多い問題も生じています。

グループホームの廃業/倒産が多い理由については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】グループホームの廃業/倒産が多い?理由は報酬改定?生き延びる方法とは| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. グループホームのM&A動向

ここでは、グループホームのM&Aの特徴を確認しましょう。

売却側の動向

グループホームのM&Aにおける売却側は、以下のいずれかのケースが多い傾向にあります。

  • 人材不足や入居者難で経営不振に陥り事業撤退するための売却
  • 後継者不在で事業継続(事業承継)が難しいため第三者に売却

グループホーム事業では、後継者不在のまま仮に廃業となった場合、入居者に多大な迷惑をかけることになります。したがって、他の業種以上に、廃業を避けるためのM&Aによる事業承継は重要度が高いテーマです。

買収側の動向

グループホームのM&Aにおける買収側は、以下のいずれかのケースが多い傾向にあります。

  • 高い入居率と安定した収益を維持できるため、大手のグループホーム運営会社は施設数を積極的に増やす傾向にある
  • 新規開設が簡単にできないため、M&Aにより施設数を増やしたい

グループホームの事業は、収益性が下がってきているとはいえ、総定員数に比べてまだまだ入居希望者が圧倒的に多いのが現状です。したがって、現時点では売り手市場といえるでしょう。

M&Aの特徴

グループホームのM&Aでは、会社を丸ごと売却する株式譲渡か、事業や資産・施設などを選別して売却する事業譲渡のどちらかの手法が取られることが多いです。後者の事業譲渡の行う際に、グループホーム事業の営業権のみを譲渡したとします。

この場合、土地・施設は売り手の手元に残り、買い手に対しオーナー(所有者)として土地・施設を貸すことになるので、M&A後も賃料収入を得ることが可能です。

土地・施設をまとめて売却したときの対価と賃料収入のどちらがいいかの比較は必要ですが、他の業種ではあまり発生することのない特殊なM&Aが実施できます。

M&Aにおける土地・建物の取り扱い

グループホームのM&Aは、1拠点〜2拠点だけを事業譲渡するケースが多いでしょう。その場合、不動産は譲渡対象とならないのが一般的です。買い手は売り手から土地・建物を賃借することになるため、売り手はグループホーム事業を売却後も継続して賃料収入を得ることが可能となります。

介護事業の株式譲渡・会社譲渡については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】介護事業の株式譲渡・会社譲渡!手法の違いを解説!どのスキームが得?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所
  • 施設介護・老人ホームのM&A・事業承継

4. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を行うメリットとデメリット

グループホームのM&Aで事業売却・譲渡を行うにあたっては、メリット・デメリットも把握しておくことが肝要です。以下に、それぞれを掲示します。

メリット

グループホームのM&Aでの事業売却・譲渡での主なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 後継者問題の解決=事業承継の実現=会社の存続。
  • 会社が存続すれば、入居者の安心できる生活も維持される。
  • 廃業を免れれば、従業員の雇用も守られる。
  • 大手の傘下となれば、資金力やブランド力を得て経営の安定・発展が期待できる。
  • 売却益として相応の資金が獲得できる。
  • 負債は買い手に引き継がれるので、個人保証や担保差し入れなどは解消される。

デメリット

一方で、グループホームのM&Aでの事業売却・譲渡には以下のようなデメリットがあり、注意が必要です。

  • 事業が円滑に引き継がれるまでの間、退職できず会社に残らねばならない場合がある。
  • M&Aに反発心や不安感を持つ従業員がいる場合、流出(退職)してしまう可能性がある。
  • 同様の理由で顧客や取引先が契約を解消してくる可能性がある。
  • M&A後に表明保証違反に該当するような事態(簿外債務の発覚など)があると損害賠償請求されるおそれがある。

介護事業を買うメリットとその後については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】介護事業を買いたい企業様必見!買うメリットとその後は?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

5. グループホームのM&A・事業売却・譲渡の成功事例

ここでは、グループホームのM&A・売却・譲渡事例を紹介します。

  1. リビングプラットフォームによるアートアシストのM&A
  2. メディカル・ケア・サービスによる菱甲産業のM&A
  3. メディカル・ケア・サービスによるヘルスケアシステムのM&A
  4. ニチイ学館による西日本ヘルスケアのM&A
  5. ソラストによる恵の会のM&A・売却・譲渡
  6. なごやかケアリンクによるソラストへのM&A・売却・譲渡
  7. ホームライク湘南によるユニマット リタイアメント・コミュニティへのM&A・売却・譲渡
  8. JAWAによるソラストへのM&A・売却・譲渡
  9. メディカル・ケア・サービスによる学研ホールディングスと日本政策投資銀行へのM&A・売却・譲渡
  10. ヒューマンライフ・マネジメントによるツクイへのM&A・売却・譲渡
  11. SOMPOホールディングスによる介護事業グループ会社4社の合併
  12. ナースセントラルによるケア21へのM&A・売却・譲渡
  13. 日本ケアリンクによるソラストへのM&A・売却・譲渡
  14. ベストケアによるソラストへのM&A・売却・譲渡
  15. セントケア・ホールディングスによるキリン堂への調剤薬局子会社の売却・譲渡
  16. 住センターによるソラストへのM&A・売却・譲渡
  17. 小田急ライフアソシエによるニチイ学館へのM&A・売却・譲渡
  18. メッセージによるSOMPOホールディングスへのM&A・売却・譲渡
  19. SOMPOケアメッセージによるシルバーケア&サポートシステムの合併

①リビングプラットフォームによるアートアシストのM&A

リビングプラットフォームは2021年11月、子会社を通して事業譲渡により、アートアシストの高齢者グループホーム1施設を取得しました。

リビングプラットフォームは、介護事業、保育事業、障がい者支援事業を行う会社です。対象会社のアートアシストは、千葉県船橋市に拠点を置き、高齢者グループホーム事業を行う会社です。

今回のM&Aにより、新たに拠点ができることで、千葉県内におけるドミナント戦略(地域集中出店)の強化を目指します。

②メディカル・ケア・サービスによる菱甲産業のM&A

メディカル・ケア・サービスは2021年11月、菱甲産業の認知症高齢者グループホームを取得しました。

メディカル・ケア・サービスは、認知症高齢者対応の「グループホーム」運営居室数日本一を誇る会社です。対象会社の菱甲産業は、建設資材事業、オフィス事業、介護事業など幅広い事業を展開しています。

今回のM&Aで認知症高齢者グループホーム1棟の営業権を譲り受け、「愛の家グループホーム大分花津留」への名称を変更し、リニューアルオープンしました。

③メディカル・ケア・サービスによるヘルスケアシステムのM&A

メディカル・ケア・サービス2021年10月は、ヘルスケアシステムから認知症高齢者グループホームを譲受しました。メディカル・ケア・サービスは、認知症高齢者対応のグループホーム「愛の家」をメインとして介護事業所を300カ所以上保有する企業です。対象会社のヘルスケアシステムは、介護事業を行っています。

今回のM&Aにより、ヘルスケアシステムから1棟の営業権を譲り受け、「愛の家グループホーム富田林佐備」としてリニューアルオープンをしました。

④ニチイ学館による西日本ヘルスケアのM&A

ニチイ学館は2021年6月、西日本ヘルスケアの全ての株式を取得し、子会社化しました。

ニチイ学館は、医療関連事業、介護事業、保育事業、ヘルスケア事業、教育事業など、幅広い事業を行っている会社です。対象会社の西日本ヘルスケアはLeTechの完全子会社であり、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の設置・運営管理、介護予防事業などを行っています。

今回のM&Aにより、ニチイ学館が保有する介護サービスに関連する運営ノウハウ、施設利用者への安定的なサービスを提供し、対象会社である西日本ヘルスケアの中長期的な成長を目指します。

⑤ソラストによる恵の会のM&A・売却・譲渡

2020(令和2)年3月、介護事業大手のソラストは大分市でデイサービスや有料老人ホームなどの介護施設を展開している恵の会の買収を発表しています。買収金額は33億円です。これによりソラストは、今まで拠点がなかった大分県へサービスを広げられるとしています。

⑥なごやかケアリンクによるソラストへのM&A・売却・譲渡

2019(平成31)年3月、デイサービスを展開するなごやかケアリンクは、トータル介護サービスを展開する介護事業大手のソラストへ株式譲渡を行い、子会社となりました。これにより、ソラストは東京都での施設網を強化し、サービスの充実を図っています。

⑦ホームライク湘南によるユニマット リタイアメント・コミュニティへのM&A・売却・譲渡

グループホーム茅ケ崎を運営するホームライク湘南は、2018(平成30)年11月に有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスなどを運営するユニマット リタイアメント・コミュニティへ株式譲渡を行い、子会社となりました。

これにより、ホームライク湘南は、神奈川県茅ケ崎市周辺にあるユニマットの介護施設とノウハウを共有し、シナジー効果が得られるとしています。

⑧JAWAによるソラストへのM&A・売却・譲渡

2018年10月、グループホームなどの介護施設を運営するJAWAは、介護事業大手のソラストへ株式譲渡を行い、子会社となりました。ソラストはJAWAの取得により、愛媛県をはじめとした関西圏での施設充実とエリア拡大を果たしています。

⑨メディカル・ケア・サービスによる学研ホールディングスと日本政策投資銀行へのM&A・売却・譲渡

2018年9月、日本有数のグループホーム居室数を持つメディカル・ケア・サービスは、株主の三光ソフランホールディングスから学研ホールディングスと日本政策投資銀行へ株式譲渡が行われ、子会社となりました。

学研ホールディングスはサービス付き高齢者向け住宅事業を展開しており、両社の事業を統合することで、学研版地域包括ケアシステムの実現を加速させていくとしています。

⑩ヒューマンライフ・マネジメントによるツクイへのM&A・売却・譲渡

在宅医療支援事業などを行うヒューマンライフ・マネジメントは2018年7月、有料老人ホームやグループホームなどの介護施設運営・在宅介護事業・高齢者向け住宅事業などを行うツクイへ株式譲渡を行い、子会社となりました。

これにより、ツクイは介護分野と医療分野の連携を深め、地域包括ケアの実現を進めています。

⑪SOMPOホールディングスによる介護事業グループ会社4社の合併

大手損害保険会社のSOMPOホールディングスは2018年7月、介護事業を営むグループ会社であるSOMPOケアメッセージ・SOMPOケアネクスト・ジャパンケアサービス・プランニングケアの4社を合併しました。

これにより、新会社SOMPOケアは、グループホームなどの施設介護や在宅介護、訪問看護などのトータル介護サービスの提供が可能です。

⑫ナースセントラルによるケア21へのM&A・売却・譲渡

2017(平成29)年12月、訪問介護事業を営むナースセントラルは、有料老人ホームやグループホームなどの介護事業・保育園運営・障がい者支援などの総合福祉事業を展開するケア21へ株式譲渡を行い、子会社となりました。

これにより、ケア21は、関東エリアでの訪問看護事業展開を進めています。

⑬日本ケアリンクによるソラストへのM&A・売却・譲渡

有料老人ホームやグループホームなどの介護施設を展開する日本ケアリンクは、2017年10月に介護事業大手のソラストへ株式譲渡を行い、子会社となりました。これにより、ソラストは関東エリアの施設を拡充し、地域ケアサービスを充実させています。

⑭ベストケアによるソラストへのM&A・売却・譲渡

愛媛県を拠点に介護事業を展開するベストケアは、2017年9月にソラストへ株式譲渡を行い子会社となりました。これにより、ソラストは事業所網を広げ、地域ケアサービスの強化を図っています。

⑮セントケア・ホールディングスによるキリン堂への調剤薬局子会社の売却・譲渡

グループホームなどの介護施設運営をはじめ、トータル介護サービスを全国で展開するセントケア・ホールディングスは、2017年5月に子会社のメディスンショップ・ジャパンを、キリン堂へ株式譲渡により売却・譲渡を行いました。

主に関西エリアでドラッグストアや調剤薬局を展開するキリン堂は、メディスンショップ・ジャパンの取得により、調剤薬局のフランチャイザーとしてさらなる成長を図っています。

⑯住センターによるソラストへのM&A・売却・譲渡

横浜を拠点にデイサービス事業を展開している住センターは、2016(平成28)年11月に介護事業大手のソラストへ株式譲渡を行い、子会社となりました。これにより、ソラストは、神奈川県における介護サービスの充実を果たしています。

⑰小田急ライフアソシエによるニチイ学館へのM&A・売却・譲渡

小田急電鉄の子会社で介護事業を展開する小田急ライフアソシエは2016年7月、グループホームなどの介護施設運営でトータル介護サービスを展開するニチイ学館へ株式譲渡を行い、子会社となりました。これによりニチイ学館は、小田急線沿線での介護サービスを強化しています。

⑱メッセージによるSOMPOホールディングスへのM&A・売却・譲渡

2016年3月、介護施設運営を行うメッセージは大手損害保険会社で介護サービス事業も手がけるSOMPOホールディングスへ株式譲渡を行い、子会社となりました。

SOMPOホールディングスは、介護サービス事業にも注力しており、メッセージの買収によってサービスにおける品質の向上を図っています。

⑲SOMPOケアメッセージによるシルバーケア&サポートシステムの合併

2016年3月、有料老人ホーム・グループホーム・ケアハウスなどを運営するSOMPOケアメッセージは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の運営を行う子会社のシルバーケア&サポートシステムに対して吸収合併を行いました。

本合併により、SOMPOケアメッセージは、介護施設管理体制や企業統治体制を強化しています。

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6. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を行う流れ

グループホームのM&A・事業売却・譲渡を行うにあたっての、主なプロセスを紹介します。

  1. 専門家の選定:単独でM&Aを実施するのは困難ですから、M&Aの専門家にサポートを依頼するのが一般的です。M&Aの専門家としては、仲介会社、士業事務所、経営コンサルタントなどがいます。無料相談を活用しましょう。
  2. M&Aの戦略策定:選定した専門家と委託契約を結んだら具体的な売却方法・方針などを相談して決めます。
  3. 資料作成:売却先を募るにあたって先方に公開するノンネームシート(社名を匿名にした企業概要書)を専門家が作成します。
  4. 交渉先選定:専門家でも特にM&A仲介会社であれば独自のネットワークがあり、M&Aの交渉相手候補をすぐに見つけてくるでしょう。専門家と相談し交渉先を決めます。
  5. 交渉開始:交渉を始めるにあたっては必ず秘密保持契約を締結します。
  6. 基本合意書締結:大筋で条件が合意できたときに締結しますが、基本合意書に法的拘束力はないためM&Aが成約できたわけではありません。
  7. デューデリジェンス(売却企業に対する詳細調査):買収側が士業などの専門家を雇い財務・税務・法務・労務・事業など各分野の調査を行います。
  8. 最終契約締結:デューデリジェンスで問題が出なければ最終交渉を行い、条件を確定させます。正式な売却・譲渡契約を結びましょう。
  9. 関係者への説明:入居者や従業員に対しM&Aの事実を説明し理解を得ましょう。
  10. クロージング:最終契約内容にのっとり、事業の引き継ぎ、設備の引き渡しなどを行い、対価の支払いを受けてM&Aは完了です。

有料老人ホーム・施設介護の事業譲渡・事業売却の流れやチェック項目については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】有料老人ホーム・施設介護の事業譲渡・事業売却の流れやチェック項目を解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

7. グループホームのM&A・事業売却・譲渡相場

グループホームでは利用者数による収益性の差はあまり大きくないため、大手企業がグループホームをM&Aにより取得する際は、グループホームの運営地域が施設展開の戦略上、適しているかどうかが相場価額の大きな要素となります。

グループホームなど介護施設のM&Aは、総量規制などの影響で売り手優位の傾向にあり、M&A相場は割高になるケースが多い傾向です。

有料老人ホームよりもM&Aによる売却・譲渡価額は低い傾向にありますが、立地や地域性、従業員の充実などの要素によりM&A価額は変動します。

グループホームのM&A・事業売却・譲渡価格の算出方法

グループホームなど介護施設のM&Aでは、DCF(Discounted Cash Flow)法の算定方法をベースに、必要に応じて他の算定法を組み合わせる方法が一般的です。

DCF法を簡単に説明すると、将来得られる利益(3年分〜5年分)を予測し、そこから将来起こる可能性のあるリスク分を差し引いて企業価値を算出する方法です。

グループホームなどの介護施設の場合は、介護報酬の改定など、国による制度の変更が大きく影響するため、正確なM&A価格の算定は他業界と比べて難しいとされています。グループホームの価格算定の際は、会計や介護業界に精通した専門家の協力が必要です。

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8. グループホームのM&A・事業売却・譲渡を成功させるポイント

グループホームのM&A・事業売却・譲渡を成功に導くポイントを、売却・譲渡側と買収側に分けて解説します。

売却・譲渡側のポイント

グループホームを売却・譲渡する際は、以下のポイントを意識して行うことが大切です。

  • 不動産を保有している
  • 入居率が高い水準にある
  • 地域の医療機関と良い関係がある
  • 従業員への教育が行き届いている
  • 施設・設備がきちんと整っている

不動産を保有している

借地契約でグループホームを運営している場合は、売却・譲渡手続きの際に賃貸人との交渉が長引いたり、トラブルになったりするケースがあるため、注意が必要です。もちろん、自己保有の土地であればその心配は要りません。

入居率が高い水準にある

M&Aによる売却・譲渡価額は、入居率の推移も判断材料です。入居率が安定して高い水準にあれば買収側も企業価値評価がしやすくなり、交渉が進めやすくなります。

地域の医療機関と良い関係がある

グループホームなどの介護施設では、医療機関との連携が欠かせません。医療法人が運営するグループホームであれば問題ありませんが、一般企業などが運営するグループホームの場合は、地域の医療機関と密に連携が取れているかどうかも重要なポイントになります。

従業員への教育が行き届いている

従業員による介護サービスの質は、地域の口コミ・うわさとして広がります。特に介護施設職員による暴力・暴言問題がメディアでも取り上げられるようになってからは、利用者家族の目が厳しくなるのが現状です。従業員の教育が行き届いているグループホームであれば、買収側もリスクを抑えられ、買収評価も高くなります。

施設・設備がきちんと整っている

一般企業の参入増加により、介護施設によって設備の差も明確です。医療設備・入居部屋の設備・入浴場の設備などが、近年のニーズに対応しているかどうかも重要なポイントです。

買収側のポイント

グループホームを買収する際は、以下のポイントを意識して進めることが大切です。

  • 不動産ごと買収する
  • 投資金額と収支金額のバランスが整っている
  • 立地条件がよく利用しやすい
  • 買収前に内覧を行う
  • 健全な運営と健全な料金体系

不動産ごと買収する

買収費用を抑えるために土地を賃貸借契約にする場合は、後々トラブルになったり、運営が制限されたりする可能性があるので注意しなければなりません。可能であれば、不動産は自己保有にした方が長期的に見るとメリットが大きくなります。

投資金額と収支金額のバランスが整っている

グループホームの買収は、買収金額の回収に時間を要します。買収先グループホームがサービス充実のため事業投資している場合、マイナス収支が続き買収金額の回収に多くの時間がかかるかもしれません。

したがって、グループホームを買収する際は、投資金額と収支金額のバランスも意識する必要があります。

立地条件がよく利用しやすい

グループホームなどの介護施設運営は地域性の高い事業であるため、立地条件が重要です。周辺に、医療機関やスーパーマーケットがあるなどの環境も、よく考慮しなければなりません。

買収前に内覧を行う

グループホームの運営は数字に表れない部分も多いため、買収前に内覧を行いしっかり確認することが重要です。施設内を案内されながらひととおり確認するだけでなく、現場の状況が肌感覚で実感できるまで、繰り返し確認して歩くことが成功要素となります。

健全な運営と健全な料金体系

グループホームなど介護施設では、地方自治体などからの指導が入るケースが少なくありません。一部営業停止や全部営業停止となる施設も毎年、出ています。

介護職員や事務職員が日頃の書類記録を丁寧に行っているかなど、日々の細かい業務への対応を確認すると、施設の性質が見えてくるでしょう。

グループホームのM&A・売却・譲渡を行う際は専門家に相談する

グループホームの買収では、介護業界特有の制度をよく理解しておく必要があります。運営母体が医療法人である場合は、交渉を円滑に進めるため、医療分野の知識も必要です。

M&Aや介護・医療に精通した専門家に相談することで、スムーズにM&Aを進められるだけでなく、成功する確率も高くなるといえるでしょう。

訪問介護・デイサービスのM&A・売却・事業譲渡については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

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9. グループホームのM&A・事業売却・譲渡における注意点

グループホームのM&A・事業売却・譲渡では、他の業種にない特性のため注意すべきことがあります。グループホームは福祉事業であるため、一般的な業種とは違った補助金が用意されていることが1つの利点です。ただし、補助金の申請・受領には細かな規定・要綱があります。

補助金制度に定められた要綱を順守していないと処罰を受けるかもしれず、M&Aに大きな影響を与えるものです。慎重な対応を行っておく必要があります。グループホームは住宅とみなされていますから、入居者から敷金などを預かることとなり、その対応も注意が必要です。

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10. グループホームのM&A・事業売却・譲渡におすすめの仲介会社

グループホームのM&Aを適切に行うには、M&Aや介護業界の専門知識と豊富な経験を持ったアドバイザーによるサポートがおすすめです。M&A総合研究所では、実績の豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。

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11. グループホームのM&A・事業売却・譲渡のまとめ

グループホームの業界動向を見ると、今後はM&Aの需要が高まると推測されます。グループホームのM&Aを成功させるには、専門知識や高い交渉力が必要となるため、実績豊富な専門家によるサポートがおすすめです。

12. 施設介護・老人ホーム業界のM&A案件一覧

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