譲渡企業
人材紹介・人材コンサルティング業 O社
代表取締役社長 Y.E.様インタビュー
まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。
1.御社の創業の経緯を教えて下さい。
創業の経緯は、大学卒業後に大手人材会社へ入社し、40歳まで勤務したことに始まります。主に関西で勤務していましたが、38歳のときに東京へ異動となり、単身赴任で2年間過ごしました。その中で起業を決意し、40歳を機に地元関西へ戻ることを選びました。前職で18年間、採用ビジネスに携わった経験を生かし、特化型の人材紹介事業を立ち上げました。当時、競合が少なかった転職エージェント分野に注目し、その将来性を見据えて事業を開始しました。個人事業主としてスタートし、2年後には前職のOBを業務委託で迎え入れ、さらに既卒の若手も数名採用することで事業を拡大しました。
2.どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
創業時は、大手企業の人材紹介事業がデータベースを開放し始めるタイミングにありました。この状況を大きなチャンスと捉え、採用ビジネスの可能性に確信を持ちました。長年採用ビジネスに従事してきた経験から、転職エージェント分野が当社にとっての追い風になると感じました。また、当時転職エージェントが少なかったこともあり、先駆者的なポジションで市場に参入し、事業を拡大することができました。
M&Aを検討したきっかけ
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3.譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
M&Aを検討し始めたのは約1年前のことです。当社はコロナ禍で大きく業績を落としましたが、ようやくコロナ前の水準に戻りつつある状況でした。組織体制に一定の強みがある中、今後の拡大を目指すには、自社資本のみで継続していくべきか、それとも他社と提携して事業を拡大すべきか判断に迷っていました。
TOASU様との出会い
4.ご検討を進められる上で、ご希望や大事にされた条件を教えてください。
会社のスケールアップを目指すにあたり、どのようなお相手であればシナジーを生み出せるか、また、M&Aを通じて当社の従業員が幸せになれるかどうか。この2点を最も重要な観点として譲渡先企業を検討しました。
5.最終的にTOASU様への譲渡をご決断されましたが、TOASU様の印象や譲渡を決められた理由を教えてください。
決め手となった理由は、大きく2点あります。第一に、グループ企業としての理念や考え方、社風に大きな魅力を感じ、当社との親和性が非常に高いと感じたことです。第二に、経営陣である社長と取締役のお人柄に深く惹かれたことです。グループに参画することで当社のさらなる成長が期待でき、一緒に仕事をしていきたいという強い想いが湧きました。
6.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
当社がM&Aを実施した目的は、スケールアップにあります。TOASU様と協力することで、双方のシナジーを生かしつつ、グループの知見やスキル、ノウハウを活用して事業を拡大していきたいと考えています。また、従業員の待遇改善という課題も抱えており、自社資産だけではその改善に限界があると感じていました。M&Aを通じて待遇を向上させ、従業員が安心して働ける環境を整えることを目指しています。
譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
会社経営には、360度アンテナを張り巡らせておくことが重要です。その中で、経営者としてM&Aを選択肢の一つに加えるべきだと、今回のM&Aを通じて改めて実感しました。多くの経営者の方々とお会いする中で、考え方や価値観の違いが多様であることを学びました。その違いはさまざまな側面に影響を与えるため、M&Aを成功させるためには、まず目的をしっかりと明確にすることが不可欠です。今回の経験は非常に有意義なものでした。
最後に、M&A総合研究所についてお聞かせください。
M&A総合研究所の担当アドバイザーである宇野様だからこそ、安心してお任せできたと感じています。お相手様ともお話しましたが、宇野様が常に迅速に対応してくださったことで、安心して交渉を進めることができました。また、どんな状況でも一切嫌な顔を見せず、相手の話を全てしっかりと受け止めた上で、言葉を慎重に選びながら丁寧に伝えてくださる姿勢が非常に印象的で、とても良かったと思います。
譲受企業
株式会社TOASU
取締役 福本 高宏様インタビュー
M&Aを検討したきっかけ
1.御社のM&Aの取り組みについて教えてください。
当社は学研グループの一員として、M&Aを成長戦略の重要な柱と位置づけています。当社の主力事業である教育分野は、少子化の影響を大きく受ける業界です。そのため、そのままでは将来的な成長が難しいという課題があり、近年では医療、福祉、介護分野にも注力しています。従来のようなオーガニックな成長だけでは限界があるため、非連続的な成長を実現する手段としてM&Aを積極的に活用する方針です。
2.今回、M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
当社は、企業のニーズに応じた研修プログラムを提供する企業として事業を展開してきました。今後はさらに対象を広げ、不特定多数の方にも提供できるオープン研修やeラーニングを取り入れるなど、門戸を広げた展開を行っていきます。一方で、現在の人材不足は大きな課題であり、優秀な人材を採用することも重要なテーマです。そのため、育成に加え、採用という価値を提供できる分野への進出が必要であり、そうしたタイミングで希望条件に合致したO社様をM&A総合研究所様からご紹介いただいたことが、今回のM&A検討のきっかけです。
今後への思い
3.今回のM&Aで期待することを教えてください。
非連続的な成長を実現するためには、本業とのシナジーを見込めるパートナーであるかどうかが重要なポイントです。また、O社様が持つ企業文化や強みを尊重しつつ、当グループの優れたリソースを活用していただき、良い形で融合することで新たな価値を創出していきたいと考えています。
4.今後のビジョンを教えてください。
今後は、バックオフィス体制の強化に向けてグループ全体でしっかりとサポートしていく予定です。お互いのリソースを効果的に共有し、コスト削減を図ることで、企業の成長につなげていきたいと考えています。また、シナジーを活用して全体としての規模拡大を目指し、情報共有の機会を増やしながら、より強固な連携を図っていきたいと思います。
5.今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
M&Aは、当社の重要な成長戦略の一つと位置づけています。今後の方針としては、自社の弱みを補完できる企業様や、異なる領域の人材会社、お客様のニーズが高い分野の企業様を積極的に検討していきたいと考えています。当社グループのアスピレーションである「人の可能性をどこまでも追求する」を軸に、人材課題を解決するための領域において、引き続きM&Aを活用していく方針です。
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M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
多様な企業様がある中で、学研グループの方針として最も重要視しているのは、シナジーを通じて双方のビジネスを拡大し、結果として社会に貢献できるかどうかです。そのためには、事前にしっかりとお互いを理解し合うことが不可欠だと考えています。今回は、3回のトップ面談を重ねることで、相互理解を深めていきました。「この方となら、仲間として共に事業を進めていける」と感じられる企業様と手を結ぶことが重要だと思います。もちろんビジネスには交渉がつきものですが、互いにメリットがあるか、共に成長できるか、そして相手に好意や信頼を抱けるかが、成功の鍵になると考えています。
最後に、弊社のアドバイザーのサポートはいかがでしたでしょうか。
非常に素晴らしいサポートをいただきました!メールの返信が常に迅速で、大変助かりました。これにより理解が深まり、M&Aを円滑に進めることができました。さらに、作業が迅速かつ正確で、当社が9月末までにクロージングを実現したいという目標を達成するうえで、難しい局面も多々ありましたが、宇野様がスケジュールを巧みに調整してくださいました。また、都度正確な情報を収集し、同じ質問を何度しても丁寧に対応いただいたおかげで、安心して進められました。「迅速」「的確」「丁寧」という点が非常に印象的で、今回のM&A成功の大きな要因となったと感じています。
担当者からのコメント
当初、売主様は第三者へのご譲渡をお考えではありませんでした。しかし、何度かお話を伺う中で、従業員様に「幸せになってほしい」という強い想いをお持ちであることが分かりました。その実現には、賃金の向上や働きやすいオフィス環境の整備が必要であり、会社のさらなる成長と資本力の強化が不可欠であるとの認識に至られました。そこで、会社を成長させ、従業員様がいきいきと働ける環境を作るために必要なパートナーシップの要素を共に洗い出し、言語化していきました。売主様のご希望を丁寧に伺い、共通の理念を持つ異業種の企業様をご紹介した結果、双方の理念に共感し意気投合し、良縁を結ぶことができました。
(企業情報第四本部第二部 副部長 宇野 凌麻)
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