食品加工会社のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2023年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

食品加工業界では、少子化や原材料の高騰などの影響で市場の縮小傾向が続いています。食品加工会社には厳しい状況が続く中で、M&Aの動きが活発化しています。この記事では、食品加工業界でのM&Aの動向や事例などについて解説します。

目次

  1. 食品加工会社の概要と動向
  2. 食品加工会社のM&A動向
  3. 食品加工会社をM&Aするメリット
  4. 食品加工会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. 食品加工会社のM&A・事業譲渡まとめ
  6. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界の成約事例一覧
  7. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧
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1. 食品加工会社の概要と動向

食品加工会社の概要と動向です。

食品加工会社とは

食品加工会社とは、食品の保存性や栄養価を高めたり、食味をよくして食べやすくするように、食品の原材料を加工するための会社です。

例えば、魚の練り製品のかまぼこやちくわ、肉を加工したウインナーやソーセージ、乳類を加工したヨーグルトやチーズなどの製造会社が食品加工会社です。

同じような業種に食品製造会社もありますが、食品製造とは原材料から全く違うものを作り出すことです。小麦粉からパンを作る会社などが食品製造会社になります。

食品加工会社の市場規模と動向

業界動向サーチの分析によると、食品加工業を含む食品業界全体の売上は、2016年には45.2兆円あったのが、2021年には41.6兆円にまで落ち込んでいます。2021年にはコロナ禍における巣ごもり需要がありましたが、それでも減少傾向が続いています。人口減少が続く現在、食品加工業を含めた食品業界全体の規模は縮小傾向が続くでしょう。

参考:業界動向サーチ「食品業界の動向や現状、今後などを分析

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2. 食品加工会社のM&A動向

食品加工会社ではM&Aの動きが活発化しています。

世界的な原材料費の高騰を受けて、スケールメリットを追求せざるをえない状況となっており、食品加工会社のM&Aによる再編の動きが加速中です

大手企業では、キリンHDが今後の成長が見込めるアジア市場を開拓する目的で、相次いで海外企業の買収を進めています。国内での再編の動きもあり、明治乳業と明治製菓が経営統合しました。

中小企業でも、エリアや販売チャネルの拡充、提供商品の拡充などを目的としたM&Aが増えています。今後も、食品加工業界ではM&Aでの再編の動きがさらに加速化していくと考えられます。

食品加工会社を含む食品業界について、当社のアドバイザーが動画で解説しておりますので、よければそちらもご視聴ください。

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3. 食品加工会社をM&Aするメリット

食品加工会社をM&A買収するメリットについて解説します。

食品製造業同士のM&Aのメリット

食品加工会社が、他の食品関連会社とM&Aで経営を統合するメリットは、スケールメリットを得られるという点があります

特に、同じ素材を扱う企業同士がM&Aで経営統合した場合には、原材料の調達での効率化とコスト削減効果が高いでしょう。

同じ系統の原材料を扱いながらも、お互いに違った強みを持つ食品加工会社同士のM&Aなら、買収側はさらなる強みを手に入れることができます。

フードテックのベンチャー企業の買収による商品開発力の強化や、海外食品メーカーの買収による海外展開の強化なども買収側のメリットです。

異業種企業とのM&Aのメリット

食品加工会社が食品関連会社以外の企業とM&Aするのはさまざまな形や目的があります。代表的なM&Aのメリットをみていきましょう。

総合商社や卸会社が食品加工会社を買収することで、買収側は傘下のサプライチェーンを増やすことができ、提供する商品のラインナップの増強を図れます

食品加工会社が物流会社を買収する場合には、物流の内製化による生産性の向上やコスト削減効果がメリットです。

外食や小売が食品加工会社を買収する場合には、PB商品の拡充や生産強化などがメリットになります。

この他に、食品加工会社が自社ECサイトを拡充するためにIT会社を買収して、販売力を強化することもあります。

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M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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4. 食品加工会社のM&A・買収・売却事例5選

食品加工会社のM&Aの事例を紹介します。

わらべや日洋ホールディングスがヒガシヤデリカの食品製造事業をM&Aした事例

2022年10月にわらべや日洋ホールディングス株式会社が、株式会社ヒガシヤデリカの食品製造事業を譲り受けるM&Aが実施されました。譲渡金額は約24億円です。

このM&Aにより、ヒガシヤデリカの北関東工場の建物や設備などが親会社のエスビー食品から、わらべや日洋ホールディングスへ譲渡されました。

わらべや日洋ホールディングス株式会社の子会社であるわらべや日洋食品株式会社では、主にセブンイレブンで販売している弁当やサンドイッチを1日300万食製造しています。

ヒガシヤデリカは、1990年にエスビー食品の100%子会社として設立されました。主にセブンイレブン向けの調理麺や焼きたてパンなどの惣菜の製造を専門としています。

このM&Aは、わらべや日洋ホールディングス株式会社の、生産体制の再構築と、成長性のある新たなカテゴリーへの参入を目指す施策の一環だとのことです。

参考:わらべや日洋ホールディングス株式会社「当社子会社における事業譲受に関するお知らせ

ヨシムラ・フードHDが細川食品と細川フーズをM&Aした事例

2022年9月に株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスが、有限会社細川フーズの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。ヨシムラ・フード・ホールディングスの株式取得金額は約11億円です。

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスは中小の食品会社を傘下に持つ持株会社です。

優秀な技術力がありながら、後継者不足や資金調達力不足などで事業の継続が難しい中小食品会社を子会社化して、各社の持つ強みを活かしながら事業を拡大するビジネスモデルを持っています。

有限会社細川フーズは、創業時の青果販売から食品加工会社へ発展した会社で、国産野菜を使用したかき揚げやチヂミ、赤飯などの冷凍食品の加工製造を行っています。元々が青果店であったことから、国内の新鮮な野菜に対する調達力と野菜の加工力に強みがあります。

ヨシムラ・フード・ホールディングスとしては、細川フーズの良質な国産野菜の調達力や、高い製造技術力に裏付けされた、安定した事業基盤に魅力を感じてのM&Aだとのことです。

参考:株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス「株式会社細川食品及び有限会社細川フーズの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

エバラ食品工業がヤマキンをM&Aした事例

2022年4月にエバラ食品工業の子会社である株式会社エバラビジネス・マネジメントがヤマキン株式会社の全ての株式を取得して子会社化するM&Aを実施しました。株式の取得金額は非公表です。

エバラ食品は焼肉のたれなどを製造販売する国内の大手食品メーカーです。株式会社エバラビジネス・マネジメントはエバラ食品グループの経営管理などを行っています。

ヤマキン株式会社は静岡県焼津市で1948年に設立された液体調味料の製造販売を行っている会社です。めんつゆや焼肉のたれなどを製造しています。

エバラ食品としては、ヤマキンの小ロット生産対応力や柔軟で機動的な生産体制を評価してのM&Aです。今後、食品業界でも少子高齢化により小容量製品の需要が伸びることが予想される中で、生産体制の強化ができると判断してのことです。

参考:エバラ食品工業株式会社「当社子会社によるヤマキン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ブロンコビリーが松屋栄食品本舗をM&Aした事例

2022年6月に株式会社ブロンコビリーが株式会社松屋栄食品本舗の全株式を取得して子会社化しました。取得金額は公表されていません。

ブロンコビリーは東海地方を中心に主にステーキレストランチェーンを展開している会社です。株式会社松屋栄食品本舗は、愛知県で焼肉のたれやドレッシング、調理ソースなどの調味料を生産しています。

ブロンコビリーではステーキやハンバーグなどの肉製品、サラダバー、スープなどのレストランで提供する製品を自社工場で生産しています。

このM&Aにより、調味料の生産体制も強化することで差別化を図るとともに、ソースやドレッシングなどの外部販売も目指したいとのことです。

参考:株式会社ブロンコビリー「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

双日がマリンフーズをM&Aした事例

2022年2月に、双日が日本ハム株式会社の子会社であったマリンフーズ株式会社の全株式を取得して、子会社化するM&Aが実施されました。取得金額は非公表です。

双日は総合商社で幅広い事業部門を日本だけでなく世界でも展開しています。

マリンフーズ株式会社は、水産物の輸入販売及び、水産加工品の製造販売を行う会社です。

双日としては、健康意識の高まりの中で、今後水産物や水産加工品へのニーズが高まる可能性が高いことから、マリンフーズ株式会社が持つ水産物輸入の世界的なネットワークや加工技術などを生かして、水産食品の流通を拡大したいとの目的でM&Aを実施しました。

参考:双日株式会社「双日、日本ハム子会社である水産食品加工会社の全株式を取得

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5. 食品加工会社のM&A・事業譲渡まとめ

今後、食品業界の市場規模が小さくなる中で、食品加工業界も状況が厳しくなる会社も出てくるでしょう。しかし、M&Aによる経営統合や再編で生き残りを図ることも可能です。

もしも、食品加工会社で今後の見通しがつかないと考えている会社があれば、M&Aによる売却も検討してみることをおすすめします。

6. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界の成約事例一覧

7. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧

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