譲渡企業
株式会社バハティー
代表取締役 金子 宗平様インタビュー
― まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。創業の経緯や事業内容、強みを教えてください。
当院は滋賀県守山市にある「守山しっぽ動物病院」を運営しており、犬・猫をはじめ、小動物の診療を行っています。地域に根ざしたホームドクターとして、夜間対応や幅広い診療科目に力を入れています。特にがん治療や皮膚病、歯科疾患の予防に注力し、健康診断や予防医療を通じて早期発見・早期治療に貢献しています。飼い主様への丁寧な説明を大切にし、安心して相談できる動物病院を目指してきました。麻酔の安全性にもこだわり、常に最善の医療を提供できるよう努めています。
― 譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
事業承継について考え始めたのは、家族との将来を見据えたときです。これまで個人で動物病院を運営し、自由に診療方針を決められる環境でしたが、自分がやりたいことと、病院として目指すべき方向性に違いを感じるようになりました。そこで、自分が本当にやりたいことを考えた結果、経営から一歩引き、臨床に専念する道を選びました。
― ご検討を進められる上で、大切にされた条件は何でしょうか?
病院の理念を引き継いでくださることが一番の条件でした。これまで築いてきた信頼関係や診療方針を大切にしながら、より発展させていただける方に譲りたかったのです。また、スタッフが安心して働ける環境を維持できるかどうかも重要なポイントでした。

― 最終的に株式会社WOLVES HAND様への譲渡を決断されましたが、決め手は何でしたか?
代表の北井正志様が、獣医師の視点に立ってお話ししてくださったことが大きかったです。譲り受け後の病院運営についても具体的に考えられており、スタッフや飼い主様にとっても最適な形で引き継げると感じました。また、社風についても、スタッフを大切にされる考え方に共感でき、不安なくお任せできると確信しました。
― 今回の譲渡を経て、今後どのようなビジョンをお持ちですか?
経営を離れることで、再び獣医師としての臨床に集中できる環境が整いました。これまでの経験を生かしながら、より専門性の高い診療に力を入れ、技術面での貢献をしていきたいと考えています。また、スタッフにとっても働きやすい環境が整い、病院としての成長が期待できることを嬉しく思っています。
― これから譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
最初はM&Aに対して良いイメージを持っていませんでしたが、実際に話を聞いていく中で選択肢の幅が広がりました。経営者様にとって、経営の孤独感は大きな課題ですが、間に入ってくれる専門家がいることでスムーズに進められることもあります。話を聞かずに決めつけるのはもったいないので、一度相談してみることをお勧めします。
― 最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由と、アドバイザーのサポートについて教えてください。
アドバイザーの藤井さんと数回お話しする中で、妻の意見を大切にすることを勧めていただいた点が印象的でした。M&A仲介会社と聞くと、M&Aを早く進めようと積極的に営業をされるイメージを持っていましたが、藤井さんはそういった姿勢ではなく、経営全般に関するアドバイスをしてくださり、非常に信頼できました。結果として、良い譲渡先と巡り合うことができ、感謝しています。
譲受企業
株式会社WOLVES HAND
代表取締役CEO 北井正志様インタビュー
― まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。創業の経緯や事業内容、強みを教えてください。
当社は、2000年に私が個人病院を開院したことから始まりました。その後、大阪市内を中心に5つの動物病院を展開し、動物医療業界の発展に貢献することを目指してきました。
当社の強みは、一次診療(かかりつけ医)と二次診療(専門診療)を一貫して提供できることです。日本の動物病院は一次診療か二次診療のいずれかに特化している病院が多く、飼い主様が不便を感じることがあります。当社は、これらを一気通貫でシームレスに提供できる体制を整え、より質の高い医療を提供できることを目指しています。
― M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
当社は「全国の飼い主様が高い水準の動物医療を受けられる環境を整える」ことを理念に掲げています。しかし、高度医療は主に都市部に集中しており、地方では受診が難しい状況が続いています。WOLVES HANDが地方へ進出することで、より多くの地域で高度医療を提供できると考え、M&Aを活用することにしました。
また、動物病院の高齢化も大きな問題となっており、後継者がいないために病院が閉院してしまうケースも増えています。こうした状況は、地域の飼い主様にとって大きな不安要素と不利益となるため、私たちは病院の継続と発展を支えるための手法としてM&Aを活用していきたいと考えました。
― 最終的に株式会社バハティー様を譲り受けされましたが、決め手は何でしたか?
何よりも、代表の金子宗平先生の人柄が素晴らしかったことが大きな決め手となりました。金子先生は、地域に根ざした動物医療を提供されており、臨床に対する意識が非常に高い方です。また、経営面においても堅実であり、病院の安定した運営が期待できると感じました。
さらに、滋賀エリアは今後の発展が期待される地域でもあり、守山市の病院は私たちにとって重要な拠点となります。金子先生が臨床を継続されることも、安心して譲り受けを決断できた理由の一つです。
― 今回のM&Aで期待することや今後のビジョンについて教えてください。
現在、当社の関西エリアの拠点は大阪市内を中心に展開していますが、関西エリアの強化にあたっては、滋賀・京都等の東側への進出を強化したいと考えていましたので、守山市の病院は非常に魅力的な拠点となり得ると判断しました。滋賀県はこれから発展が見込まれる地域でもあり、当院が中心となることで、さらに高度医療を広めていけると期待しています。

また、金子先生は臨床に対して熱い想いを持っており、その姿勢は当社全体の医療水準向上にもつながると考えています。地域の飼い主様にとって、より質の高い動物医療を提供できるよう、これからも努力を続けていきます。
― 今後、事業展開の一環としてM&Aを活用される予定はありますか?
はい、今後もM&Aは積極的に活用していきます。私たちは、特定の条件を設けず、全国規模でさまざまな可能性を検討していきたいと考えています。もちろん、条件やタイミングによって判断は変わりますが、基本的には広く提案を受け入れ、柔軟に対応していく方針です。
― M&Aを検討されている経営者様にアドバイスをお願いいたします。
譲渡を検討されている経営者様に対しては、一人で悩まず、専門家や仲介会社に相談してみることをお勧めします。M&Aは多くの選択肢を生み出し、病院やスタッフにとって最善の道を見つける助けになるはずです。
また、譲り受けを考えている企業様に対しては、戦略的にM&Aを進めるために、自社の目的を明確にすることが大切です。M&Aを行う理由をしっかりと定め、ニーズに合った病院を選ぶことで、成功につながる可能性が高まります。
― 最後に、M&A総合研究所のアドバイザーのサポートはいかがでしたか?
動物病院のM&Aは特有の課題があり、アポの調整や関係者との調整が難しいことが多いのですが、アドバイザーの藤井さんは非常に柔軟に対応してくださいました。特に、金子先生のご家族との調整もサポートしていただき、大みそかにも直接訪問して話を進めるなど、能動的な対応をしていただきました。その結果、M&Aの流れがスムーズに進み、大変助かりました。
担当者からのコメント
譲渡企業は滋賀県守山市で確固たる地位を確立されている動物病院です。ご夫婦で創業後に順調に業容を拡大されていましたが、オーナー様自身が経営よりも臨床に専念していきたい思いがあり、選択肢の1つとしてM&Aの検討を開始されました。
最終的には、WOLVESHAND様に譲渡をされた別の動物病院の院長先生にも実際にお会いいただき、M&A後の運営面においての不安も解消され、非常に納得感を持ってご決断をされました。
この様な素敵なご縁に携わることが出来てアドバイザーとして大変光栄に感じています。これからも地元の皆さまから愛されるクリニックとして更なる成長を心から楽しみにしております。
(企業情報第七本部第一部 シニアマネージャー 藤井 雅浩)
