譲渡企業
有限会社A
代表取締役 U.K.様 インタビュー
生協配送の物流部門から独立し法人化
ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。
創業は先代の話になりますが、元々は生協向けの配送を行っていた会社の物流部門として立ち上がったのが始まりです。約10年ほどで事業が軌道に乗ったタイミングで現在の場所へ移転し、法人化しました。当初は生協向けの出荷が中心でしたが、その後は個人のお客様や量販店など、時代の変化とともに販路を広げていきました。
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
商品をお預かりし、加工して発送する「流通加工」を行っています。単に発送するだけでなく、ラベル貼りや袋詰め、返品対応など、お客様からの多岐にわたるご要望にきめ細かく対応できる点が強みです。また、ある程度の作業は自社保有の機械で効率的に処理できる体制も整えており、手作業と機械化を組み合わせた柔軟な対応が可能です。
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
無理な拡大路線は取らず、基本的には既存のお客様からのご紹介をベースに、新しいお取引先を増やしてきました。また、最近はホームページ経由でのお問い合わせも少しずつですが増えてきています。長年のお付き合いがあるお客様との信頼関係を大切にしながら、堅実に事業を継続してきたという経緯があります。
60歳という節目に向けた事業承継の決断
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
私自身の年齢がきっかけです。以前から「60歳になったら会社の進むべき道を決めよう」と考えており、情報収集を始めていました。まずは何をすべきか考えていた際、M&A総合研究所様とのご縁があり、良いタイミングだと思い話を聞いてみることからスタートしました。また、先代社長は交通事故で急逝され、急遽私が社長を引き継いだという過去もあり、早めに事業承継を意識しておりました。
最優先事項は「会社の雰囲気」の一致
―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
一番大切にしたのは、当社の雰囲気に合うかどうかです。まずは感覚的な相性を重視し、その上で、従業員の雇用をしっかりと守ってくれる相手であることを条件に進めました。現在の従業員が安心して働き続けられる環境であることは、譲れないポイントでした。
―最終的に株式会社B様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
決定打は、先方の社長と食事をご一緒した際、お互いの苦労話や経歴に共通点を感じ、「この人なら大丈夫だ」と確信できたことです。最後は人間同士の相性と信頼関係で決断しました。
資本力を活かした設備投資と事業拡大

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
譲受企業の資本力を活かした設備投資に期待しています。流通加工は大きな仕事を受ける際に相応の機械やスペースが必要になります。これまでは資金面で躊躇していた部分も、今後は譲受企業のお力を借りて設備強化が可能になります。福利厚生面も含め、より安定した基盤の上で事業が成長していくことを願っています。
準備期間を考慮した早めの「決断」を
—M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
経営者に必要なのは「決断」だけです。大企業とは違い、中小企業は社長が倒れたら事業が回らなくなります。私は60歳で譲渡を決断しましたが、55歳でも65歳でも構いませんが、自分の引き際を決めておくべきです。検討開始から成約までは数年かかることもあるため、逆算して準備を進めることが大切です。元気なうちに将来の道筋をつけておくことをお勧めします。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください。
私のペースに合わせて柔軟に進めてくれた点が非常にやりやすかったです。堅苦しいことは言わず、こちらの性格を理解して、ある程度のゆとりを持たせて伴走してくれたことに感謝しています。
譲渡企業社長が語った決め手の裏には、直感的に感じ取った両社の「相性の良さ」があった。物流加工の現場で柔軟な対応力を磨いてきた有限会社Aと、運送業で実績を重ねる株式会社B。経営者同士が互いの苦労に共感し、人間的な信頼関係を築けたことがM&A成功の鍵となった。グループの資本力が加わることで、設備投資や体制強化が進み、両社のシナジーによる更なる発展が期待される。
担当者からのコメント

譲渡企業のオーナー様はご高齢且つ後継者もご不在の状況でした。過去、先代社長が交通事故で急逝され、現オーナーが急遽会社を承継した経緯もあり、早めに事業を引き継ぎたいというご相談を頂戴しました。今回、倉庫や大型設備等、譲渡する資産が多く整理も大変な中、 譲受企業様には状況を初期段階からよくご理解頂き、何度かオーナーや従業員と面談を重ねて頂いた為、オーナー様のM&Aのストレスも最小限に進めることが出来ました。今回のご成約により、オーナー様および従業員の将来の不安を除くことができたこと、担当として心から嬉しく思います。
(企業情報本部 シニアマネージャー 森 亮佑)