譲渡企業
株式会社メディカルジョブセンター
取締役 岩橋 成典 様インタビュー
まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。
1.御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えて下さい。
当社は、看護師に特化した人材紹介事業を2009年に札幌で創業しました。私自身、HR領域での経験があり、中長期的な成長が見込まれる分野と考えていたためです。当時、看護師の転職市場では有力な求人媒体が少なく、さらに看護師特有の残業や夜勤により転職に割ける時間が限られていることから、人材紹介事業との親和性が高いと判断しました。当社の強みは、創業以来、医療・介護・保育業界に特化した専門性の高い人材サービスを提供している点にあります。
2. どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
創業後、エリア・職種・事業の3つの軸で展開を進めてまいりました。エリアでは、札幌を起点に東京・大阪・広島・福岡へと順次拡大しています。紹介する職種は、看護師に加えて保育士、薬剤師、介護職へと拡充し、事業も紹介事業にとどまらず、人材派遣事業へと展開してまいりました。
M&Aを検討されたきっかけ
3.譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
コロナ禍以降、人材サービス業界にも多様なサービスが登場しました。特にダイレクト型サービスの台頭により、市場環境が年々厳しくなっていると感じていました。当社では、他企業様とのアライアンスも視野に入れており、その中でLDTの白石CEOとの面談の機会をいただいたことがきっかけとなりました。
4.ご検討を進められる上で、ご希望や大事にされた条件を教えてください。
第一に、既存社員の継続雇用を前提条件としました。また、将来的に会社の成長が見込めることを重要な希望条件として掲げておりました。
LDT様との出会い
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5.最終的にLDT様への譲渡をご決断されましたが、LDT様の印象や譲渡を決められた理由を教えてください。
初めてお会いした時から現在に至るまで、一貫して誠実なご対応をいただきました。この印象は白石CEOに対しても、LDT社全体に対しても非常に強く抱いています。また、LDT社が掲げるAgeTech領域は、当社の事業領域と重なる部分が多く、非常に親和性が高いと感じました。
さらに、ミッション・ビジョン・バリューに深く共感できたことや、当社にないノウハウや経験を保有している点が大変魅力的でした。加えて、PMIを実行するなど全体を通じてスピード感があり、今後の成長を具体的にイメージできたことが、最終的な決断の決め手となりました。
6.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
まずは、何よりも会社の成長を期待しています。このたびLDT社のグループに加わることができたことに深く感謝するとともに、社員一同でグループの発展に貢献したいと強く願っています。また、私自身も引き続きしっかりと貢献していく所存です。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
7.譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
今回のM&Aは私にとって初めての経験で、多くの思いがありましたが、早めに最初の一歩を踏み出しておいて本当に良かったと感じています。経営者様それぞれにさまざまなケースがあると思いますが、M&Aを選択肢の一つとして前向きに検討することは非常に有効であると改めて実感しました。
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最後に、M&A総合研究所についてお聞かせください。
8.M&A総合研究所にお任せいただいた理由を教えてください。また、弊社のアドバイザーのサポートはいかがでしたでしょうか。
LDT社様とのご縁をいただいたことに心から感謝しております。M&A総合研究所様に最終的にお願いした理由は、素晴らしい企業様をご紹介いただける確かな実績があったからです。また、担当アドバイザーの鞍野様には本当に親身にサポートしていただきました。M&Aに関する知識が不足していた私に対し、1から10まで丁寧に教えてくださったことは大変心強かったです。さらに、ご紹介いただいた企業様の実現可能性を逐一フィードバックしていただき、スタートからクロージングまでのやり取りを迅速に進めてくださったおかげで、大きな安心感を得ることができました。
譲受企業
LDT株式会社
代表取締役CEO 白石 和也 様インタビュー
まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。
1.御社の創業の経緯を教えてください。
AgeTech領域の事業に参入する前は、自身で創業した会社2社のバイアウト経験があります。
AgeTech領域に興味を持った背景は、21歳の時に父と祖父がくも膜下出血、脳梗塞で亡くなった際に、葬儀を2回経験したことです。現代の価値感や文化と乖離したルールやしきたりなどがあり、葬儀業界に興味を持ったことがきっかけになります。
その後、バイアウトを含め、さまざまな事業での経験を踏まえ「大きな事業をしたい」と思った際に、今後の死亡者数、高齢化率、労働人口などの人口統計など、さまざまなリサーチをした結果「AgeTech領域は面白い」と思い参入を決意しました。
現在の事業は、2020年1月から開始しました。最初の事業は、葬儀社と葬儀を依頼したい方をマッチングするプラットフォームからスタートしました。葬儀社向けの顧客管理システムや、たまたまコロナ禍でオンラインに関するサービスが流行っていたタイミングだったので、オンライン葬儀というシステムを展開し、展開予定だったCRMに拡張していきました。
ー事業の強みを教えてください。
弊社の強みは、葬儀業界で約1,000社の取引先があることです。プラットフォーム事業で約800社、SaaS事業で約100社の企業様に導入いただいています。さらに、葬儀社向けのSaaSのシステムで3年でシェア1位を達成できたのも強みのひとつです。
今後は、葬儀業界のネットワークを活かし、人材のプラットフォーム事業として葬儀社やAgeTech領域(ヘルスケア・医療・介護・シニアライフ・相続)向けに展開していきたいと思っています。
M&Aを検討されたきっかけ
2.M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
大学時代の友人達が起業したり、士業としてプロフェッショナルな仕事をしていて、彼らの経験を通してM&Aという手段の話を聞いたことが最初のきっかけです。実際に譲渡はしなかったのですが、最初に始めたブランド品・ジュエリーの買取専門店の事業でM&Aを検討したり、友人と共同で創業した会社を上場企業へ数億円で売却した経験があります。
メディカルジョブセンター様との出会い
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3.メディカルジョブセンター様の印象や、最終的に譲り受けを決められた理由を教えてください。
1つ目の理由は、岩橋様とお会いした際に「非常に誠実な方だな」というファーストインパクトがあったことです。私自身の失敗経験から、最初の直感は後々まで間違っていたことが少なく、反対に迷って判断した決断の方がかえって失敗に終わることが多かったため、お会いした際の直感に従いました。
2つ目の理由は、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が非常に共感できる内容だったことです。やり取りを通してレスポンスの速さや、会社をクリーンに経営されているのを感じました。共に統合していく中で、さまざまな面においてスムーズにいくのではないかと思いました。
また、弊社の事業領域と非常に近しい領域のビジネスを展開されており、弊社にはない取引先との接点や領域の知見をお持ちの従業員様がいらっしゃることが非常に魅力的で、最終的な判断をしました。
今後への思い
4.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
今後、展開していきたい人材プラットフォームによる「AgeTech領域の労働力の最適配置」を共に目指せることを期待しています。
ーメディカルジョブセンター様がグループインすることによって、どのようなシナジー効果を期待していますか?
既存事業を共に成長させることは当然ですが、一緒になったことを通して新たな価値を生み出すことも必要だと思っています。
医療・介護・保育・ヘルスケア・葬儀など、AgeTech領域における労働力の最適配置を実現したいと考えています。そこで必要な、弊社にはないデータベースやノウハウを提供していただけることを期待しています。
ー従業員様に伝えたいメッセージなどはありますか。
今回のグループインを通して、従業員の方々にも給料面などの待遇の改善を図り「働いて良かった」と思っていただけるようにしたいです。
特に給与面の改善を実現したいと考えております。給与面の改善を図るには、求めるレベルが高くなるかもしれませんが、プロとして一生懸命働き、その対価を得ることで今までにない選択肢を増やしていただきたいなと思っています。
それらの経験を通して「一緒に働いて良かった」と思っていただき、従業員の皆様の幸福度を高めること。そこに会社としての存在意義や、私自身が経営者として働く意義があると思っています。
5.今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
前提として、M&Aはタテの展開とヨコの展開しかないと思っています。実際、領域を大きく逸脱したM&Aは、統計上を見ても失敗している例が多いと感じています。この前提を踏まえ「弊社が取り組みたい領域で、自分たちで創るよりも時間短縮が出来る」というのが一つの要素と考えています。
また、M&Aを検討する際に「具体的な打ち手があるか」も判断方針のひとつです。今後も、AgeTech領域とのシナジーが期待できる企業様とのご良縁を模索しています。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
6.M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
ー譲受企業様に向けて
M&Aでは、最終的に統合後の関係が最も重要です。そのため、従業員や役員を含めた全体的な判断を重視すべきです。初対面の印象があまり良くない相手とは、慎重になるべきかもしれません。また、事前に相手先を十分に調査しても、すべてを把握するのは難しいため、リスクを事前に可能な限り排除しておくことを推奨します。
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ー譲渡企業様に向けて
譲渡企業の場合、税務や人事労務がしっかり整備されていることで、買い手の選択肢が広がります。また、経営者に依存しない体制を早めに整えることも重要です。さらに、エリアや業界におけるナンバーワンの実績を持つことで企業価値が高まり、買い手候補が増える可能性が高くなります。
最後に、M&A総合研究所についてお聞かせください。
7.弊社のアドバイザーのサポートはいかがでしたでしょうか。
担当アドバイザーの鞍野様は、これまでお付き合いした仲介会社の中で最も丁寧に仕事をしてくださったと感じています。特に、私は譲渡企業側であった経験もありますが、譲渡側は進捗状況に不安を抱えることが多いです。その中で、鞍野様のレスポンスの速さは大きな安心感につながりました。今回、譲渡側・譲受側の双方に対して穏やかさと気遣いを持って対応していただき、本当に素晴らしいアドバイザーだったと思います。
思い出に残っているのは、電話でのやり取りを必ずメールでもまとめて送ってくださるなど、細かい配慮が非常に良かった点です。
担当者からのコメント
本件は、当社のマッチング力と成約スピードの強みが存分に発揮された事例だと感じております。譲渡企業様と譲受企業様双方の誠実なご対応、そして提携後に共に描く成長戦略の一致を早期の段階から共有できたことで、短期間で成約に至ることができました。最適な企業様をご紹介できたことを非常に嬉しく思うとともに、企業のさらなる発展を支援できたことに、アドバイザーとして大きな喜びを感じております。譲受企業様の運営のもと、ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
(企業情報第五本部第三部 次長 鞍野 海人)
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