2023年03月23日更新
人材派遣会社のM&A・売却・買収・譲渡の動向は?案件10選も紹介!
本記事では、人材派遣会社におけるM&A・買収・売却・譲渡を紹介します。人材派遣業における定義や市場動向、人材派遣会社におけるM&A・買収・売却・譲渡の概要を、実際に掲載されている案件を交えながら解説しましょう。人材派遣会社のM&Aを検討している方は必見です。
目次
1. 人材派遣会社とは
人材派遣会社とは、どのような会社をさすのでしょうか。ここでは、人材派遣会社の概要について、定義・種類・人材紹介会社との違いなどを中心に説明します。
人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡を望んでいる場合、事前に理解・再確認しておきましょう。
人材派遣会社の定義
人材派遣会社とは、自社で派遣する人材を雇い、必要な人材を求める会社へスタッフを送り込む事業を行う会社のことです。人材派遣会社が人材の雇用主となりますが、派遣先の会社にスタッフへの指揮命令権を与えています。
「自社は抱える人材と雇用契約を結ぶ一方で、派遣先とは労働派遣契約を締結している」と考えると理解しやすいです。雇用契約を結ぶタイミングは、派遣先の企業が見つかった後となります。雇用契約の終了は、契約期間の満了に合わせて設定される仕組みです。
人材派遣会社が行う人材の確保では、求職者向けの登録制度が設けられているケースが一般的です。面接により職歴・スキルの有無・適性・希望職種・勤務地などを把握したうえで、自社の特性に合った人材を集めます。
人材派遣会社では、派遣先と契約を結んでいる期間中のみ、スタッフに給料を支払う仕組みです。したがって、社員を抱える場合と比べると、人件費を抑えつつ求める人材を派遣できるメリットがあります。
人材派遣の種類
人材派遣は、以下の3種類に分けられます。雇用形態・契約期間後の処遇などによって分類される仕組みです。
- 登録型派遣
- 紹介予定派遣
- 常用型派遣
それぞれの分類を詳しく見ていきましょう。
①登録型派遣
登録型派遣とは、自社と登録する人材との間で雇用契約を結んだうえで、派遣先に人材を送り込む形態のことです。スタッフの給料・福利厚生などの交渉は、人材派遣会社側が実施しなければなりません。
とはいえ、十分にアフターフォロー体制を整えておけば必要な人材の確保・供給が可能となるため、人件費の抑制につなげられるメリットがあります。
②紹介予定派遣
紹介予定派遣であっても、登録型派遣のように契約期間に応じて人材を派遣します。登録型との違いは、契約満了後の契約社員・社員などへの登用を前提としている点です。スタッフと派遣先が登用に同意すれば、安定した職場環境を提供できます。
紹介予定派遣には社員への登用を望む人材が集まりやすく、登録型との差別化を図ることが可能です。派遣期間は3カ月前後に設定されるケースが多く、長くても6カ月程度とされています。
ただし、紹介予定派遣は人材紹介業の許可を得ておく必要があります。人材派遣会社との雇用契約を終えた後には、人材と派遣先との間で雇用契約が締結されるため、人材派遣業の許可も必要です。
このように紹介予定派遣は、人材派遣会社と人材紹介会社の特徴を兼ね備えている点を理解しておきましょう。
③常用型派遣
常用型派遣は、抱える人材を常に雇用したうえで、必要に応じて人材を派遣する形態のことです。特定派遣や無期限派遣などとも呼ばれています。常用型派遣では、派遣先との契約期間が終了しても、抱える人材との雇用契約を継続しなければなりません。
しかし、職歴を増やしたくない人材からすると、適した種類の派遣とみなされるケースが多いでしょう。それ以外にも、さまざまな企業で働いてみたいけれど安定も捨てがたい人には、常用型派遣・紹介予定派遣よりも優位性があるといえます。
一定の技術力を求める業種(システムエンジニアなど)に人材を派遣している会社では、勉強会の開催・研修期間をはじめ、スキルの向上などが求められるため、常に人材を雇用する常時雇用型が採用されるケースが多いです。
人材派遣業には許可が必要
人材派遣業を行う会社は、厚生労働大臣の許可が必要となります。従来は常時雇用を対象とした「特定労働派遣事業」とその他の雇用形態を用いた「一般労働派遣事業」に分けられていました。しかし、2015年に労働派遣法が改正され、特定労働派遣事業は廃止されました。
上記に伴い、2018年9月30日以降は、許可制の一択のみに変更されています。そのため、特定労働派遣事業を営んでいた会社が人材派遣業を続けるには、許可を取得しなければなりません。
人材紹介会社との違い
ここでは、人材派遣会社と人材紹介会社の間に見られる違いを紹介します。人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡を希望している人は、人材紹介会社との違いを十分に把握しておくようにしましょう。
- 雇用契約を結ぶ相手
- 許可を得るための条件
それぞれの項目を順番に紹介します。
①雇用契約を結ぶ相手
1つ目に挙げられる人材派遣会社と人材紹介会社の違いは、雇用契約を結ぶ相手です。人材紹介会社は、求職者と派遣先企業との間で雇用契約が締結されます。
つまり、人材紹介会社は求職者と派遣先との仲介役を担うのです。人材派遣会社のように、人材を常に確保していたり雇用契約を結んでいたりするケースは見られません。
必要な人材を派遣先に紹介する会社と考えると、雇用契約を結ぶ当事者は求職者と派遣先であることが理解しやすくなるでしょう。
②許可を得るための条件
2つ目に挙げられる人材派遣会社と人材紹介会社の違いは、許可を得るための条件です。人材紹介会社が職業紹介事業の許可を得るには、会社の資産から負債を引いた額が「事業数×500万円以上」である必要があります。
その一方で、人材派遣会社が労働者派遣業の許可を得るには、5人以下の人材を派遣しているケースにおいて「資産から負債を引いた額が500万円以上」でなければなりません(事業所数が一つである場合)。
派遣する人材の数が10人以下の場合には、「資産-負債の額が1,000万円以上」求められます。そのほか、複数の事業所を持つ場合には、一つの事業所につき2,000万円以上の額が加算されます。
つまり、人材紹介会社は事業数の増加に応じて許可を得るための資産が変動するのです。人材派遣会社では「事業数」に加えて「派遣する人材の数」も、確保する資産を変動させる要因となるのです。
M&Aにより人材紹介会社と人材派遣会社のいずれかの買収を検討している場合、対象企業の資産・事業数・派遣人数を把握したうえで、事業の維持・拡大を見極めるようにしましょう。
人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却事例については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
2. 人材派遣会社のM&A案件10選
ここでは、人材派遣会社のM&Aを検討している人に向けて、実際に掲載されている案件情報を紹介します。案件の所在地・売上高・譲渡価格・アピールポイントから、譲渡・売却・買収の基準を把握しておきましょう。
- 労働者派遣事業
- 国内海外の通訳派遣・翻訳・海外調査サービス
- 官公庁向けの人材派遣会社
- インフラのSES事業会社
- IT系人材派遣・受託開発の事業会社
- 多様な業種に向けた人材派遣の会社
- 人材派遣・人材紹介の事業会社
- 人材派遣・業務委託事業の会社
- 人材派遣・アウトソーシング事業の会社
- マレーシアの人材派遣会社
それぞれの案件情報を順番に見ていきましょう。
①労働者派遣事業
1つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、労働者派遣事業の会社です。航空機・宇宙ロケットなどの部品製作や塗装検査を行う会社などへ労働者を派遣しています。
①労働者派遣事業 | |
所在地 | 中部・北陸 |
売上高 | 2,500万〜5,000万円 |
譲渡・売却希望価額 | 1,000万〜3,000万円 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
②国内海外の通訳派遣・翻訳・海外調査サービス
2つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、国内海外の通訳派遣・翻訳・海外調査サービスを展開している会社です。
②国内海外の通訳派遣・翻訳・海外調査サービス | |
所在地 | 東京都 |
売上高 | 1.5億〜2億円 |
譲渡・売却希望価額 | 応相談 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
③官公庁向けの人材派遣会社
3つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、官公庁を中心に人材を派遣する会社です。
③官公庁向けの人材派遣会社 | |
所在地 | 北海道・東北 |
売上高 | 5億円以下 |
譲渡・売却希望価額 | 非公開 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
④インフラのSES事業会社
4つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、インフラのSES事業会社です。ソフトウェア部門のパッケージ販売会社や大手の販売元などに、インフラ関連の技術者を派遣しています。
④インフラ・ネットワークサービスのSES事業会社 | |
所在地 | 京都府 |
売上高 | 2,500万〜5,000万円 |
譲渡・売却希望価額 | 1,000万〜3,000万円 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
⑤IT系人材派遣・受託開発の事業会社
5つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、IT系人材派遣・受託開発の事業会社です。
金融系・広告系・製造業の生産管理に対してシステム開発のサービスを提供するほか、技術者を派遣するSES事業も展開しています。
⑤IT系人材派遣・受託開発の事業会社 | |
所在地 | 東京都 |
売上高 | 5億〜10億円 |
譲渡・売却希望価額 | 掲載なし |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
⑥多様な業種に向けた人材派遣の会社
6つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、多様な業種に向けた人材派遣会社です。特定の業種に限らず、さまざまな事業に合わせて人材を派遣しています。
多様な業種に向けた人材派遣会社 | |
所在地 | 京都府 |
売上高 | 1,000万〜5,000万円 |
譲渡・売却希望価額 | 1,000万〜5,000万円 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
⑦人材派遣・人材紹介の事業会社
7つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、人材派遣・人材紹介の事業会社です。後継者不足のため、事業承継を望んでいます。
⑦人材派遣・人材紹介の事業会社 | |
所在地 | 東北 |
売上高 | 非公開 |
譲渡・売却希望価額 | 非公開 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
⑧人材派遣・業務委託事業の会社
8つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、人材派遣・業務委託事業の会社です。
⑧人材派遣・業務委託事業の会社 | |
所在地 | 神奈川県 |
売上高 | 2.5億〜5億円 |
譲渡・売却希望価額 | 提示なし |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
⑨人材派遣・アウトソーシング事業の会社
9つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、人材派遣・業務委託事業の会社です。大手物流会社の下請けを担っており、アパレルメーカーの倉庫に作業員を派遣しています。
⑨人材派遣・アウトソーシング事業の会社 | |
所在地 | 神奈川県 |
売上高 | 1,000万〜2,500万円 |
譲渡・売却希望価額 | 250万円以下 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
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⑩マレーシアの人材派遣会社
10番目に取り上げる人材派遣会社のM&A案件は、マレーシアの人材派遣会社です。マレーシアの日系企業であり、人材派遣業のほか人材紹介業も展開しています。
⑩マレーシアの人材派遣会社 | |
所在地 | マレーシア・セランゴール州 |
売上高 | 約4,300万円 |
譲渡・売却希望価額 | 応相談 |
M&A・買収・売却・譲渡 のアピールポイント |
|
3. 人材派遣会社をM&A・買収・売却・譲渡するメリット
ここでは、人材派遣会社をM&A・買収・売却・譲渡する際に得られることが期待されるメリットを取り上げます。買収側・売却側それぞれに分けて解説しましょう。
買収側の2つのメリット
まず、買収側のメリットとして主に考えられるのは、以下のとおりです。
- 優秀な従業員を確保できる
- 事業規模を拡大できる
優秀な従業員を確保できる
人材派遣会社では、人手不足が問題となっています。M&Aで買収がうまくまとまれば、相手先の優秀な従業員を確保できる可能性は高くなるでしょう。契約の際には、優秀な人材が離職することのないよう、従業員の話をよく聞いて進めることが重要といえます。
事業規模を拡大できる
同業の人材派遣会社を買収できれば、事業規模を拡大できる点がメリットとして挙げられます。買収した会社の顧客を獲得することや、優秀な従業員を確保することで、サービス内容の質をより一層上げられることが期待できるのです。
以上のことから、市場シェア拡大や売上増が見込まれるでしょう。
売却側の6つのメリット
次に、売却側のメリットとして主に挙げられるのは、以下の項目です。
- 他社との協力で存続を図れる
- 後継者不在問題を解決できる
- 従業員の雇用を守れる
- 個人保証から解放される
- 譲渡利益を獲得できる
- 事業の選択と集中を果たせる
他社との協力で存続を図れる
人材派遣会社がM&Aで買収されれば、人材派遣業の業界で存続できる可能性があります。相手企業に事業を引き継げれば、廃業しなくて済むのです。
相手企業が大手であれば、グループ会社の一員として安定した経営ができるようになります。大手企業の持つ経営資源を活用することで、売上増が期待できます。M&Aでは、買収側・売却側双方が協力し、シナジー効果が期待できるでしょう。
後継者不在問題を解決できる
中小企業の後継者不在問題は深刻な状況です。経営者が高齢で、身内や社内に後継者となる人物が見つからない場合、後継者探しに苦労しているケースが見られます。人材派遣会社がM&Aで買収されれば、売却側は後継者問題を解決できるのです。
人材派遣業に新たに参入しようとする他業種の企業がM&Aを活用する事例もあります。後継者不在問題に悩む会社は、早めにM&A仲介会社などの専門家に相談して、M&Aを検討するとよいでしょう。
従業員の雇用を守れる
M&Aなどで会社を存続せずに諦めてしまった場合、廃業の道を選ぶしかないでしょう。そうなれば、これまで会社のために働いてくれた従業員を解雇することになります。
M&Aで会社を売却すれば、会社は廃業することなく、従業員もそのまま引き継がれます。従業員の雇用を守れるのは何よりのメリットです。
個人保証から解放される
人材派遣会社の経営者が、金融機関などから融資を受ける際に、個人資産を担保にしているケースが多くあるでしょう。会社の経営状態が悪くなれば、個人資産にも影響を及ぼしかねません。
後継者不在問題は、この個人保証が重荷になり、後継者になりたがらない場合もあります。M&Aで会社を売却できれば、債務もそのまま引き継がれるため、経営者の負担となっていた個人保証や個人資産の担保などの不安から解放されるに違いありません。
譲渡利益を獲得できる
中小規模の人材派遣会社の場合、M&Aにより会社を売却すれば、経営者が譲渡利益を獲得できます。会社の規模や売上などにより譲渡益は異なりますが、ある程度まとまった額を得られることは大きなメリットといえるでしょう。
老後の資金や新たな事業の資金など、使い道は経営者が自由に決められます。
事業の選択と集中を果たせる
M&Aの手法には事業譲渡があります。会社の事業の全部、または一部を他社に売却する手法です。つまり、収益の上がらない事業があれば、一部の事業だけを他社に売却できるのです。
事業を多角化すれば、全てがうまくいくわけではありません。経営状態が悪いときには、一部の不採算事業を切り離す選択も必要になります。
赤字事業を売却することで得た利益を、既存事業に集中させられる点もメリットです。会社経営における事業の選択と集中を果たし、会社を立て直せるでしょう。
4. 人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡の価格相場
ここでは、人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡の価格相場がどれくらいなのか見ていきましょう。取引価格を算出する際の計算方法と、相場よりも高い価格で売却するポイントも紹介します。
大まかな相場
人材派遣会社をM&Aで売却する際の相場を知っていれば、自社に合ったM&A手法を選択する際に参考になるでしょう。ここでは、人材派遣会社のM&Aで最も採用される株式譲渡と事業譲渡の計算方法を紹介します。
- 株式譲渡の場合:時価純資産額+営業利益×2~3年分
- 事業譲渡の場合:時価事業資産額+事業利益×2~3年分
大まかな相場は上記の計算式で算出します。営業利益と事業利益に掛け合わせる年数は業種や対象企業の特徴などにより異なるため、2~3年分としてあります。場合によっては、5年分で算出するケースもあるようです。
取引価格の算出方法
人材派遣会社の売買価格は、売却側・買収側の話し合いで決まります。価格を決める際には、企業価値評価によって基準となる価格を導き出すのが一般的です。
企業価値評価には、さまざまな手法があります。代表的な3つのアプローチは以下のとおりです。
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
インカムアプローチは、対象企業の将来的な収益(キャッシュフロー)に着目する企業価値評価の総称です。具体的には、DCF法、配当還元法などがあります。M&Aで最も用いられる算定方法はDCF法です。
コストアプローチは、対象企業の純資産に着目する企業価値評価の総称です。貸借対照表を基にするため、計算方法が簡便な点がメリットです。将来性を加味しないため、M&Aの現場にはあまり適しているとはいえません。簿価純資産法、時価純資産法などがあります。
マーケットアプローチは、対象企業と類似する上場企業の株価などを参考にする企業価値評価法です。類似する上場企業がない場合は、この算定方法は採用できません。具体的には、類似会社比較法、市場株価法などがあります。
相場よりも高い価格での売却を狙うポイント
人材派遣会社を相場よりも高く売却するには、どうしたらよいのでしょうか。主なポイントを挙げてみます。
- 自社のアピールポイントをまとめる
- 経営課題を解決しておく
- 派遣労働者の教育体制を徹底する
- 社会保険加入状況を確認
- 交渉相手を複数から選ぶ
- 人材派遣会社に詳しいM&A仲介会社を選ぶ
専門分野に強い人材派遣会社は、高く売却される傾向です。ITや医療・技術系などの専門分野に実績があれば、アピールポイントとなるでしょう。
経営課題がないかどうか、確認しておきましょう。改善できる管理費や営業費などがあれば、できるだけ解決しておくと好印象です。取引先の情報をまとめておくことも有効です。
派遣労働者の教育体制を徹底するために、マニュアルを作成しておくと、相手企業にアピールできます。労働者派遣法が改正されたため、社会保険に加入しているかどうかを確認することも重要です。
自社の評価が一番高いところに売却するために、複数の会社と交渉しましょう。人材派遣会社のM&Aを成功させるには、この業界に実績のあるM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。人材派遣会社に詳しいM&A仲介会社であれば、最適な相手先を選ぶことも可能です。
M&A総合研究所は、人材派遣会社のM&Aに詳しいアドバイザーが案件をフルサポートします。料金体系は、成約まで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、人材派遣会社のM&Aをご検討の際はお気軽にご相談ください。
5. 人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡の動向
ここでは、人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡の近年の動向を取り上げます。業界の現状や他社の動きなどから、人材派遣会社に見られるM&A・買収・売却・譲渡の動向を把握しておきましょう。
- 業界全体は縮小傾向
- M&Aによる大手グループの傘下入りが増加
- 業界内のM&Aも増加
- 周辺業種へのM&Aも増えている
- 後継者問題によるM&Aも増えている
それぞれの項目を順番に見ていきます。
①業界全体は縮小傾向
1つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡動向は、業界の縮小傾向についてです。派遣先の件数は、2014年〜2015年にかけて1万件ほどの減少が見られます。
派遣先件数 | |||
年度 | 労働者派遣事業 | 旧特定事業派遣事業 | 合計 |
2018年度 | 689,720 | − | 689,720 |
2017年度 | 641,103 | 66,216 | 707,319 |
2016年度 | 630,269 | 85,498 | 715,767 |
2015年度 | 577,780 | 111,364 | 689,144 |
2014年度 | 714,535 | 114,366 | 828,901 |
2013年度 | 703,600 | 113,911 | 817,511 |
その後は増加傾向に転じたものの、2018年度には旧特定労働派遣事業の廃止が実行されたことで再び減少しています。今後も人材派遣会社の減少が予想されるでしょう。
近年の売上高は上昇傾向にありました。しかし、直近では労働派遣法の改正を受けて、旧特定派遣事業からの売上が減少し、合計の売上高にも影響を及ぼしました。
売上高 | |||
年度 | 労働者派遣事業 | 旧特定事業派遣事業 | 合計 |
2018年度 | 6兆3,816億円 | − | 6兆3,816億円 |
2017年度 | 5兆4,912億円 | 1兆83億円 | 6兆4,995億円 |
2016年度 | 5兆1,826億円 | 1兆3,971億円 | 6兆5,798億円 |
2015年度 | 4兆348億円 | 1兆6,442億円 | 5兆6,790億円 |
2014年度 | 3兆9,056億円 | 1兆5,338億円 | 5兆4,394億円 |
2013年度 | 3兆5,906億円 | 1兆5,135億円 | 5兆1,042億円 |
②M&Aによる大手グループの傘下入りが増加
2つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡動向は、M&Aによる傘下入りの増加についてです。旧特定労働派遣事業の会社が許可を得るには、一定の資産・負債・預貯金の額を満たしている必要があります。
2018年には、自社のみでの許可申請を断念する会社が多く見られました。資本力が乏しかったり負債を抱えていたりする企業が大手に傘下入りするため、M&A・買収・売却・譲渡の件数が増加したのです。
買収側の視点からすると、人材派遣会社を買収すれば必要な人材を確保できます。人材派遣事業の拡大・外注に頼っていた部門の内製化・コストの減少・既存事業とのシナジー効果などさまざまなメリットの享受を目的に、法改正以降もM&Aによる買収件数が目立っている状況です。
③業界内のM&Aも増加
3つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡動向は、業界内におけるM&Aの増加についてです。異業種によるM&Aはもちろんのこと、同業種によるM&Aも増加傾向にあります。
目的は事業領域の拡大です。売り手企業の立場を考えても、同業者を買い手に選ぶメリットは大きいといえます。相手企業に事業経験があれば、事業の継続を望めたり従業員に与える労働環境の変化も微小に抑えられたりといった期待ができるためです。
こうした理由により、業界内におけるM&A・買収・売却・譲渡の件数は今後も増えると推測されます。
④周辺業種へのM&Aも増えている
4つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡動向は、周辺業種に対するM&Aの増加についてです。人材派遣業では市場の縮小が見られています。周辺業種のM&Aにより、自社の売り上げを確保しようという動きが目立っています。
一例を挙げると、人材紹介会社に対するM&A・買収件数の増加傾向が顕著です。人材派遣業と同じく人材を扱う業種であることから、M&A・買収後も経営の維持を行いやすいと判断されています。
⑤後継者問題によるM&Aも増えている
5つ目に取り上げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡動向は、後継者問題によるM&Aの増加についてです。少子高齢化や労働派遣法の改正などの影響を受けて、事業を承継する相手を探している経営者が増えています。
親族や社内で後継者を見つけられない経営者は、第三者へのM&Aを選択して売却を希望しているのです。会社の経営状態は良好であるケースが多く見られます。
売却・譲渡する相手に潤沢な資金があればM&Aが成立しやすいことから、後継者問題によるM&A・買収・売却・譲渡の件数も増えていると推測されます。
6. 人材派遣会社M&A・買収・売却・譲渡の際の仲介会社の選び方
ここでは、人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡を検討している人に向けて、仲介会社を選ぶポイントを紹介します。M&A・買収・売却・譲渡の仲介会社選びに迷っている人は、以下のポイントを押さえて自社に合った仲介会社を選びましょう。
- その分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応・相性が良い
それぞれのポイントを順番に見ていきます。
①その分野の専門的知識・M&A実績を持っている
1つ目に挙げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡で仲介会社を選ぶポイントは、専門知識と実績を備えている点です。労働者派遣法の改正により、人材派遣を営む企業には許可の申請が必要となりました。
対象企業によっては、改正に対応していないケースもあり得ます。M&A・買収の際には、許可の有無や現在も基準を満たしているかなど、専門家によるチェックが実施されている仲介会社を利用しましょう。
人材派遣会社に関するM&A実績も、選ぶ際のポイントです。過去に同業者のM&Aを仲介していれば、人材派遣業の知識を備えているといえます。M&A・買収・売却・譲渡を望む場合には、仲介会社にM&Aの実績があるかどうかを確かめておきましょう。
②M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
2つ目に挙げるポイントは、M&Aに関する知識と経験の有無についてです。人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡では、売り手の人材確保・派遣先の数・人件費の割合など、M&A後の事業展開に影響を与える項目を把握する必要があります。
M&Aでは、押さえておくべき項目を認識・指摘したうえで、承継後の営業にも配慮してもらえる仲介会社を選びましょう。人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡では、他業種も含めてM&A仲介の実績を確かめてから仲介会社を選ぶことをおすすめします。
③手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
3つ目に挙げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡で仲介会社を選ぶポイントは、わかりやすい手数料・相談料・報酬体系の提示についてです。仲介会社によって、売り手と買い手にかかる手数料および報酬体系は大きく異なります。
中には相談だけでも料金を徴収する会社もあります。M&A・買収・売却・譲渡で仲介会社を選ぶ場合には、明確に手数料・相談料・報酬体系を提示している企業を選びましょう。
相談前に料金をホームページなどで確認しておくことをおすすめします。
④担当スタッフの対応・相性が良い
4つ目に挙げる人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡で仲介会社を選ぶポイントは、担当スタッフの対応と相性についてです。M&A・買収・売却・譲渡の仲介では、担当スタッフの能力・経験が成否を大きく左右します。担当スタッフの専門知識と実績を確認しておきましょう。
担当スタッフとの相性も重要な要素です。こちらの意図を組んでくれなかったり、関係先の案件ばかりすすめてきたりなど、担当スタッフ次第では自社の希望が尊重されない事態が発生する可能性があります。ただし、担当スタッフの対応や相性はホームページ上の情報では把握できません。
無料相談を行っているのであれば積極的に利用してみましょう。相性が悪いと感じた場合には、M&A・買収・売却・譲渡を進めないほうがよいでしょう。
他のスタッフに代わってもらったり、他の仲介会社に変えたりする選択を視野に入れておくことをおすすめします。
7. 人材派遣会社M&A・買収・売却・譲渡の相談先
人材派遣会社のM&A・買収・売却・譲渡の相談先には、専門知識を豊富に備えたM&A仲介会社を選びましょう。専門知識と豊富な経験を備えたスタッフが在籍する仲介会社では、自社にあった相手を紹介してもらえる可能性が高いです。
それだけでなく、M&Aで生じる手続き・必要な書類作成・煩雑な事務処理の代行サービスを利用できます。M&A総合研究所では、M&Aに精通したアドバイザーが交渉からクロージングまでフルサポートいたします。
料金体系は、成約まで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webなどで随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
8. 人材派遣会社のM&A・売却・買収・譲渡のまとめ
人材派遣業の市場は、法律の改正に伴いM&Aの増加が目立っています。たとえ市場は縮小する見込みであっても、うまく活用すれば事業の拡大が見込めるでしょう。
廃業を検討していた企業であっても、事業拡大を図る買い手が現れれば、高い確率でM&Aの買収に応じてもらえる状況です。買い手も同様に、売り手の増加により、自社に見合った企業を見つけられる可能性が高いといえます。
人材派遣会社でM&Aを成功させるには、法改正への対応などの観点を中心に、専門家のサポートが必要不可欠です。
9. 人材派遣業界の成約事例一覧
10. 人材派遣業界のM&A案件一覧
【外国人労働者派遣/ベトナム・カンボジア等海外コネクション多数】愛知県の人材派遣業
人材派遣・アウトソーシング/中部・北陸案件ID:2315公開日:2024年10月08日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
・愛知県にて製造業への派遣を主とした外国人労働者(エンジニアビザ「技術・人文知識・国際業務」)派遣事業を手掛けている
【2社譲渡案件】健康診断サービス業・クリニック運営
介護・福祉・医療/関東・甲信越案件ID:2288公開日:2024年09月27日売上高
5億円〜10億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
健康診断に特化した医療サービスを手掛ける企業
【首都圏】高収益の留学支援業
人材派遣・アウトソーシング/人材紹介/教室・教育・ノウハウ/関東・甲信越案件ID:2200公開日:2024年08月29日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
短期留学や海外の大学へ進学したい方の支援を行っている。
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
建設・土木・工事・住宅/人材派遣・アウトソーシング/東北案件ID:2103公開日:2024年07月30日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社。 施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛ける。
【近畿地方/売上20億円超/純資産以下で譲渡可能】保有トラック300台以上の運送事業
倉庫・物流・運送・宅配/近畿案件ID:1516公開日:2024年01月09日売上高
25億円〜50億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
20億円(応相談)
売上:20億円以上 業歴:50年以上 業種:一般貨物自動車運送業、自動車整備業、人材派遣業 トラック台数:300台以上
【西日本・複数法人同時譲渡】就労継続支援業(図面チェック)、製作図業
IT・ソフトウェア/介護・福祉・医療/住宅・不動産・ビルメンテナンス/中国・四国案件ID:1463公開日:2023年12月14日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
5億円〜7.5億円
①図面製作図業 ②就労継続支援A型
【海外/売上約20億円/日系顧客多数】人材派遣会社
人材派遣・アウトソーシング/人材紹介/海外案件ID:1430公開日:2023年12月06日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
希望なし
人材派遣サービス、人材(正社員)紹介サービス
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