2022年06月07日更新
会社を買いたい人必見!個人M&Aの流れや相場、メリット・リスク、成功のコツまで解説!
中小企業の事業承継問題により、M&A市場は活発になってきました。一方、退職金で会社を買いたい新しい考え方も登場しています。この記事では、会社を買いたいと考えた場合の理由や流れ、会社を買うメリットやリスク、成功のコツなどを解説します。
目次
1. 会社を買いたい人にチャンス到来!個人でもM&Aは可能
M&A市場が活発になっています。売却案件は増加傾向にあり、会社を買いたいと考える新しい動機も生まれてきました。
売却案件が増加中
特に最近は、後継者不足を理由とした事業承継問題解決のために会社を売りたいケースが増えています。
理由
最近多い会社を売りたい理由として、最もよくあるのが後継者不足です。中小企業の経営者がオーナーである場合に、これが問題になります。
後継者不足の理由は、単純に少子化により子供が減ったこと、子供が自社を継ぐ気がない例が増えたこと、からです。
経営者の親族に後継者候補が見つからなければ、社内や外部の人材を探すか、他社に事業承継してもらう方法でしか会社を存続させられません。そこで、会社の売却による方法に活路が求められます。
相場金額
会社を買いたいと考えたら相場金額が気になるところです。しかし、M&A市場での相場金額は、平均相場金額の意味では出せませんし、そもそも相場金額に意味がありません。
相場金額を出すのは、上場・非上場に限らず世の中に無数にある会社や事業価格の相場金額を出すのと同じことになります。
1兆円を超す金額のM&A案件もあれば、極端に価格の低いM&A案件もある中から相場金額を出すのは不可能です。会社の全部を売るのか、一部を切り離して売るのかによっても金額は全く違います。
ただし、M&Aの案件は増えているため、M&A市場は仲介会社が増えたのと同時に整備され、500万円未満の金額における会社買収/売却も、情報を得るのは簡単です。
M&Aの情報を提供してくれたり、サポートしてくれたりするM&A専門会社は調べれば多くあります。それぞれに特徴があるので、気になったところにはまず相談に行きましょう。通常、会社を買いたいと考えた時点での相談は無料です。
退職金で会社を買う人が急増?
まだ主流ではありませんが、「退職金で会社を買いたい」という考え方も出てきています。老後資金の観点から考えると、勤めている会社を定年退職した場合の生活は、定年までにしっかりと貯金して完全リタイアするか、定年後も再就職するなどして働き続ける二択です。
しかし、老後資金に完全にゆとりがある場合は別ですが、再就職すれば給料はかなり落ちるうえ、単純な労働作業ばかりになる可能性も高いでしょう。
それを避けるために、定年退職のない仕事=自営を行う考え方が出てきました。自営であれば、働ける限り働いて、極端に減ることなく老後資金を蓄えられます。
しかし、自営といっても、一から経営を始めるのは時間がかかりリスクも大きいです。そこで、「一から事業を立ち上げるよりは、辞めた会社の退職金で時間もかからずリスクも少ない会社を買いたい」という考え方が出てきました。
ただし、会社のオーナーになる以上は、サラリーマンとは違い会社の全リスクを負うことに注意が必要です。退職金で会社を買いたい場合の相場金額は、1,000万円くらいまでが想定されます。
個人間でのM&A事例も増加中
個人間でのM&A事例も増加中である要因の一つが、売却を検討している会社が個人運営であるケースが増えたことです。「サイト売買・M&A」が典型的な例になります。
インターネットやそれに付随するサービスが普及し、アフィリエイトサイトやECサイトを運営する個人が多くなり、個人間でアフィリエイトサイトなどを売買する事例が増えているのです。
サイト運営では、毎月安定した売り上げを確保できサイト訪問者が増えると、「サイト売買・M&A」を行ってサイトを売却できます。売却中のサイトを買えるお金があれば、個人でも事業化したアフィリエイトサイトやECサイトを買えるのです。
サイト売買では、サイト運営事業を購入するため、会社を買う表現が正しいかどうかは微妙といえます。
ただし、ある程度の売り上げが生じれば、節税対策や社会的信用を得るためなどにサイト運営を法人化するので、サイト運営を事業とした法人が売却されるケースもあるのです。その点からは、個人でも会社を買えるといえます。
会社を買いたいならM&A総合研究所に相談しよう
会社を買いたいとお考えの際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、M&Aに関する専門知識・経験を豊富に持つM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問合せください。
2. 会社を買いたい人が知っておくべきM&Aの相場
「会社を買いたい」と考えていても、相場がわからなければなかなか本格的な検討はできません。しかし、会社を買うときの相場を言い切れません。なぜなら、会社の規模や売上高、市場の流れによって会社の価格は大きく変動するからです。
例えば、同じ機械メーカーでも売上高によって1,000万円から10億円以上と幅広く、相場を言い切れません。そのため、「どれくらいの価格で会社を買いたい」と予算を決めると良いでしょう。
個人が会社を買うときは300万円~500万円程度の会社に決めるケースが多いです。M&Aマッチングサイトで売りに出している会社の希望売却金額を「200万円~1,000万円」で設定している会社もあります。
500万円以下の売却価格が多い業種
500万円以下の売却価格が多い業種は、下記のとおりです。
- 飲食店や小売店
- 予備校や塾
- フランチャイズ店
- エステなどのサロン
- 調剤薬局
- 医院
- 製造業
- 印刷業
- 空調や水道に関する整備業
- webサイトやECサイト事業
- デイサービスや訪問介護事業
- 旅館などの宿泊業
価格が500万円以下の業種は、パン屋や居酒屋などの飲食店をよく見かけるでしょう。飲食店では居抜き物件などでの開業も多く、事業者数自体も多いです。
経営者が高齢であったり事業意欲が減退したりするなどの理由で、売却を考える調剤薬局、歯科や内科の医院、経営者が資格を持つ美容室、整骨院なども多くあります。
ただし、経営者が従業員として残ることはほとんどないため、その仕事ができる場合のみ事業を買うことが可能です。ほかにも宿泊業やウェブサイト事業など、500万円以下での売却を希望する業種は多様といえます。
500万円以下の売却価格で多い売上規模
売却希望の案件の業種やビジネスモデルによって、売上規模は変わります。売却希望価格が500万円以下の案件でも、年間の売上が4億円ほどの会社もあれば、売上がゼロの案件もあるでしょう。売却価格が安価だからといって、売上も低いわけではないことがポイントです。
500万円以下の売却価格で多い利益額
日本の法人における売買では、「(資産-負債) + 営業権」で大体の金額を決めることがよくあり、売却側もそれをわかって売却価格を決めることが多いため、売上額より利益額が推察しやすいケースが少なくありません。
例を挙げると、資産5,000万円、借入金4,500万円、利益ゼロの会社は、売却価格の目安が500万円です。営業権は1年の利益×3年~5年で考えると理解しやすいでしょう。
ただし、上記の計算は簡略化しているので、目安として参考にしてください。300万円や500万円で購入した会社をそのまま経営し、役員報酬を年1,000万円獲得するのはかなり幸運なケースと考えましょう。
500万円以下の売却価格で会社を買う際の問題点
個人で会社を購入後、その会社を経営し役員報酬の獲得を狙う人が多いでしょう。その前提で、500万円以下の売却価格で会社を買う際の問題点を見ていきます。買う会社と買う人に分けて問題点を確認しましょう。
買う会社の問題点
- 500万円以下の売却価格であれば、売上・利益が少ないかもしれない
- 購入後に簿外債務発覚などの大きなリスクが生じるかもしれない
- 購入後に社員が退職して会社が回らなくなるかもしれない
- 市場環境が変化して急に売上が減少するかもしれない
買う人の問題点
- 個人資産が少なく会社に追加して投資ができない
- 経営能力がなく事業がうまく進まない
会社を買う際は、500万円で買う価値がある会社を見つけることが重要です。500万円で買った会社の株式価値を上げることが自分にできるかどうかも、考えなければなりません。つまり、500万円以下の売却価格で会社を買う際の問題点は、買おうとする会社と人によるのです。
3. 会社を買いたい!買収の流れ
会社を買いたいと考えていても、買収の流れを把握しなければスムーズに動けません。会社を買うときの流れは以下のとおりです。
- 事前準備
- 会社を探す
- 秘密保持契約締結
- 売買交渉
- 条件交渉
- 基本合意書締結
- デューデリジェンス
- 最終契約書締結
- クロージング
- 引継ぎ開始
ポイントを押さえながら、順番に確認しましょう。
①事前準備
事前準備として行うべきことは、買収で実現したいことと、その実現に向けて自社から見た相場金額の見当です。
具体的には以下になります。
- 買収を行いどのような技術やノウハウを得たいか
- 買いたい会社の相場金額はどのくらいが良いか
どのように検討したらよいかわからない場合は、この時点でM&Aの専門会社へ相談しましょう。ただし、M&A専門会社のいいなりになるのではなく、少なくともこれらの最終決定権は買いたい側の自社にあることを肝に銘じてください。
予算を検討する
会社を買うときは、どのくらいの予算を使えるのか検討しなければなりません。金額を決めることなく会社選びをするのは、リスクが高いです。自身の生活が困窮すれば、元も子もないでしょう。
予算を検討するときは、会社売買・M&Aの相場をある程度知る必要があります。小規模の会社は、300万円や500万円くらいの可能性がありますが、1,000万円以上要ることもあるのです。ネットで買うか、FAなどに相談して買うかによっても必要な金額が異なります。
自分が求める会社、また、ネットで買うのかFAや仲介会社を利用するのか、といった点をはっきりさせて予算を決めてください。
業種を検討する
会社の売却希望情報を見ると、さまざまな業種の会社があります。そのため、買いたい会社の業種を検討することも大切です。
「自分の予算内で買える」という理由のみで買う会社を決定すると、後に失敗する確率が上がるでしょう。できるだけ失敗する可能性を低くするために、これからどのようなビジネスを行いたいのかはっきりさせる必要があります。
今はサラリーマンで小規模な会社を買って独立を検討している場合は、現在の仕事に関連した業種を選択すれば、会社運営がスムーズに進みやすいです。
②会社を探す
イメージにある買いたい会社を探しますが、M&Aは買収して終わりではありません。買収した後に技術の向上やコスト削減などシナジー効果の大きい方が成功したM&Aといえます。そのため、こうした観点から買いたい会社を探すのです。
ただし、シナジー効果を検討するにあたり、自社の理解も深めなければなりません。自社における強みと弱み、属する業界の特徴や脅威なども改めて分析する必要があります。
なお、買いたい会社を探し始めたら、直ちにM&A専門会社にアプローチしましょう。買いたい会社のイメージに合う会社を、スムーズに紹介してもらえます。
③秘密保持契約締結
M&A専門会社にサポートを依頼する場合は、M&A専門会社と秘密保持契約を締結します。会社を売却したい側の立場は、M&Aで「会社を売りたい」情報が売却希望企業の従業員や取引先へ漏えいすると、業務に支障が出る危険があるのです。
そのため、売りたい側は特にM&A専門会社にしっかりと秘密を守ってもらう必要があります。しかし、その延長線上にある買いたい側が秘密を守らないようでしたら、売りたい側は会社の情報を開示できません。
したがって、会社を買いたい場合でも、M&A専門会社とは秘密保持契約を結ぶ必要があります。買いたい先を探す過程や交渉時に得た情報などは、外部に漏らしてはいけません。
④売買交渉
最初の交渉である売買交渉では、まず買いたい側と売りたい側の間でお互いの人間性を確認することが目的です。「交流」の意味合いが強いといえます。
事前情報をもとにした質疑応答や、買いたい側と売りたい側の会社見学などを通して、M&Aに前向きな方向性を確認できたら、具体的な条件交渉に入りましょう。
⑤条件交渉
次に条件交渉です。最初の売買交渉から条件交渉に入るまでどのくらいの時間がかかるかは、その時々によります。
M&A専門会社に相談を依頼したり仲介してもらったりする場合は、M&A専門会社に「緩衝材」の役割を担ってもらいつつ、条件のすり合わせを行います。ただし、条件は最終合意とはならず、売却金額や売却予定日などの案における段階です。
⑥基本合意書締結
現状において、M&Aの基本的な諸条件を当事者間で合意締結したものを基本合意書締結といいます。基本合意書は、本契約ではありません。M&Aの成約に向けて、両社が動くことを約束する契約です。
契約書には、譲渡金額や予定日、買収監査のスケジュール、独占交渉権の付与を記載します。
⑦デューデリジェンス
デューデリジェンスは、M&Aにおいて売りたい側と買いたい側における「情報の非対称性」の解消を目的に行うものです。売り手企業は、自社の経営情報をよく把握していますが、買いたい側にはわからないことが多くあります。
そのため、デューデリジェンスでは、買収側が経営に関して知りたいことを調査するのです。調査内容をまとめて、適切にデューデリジェンスを進めます。
法務・労務・ビジネスのデューデリジェンスを見ていきましょう。
法務デューデリジェンス
会社が締結している契約書は、M&Aの進行に障害はないか、法令を遵守した経営がなされているかなどを調べます。
労務デューデリジェンス
就業・賃金規則などの各種規程、残業代や有給休暇、会社の内規や稟議のルールなどです。
ビジネスデューデリジェンス
営業の進め方、在庫管理方法、集金方法などを調べます。
⑧最終契約書締結
デューデリジェンスの結果をもとに、M&Aの最終条件や細目事項の決定をし、買いたい側と売りたい側でM&Aの最終契約書案を作成し契約します。
この段階で、M&Aにおける最終条件の決定を行うために、以下の事項を決めなければなりません。
- M&A取引(売却)価格
- 退職金をどうするか
- 従業員の処遇
- 役員の処遇
- 支払い方法
- 連帯保証や担保提供の解除方法
- 契約書に書いていない債務が発生した際の対処
- その他細目事項の決定について
⑨クロージング
M&Aで株式の譲渡や事業の譲渡が終わるまでの期間がクロージングです。
通常、M&Aの最終契約書にはさまざまな前提条件が規定され、これらの条件が満たされた場合に、売りたい側の株式譲渡または事業譲渡の手続きと、買いたい側における譲渡代金の決済手続をもってM&Aが実行されると定められています。
最終契約締結日からクロージングの期限までは、これらの前提条件を満たす実務を行うための期間です。前提条件が達成された後、M&Aが実行されます。
⑩引継ぎ開始
M&Aでは通常、人や資産は直ちに入れ替わりません。そのため、引継ぎよりも合併後の業務に支障がないよう調整・徹底する作業が正しいともいえます。
合併後、できるだけ早く以下を行いましょう。
- 取引先へのあいさつ
- 懇親会の段取り
- 実務の調整 (スケジュールや勤務体制、連絡相談方法、段取りなどの調整)
4. 会社を買いたいと考える理由
会社を買いたい理由として多いのは、以下のとおりです。
- 時間短縮
- 労力削減
- 起業リスクの回避
- 不労所得化
- 事業拡大
- シナジー効果
順番に確認しましょう。
①時間短縮
一から自社で開発やノウハウを学び、新規事業へ参入する場合は、事業にもよりますが数年単位の計画と時間が必要となるのは珍しくありません。
一方、M&Aによって会社を買収し技術やノウハウを得られれば、開発やノウハウを学ぶために費やす時間を削減できます。
②労力削減
労力削減は時間短縮と一体ですが、自社で開発やノウハウを学び新規事業への見通しが立っても、自社で一から事業を起こすとなると、新規で人材を獲得したり設備投資をしたりするなどさまざまな労力も必要です。
M&Aを用いれば、買収先がすでに持つ人材や設備などの経営資源をそのまま活用できるので、圧倒的に労力を削減できます。
③起業リスクの回避
通常は、何もない状態から起業すると手続きの時間や初期費用がかかることに加え、サービスを立ち上げ、経営が軌道に乗り見通しが立てられるまで、かなりの時間がかかります。
経営にリスクはつきものですが、経営が軌道に乗り見通しが立てられるまでの期間は、より高いリスクを長い間負うのと同じです。
しかし、M&Aによって会社を買収し起業すれば、過去の売上や資産を引き継いで起業できます。起業した時点から、過去の実績をもとに見通しを立てて事業をスタートすることも可能です。M&Aにより会社を買収して起業すれば、起業当初のリスクは大きく回避できます。
④不労所得化
サラリーマンなど個人で会社を買いたいケースが主ですが、「不労所得」を得るために買収が行われることもあります。「不労所得」とは自分で事業は行わなくても、投資をしてオーナーになったことで得られる所得のことです。
会社の規模が小さい場合は300万円程度から取引が行われています。そのような小規模でも利益の出るビジネスモデルを買収できれば、不労所得を得られるのです。
会社規模でも、自社の事業とは関係なく利益の出る会社を買収できれば、自動的に利益が上がるシステムができ上がります。
⑤事業拡大
事業規模を拡大するためのM&Aは、M&Aのメインであり醍醐味であるでしょう。事業拡大のために、国内外問わず盛んに行われているのが、M&Aによる方法です。
会社をもっと成長させたいと考える会社にとって、成長に必要な資金や技術、従業員などを他の会社から一気に得られるのはM&Aの大きなメリットになります。
買いたい側はシナジー効果を生み事業を拡大しやすくなり、そのための時間と労力も大きく削減できるのです。
⑥シナジー効果
シナジー効果は、1つの要素が他の要素と交わって発生する相乗効果で、M&Aにおける最大のメリットです。例えば、以下のシナジーで、買収によって1+1が2ではなく3にも4にもなるイメージになります。
- 売上シナジー(売上アップ、事業エリアの拡大など)
- コストシナジー(コスト削減など)
- 研究開発シナジー(研究開発力アップなど)
- 財務シナジー(資本力アップ、在庫縮小化など)
会社が会社を買収する場合は、買いたい側と売りたい側の双方がシナジー効果を発揮することが期待されます。シナジー効果は同業会社同士のM&Aに限りません。他事業の会社を買収した場合でもシナジー効果を得ることは可能で、他業種同士のM&Aも盛んに行われています。
5. 個人で会社を買うメリット
会社を買うメリットには、以下が挙げられます。
- 事業開始時から環境が整っている
- 成長させやすい
- 老後資金になる
- ビジネスを学べる
4つのメリットを詳しく確認しましょう。
①事業開始時から環境が整っている
上述の「時間短縮」「労力削減」と同じ話になりますが、M&Aでの会社買収は最初から買収先の事業をそのまま獲得できます。技術やノウハウから社員、取引先まですべてです。
したがって、事業を始める環境は最初からそろっています。これは、M&Aにおける買いたい側の基本的なメリットです。
②成長させやすい
どれくらいの収益が上がっているかは別として、買収先の会社はその市場における実績・経験をすでに持っています。この実績・経験を土台に事業展開を考えていくと、一から始めるよりもはるかにスピーディーに行えるのです。
③老後資金になる
勤めていた会社の退職金により個人で会社を買収すれば、定年退職のない仕事ができ、老後資金をずっとためられます。自分のキャリアを生かした経営ができる会社を買えれば、なお良いです。
④ビジネスを学べる
今までサラリーマンだった人でも、会社を買って経営すればビジネスが学べます。ビジネスは本を読んだりセミナーに参加したりすることでも学べるでしょう。しかし、実際に会社を経営することほど効果があるビジネスの勉強方法は他にないといえます。
6. 会社を買いたい場合に注意すべきリスク
会社を買うのは投資と同じなので、当然ながらリスクが伴います。会社を買うときのリスクは以下のとおりです。
- 運転資金不足
- 隠れ債務の存在
- 従業員からの反発
- 赤字経営
- 連帯保証
- 脱税・贈収賄
順番に確認しましょう。
①運転資金不足
通常の会社であれば、運転資金は銀行の借入などを利用しながらうまく管理されます。会社をM&Aでそのまま買収する限り、買収して直ちに運転資金不足に陥ることはないでしょう。もともと資金不足の会社であれば話は別です。
ただし、運転資金の要素となる取引先からの回収や取引先への支払に関する条件は、買いたい会社と売りたい会社が同じであることはほとんどありません。運転資金の手当ても、短期借入だったり長期借入だったり手形割引だったりと、会社によって違います。
運転資金に限りませんが、こういった財務面の統合は、買収後、最初にとても気を遣う作業です。買収後に全体の資金管理がうまくできず、予期せぬ資金不足が発生するリスクがあります。特に運転資金は事業の要で、問題が起こると取引先や銀行への信用問題に発展するのです。
買収後、複雑になった運転資金の管理は、まず全体を把握しましょう。その後徐々に、取引先へ取引回収や支払条件の変更について理解を求めたり、銀行の借入をわかりやすくまとめたりするなど、作業を慎重に行う必要があります。
②隠れ債務の存在
隠れ債務は、簿外債務とほぼ同じです。要は、決算書上には表れない負債で、会社を引き継いだことで突発的に債務負担を強いられることもあります。
通常、良心的な買収先は、その辺りはM&Aの交渉時にオープンにしてくれるでしょう。ただし、買いたい側も隠れ債務を気にかけて調査し、そのリスクを精査する必要があります。
よくある隠れ債務は以下のとおりです。
- 賞与引当金
- 退職給付引当金
- 買掛金や残業代未払金の計上漏れ
- 回収見込みのない未収入金、売掛金などの不良債権
- 他社または他人の債務に対する連帯保証
- 社会保険の未加入
- 土壌汚染のリスクを抱えている
- 訴訟リスクを抱えている
- 金融派生商品(デリバティブ)の含み損
③従業員からの反発
M&Aによる買収は、買収先の会社における人材や資産をそのまま手にできます。買いたい側には大きなメリットですが、人の観点からリスクを負うことも事実です。
買収先の従業員が、買収する自社のことを良く思っていなかったり将来を悲観したりすることによって、反発が起こることがあります。M&A後の人事制度や会社の風習、評価制度の変更などにより、従業員が環境や業務の進め方に慣れず不満を抱くこともあるでしょう。
その結果、従業員の生産性が下がったり、買収先でそれまで重要だった人材が会社を去ったりすると、M&Aのシナジー効果は小さくなります。
もちろんこれは、条件交渉時あたりから対策を考える必要のあるリスクです。条件交渉時に、売りたい側の経営者に、しかるべき時期に従業員へ今回のM&Aはとてもメリットがあることをしっかり伝えるよう協力してもらう約束を得ることが重要です。
買収後における統合作業の計画を綿密に行い、買収後にそれをきちんと実行することも欠かせません。
④赤字経営
M&Aに限らず投資をする場合、通常はもとから利益が出ているものに対して行われます。
しかし、M&Aの場合は、買収先が買収時に収益が出ておらず苦境に陥っていても、買収先の持つ資産や技術、ノウハウ、特許などがどうしても欲しくて買収を行うこともあり、赤字の会社を買収することもあるのです。
そのような会社を買収するのは、大きなリスクが伴います。買収することで、どのようなシナジー効果が期待できるのか、根拠のある見込みを具体的な数字とともに従業員や取引金融機関などに説明しなければなりません。
また、赤字の企業を買収する場合、少なくとも買収時の決算にマイナスの影響を与えます。それを補って余りある自社の収益や資本はもちろんのこと、買収した会社や事業が計画で黒字化するまでの自社における体力も考える必要があるのです。
⑤連帯保証
買いたい側の会社は、連帯保証の可能性を考慮しましょう。連帯保証をしていると、会社の売買取引が成立しないこともあります。
小規模の会社は、オーナーが個人的に連帯保証をして銀行から借入を行うケースが少なくありません。通常、会社を買うとオーナーの連帯保証も引き継ぐことになります。
このとき、買いたい側の信用力が低くて資金力もあまりないケースでは、連帯保証の引き継ぎが認められないこともあるのです。その場合は、買収ができません。
連帯保証を知らずに交渉を進めてしまうリスクがあるので、相手の会社をしっかり調べることが重要です。
⑥脱税・贈収賄
業績の良い買収先の決算書は、うのみにしすぎないでください。法的に禁止されている脱税を行っている会社もあります。脱税を行っている会社と知らずに買ってしまい、自分が脱税に加担してしまう状態になっては大変です。
ただし、今までサラリーマンだった個人が、会社が脱税しているかどうかを判断するのは簡単ではありません。デューデリジェンスを行って、専門家に脱税などのリスクを洗い出してもらいましょう。
買収する会社の贈収賄にも考慮してください。贈収賄とは、賄賂を送ったり受け取ったりすることです。特に、公的機関とよく取引する事業を手掛ける会社は、気を付けましょう。
贈収賄も、個人が見極めるのは難しいです。専門家によるデューデリジェンスを通し、想定されるリスクを洗い流して会社売買を行ってください。
リスクを防ぎたいならM&A総合研究所に相談しよう
会社を買うときにはリスクが伴うため、会社を買うことを決定する前にできる限りリスクを減らしたり、課題解決の策を考えたりしなければなりません。
会社を買う際のリスクを防ぎたいとお考えの場合は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aの専門知識・経験を豊富に持つM&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
7. 会社を買いたい人必見!M&Aを成功させるコツ
会社を買いたい人が、M&Aを成功させたいと考えるのは当然のことです。しかし、成功するポイントを知らなければ、成功に近づくのは難しくなるでしょう。個人M&Aや小規模M&Aの成功ポイントは、以下4つです。
- リスクの回避
- 最適なスキームを選択
- 相手先の決定
- 円滑な交渉
上記のポイントが一つでも欠けると、M&Aの成功が困難となり必要のない時間や費用もかかるでしょう。特にリスクの回避は、専門知識が必要です。これらのリスクにおける対策を講じるためには、M&Aの専門家に依頼してアドバイスを受けると良いでしょう。
M&Aを行う際は、法律や税務、業界における動向の知識、案件ごとの柔軟な対応などを必要とします。すべての利害関係者を納得させたり成約後のトラブルを防いだりする交渉力も欠かせません。価格交渉では、問題が起きたり破談になったりすることもあります。
そのため、M&Aの専門家に依頼することが成功への近道ともいえるでしょう。
8. 会社を買いたい人が検討すべきM&A手法
会社を買いたいと考えた際、その方法(スキーム)はさまざまです。しかし、中小企業や個人で会社を買いたい場合の方法は、以下の二点さえ知っておけば問題ないでしょう。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
どのような手法なのかそれぞれ確認します。
①株式譲渡
株式譲渡とは、売り手側企業の株主が保有株式を買い手側に譲渡することです。株式譲渡を行うことで、会社の経営権が引き継がれます。株式譲渡は、主に会社規模の拡大や組織再編、事業承継などの際に用いられます。
会社の債権債務や、雇用契約などもそのまま承継されるため、手続きは事業譲渡よりも簡便ですが、債務なども原則引き継がれることに注意が必要です。
②事業譲渡
事業譲渡とは、会社にある特定の事業だけを選択して売買するM&Aの手法です。事業を丸ごと譲渡する必要はなく、目的によって事業の一部売買でも事業譲渡と呼びます。
買い手は欲しい部分だけを買収でき、売り手は売りたい部分だけを売却できる点がメリットの一つです。事業譲渡は、経営権や営業権などの権利譲渡は法的に不可な場合があることに注意してください。その場合は取り直す必要があります。
9. 会社を買いたい人を支援するM&A会社の種類
会社を買いたいと考えた場合、M&Aに関する専門会社・機関への相談が必須です。買いたいと考えたら、直ちに相談に行きましょう。
①金融機関(銀行・証券会社)
大手の銀行や証券会社は、M&Aサポートの専門部隊を持ちます。
ただし、銀行や証券会社は主に上場大手企業などのM&Aサポートに重点を置き、手数料の相場は高めです。中小企業のM&A案件はあまり扱っていません。
②専門会社(税務・会計・法律事務所)
M&Aのサポートを行う税理士などの事務所が増えてきています。
ただし、M&Aが本業ではありません。そのため、M&Aに詳しい税理士などは限られ、企業顧問である専門家が持つ知識だけでカバーしきれず、一部分のみのアドバイスとなるケースも少なくありません。
手数料の相場は、サポート会社として最もおすすめのM&A仲介会社と同じ程度です。
③事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、国の後押しによりM&Aサポート業務も行う公的機関です。「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」 により、全国の認定支援機関に対して設置されています。
ただし、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の後継者不足が社会問題化したことから設置された経緯があります。したがってM&Aも、買いたい側の立場より売りたい側の立場に立った事業承継問題解決におけるサポートの位置づけです。
④M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aそのものをビジネスにしているので知見も実績もあり、相談をスムーズに進られます。規模の小さいM&A仲介会社でも、銀行や証券会社でM&Aや法人融資の経験を持つ人材であることが一般的です。
M&Aに精通した税理士・弁護士が在籍しているM&A仲介会社も少なくありません。また、M&Aに詳しい専門家とつながりがあるケースも多く、M&A仲介会社に相談すれば、円滑にM&Aが進められるといえます。
会社を買いたいと考えたら、M&A総合研究所
会社を買いたいとお考えの際は、経験豊富なM&Aアドバイザーが在籍するM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、支援実績多数のM&Aアドバイザーが案件ごとにつきフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
10. 会社を買いたい人におすすめの本・書籍
①サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間:個人M&A成功のポイント
ある真面目なサラリーマンが、会社の買収に成功するまでの内容です。ストーリーには、M&Aに関する解説が挟んであり、個人M&A案件の買収後における成功要因や失敗要因も書かれています。
M&Aの基本知識や会社の買収を成功に導くポイントが、わかりやすく学べる本です。
大原達朗:著、発行:中央経済社
②サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門
ネットメディアの「現代ビジネス」に掲載されて多くのPV数を生んで話題となった記事が、本になりました。後継者の不足により事業承継ができずに悩む多くの中小企業経営者が存在する現代は、サラリーマンが小規模の会社を買うことで人生を変えられるという内容です。
300万円で小さな会社を買って、サラリーマンから資本家に変わりたい人の参考書となるでしょう。
三戸政和:著、発行:講談社
③サラリーマンがオーナー社長になるための企業買収完全ガイド 起業よりも簡単!独立できて低リスク
後継者不足に悩む中小企業の会社が多い今は、個人でも会社を買えるのでサラリーマンでも経営が可能です。そこで、個人のためのM&A実践書としてこの本が書かれました。
オーナー社長になりたいと考えたら、ゼロから起業するより簡単に事業を始められ最短で資本家になれる方法が書かれています。
三戸政和:著、発行:ダイヤモンド社
11. 会社を買いたい人必見!個人M&Aのまとめ
最近は、「退職金で会社を買いたい」という買いたい側からの新しい動機も出てきました。M&A市場全体の相場を出すのは不可能ですが、500万円で会社を買収できる案件もあります。
会社を買いたいときは、まずM&Aの専門家に相談しましょう。会社を買いたい理由や予算から、最適な買収先企業を紹介してくれます。M&Aの各流れも丁寧にサポートしてもらえ、良い買収先を見つけられる可能性も格段に上がるのです。
会社を買うにはメリットもありますがリスクもあるため、リスクをできるだけ抑えるためにも、M&Aの専門家に相談しましょう。
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