ホテル・旅館の買収・売却・M&A!相場は?【売買事例あり】

提携本部 ⾦融提携部 部⻑
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

昨今のホテル・旅館業界では、M&Aによる買収や売却が注目されています。M&Aが注目される背景には外国人観光客によるインバウンド効果がもたらす売り上げ増加などが関係しているのです。本記事では、ホテル・旅館業界のM&Aにおける買収・売却の相場などを解説します。

目次

  1. ホテル業界のM&A解説動画
  2. ホテル・旅館業界とは
  3. ホテル・旅行業界と関りの深い異業種
  4. ホテル・旅館業界のM&A動向
  5. ホテル・旅館がM&Aするメリット
  6. ホテル・旅館のポイント
  7. ホテル・旅館のM&Aの相場
  8. ホテル・旅館のM&A・売買事例5選
  9. ホテル・旅館の売り情報
  10. ホテル・旅館のM&Aまとめ
  11. ホテル・旅館業界の成約事例一覧
  12. ホテル・旅館業界のM&A案件一覧
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1. ホテル業界のM&A解説動画

ホテル業界における新型コロナの影響とM&Aによる課題解決について、M&Aコンサルタントが分かりやすく解説しています!

2. ホテル・旅館業界とは

最近のホテル・旅館業界では、M&Aによる買収や売却などが進んでいます。ここでは、M&Aの相場や事例などを紹介する前に、まずはホテル・旅館業界の特徴についてまとめました。

ホテル・旅館業の定義

ホテル・旅館業は、1948年に施行された旅館業法において定義がされています。旅館業法によると、「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」のことです。

ここでいう「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」を意味しており、さらに「営業」とは施設の提供にあたり「社会性をもって継続反復されているもの」として理解されています。

厚生労働省では、旅館業法をもとに以下の4項目を用いて旅館業であるかを判断しているのです。
 

  • 宿泊料徴収の有無
  • 社会性の有無
  • 継続反復性の有無
  • 生活の本拠かどうか

ホテルと旅館の違い

旅館業には、ホテル・旅館・簡易宿所・下宿の4種類が該当します。4種類の宿泊施設のうち、本記事で解説するホテルと旅館には、どのような違いが見られるのでしょうか。

ここでは、旅館業における衛生等管理要領が定める、ホテル・旅館の定義の違いを解説します。

ホテルとは

ホテルの定義を簡単に説明すると、洋式の寝具や設備で構成されている客室数が10室以上(洋室数が客室総数の50%を超えていること)あり、1洋室の床面積が9平方メートル以上ある宿泊施設のことです。

そのほか、出入口や窓にカギがある点、客室や廊下などの境界が壁である点、洋式のシャワーや浴室を保有している点なども、ホテルの要件として定められています。

旅館とは

旅館の定義を簡単に説明すると、和式の設備を有する客室が5室以上(和室数が客室総数の50%を超えていること)あり、1和室の床面積が7平方メートル以上ある宿泊施設のことです。

そのほか、客室や廊下などの境界が壁・板戸・ふすまである点や、入浴に支障がない場合を除いて適当規模の入浴設備が備わっている点などが、旅館の要件として定められています。

ホテル・旅館業の業務

現在のホテル・旅館業界では、顧客満足度を向上させるために、温泉を掘り起こしたり温泉施設を充実させたりするほか、ショーを開いたりプールを併設したりするなどさまざまな取り組みが行われています。

とはいえ、ホテル・旅館業における基本的な業務は、以下の3つです。
 

  1. 宿泊
  2. 飲食
  3. バンケット・会議

それぞれの業務内容について詳しく解説します。

①宿泊

ホテル・旅館業の定義にもあるとおり、宿泊はホテル・旅館業にとって最も重要な業務です。最近では、宿泊サービスの満足度を高めるべく、ベッドなどの寝具に拘っているホテルや温泉旅館も増えています。

また、宿泊施設にプライベート温泉・貸切温泉が備わっているなど、宿泊客のニーズを受けて差別化を図っている状況です。

②飲食

飲食の提供は、ホテル・旅館にとって腕の見せどころです。中には飲食の提供に強みを持ち、食事を売りにするホテルや旅館もあります。

また、バイキングや飲み放題などを取り入れて、コストとニーズを両立させるホテルや旅館も数多いです。

③バンケット・会議

バンケット(宴会)や会議なども、ホテル・旅館業界では大きな収入源となるサービスです。ホテルや旅館は、宿泊を伴う社員旅行などで利用されるケースも少なくありません。

また、大きな会場を保有していて飲食もできるホテルは会合や式典などを行うのに最適であり、多くの企業や団体に利用されています。

ホテル・旅館業の分類

ホテル・旅館業における施設の分類を簡単に解説します。多くのケースで以下のように分類されるホテル・旅館業ですが、明確な区分けは存在していません。
 

  • 旅館
  • シティホテル
  • リゾート・レジャーホテル
  • ビジネスホテル
  • エコノミーホテル
  • ファッションホテル

旅館

旅館は、定められた規定などを有していて、ホテルとは区分される宿泊施設のことです。

シティホテル

シティホテルは、比較的広い客室のほか、結婚式などを行える宴会場・レストランなどを有しているホテルをさします。

リゾート・レジャーホテル

リゾート・レジャーホテルは観光地周辺や遊園地周辺に建てられているホテルのことであり、長期滞在にも柔軟に対応しています。

ビジネスホテル

ビジネスホテルは、宿泊のために必要最低限の設備に留めることで、利用時の価格を抑えるホテルです。最近では朝食サービスなどを行っているビジネスホテルも多くあります。

エコノミーホテル

エコノミーホテルは、宿泊料金を低価格に抑えるために、サービスやコストなどをできる限り削減したホテルです。

ファッションホテル

ファッションホテルは、カップルなどが宿泊もしくは短時間の休憩などを目的に利用するホテルです。ファッションホテルは、立地など運営にあたり満たすべき条件が厳しく定められています。

ホテル・旅館業界の市場規模

観光庁が公表した宿泊旅行統計調査(2020年)によると、2019年に国内のホテル・旅館・簡易宿泊所に宿泊した宿泊客は延べ5億4,324万人泊(前年比+1%)でした。

内訳を見ると、日本人が4億4,180万人泊(前年比ー0.4%)と減少する一方で、外国人は1億143万人泊(前年比+7.6%)で過去最多を記録しています。

2016年以降、国内のホテル・旅館・簡易宿泊所などへの延べ宿泊者数は年々増加を続けている状況です。外国人の宿泊を見ると、2016年には6,940万人泊でしたが、2019年には1億143万人泊まで大幅に増加しています。

客室稼働率は全体で62.1%であり、宿泊施設タイプごとに見ると、シティホテル(79.4%)、ビジネスホテル(75.4%)が高く、リゾートホテル(58.6%)、旅館(39.5%)についてはともに2010年以降の最高値を記録しました。

ホテル・旅館業界の現状

ここでは、ホテル・旅館業界が抱えている現状について、以下の4点に分けて解説します。
 

  1. 地域問題の影響
  2. 設備維持投資の必要性
  3. 民泊の増加
  4. インバウンドの拡大

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①地域問題の影響

昨今の日本では自然災害が猛威を振るい、従来とは異なる性質を持つ災害も多く発生しています。そのうえで、SNSなどによる地域情報の発信力も飛躍的に進歩している状況です。

情報化社会の進歩に伴い、ホテル・旅館業界では、災害による風評被害などで売り上げを落とすリスクが存在します。

また、人口減少や郊外型店舗の進出などで地域社会の疲弊化が著しく、賑やかだった商店街から人が遠のいている事例も多く見られます。

こうした状況により観光施設の老朽化などに対応できない問題が発生していることから、ホテル・旅館業界は地域問題に大きな影響を受けやすいです。

②設備維持投資の必要性

ホテルや旅館を営むうえで、施設や設備の維持・管理が非常に重要です。ボイラーや寝具など多くの箇所で設備維持に対する投資が必要となり、資金繰りに悩まされる経営者は少なくありません。

③民泊の増加

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)によって、旅館業法の対象とはならない民泊サービスがスタートしました。

民泊サービスでは住宅を宿泊施設として提供する行為が許されており、低価格で宿泊者を取り込めます。

世界中で広がりを見せる民泊は、東京五輪などによる宿泊者増加の対応策として期待されている一方で、トラブルも多いです。

こうした民泊による宿泊施設の増加が、ホテルや旅館の売り上げにどのように影響してくるのか注視しておく必要があります。

④インバウンドの拡大

東京五輪を控える中で、外国人観光客の増加が今後も見込まれます。外国人観光客における日本での消費を意味するインバウンドの拡大は今後も続くと見られており、インバウンド効果による観光業の売上増加に期待が寄せられている状況です。

ただし、ホテルや旅館の建設ラッシュが続く一方で、東京五輪以降のインバウンド効果の低迷に不安を感じている経営者も多く、今後の大きな課題として議論されています。

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3. ホテル・旅行業界と関りの深い異業種

M&Aによる買収や売却などの売買取引が進むホテル・旅行業界ですが、関りが深いとされる業種は以下のとおりです。
 

  1. 旅行
  2. 飲食
  3. IT

それぞれの業種の特徴を順番に紹介します。

①旅行

旅行に関する業界とホテルや旅館は、古くから深い関りがあります。旅行会社や旅行代理店がツアーなどの商品を組むうえで、宿泊施設の確保は必須です。

また、ホテルや旅館からすると、旅行業界からの顧客確保は生命線のひとつともいえます。

②飲食

飲食の業界もホテルや旅館と深い関りがあります。宴会や披露宴のサービスを提供するうえで、飲食業界の力は必要不可欠です。

ホテルや旅館内に店舗を構える飲食店もあり、切っても切り離せない関係といえます。

③IT

最近ではホテルの予約をWeb上で行い、ホテルを訪れた際には機械による受付業務で済ませるといったホテル・旅館も多いです。

大手旅行代理店もWeb上で格安プランを提供するなど、ITがホテル・旅館業界に与える影響は決して小さくありません。

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4. ホテル・旅館業界のM&A動向

ここでは、ホテル・旅館業界のM&A動向について詳しく解説します。

M&Aは増加傾向

ホテル・旅館業界においてM&Aは増加傾向にあります。これは、チェーンの拡大を狙うホテル業者の多くが、売り手のホテルをM&Aにより買収して経営権の獲得を図っているためです。

売却されたホテルは、オーナーチェンジにより新たなサービスを展開するケースも見られます。ホテル・旅館業界のM&Aにおける主な特徴は、以下のとおりです。
 

  1. 不動産があり投資対象
  2. 販売チャンネルの多様化
  3. インバウンドの影響

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

①不動産があり投資対象

ホテルや旅館のM&Aにおける最大の特徴は、不動産が伴う点にあります。不動産は資産となるため、これだけでも投資の対象となるのです。

立地条件や地域環境によって、不動産の価値は大きく変わります。立地条件の良いホテルや温泉付きのレジャーホテルといった不動産価値に魅力があるホテル・旅館ほど、M&Aにおける売却価格が高まるため、売り手の希望が叶うM&Aが行われやすいです。

②販売チャンネルの多様化

従来のホテル・旅館業界は、旅行代理店などの旅行仲介業者が大きな販売網となっていました。しかし、現在ではインターネットの普及により、仲介業者を利用しない場合においても、十分に営業可能となっています。

そこで、仲介業者からすると、Web上でホテル・旅館などを紹介しつつ利用者に宿を格安で提供するといったサービスで、顧客にも大きなメリットのある営業を試みている状況です。

以上のような、旅行代理店・仲介業者などを利用した販売チャンネルの多様化は、ホテル・旅館の売り上げ増加に大きく寄与しています。

③インバウンドの影響

販売チャンネルの多様化により国内需要が伸びている中で、外国人観光客によるインバウンド効果の伸びは驚異的です。

当然ですが、このような外国人観光客に対しても、仲介業者は十分に販売フォローを展開しています。仲介業者は、インターネットなどを活用しつつ世界中にホテル・旅館などを効率的に宣伝可能です。ここでの成果が実れば、インバウンド効果を最大限に享受できます。

M&Aの傾向

現在実施されているホテル・旅館業界のM&Aにはどういった傾向があるのでしょうか。ここでは業界で見られる傾向のうち、以下の4項目について解説します。
 

  1. 異業種企業の参入
  2. 大手チェーンによる地方旅館の買収
  3. 海外企業の参入
  4. 投資ファンドによる買収

それぞれの傾向を順番に見ていきましょう。

①異業種企業の参入

ホテル・旅館業界のM&Aでは、異業種企業の参入が目立っています。最近では、観光業の賑わいを見て新規参入を図る異業種企業は少なくありません。

そのため、今後もM&A仲介会社などの専門家をとおした売買取引が増加するものと見られています。

②大手チェーンによる地方旅館の買収

東京五輪に向けた需要の高まりで賑わいを見せる都市部のホテルがある一方で、観光客減少で苦しんでいる地方の温泉街や観光地も数多く存在します。

観光地から観光客が減少してしまい、経営不振から仲介会社をとおしてホテルや旅館を売却・譲渡するケースは少なくありません。

こうした売却案件のホテル・旅館の中には、温泉やプールが付いた宿泊施設も目立ちます。

魅力的な設備を持つホテル・旅館を大手チェーンなどが買い取れば、オーナーチェンジを図りつつ低価格で営業を継続させて売上の伸長を目指せるのです。

③海外企業の参入

M&Aによる売買取引では、海外企業の参入も見られるようになっています。国内のホテルを買収してオーナーチェンジを行い、海外企業のノウハウを生かした設備に変えることで、活気を取り戻す宿泊施設は多いです。

また、海外企業からすると日本の温泉施設などは魅力的であり、こうした施設が備えているホテル・旅館では相場よりも高値で譲渡が行われるケースが少なくありません。

④投資ファンドによる買収

ホテルや旅館は土地を有しており、立地条件によっては非常に資産価値が高いケースがあります。

特にホテル・旅館は他の不動産に比べて相場が低いとされているため、最近では投資ファンドによる株式の買収も目立つ状況です。

以上、ホテル・旅館業界のM&A動向を紹介しました。ホテル・旅館業界においてM&Aは増加傾向にありますが、成功のカギは業界動向や相場を把握しつつ、適切なタイミング・条件でM&Aできるかどうかにかかっています。

ただし、適切なタイミング・条件のもとM&Aを実施するには、専門家によるサポートが必要不可欠です。ホテル・旅館の売買でメリットを最大限獲得するためにも、M&Aの専門家に協力を仰ぎながら手続きを進めましょう。

M&A総合研究所では、M&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが、フルサポートいたします。

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5. ホテル・旅館がM&Aするメリット

ホテルや旅館がM&Aにより売買取引を行うメリットはいかなる点にあるのでしょうか。ここでは、売却・譲渡側と買収側に分けて、それぞれのメリットを紹介します。

売却・譲渡側のメリット

ホテル・旅館業界のM&Aにおける売却・譲渡側のメリットは、以下のとおりです。
 

  1. 後継者問題が解決
  2. 集客力の向上
  3. 雇用の継続
  4. 負債の解消と創業一族の利益確保

それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①後継者問題が解決

後継者として適任の人材が存在せずオーナーチェンジできない問題を抱えている場合、M&Aによる売買取引は売却・譲渡側に大きなメリットをもたらします。

つまり、M&Aにより第三者を後継者とすれば、オーナーチェンジでき事業が承継されるのです。

②集客力の向上

大手チェーンを抱えるホテル・旅館にM&Aで譲渡した場合、これまで以上に集客力が見込めます。大手チェーンのホテル・旅館は、多くの顧客を抱えているだけでなく、キャンペーン・サービスなどのノウハウも豊富です。

大手チェーンにM&Aで売却した後に、集客が増加した事例は多く見られます。集客力の向上は、大手チェーンなどにM&Aで売却するうえで大きなメリットです。

③雇用の継続

特にレジャーホテルなどは、多くの従業員を抱えているケースが多くあります。経営不振に陥ったレジャーホテルなどの大型ホテルや旅館が従業員を大量解雇すれば、地域社会にも深刻な影響を及ぼしかねません。

M&Aによりオーナーチェンジに成功すれば、ホテル・旅館に勤務する従業員の雇用を継続できます。これは従業員の雇用維持を願う経営者にとって、大きなメリットです。

④負債の解消と創業一族の利益確保

ホテル・旅館を廃業する場合、当然ですが廃業に伴う手数料・負債などは経営者が負担します。

しかし、M&Aにより譲渡が成功すれば、個人保証などの負債が解消されるだけでなく、売却の見返りとして利益を確保できる可能性があるのです。

買収側のメリット

ホテル・旅館業界のM&Aにおける買収側のメリットは、以下のとおりです。
 

  1. インバウンドへの対応強化
  2. 拠点を増やせる
  3. 新たな顧客層を獲得できる
  4. 許認可を継続できる
  5. スケールメリットを活かせる

それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

①インバウンドへの対応強化

昨今のホテル・旅館業界では、外国人観光客増加に伴うインバウンド効果が大きな利益をもたらしています。ホテル・旅館業界に参入してインバウンド効果の恩恵を受けられる点は、M&Aによる買収の大きなメリットです。

②拠点を増やせる

ホテル・旅館を建設するには、多くの手間とコストがかかります。温泉など充実した設備の創設も考えている場合にはなおのことです。将来的なチェーン展開を踏まえて、M&Aによりホテル・旅館などを買収すれば、比較的短い期間で拠点を増やせます。

温泉など附属施設がある宿泊施設は、相場以上の価値を有するケースも多いです。最近ではレジャーホテルやファッションホテルなどでも温泉が付いている施設がありますが、こうした宿泊施設を買収しオーナーチェンジ・リニューアルをすれば新たな拠点を増やせます。

③新たな顧客層を獲得できる

M&Aによる買収では、自社が抱えるエリア・層以外の顧客獲得も見込めます。もともと新規顧客を増やすには仲介業者などに費用を支払ったうえで長期的に営業活動を実施する必要がありますが、M&Aを活用すれば短期間で顧客を確保可能です。

例えば、ファッションホテルを買収すれば若いカップル層の顧客獲得が期待できるほか、レジャーホテルを買収すればファミリー層の顧客を獲得できます。ホテル・旅館にとって、顧客の確保は大きなメリットです。

④許認可を継続できる

ホテルや旅館などを営業する場合は、旅館業法が定める許認可の取得が必要となります。そのうえファッションホテルなどは、特に場所や地域などが厳しく制限されているのです。しかし、M&Aにより買収すれば、こうした営業に必要な許認可をまとめて獲得できます

⑤スケールメリットを活かせる

ホテルや旅館を買収すると、事業規模が大きくなりスケールメリットを活かせます。特にチェーン展開を図っている業者などが買収すれば、獲得できるスケールメリットは大きくなるのです。

ホテル・旅館をM&Aにより売買すれば多くのメリットが期待できますが、取引を進めるうえでトラブルが発生しやすいため、注意して行わなければなりません。

M&A総合研究所では、M&Aに関する豊富な経験と知識を持つアドバイザーによって、M&Aを交渉からクロージングまでフルサポートいたします。

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6. ホテル・旅館のポイント

M&Aによりホテルや旅館の売買を成功させるうえで大切なポイントは、以下のとおりです。
 

  1. 立地条件
  2. 不動産価値
  3. 集客力
  4. 集客システム
  5. 収益率
  6. コスト管理

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

①立地条件

立地条件はM&A取引において重要なポイントのひとつです。例えば、ファッションホテルは立地が限られています。また、レジャーホテルなどでは、周辺のレジャー施設・観光地などの環境によって取引価格が大きく左右されるのです。

②不動産価値

売却されるホテル・旅館にどれほどの不動産価値があるのかも、重要なポイントです。ホテル・旅館の不動産価値が高いと認められた場合には、相場より高値で売買が行われます。

③集客力

立地条件とも類似しますが、観光地・温泉が近くにあったり交通の便が良かったりすれば、集客力が見込めます。特にレジャーホテルでは周辺のレジャー施設が、ファッションホテルなどでは交通の便などがM&A取引の価格を左右する要素です。

④集客システム

M&A取引では、対象施設において集客システムが構築されているかどうかも大切なポイントです。特に買収する場合には、仲介業者に頼っているのか社内で販売網を構築しているのかなど、売り手側の集客手段を多角的にチェックしておきましょう。

⑤収益率

M&Aによるホテル・旅館の売買では、収益率もチェックしましょう。収益率は、M&A後のホテル・旅館運営を成功させるうえで見逃せない要素です。

⑥コスト管理

コスト管理も重要なポイントです。ホテルや旅館はコストがかかりやすいため、コストとサービスのバランスを見ながらオーナーチェンジを検討しましょう。

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7. ホテル・旅館のM&Aの相場

M&Aでホテル・旅館を売買する場合、相場はどのくらいなのか非常に気になる所です。ホテル・旅館の取引相場は、立地条件などに加えて、温泉・宴会場・部屋数など設備の充実度によっても大きく左右されます。

上記を踏まえて、ホテルや旅館などのM&A相場は、中小規模で数千万円から数億円程度です。規模の大きいレジャーホテルのM&Aでは、数十億円程度の売却価格が付けられるケースもあります。

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8. ホテル・旅館のM&A・売買事例5選

ここではホテル・旅館のM&A売買事例を5つ紹介します。これまでに実施されたM&Aの成功事例を見ながら、今後のM&Aによる売買の実施を検討するうえで参考にしてください。

事例①星野リゾートによるトマムの譲渡

2015年、高級旅館やホテルをチェーン展開する星野リゾートは、アメリカ系投資会社が所有権を持つ北海道の「星野リゾート トマム」が中国の商業施設運営会社に譲渡されたと発表しました。大手国内チェーンである星野リゾートの譲渡は、ホテル・旅館業界において大きな衝撃が走っています。

ただし「星野リゾート トマム」のオーナーチェンジなどは実施されず、従来どおり星野リゾートが運営会社となりトマムの運営を継続する方針が取られており、あくまでも中国の大企業の傘下に加わる目的を持ったM&Aでした。

事例②TSCホリスティックによるタラサ志摩ホテル&リゾートの譲渡

2018年、TSCホリスティックは、所有するリゾートホテル事業「タラサ志摩ホテル&リゾート」を大江戸温泉物語に譲渡しました。

大江戸温泉物語は、本件以外にもM&Aを利用してチェーン展開を図っている業者です。本件M&Aの譲渡価額は、15億3,000万円と発表されています。

事例③コスモスイニシアによる豪州のホテル・リゾートへの株式譲渡

2018年、コスモスイニシアは、所有するKBRV Resort Operations Pty Ltdの全株式をオーストラリアのリゾートホテル運営会社に譲渡しました。本件M&A事例の譲渡価格は、700万豪ドルと発表されています。

コスモスイニシアは、予てより海外のホテル・リゾート運営事業から撤退する方針を取っていました。本件M&Aにより、コスモスイニシア海外事業をオーナーチェンジさせつつ撤退すると発表しています。

事例④ヒューリックによる日本ビューホテルの子会社化

2019年、ヒューリックは、日本ビューホテルを株式交換の手法を用いて子会社化すると発表しました。買収側のヒューリックは、東京を中心にオフィスビル・商業施設などを保有する会社であり、不動産賃貸事業を展開しています。

一方の売却側である日本ビューホテルは、ホテル・施設運営・遊園地などの事業を展開する会社であり、2015年以降は買収側の会社と資本業務提携を締結していました。本件は、買収側からすると、不動産事業だけでなくホテル事業による収益の獲得を図ったM&Aです。

これに対して、売却側では、買収側の資本を利用しつつ新規ホテルの展開を加速させて、ホテルチェーンとしての地位確立を目指しています。

事例⑤穴吹興産による祖谷渓温泉観光など2社の子会社化

2020年、穴吹興産は、祖谷渓温泉観光および祖谷温泉の2社を子会社化すると発表しました。祖谷渓温泉観光の買収については、およそ98%の株式を取得して子会社化すると発表しています。

穴吹興産は、グループ会社である穴吹エンタープライズにおいて香川県・岡山県にホテル5件・旅館1件を運営するほか、公共施設の指定管理者事業なども手掛ける会社です。

なお、グループ傘下の穴吹トラベルでは、四国・瀬戸内の魅力を世界に発信しながら、四国への来訪者を増やすためのインバウンド事業を手掛けています。

本件事例は、買収側からすると、売却側にある地域戦略・プロモーション戦略を吸収しつつ、観光関連事業の拡大戦略や四国・瀬戸内地域の観光促進を目指すといったいわゆるシナジー効果の獲得を狙ったM&Aです。

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9. ホテル・旅館の売り情報

ここでは、ホテル・旅館の売り情報はどういった形で提供されているのか簡単に紹介します。

都道府県別の売りホテル事情

都道府県問わず、ファッションホテルなどに比べると、一般的なサービスを展開するホテルの方が多く売りに出されている状況です。

M&Aは仲介業者から紹介を受けるとスムーズに済ませられるため、相談しながら進めると良いでしょう。

都道府県別の売り旅館事情

旅館の物件には温泉などが含まれているケースが多く、周辺環境も重要なポイントです。ホテルと同様に専門の仲介業者を利用してマッチングを行うと良いでしょう。

一例を挙げると、客室が100室以上あり、バイキング・カラオケ・ゲームコーナー・温泉大浴場露天風呂などを備える旅館(群馬県草津町)は8億円で売買に出されています。

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10. ホテル・旅館のM&Aまとめ

本記事では、ホテル・旅館のM&Aについて解説しました。特に地方では、旅館やファッションホテルの売却事例が多く見られます。ファッションホテルについては、オーナーチェンジによりサービス形態を変えて成功を果たしたケースも少なくありません。

ホテル・旅館業界においてM&Aを実施するメリットは、以下のとおりです。
 

  1. インバウンドへの対応を強化できる
  2. 拠点を増やせる
  3. 新たな顧客層を獲得できる
  4. 許認可を継続できる
  5. スケールメリットを活かせる

特に外国人観光客の増加に伴うインバウンド効果は、ホテル・旅館業界に多くの恩恵をもたらしています。今後も増加が見込まれるインバウンド効果に対応するうえで、M&Aによる売買は有効な経営戦略です。

ただし、タイミングを逃さずホテル・旅館業界のM&Aを成功させるには、M&A専門家のサポートが必要不可欠といえるでしょう。

11. ホテル・旅館業界の成約事例一覧

12. ホテル・旅館業界のM&A案件一覧

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