2023年09月12日更新
事業承継の失敗事例10選!失敗要因は?
事業承継を検討している方は、失敗要因を理解することが大切です。同じような失敗をしないためにも、事業承継の失敗要因や失敗事例をベースに対策を講じましょう。成功させるために必要なポイントを確認します。
目次
1. 事業承継の失敗とは
当記事では、「事業承継の失敗」に焦点を当てて解説します。事業承継に失敗してしまう要因には何があるのか、失敗事例にはどのようなものがあるのかを知りたい方は、ぜひご参考ください。
まずは、「事業承継の失敗」にはどのようなものがあるのか解説しましょう。失敗事例から要因を学ばなければ、事業承継に失敗しかねません。会社が以下のような状態に陥る可能性もあります。
- 廃業
- 業績悪化
- 退職者の増加
- 資金繰りに追われる
これら4つの「事業承継の失敗」の概要を順番に解説します。
①廃業
事業承継が失敗すると、廃業せざるを得ません。事業承継によって業績の改善やシナジー効果を期待していたにもかかわらず、それらがうまくいかないこともあります。巻き返しできないことで、廃業を余儀なくされるケースも少なくありません。
廃業せざるを得ない状況に陥るかもしれないことを考えると、事業承継をためらう経営者の方もいます。当記事では、失敗要因の分析や、事業承継を成功させるための対策方法も解説します。
②業績悪化
事業承継に失敗することで、自社の業績がさらに悪化してしまう可能性があります。事業承継を実施する目的の1つは、「業績の改善・安定」が期待できることです。予想していたとおりに物事がうまく進まないのが会社経営です。
さまざまな失敗要因によって事業承継が思ったように機能せず、業績が悪化してしまうケースもあります。
③退職者の増加
事業承継の失敗によってもたらされる弊害の1つが退職者の増加です。事業承継に失敗し、うまく自分の会社を経営できないと、従業員が自社から離れてしまう可能性が考えられます。
事業承継には、自社の従業員の雇用を守れるメリットがあります。一方で、事業承継に失敗した場合、退職者が増加してしまう危険性があるので注意しましょう。
④資金繰りに追われる
事業承継に失敗すると、資金繰りに追われる危険性があります。これは、事業承継によって期待されていた業績の改善やシナジー効果による既存事業の成長が見込めないことが原因です。
事業承継の失敗に端を発した資金繰りの難しさが影響し、最終的には廃業を余儀なくされるケースもあります。このような事態を避けるためにも、失敗要因をあらかじめ理解しておきましょう。事業承継を成功させるための対策を練る必要があります。
2. 事業承継の失敗事例10選!
本章では、事業承継の失敗事例を紹介します。これから事業承継を行っていこうと検討している経営者の方や、事業を承継する予定の後継者の方は、これらの失敗事例をご参考ください。成功のための対策を講じることが重要です。
以下の10の失敗事例を解説します。
- 準備不足による社内の混乱
- 議決権の確保が困難になった
- 派閥争いによる後継者の追い出し
- 後継者が見つからない状態が続く
- 派閥争いによる会社資金の流出
- 引退した経営者が影響力を保持する
- 親族トラブルの発生
- 古参従業員からの反発
- 事業承継後の業績不振
- 相談しないまま事業承継を進めてしまう
①準備不足による社内の混乱
1つ目の失敗事例が「準備不足による社内の混乱」です。
事業承継は綿密な計画と準備なくして成功はできません。
今回の事例で紹介する経営者は、健康にとても自信があり、まだまだ現役で活動できる考えでした。後継者を息子にすると決定していたものの、事業承継をどのように進めるべきか、ノウハウなどを伝える準備を怠っていたのです。
ある日突然、経営者が体調を崩し、後継者として選出されていた息子が、急きょ経営を引き継ぐことになりました。後継者として息子を選出する以外に何も決めていなかったため、社内に混乱を招くことになったのです。経営不振から、多くの従業員が離職する事態にまで波及しました。
何も決めていないので、社内で後継者をサポートする人材など到底いるはずがありません。手探りで経営を進め、判断スピードが低下し、業績も悪化の一途をたどりました。こうした準備不足は、経営を続けられなくなるほどの打撃を与えてしまいます。
②議決権の確保が困難になった
2つ目の失敗事例が「議決権の確保が困難になった」です。
自分の子供を後継者とする事業承継を考えていた経営者は、相続税対策のために複数いる子供たちに「遺産分割」する形で株式を相続させました。しかし、このことに会社の経営に直接関係のない経営者の配偶者が反対し、相続した株式の買い取りを請求してきました。
これにより、経営者は議決権の過半数を持てなくなり、自らの意思で会社経営することが困難になったのです。
後継者への事業用資産の集中に失敗したケースも
相続予定の親族の中に、普段から意思疎通が取れない人物がいたとします。本来であれば、生前贈与や遺言書の準備をしておけば良いのですが、これを怠ったために後継者への事業用資産の集中ができなくなるケースもあります。
経営者が死亡し、遺言書が準備されていなかったため、遺産分割協議をすることになりました。後継者の長男は、母親とともに事業用資産全てを相続する案を次男に提示しました。しかし、次男はこれを拒否し、法定分の相続を主張します。
仕方なく、法定割合にもとづき、事業用不動産の一部と会社への貸付金などを次男に相続せざるを得なくなりました。結果的に会社の資金繰りは逼迫し、最近では他の事業にも悪影響を及ぼしています。遺言書を作成していれば、次男への相続は法定相続の半分の遺留分まで下げられたはずです。
相続後に相場よりも高値で経営者に不動産の買い取りを求めてくる事例も報告されているので、経営者からすると事業に大きな影響が出ないよう、事前に事業承継や遺言書の準備をしておくことが大切です。
③派閥争いによる後継者の追い出し
3つ目の失敗事例が「派閥争いによる後継者の追い出し」です。
事業承継の準備をほとんどしていない中で、経営者が急逝してしまいました。後継者となる予定だった息子は、株式の35%しか相続できませんでした。残りの株式は後継者の叔父と取引先が保有していたのです。
取引先などを取り込むことで議決権の過半数を獲得し、叔父が社長に就任することになりました。後継者になれなかった息子は、この派閥争いによって会社を追い出される結果となったわけです。
こうした派閥争いは多く報告されています。事前にしっかりと準備をし、承継できる状態を整えておく必要があります。
④後継者が見つからない状態が続く
4つ目の失敗事例が「後継者が見つからない状態が続く」です。
この事例の経営者は、何度も親族にアプローチをしながらも、幅広く後継者となり得る人材を探していました。しかし、息子や娘には後継者となる意思はまったくありませんでした。前向きに検討してもらえないことから、後継者探しは続きます。
諦めずに探し続けていましたが、いつまでも見つけられず、体力的に限界を迎えてしまいます。それでも従業員や役員など、知る得る限りの人に声を掛けましたが、やはりうまくいきません。このまま後継者がいない状態が続くと廃業を選ぶことになります。
こうした後継者を見つけられないケースは、適切な手段を取っておく必要があります。場合によっては専門家に頼るのも良いです。後継者選びを失敗しないためにも、早めに人材を見つけておきましょう。
⑤派閥争いによる会社資金の流出
5つ目の失敗事例が「派閥争いによる会社資金の流出」です。
ある会社では、社長となる予定の兄が株式の60%を、専務となる予定の弟が株式の40%を保有していました。その後、その息子たちはそれぞれ社長・専務として会社に入社することになります。
専務である弟の方が社長である兄よりも、会社の成長に貢献する活躍をしているのは明らかでした。しかし、経営者は強引に兄を後継者に起用したため、弟が反発し、派閥争いに発展しています。
弟は会社を辞めると同時に、退職金と保有株式の買い取りを社長に要求しました。結果として、会社から数億円にもおよぶ資金が流出する事態に陥っています。
後継者候補が複数いる場合、派閥争いにならないよう十分に精査したうえで進めてください。
⑥引退した経営者が影響力を保持する
6つ目の失敗事例が「引退した経営者が影響力を保持する」です。
引退を行った後は、経営を任せて見守るのが一般的です。経営者が影響力を持ったまま事業承継をしたことで、失敗することになったケースをご紹介します。
ある会社で経営者が引退し、親族に経営権を譲りました。譲るまでは良かったのですが、その後も引退した経営者が、ことあるごとに後継者の意思決定に口出しをするようになりました。
このような状況では、実質の決定権を持つのは前経営者であると従業員が判断しても無理はありません。現経営者は従業員からの信頼を失うことになりました。
前経営者がいなくなれば現在の経営者に着いていくものはおらず、大量の離職者が出てしまいます。新しい事業を進められず、会社の発展の邪魔をしてしまいかねません。
この事例では、口出しをして決定権を持つことが間違っていました。アドバイスを行い、いかに信頼を得て経営を任せるかを考えるべきだったといえます。
⑦親族トラブルの発生
7つ目の失敗事例が「親族トラブルの発生」です。
ある中小企業の経営者は、社長を引退すると同時に、長男には経営権を次男には株式の一部を相続させました。
事業承継後は、長男が新たな経営者として会社の経営にあたりました。次男は他企業へ勤めていたため、経営には関与することはありません。ここまでは問題がないように見えますが、その後に長男が経営する会社の業績は悪化しました。業績改善に奔走することになりました。
そのような状況にもかかわらず、他企業へ勤めていた次男は正当な報酬として、配当を要求し続けます。長男は会社の利益を業績改善へ活用できず、経営を続けられなくなりました。
こうした相続後の親族トラブルは、意外にも多くあります。実は仲が悪かったことは少なくありません。こうした事態を引き起こさないためにも、慎重に相続を決めるべきです。
⑧古参従業員からの反発
8つ目の失敗事例が「古参従業員からの反発」です。
この事例の発端は、経営者の息子が大学卒業後に務めた会社を辞め、後継者として父親の会社に入社したことに始まります。古参の従業員や役員から、息子を後継者とすることに反対する意見が多く、反発が起きていました。
一方で、現経営者の息子を後継者とすることに賛成のグループも現れました。「容認派」と「反対派」の派閥争いが発生します。
その後、計画どおりに事業承継は行われました。息子が新社長に就任すると、反対派のメンバーを役員から解任し、対立が激化しました。従業員との間にわだかまりが生まれ、和解金の支払いが発生する大規模なトラブルにまで発展しました。
この事例から見ても、後継者を選任する際は、従業員の賛同を得る必要もあることがわかります。必ずしも起きるわけではありませんが、それほど快く思っていない人も中に入るので注意しましょう。
⑨事業承継後の業績不振
9つ目の失敗事例が「事業承継後の業績不振」です。
周りからの信頼が厚く、企業を成長させてきた経営者が引退することになりました。誰からも不満が出ることなく、事業承継はスムーズに行われます。後継者が新たに経営のかじを取ることに何の問題もありませんでした。
経営権を獲得した後継者は、前経営者の経営方針を引き継ぎ、これまでと同じように事業を成長させようと奮起しました。しかし、経営の仕方が悪かったのか、売上は急速に減少し、会社の営業利益も縮小してしまったのです。経営を立て直すのは難しいことでした。従業員の多くが離職し、ぎりぎりの経営を余儀なくされました。
この事例は、引き継ぎ後のサポートやアドバイスなどを怠ったことによる失敗です。経営が安定化し、安心して任せられるようになるまで、丁寧に引き継ぎを行いましょう。
⑩相談しないまま事業承継を進めてしまう
最後の失敗事例が「相談しないまま事業承継を進めてしまう」です。
この事例は、経営者が自身の判断だけで会社売却を決定したことが発端です。自身で調べ上げ、会社売却の手続きはスムーズに進みました。事業承継は速やかに実施されたかに見えましたが、ここで予想外の出来事が起こります。
役員を含め誰にも会社売却の相談をしていなかったため、従業員や家族から大きな反感を買う結果に陥りました。反発した従業員や家族は次々に離職し、廃業を余儀なくされるほど従業員を失いました。このことで、売却先ともトラブルに発展しています。
この事例からは、相談をしないで決定できることが経営者の特権ではないことがわかります。いかに自信があったとしても、相談して納得を得る手順を飛ばしてはなりません。
紹介した失敗事例は一部に過ぎません。より大きな失敗に発展しているケースもあります。こうした失敗を未然に防ぎ、事業承継をするためには専門家に依頼しましょう。リスクを最小限に抑え、安全に事業承継を進めることが可能です。
相談先に悩んでいる場合は、M&A総合研究所へご相談ください。事業承継に詳しいM&Aアドバイザーが、アドバイスや案件のフルサポートをします。無料相談を行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
3. 事業承継の失敗要因
上記で紹介した「事業承継の失敗事例」を踏まえながら、「事業承継の失敗要因」を解説します。事業承継の失敗による業績の悪化や従業員の流出、廃業などを避けるためにも、ここで説明する失敗要因をしっかり確認しておくことが大切です。
- 後継者が見つからない
- 後継者の教育・引き継ぎがうまくいかない
- 後継者に株式を集中させられない
- 理念を承継できていない
- 相続問題
- 経営権をなかなか委譲しない
- 経営者の過干渉
- 事業承継の前に経営者の体調不良などが発生
- 全般的に対応が遅い
- 準備不足
- 納税資金を確保できない
- 社内分裂
- 後継者の資質が足りない
- 誰にも相談しない
これら14の要因を順番に詳しく解説します。
①後継者が見つからない
「失敗事例4」にもありましたが、適任の後継者がなかなか見つからないことで、事業承継ができないケースがあります。基本的に子供や兄弟などの親族や優秀な従業員がいる場合には、後継者はすぐに見つけることが可能です。
しかし、親族が後継者となることに興味を抱かなかったり、次の経営権を持つにふさわしい従業員がいなかったりする場合は、事業承継が非常に困難です。こうした要因によって、事業承継に動き出せないケースもあります。
②後継者の教育・引き継ぎがうまくいかない
後継者の教育がしっかり行われていなかったり、引き継ぎがスムーズに進まなかったりすると、事業承継が失敗に終わってしまうケースがあります。
ただ何となく「親族だから」「後継者になることを承諾してくれたから」といった理由だけで、経営権を受け渡してしまうのはリスクが高いです。これまで一度も会社経営の経験がない人や、その会社の事業をよく理解していない人を後継者としてしまうと、業績悪化や従業員の流出などを引き起こしてしまう危険性があります。
後継者の教育や引き継ぎは綿密な計画を行って、順序よく進めていく必要があります。
③後継者に株式を集中させられない
事業承継の失敗要因の1つとなるのが、「後継者に株式を集中させられない」ことです。
「失敗事例②」でもわかるように、後継者にある一定数の株式を集中させない・させられないことが原因で、経営者が議決権を行使できないケースがあります。スムーズな経営判断が難しくなってしまう危険性もあります。
派閥争いに発展するケースも多いです。場合によっては、和解金の支払いなど余計な費用が発生してしまう可能性も捨てきれません。
④理念を承継できていない
会社の経営理念を承継できていないことで、事業承継がうまくいかないこともあります。特にこれまで会社とは無関係だった外部の人材が後継者となった場合、「経営理念を承継できるか」が非常に大切です。
会社の顧客や取引相手、従業員の中には、経営理念に共感している人も多くいます。経営理念がうまく踏襲できないと、顧客が離れてしまい、収益が減少したり従業員の離職につながったりする危険性があります。
⑤相続問題
「相続問題」も、事業承継が失敗に終わってしまう要因の1つと考えられます。「親族内承継」によって、親族を後継者とするケースが多いです。
相続人が1人であれば特に問題は生じません。相続人が複数人いる場合に「相続問題」が発生します。後継者に経営権を握らせることが非常に困難になってしまう可能性があります。
⑥経営権をなかなか委譲しない
事業承継が行われた後、前経営者が会長職に就任する場合には注意が必要です。会長が事業承継後も株式の過半数を握り続け、経営権を後継者になかなか委譲しないケースがあります。
後継者はスムーズな経営判断ができず、従業員からの信頼を失う可能性もあります。
⑦経営者の過干渉
「失敗事例⑥」でも説明したように、前経営者が事業承継後も会社経営に必要以上に干渉してくる場合、事業承継が失敗に終わる可能性が考えられます。後継者は自分の意思決定ができずに、従業員からの信頼を失ってしまうかもしれません。
⑧事業承継の前に経営者の体調不良などが発生
事業承継を行う前に経営者の突然の体調不良などが発生してしまうと、その後の事業承継が機能しにくい可能性があります。
「失敗事例①」にもあるように、突然の事業承継によって後継者がスムーズに経営判断を下せなくなります。その結果として業績が悪化してしまうケースもゼロではありません。きちんとした事業計画が策定できず、従業員からの反感を買ってしまいます。多くの退職者が出てしまうケースもあるでしょう。
⑨全般的に対応が遅い
事業承継の失敗要因として、「全般的に事業承継の対応が遅い」点も挙げられます。事業承継の対応が遅く準備不足のままでいると、経営者の突然の体調不良などが起こった際に、経営の安定の確保が難しくなります。
⑩準備不足
事業承継の「準備不足」は、事業承継の失敗要因です。後継者がなかなか決まらないまま放置し続けたり、「相続問題」が発生しそうなことがわかっているのに準備をしていなかったりすると、事業承継を行う際に多くの問題が発生します。
準備を怠ると、事業承継後にスムーズに経営権を委譲できなかったり、余計な費用の支払いを余儀なくされたりする可能性があります。
⑪納税資金を確保できない
親族内承継によって子供や兄弟などに事業承継する場合、「相続税」が発生します。しかし、何も準備・対策を行っていないと、相続税を納付するための資金を確保できず、事業承継が失敗に終わってしまう可能性があります。
⑫社内分裂
親族争いや派閥争いにより社内分裂が起きることで、事業承継が失敗する例があります。事業承継の際に社内が分裂してしまい、多くの退職者が生まれてしまうリスクもあることを十分に留意すべきです。
⑬後継者の資質が足りない
事業承継では、親族内承継などによって親族から後継者が選ばれるケースが多くあります。そのような形で選ばれた後継者には、会社を経営していくうえで必要な資質が備わっていない場合もあります。
後継者の資質が足りないことで、事業承継後、業績の悪化や退職者の増加などが発生してしまう危険性もゼロでありません。ここからは、後継者となり得る資質とはどのようなものか、いくつか紹介しますのでご参考ください。
優しさ
事業承継後に、他の従業員や親族への配慮ができるような「優しさ」は、後継者に必要な資質の1つです。
会社経営・事業運営は、経営者が1人で行っていくものではありません。豊富な経験やさまざまな知識を持った「従業員」がいるために成り立っています。会社と深いかかわりを持つ「取引先」や「顧客」などの存在も非常に重要です。
このような「ステークホルダー(利害関係者)」に対して、優しさで接することのできない後継者に事業承継してしまうと、業績悪化・多くの離職につながります。
厳しさ
後継者となる人物に必要な資質には、「厳しさ」もあります。業績悪化の理由はどこにあるのかを追求しましょう。採算が取れない事業があれば「事業の継続を打ち切る」判断ができるような人物が必要です。
厳しい判断基準を持つ人物が後継者にはふさわしいといえます。
勉強欲
「勉強欲」がなく、地位やお金のためだけに後継者になろうとしている人物は危険です。会社経営は常にリスクと隣り合わせであるといえます。
事業承継を成功させるためには、起きうるリスクに即時に対処できるようにしましょう。常に「市場動向の研究・経営戦略の勉強」ができる、勉強欲を持った後継者が理想的です。
⑭誰にも相談しない
「失敗事例⑩」にもあるように、事業承継を円滑に行うためには、従業員や後継者、身内などの理解を得なければなりません。誰にも相談することなく事業承継を進めてしまうと、周りの人たちが混乱してしまいます。事業承継がスムーズに進まなくなりかねません。
事業承継は、多方面と相談しながら進めるべきです。従業員には個別に相談する必要はありませんが、適切なタイミングで説明する場を作るのが理想的です。会社に深刻な経営課題があったり、事業承継の手段にM&Aを選んだりする際は、最適な方法で進めるためにも早めに専門家に相談しましょう。
4. 事業承継の失敗を避けるための対策
「事業承継の失敗要因」を踏まえたうえで、事業承継を成功させるための対策を解説します。事業承継によるシナジー効果の創出や従業員の雇用確保、業績の改善を期待している方は、しっかり頭に入れておきましょう。
事業承継を成功させるための主な対策は、以下のとおりです。
- 後継者の意思確認
- 業種・業態・立地などの再検証
- 早めの引退予告
- 事業承継計画の作成
- 引退前になるべく長く後継者に経営経験を積ませる
- 後継者に経営革新計画を作成させる
- 従業員の本心を見抜く
- 節税対策
- 相続税対策
- 事業承継の専門家からサポートを受ける
①後継者の意思確認
事業承継を成功させるためには、「後継者の意思確認」を欠かさずに行いましょう。後継者となる人物が、事業承継する意思があるか、事業承継した後に会社をより良くしようという意思があるか、確認することが大切です。
②業種・業態・立地などの再検証
事業承継するにあたり、「業種・業態・立地などを再検証する」対策を講じることも大切です。事業承継の失敗要因の1つに「後継者が見つからない」ことがありました。
現在の自社の業種や業態、会社の立地などを再検証し、柔軟に対応する意思を見せることで、後継者になりたいと考える人材が現れる可能性もあります。
③早めの引退予告
事業承継を成功させる対策として、前経営者が「早めに引退することを予告しておく」こともあります。失敗要因には「前経営者がなかなか経営権を委譲してくれない」「前経営者が経営に口出しする」などがありました。
「早めの引退予告」をすることで、「事業承継後は自分に経営権が渡る」という安心感を後継者に与えます。成功する確率を高めることが可能です。
④事業承継計画の作成
事業承継を成功させたいなら、あらかじめ「事業承継計画」を作成しておくことがおすすめです。事業承継の準備を怠っていると、社内に混乱が生まれ、事業承継の失敗につながることがあります。
事前に「事業承継計画」を作っておけば、突然事業承継が必要になったとしても、混乱を抑えてスムーズに実現できます。
⑤引退前になるべく長く後継者に経営経験を積ませる
引退する前に、後継者となる人物になるべく長く経営経験を積ませることも、事業承継を成功させる対策の1つです。まったく会社経営をしたことがない人が後継者となった場合、事業承継後にうまく事業を運営できず、業績が悪化してしまう危険性があります。
事前に経営を体感させておくことで、事業承継後も安定した経営が実現できます。
⑥後継者に経営革新計画を作成させる
事業承継後、「業績の悪化」や「資金繰りの困難」などの問題を避けるために、後継者に「経営革新計画」を作成させることも、効果的な対策の1つです。
経営革新計画とは、「新たな事業計画書」のことです。全国都道府県の知事や地方機関長に承認されると、日本政策金融公庫からの低金利融資や海外展開への支援、補助金などが利用できます。
事業承継後に、会社が経営不振に陥ることを防ぐためにも、ぜひ「経営革新計画」の作成をご検討ください。
⑦従業員の本心を見抜く
事業承継を従業員に対して行う場合、候補者の意思確認が重要です。他の従業員との関係性にも十分に配慮しなければなりません。特に古参従業員に対しては、より一層の気配りが必要です。
「経営には興味がない」「自分には不向きだ」と従業員が発言していても、実際にはやる気がある場合もあります。他の候補者に決まりそうになると、ショックを受ける従業員もいます。
普段から話しやすい環境づくりをすることも必要です。個別面談を設け、継続勤務の意思を確認することも、後継者選びには参考となります。
日頃から従業員とコミュニケーションを取り、本心を見極めることが、事業承継を成功させるうえで大きなポイントです。
⑧節税対策
事業承継には「贈与税」や「相続税」の支払いが必要とされるケースがあります。この税金の発生に無頓着でいると、税金を支払う資金が足りず、事業承継が失敗に終わる可能性がありあす。
事業承継を成功させるためにも、「相続時精算課税制度の利用」や「不動産購入による自社株の評価額引き下げ」などの「節税対策」をしっかり実行しましょう。
⑨相続税対策
上記で説明したように、事業承継のために自社株を親族に相続する場合には「相続税」が発生します。納税が困難になり事業承継が失敗に終わる事態を避けるためにも、「相続税対策」はしっかり行いましょう。
相続の際には、親族内での争い・分裂が発生する危険性があります。余計な分裂によって会社経営に支障をきたしかねません。事前に親族内で話し合いの場を設けることも、事業承継を成功させるためには必要です。
⑩事業承継の専門家からサポートを受ける
M&A・事業承継を検討する際に自力で進めようとすると、思わぬトラブルに見舞われることがあります。税務や法務などのリスク管理が必要となるため、専門家に相談するのが賢明です。仲介手数料が気にかかる経営者の方がいらっしゃるかもしれませんが、「将来の安心を買う」と考えてみてください。思い切って相談することも決して無駄にはなりません。
事業承継が成功すれば、経営者が築きあげてきたものは存続し続けます。勇退後の生活を心置きなく満喫させられるでしょう。事業承継は経営者の手腕にかかっています。専門家をうまく活用し、ぜひともM&A・事業承継を成功へと導いてください。
なるべくコストをかけずに事業承継を行いたい方は、まず「事業承継引継ぎ支援センター」に相談してみるのも良いです。
事業承継引継ぎ支援センターとは
事業承継に関する相談は「事業承継引継ぎ支援センター」という公的相談窓口でも対応しています。
全国の商工会議所などで窓口が設けられており、無料で利用することが可能です。
後継者が見つからないという方は「承継者人材バンク」を利用して後継者を探すことも可能なため、どんな悩みであってもまずは一度相談してみると良いです。そのほか親族内への承継や第三者への承継でも、あらゆる相談に対応してくれるため、不安な方は頼ってみましょう。
もちろん有料の専門家には劣りますが、まずはお金をかけずに相談してみたいといった方にはおすすめです。逆にお金をかけてでもしっかりした支援を受けたいという方は、有料のM&A仲介会社に依頼することをおすすめします。
5. 後継者が頼りなく事業承継に踏み切れないときには
「事業承継をしたいけれど、後継者が見つからない」または「後継者候補と考えていた人物の資質に不安がある」ことで悩んでいる経営者の方は、「社内承継」「M&A」の2つの対策を検討してみましょう。
①社内承継
親族内に後継者を引き受けてくれる人がいない、または資質がない場合は、「社内承継」を検討してみましょう。社内承継は、その名のとおり、従業員・役員の中から後継者を選び、事業承継する方法です。
社内承継には、主に下記のメリットがあります。
- 会社や事業のことをよく知っている人物を後継者にできる
- 経営理念を踏襲してくれる人物を後継者にできる
- 他の従業員や取引先の理解を得やすい
親族内承継が難しい場合には従業員・役員から後継者候補を選出してみてください。
②M&Aによる外部承継
親族内承継・社内承継のいずれを選んでも、適切な後継者が見つからない場合は、M&Aによる事業承継を検討してみましょう。近年は、後継者不足によって事業承継が困難となり、廃業を余儀なくされる中堅・中小企業が多く存在します。
M&Aによって事業承継をすることで、主に下記のメリットがあります。
- 大手企業の傘下に入り豊富な経営資源を獲得できる
- 買い手のリソースを利用して安定した経営が実現できる
- 従業員の雇用を確保できる
自社を売却して他企業に後継者を選任してもらえれば、後継者候補がいなくても問題ありません。廃業や倒産、休業を選ぶ前にM&Aによる外部承継も検討してみてください。
6. 事業承継の失敗を避けたいならばM&A総合研究所へご相談ください
事業承継に関してお悩みでしたら、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
豊富な経験を持つM&Aアドバイザーがリスクを徹底的に抑えながら、安定した事業承継を実現します。仲介業務から手続きまでフルサポートしますので、事業承継が初めてで不安な方でも安心して事業承継を進められます。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
7. 事業承継の失敗まとめ
「事業承継の失敗」は、どのような会社にでも起こりうることです。事業承継の失敗事例にはどのようなものがあるのかをしっかり認識し、事業承継を成功させるために、必要な対策を徹底的に行うようにしましょう。
親族や従業員の中に適切な後継者がいないのであれば、M&Aを検討するのも良いでしょう。自社を他社に売却することで、「大手企業の傘下に入り、豊富な経営資源を利用して、安定した経営が実現できる」「従業員の雇用を確保できる」といったメリットがあります。事業承継に悩む前に、まずはお気軽にM&A総合研究所にお問い合わせください。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。