アメリカのM&A市場が2020年も好調!M&A件数が伸び続ける理由とは?

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

アメリカはM&A大国です。アメリカのM&Aは件数も金額も伸び続けています。本記事では、アメリカのM&Aが成長し続ける理由を、歴史や文化的背景にも触れながら解説するとともに、日本企業のM&Aによる買収がアメリカに比べて遅れている理由も紹介します。

目次

  1. アメリカのM&A市場の規模
  2. アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由
  3. アメリカでM&Aを行うメリット
  4. 日本企業のM&Aが遅れている理由
  5. アメリカでM&Aを成功させるには
  6. アメリカのM&A市場まとめ
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1. アメリカのM&A市場の規模

アメリカのM&A市場の規模

アメリカのM&A市場は活況が続いています。資産管理会社ロバート・W・ベアードがまとめたデータによれば、アメリカのM&A市場規模は、2014年から2017年まで4年連続で1兆ドルを超え、日本円にして100兆円を優に超えています

2019年上期のM&Aマーケットの動向は、前年同期比で件数については落ち込みがあるものの、金額は上昇しており、なかでも欧州企業によるインバウンド投資が多いです。

なぜアメリカにおけるM&Aのマーケットは伸び続けているのでしょうか。その理由を、アメリカの文化的背景や歴史的背景などから読み解いていきます。

参照:Business Insider「2018年もアメリカのM&A市場の好調が続くであろう3つの理由」、 デロイトトーマツ 「世界のM&A事情 ~アメリカ~」

2. アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由

アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由

世界経済の環境が変わり続ける中でもアメリカのM&A件数と金額が伸び続ける理由を解説します。

中国企業からの買収

中国の著しい経済成長とともに、中国にも巨大なグローバル企業が次々と誕生している状況です。中国の大手企業は旺盛な投資意欲で、国内だけでなく海外へのM&Aを積極的に進めてきました。

しかし、リスク度外視で手当たり次第にM&Aを仕掛ける企業が増加しました。不正な資金流出や中国経済への打撃に危機感を覚えた中国政府は、対外投資規制を実行します。

中国企業の買収を警戒したアメリカやEUでは、中国に対する規制強化やM&A案件が拒否される事例が続出しています。しかし、中国企業にとって事業シナジーがあり、中国政府は国益になるクロスボーダーM&Aに関しては推奨傾向です。

アメリカは、中国との貿易戦争が激化しながらも、アメリカ企業の利益になるのであれば中国企業からのM&Aに対しても前向きな姿勢です。一時的なM&A件数の落ち込みはあるものの、中国によるクロスボーダーM&Aはこれからも伸びるといえます。

【関連】中国企業によるM&A・買収事例20選!EUは中国企業のM&Aに規制強化!

競争激化による買収価格の高騰

FRBの金融緩和政策やアメリカの好調な景気の後押しもあって、アメリカ国内のM&A市場は件数、金額ともに伸び続けてきました。その分競争も激化し、M&Aによる買収価格は高騰しています。

今後はFRBの利上げによって市場に流れるお金の量が減り、世界経済も低成長時代に突入しているので、企業がM&Aに回す資金も減少する可能性があります。それでもアメリカ企業のM&Aに対する意欲は、高まり続けると予想できるでしょう。

経済成長が鈍化する中で企業が大きく成長していくためには、M&Aによる企業買収が必要と考える企業が多いことがその理由です。不景気に備えて、M&Aによって企業体力をつける目的もあります。今後はAIやIoT、FinTechなどITの最先端技術に関連するM&A市場が伸びるでしょう。

歴史上M&Aの慣習が根付いている

アメリカでは長い時間をかけてM&Aの慣習が根付いていった歴史があります。アメリカにおけるM&Aの歴史は1900年代前半から始まり、M&Aの基礎ができあがりました。

本格的にM&A市場が盛り上がりを見せ始めたのは、1970年代からです。歴史的にアメリカでは会社の規模を大きくするのが成功につながる風潮がありましたが、それが1970年代にコングロマリット(複合企業)として急増しました。

しかし、大きいほど良いとするアメリカの歴史的・文化的考えから、事業シナジーを考えずに異業種の企業を次々にM&Aで買収していき、アメリカの大企業は肥大化していきます。

大きくはなったものの無駄が多い企業体質になってしまった企業は、1980年代に入ると、資金調達マーケットが効率化し、容易に資金調達ができる資本市場の仕組みができあがりました。

不必要な多角化がなくなり、採算部門でない事業はM&Aによって売却を進めていきました。1990年代以降になると資本市場の効率化が進み、さらに戦略的なM&Aが増加したのです。

これによりさらにM&Aが一般化していきます。M&Aが普及していく中でさまざまなM&Aの手法も生まれ、敵対的買収も増加します。敵対的買収とそれに対抗する企業との戦いが激しくなるにつれて、企業価値や株主の利益が重視されるようになりました。

M&Aにおける長い失敗の歴史と争いの歴史を経て、アメリカにおけるM&Aの慣習はできあがっています

参照:内閣府・経済社会総合研究所「わが国のM&Aの動向と課題」

スピード重視

合理性と効率性が重視されるアメリカでは、M&Aのスピードが速いこともM&A市場の伸びにつながっています。アメリカでは新規事業を始めるときに、ゼロから事業を立ち上げるのではなく、すでに立ち上がっている事業をM&Aによって買収し、事業をスタートさせるのが一般的です。

飲食店をゼロから始める場合は、準備から開店まで数カ月、長ければ1年以上かかります。しかし、すでに運営している店舗をM&Aによって買収すれば、土地や店舗、人材、各種許認可がすぐ手に入るでしょう。

アメリカでは、小さな会社のM&Aやスタートアップ企業のM&Aにおけるスピードが速く、M&Aにかかる時間とお金を抑えられます。初期投資のリスクが少ないので、アメリカのM&A市場は成長を続けています。

M&A教育が充実している

アメリカではM&Aを学べる機会が充実しています。M&Aを本格的に学ぶスクールから基礎知識を身につけるスクールまで、段階に応じて選べるでしょう。

M&Aを会社経営も含めて総合的に学ぶには、MBA(経営学修士)を取得できるビジネススクールに入学する方法があります。日本でも1980年代頃から流行し始めたMBAですが、アメリカでの歴史は古く、1900年代には始まっていました。

日本でのビジネススクール志願者数は数千人ですが、アメリカでは毎年数万人の志願者がいます。アメリカではM&A講座やセミナーも充実し、WEBで本格的に学べるスクールも多く存在しています。

そもそもアメリカでは子供の頃からお金に関して学ぶ機会が多く、投資に対しての正しい考え方を身につくでしょう。こうした土台があったうえでM&Aについても学ぶので、正しくリスクをとれる点が強みです。

3. アメリカでM&Aを行うメリット

アメリカでM&Aを行うメリット

M&Aが一般的であるアメリカでは、日本にはないM&Aを行うメリットがあります。アメリカでM&Aを行う際のメリットを見ていきましょう。

小規模の売買が多い

日本でM&Aといえば、大企業が大規模な買収を行うイメージが強いです。しかし、アメリカではM&Aの大半が小規模のM&Aで、個人がM&Aによって小規模の会社を買収するケースも多くあります。

アメリカでは、会社の後継者がいない、ビジネスがうまくいっていないなど、後ろ向きの会社売却だけではありません。他のビジネスを始めるため、キャピタルゲインを得てセミリタイヤするためなど、前向きな理由の会社売却も多いです。会社を買収する側も好条件の会社を割安で買収できるチャンスがあります。

買収額の分割払いが可能

アメリカでは、M&Aによって買収した会社の買収金額を分割で支払えます。これにより、M&Aによって買収した側は初期投資のリスクを軽減できるでしょう。売却した側も定期的な収入を得られます。

買収した側はすでにできあがっているビジネスモデルを買うので、買収した時点からキャッシュフローがあります。途中で事業が行き詰まらない限りは、最初から安定的な買収金額の分割払いが可能です。

売却した側も、売却益に分割払い分の利息が乗るので投資効果があります。ビジネスを始めるために小規模の会社を買収したい人と、小規模な会社でも確実に買い手を見つけたい人の双方にメリットのあるM&Aです。

M&Aのノウハウを共有しやすい

M&A市場が充実しているアメリカには、M&Aを経験している人が多く存在します。自身の会社をM&Aによって売却した人やM&Aによって買収した人、投資家としてM&Aにかかわっている人やM&Aアドバイザーなど、さまざまな立場でM&Aを経験した人がいるのです。

アメリカでは起業家のコミュニティも充実し、シェアオフィスやSNSのコミュニティなど、同じコミュニティ内にM&Aを経験している人がいます。こうした環境に行くことで、M&Aに関してどのようにすれば良いか教えてもらえます。

M&A案件が多い

アメリカではM&Aのマッチングがしやすい環境が整っている状況です。豊富なM&A案件をそろえているM&A仲介会社が多く存在します。M&A案件を紹介しているサイトもあり、最近はM&Aをほとんどネット上だけで進められるサービスも増えているのです。

ネット上でシステマティックにM&Aが進むので、スピーディーに契約がまとめられます。ベンチャー企業同士のM&Aでは、M&Aの交渉開始から契約成立まで数日から1週間、2週間で決まる案件もあり、小規模のM&Aはスピード感が増しています。

M&Aにおける長い歴史の中でインフラが整えられ、M&A市場の活性化につながっているでしょう。

合理的にM&Aが進む

アメリカのM&Aは非常に合理的に進められます。感覚や気分に大きく左右されることなく、数字を元にロジカルに進むでしょう。

アメリカ人は子供の頃から合理的で効率的に考えるように教育され、ディスカッションやディベートの仕方もしっかりと学ぶので、交渉事には慣れています。M&Aの法律やルールも細かいところまでシステマティックに整備されているので、余計なトラブルなく進んでいきます。

4. 日本企業のM&Aが遅れている理由

日本企業のM&Aが遅れている理由

アメリカのM&Aがこれだけ進歩しているのに対して、日本のM&Aはまだ未成熟な状態です。日本企業のM&Aが遅れている理由を解説します。

買収に奥手

日本では、企業の買収に抵抗を感じる人が多いです。アメリカではM&Aの歴史が長いことから環境が整備され、M&Aは合理的である認識があります。しかし、日本におけるM&Aの歴史はまだ浅く、グローバル企業の経営陣や一部のベンチャー起業家以外はまだM&Aに慣れていません

しかも、2000年代に大きな話題となった、ライブドアによる日本テレビへの買収劇を始めとした、IT企業やハゲタカファンドによる敵対的買収のイメージが強く残っています。

それが原因で日本企業には、他の企業買収は良くない、イメージが悪いといった先入観ができあがってしまいました。これにより、いまだにM&Aによって企業買収に引け目を感じる日本企業が多く存在しています。

M&Aに長けている人材の不足

日本企業は身近にM&Aに詳しい人材がいないこともM&Aが遅れている原因です。アメリカの場合は、小規模の企業でも、M&Aに詳しい税理士や弁護士、MBAホルダーやM&Aアドバイザーなどが顧問としてついている場合が多いです。

中規模以上の企業であれば、ほぼ間違いなくM&Aに長けている人材がいます。しかし、日本企業の場合は、身近にMBAホルダーやM&Aアドバイザーがおらず、税理士や弁護士が実務としてM&Aに携わった経験がないことがほとんどです。

M&Aは複雑な交渉が生じるため、知識があっても豊富な実務経験がなければ途中で交渉決裂となってしまう場合があります。

M&Aが途中で頓挫したときの損失は買収する側もされる側も大きく、それ以降M&Aを諦めてしまう会社もありました。今後、日本でも小規模のM&Aが増えていくケースが予想されます。それに伴ってM&Aに長けた人材も必要になるでしょう。

アメリカのM&Aは専門家に相談

アメリカなど海外でのM&Aを検討している場合、社内にM&Aに長けた人材がいなくても、専門家に依頼すればノウハウ不足のカバーができます。

M&A総合研究所では、M&Aに精通したM&Aアドバイザーがクロージングまで案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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業績よりも年功序列による昇進制度

日本企業はこれまで社員の成績よりも、年功序列を優先した昇進制度を採用してきました。それにより日本企業は家族経営と呼ばれる、社員を優先した経営が一般的となりました。その結果、会社は社長と社員の物とする常識ができあがっています。

日本の会社員は自分が働く会社のことを「うちの会社」「私の会社」などという場合が多いです。そこからも、会社への帰属意識が出ています。バブルが崩壊した頃から若者の会社に対する帰属意識は下がりましたが、日本企業が社員を優先する価値観は残っています。

一方、アメリカ企業は、1980年頃から株主優先の価値観へと変化しました。アメリカ企業は社長や社員よりも株主の利益を優先します。会社と株主にとって利益があれば、カリスマ創業社長であっても解任され、敵対的買収を仕掛けられてもその方が会社と株主の利益になると判断されれば買収側が応援されるでしょう。

日本とアメリカの文化的、歴史的背景の違いが、M&A市場の成熟度に大きな差となって現れています。

会社や人材を売ることに対する抵抗感

日本企業には、会社をM&Aによって売却するのに抵抗感を持つ経営者がまだ多く存在します。前述のとおり、日本企業は社員を家族のように大事に扱ってきた歴史があり、中小企業には自分の会社を子供のように大事にしている社長が多いです。

そういった意識から、会社を売ることに強い抵抗を覚え、その結果、日本企業は事業承継できずに廃業する企業や、取り返しがつかないほどの借金を背負って倒産する企業が続出するでしょう。

日本企業の中でもベンチャー企業家や若手起業家は、M&Aによる会社売却に抵抗のない人が増えています。しかし、日本企業の大半を占める中小企業の価値観はなかなか変化しないのが現状です。

自ら創業するのが当たり前である文化

日本では、ゼロから会社を起こし大企業へと成長させるのが成功者とされてきました。松下幸之助や本田宗一郎、稲盛和夫などが経営の神様として尊敬され、「自分もゼロから会社を大きくしていきたい」という起業家によって日本企業が成長してきた歴史があります。

一方、アメリカでは、良い商品を持っている小さい会社を買い取って規模を拡大させたり、経営危機に陥っている企業を立ち直らせたりする経営者がカリスマ経営者とされてきました。こうした歴史の違いが、M&Aにおける価値観の違いを生み出しています。

貯蓄する国民性

日本人はお金を投資するのではなく貯蓄する国民性があります。狩猟民族である欧米人は手に入れたお金を投資して、さらにお金を増やす価値観がありますが、農耕民族である日本人は、手に入れたお金をためておくことで安心するでしょう。

アメリカ人はM&Aも投資と同じ考え方をします。割安な会社を買って、成長させたら売却してキャピタルゲインを手に入れ、そのお金でまた次の会社を買うサイクルを回すでしょう。

日本人は、不安を感じやすい遺伝子を持っている人の割合が多い研究結果も出ています。頭ではM&Aや投資にお金を回した方が良いと考えても、不安感からなかなか動き出せない国民性が出てしまうでしょう。

5. アメリカでM&Aを成功させるには

アメリカでM&Aを成功させるには

実際にアメリカでM&Aによって会社を買収したり売却したりする場合、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。アメリカでM&Aを行う場合のポイントを紹介します。

ロジカルに進める

日本の中小企業やベンチャー企業同士のM&Aは、経営者同士の気が合うかどうか、会社の風土が似ているかどうかなど、人を基準に判断したり、感覚に頼った決め方をしたりすることがほとんどです。

アメリカでは、ビジネス自体をしっかりと見定めます。いくら相手と関係を構築しても、相手がビジネスにメリットや将来性を見いだせるプレゼンテーションができなければM&Aは成立しません。逆に、相手がメリットや将来性があると判断した場合、迅速に話が進んでいくケースも多いです。

日本では情に訴える営業方法が効果的なことも多いですが、アメリカでは通用しません。むしろロジカルに説明できないことに対して能力がない人物と判断されてしまう場合もあります。アメリカでM&Aの交渉をする際は、しっかりとロジックを組み立ててから挑みましょう

早い決断を意識する

M&A市場が活発で競争の激しいアメリカでは、時間をかけて交渉しているうちに他の企業にチャンスを奪われてしまう場合がよくあります。アメリカのビジネスはスピードが重要視され、相手からの提案に対する決断を遅らせただけで、次のチャンスをもらえないこともあるでしょう。

今まで日本の大企業でしか働いたことがない場合、最初はアメリカのベンチャー企業における決断の早さに圧倒されるでしょう。まずは、アメリカのビジネスにおけるスピードに慣れる必要があります。

買収後PMIを徹底する

PMIとは、買収した会社におけるマネジメントのことです。日本でも、M&Aで買収した後にPMIがうまくいかなかったことで失敗に終わるケースが多いです。アメリカの企業を買収する際は、企業の優秀な人材を逃さないことも大事ですが、優秀な人材ほどすぐに他の企業へ引き抜かれてしまいます。

特にアメリカは人材紹介会社によるヘッドハンティングの競争も激しいので、他企業の条件が良ければすぐに移られてしまいます。PMIは、数字だけでは見えない相手企業の性質を見抜く力も必要なので、経験豊富なアドバイザーに依頼するのが重要です。

訴訟に気をつける

アメリカでは、人種差別問題や性差別問題、パワハラなどの問題で訴訟を起こされる確率が日本よりも圧倒的に多い国です。買収後にそれらの問題が発覚した場合は、買収した企業に損害賠償命令がくだります。

そうならないためにも、アメリカでは近年M&Aの契約時に訴訟に関する契約を結ぶケースが多いです。アメリカ企業を買収する際は、訴訟問題にも詳しい専門家をアドバイザーに持つことでリスクを抑えられるでしょう。

アドバイザー選びは慎重に

日本国内で日本企業とM&Aを行う場合にもM&Aの仲介会社選びやアドバイザー選びは重要ですが、クロスボーダーM&Aの場合はその重要性がさらに増します。

大手の仲介会社でも、担当するアドバイザーによっては経験不足だったり、得意分野ではないM&Aを担当したりする場合があります。

仲介会社を選ぶ際は、仲介会社の規模やアドバイザーの資格、学歴だけでなく、その会社やアドバイザーがこれまでどのような案件に携わってきたかを見定めてください。アメリカでのクロスボーダーM&Aを検討する場合も、英語圏でのM&A案件における経験を確認しましょう。

M&A後も責任を果たす

M&Aは、前述したとおり、M&A後がポイントです。アドバイザーが買収後のサポートも行い、M&A後も責任を果たすことが欠かせません。

ほとんどの場合、日本国外のM&Aに関して専門知識のあるアドバイザーがかかわりますが、その後における事業融合を成功させた経験があるアドバイザーは少ないです。このポイントは非常に重要になります。

成功のためには、アドバイザーがクライアントのM&A後における許容範囲や担当者などをしっかり把握していなければなりません。財務書類などの数字だけでM&Aを判断するのはリスクが高いといえます。

アメリカ型の企業文化を理解している

アドバイザーが、アメリカ型の企業文化を理解していることも大切です。アメリカは成果主義なので、社風や商品などが良くてもアメリカ型の成功報酬や職務概念を理解できなければ、優秀な人は長く続かないでしょう。つまり、買収後に離職が続出してしまいます。優秀な人が離れると、M&Aは失敗です。

買収先として稼げるだけでなく、日本本社の企業文化を守りながら融合できるアメリカの企業を見抜けるアドバイザーが求められます。

経験・実績を豊富に持っている

経験は物をいうので、経験・実績を豊富に持っているアドバイザーであることは重要です。M&Aでは、いろいろな業界や人材、経営者との交渉能力も必要になります。柔軟なアイデアを企画し提案して、M&Aを進める力も大切です。

アドバイザーは、M&A先の創業者や大株主経営者などの扱い、M&A後の対応、責務の契約、支払い条件などを、トータルで企画し交渉できなければなりません。

6. アメリカのM&A市場まとめ

アメリカのM&A市場まとめ

政治的リスクや経済の先行きなど、不安要素がいくつもある中で、アメリカのM&A件数や金額は堅調に伸びていくとアメリカでは予想されています。アメリカでのM&Aには多くのチャンスが眠っているでしょう。

アメリカで新規事業を始める場合も、アメリカの会社を買収して事業規模を拡大する場合でも、クロスボーダーM&Aに詳しい専門家の協力が必要になります。M&Aアドバイザーに相談しながらアメリカでの事業を成功に導きましょう。

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