トレーラー輸送業界のM&A動向!売却・買収のメリットを解説!【2024年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

トレーラー輸送業界では、人材不足解消などを目的としたM&Aの動きが活発化しています。この記事では、トレーラー輸送会社をM&Aするメリットや、M&Aを成功させるためのポイントなどについて詳しく解説します。

目次

  1. トレーラー輸送業界の概要と動向
  2. トレーラー輸送業界のM&A動向
  3. トレーラー輸送会社をM&Aで売却するメリット
  4. トレーラー輸送会社のM&Aにおける成功のポイント
  5. トレーラー輸送業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. トレーラー輸送業界の概要と動向

業界再編が進む物流業界ではM&Aが増加しています。物流業界の一端を担うトレーラー輸送業界においても、M&Aを検討する会社が増えているようです。

この記事では、トレーラー輸送業界の動向とM&Aについて詳しくみていきましょう。

トレーラー輸送業界とは

トレーラーとは、牽引自動車ともいい、運転席の部分と、荷台の部分を分離できる構造になっている貨物自動車のことです。

荷台の部分を連結して走行するために、トラックよりも高い運転技術が必要となります。しかし、トラックとは違い重量税がかからず、運送会社としてはコストを削減できるメリットがあります。また、複数の荷台を連結させて走行することが可能なので、輸送効率を上げることが可能です。

物流会社では、トラック輸送とトレーラー輸送の両方を扱っているところもあれば、トレーラー輸送専門で請け負っている会社もあります。

トレーラー輸送業界の市場規模と動向

トレーラー輸送を含む物流業界の動向についてみていきましょう。

日本国内の貨物輸送量は2019年までの10年間は毎年約45億トンで推移していました。2020年は新型コロナ禍での経済の停滞を受けて、約40億トンまで減少しています。

新型コロナ禍では、BtoC輸送の宅配貨物の輸送量は増加しましたが、経済の停滞により、BtoB貨物の輸送量が大幅に減少しました。

2022年5月時点でも、BtoB貨物の量は2019年の水準には戻っておらず、BtoB貨物が主流のトレーラー輸送業界においては少し厳しい状況が続いているようです。

参考:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

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2. トレーラー輸送業界のM&A動向

現在、トレーラー輸送業界においては、2024年問題へ対応するためにM&Aを進める動きが加速化しています

2024年問題とは、トラックなどの業務用自動車の運転業務の時間外労働の上限が、年間960時間に設定されることです。

ドライバー1人の労働時間が大幅に少なくなることから、深刻なドライバー不足が懸念されています。

また、トレーラー輸送会社を含めて物流会社は中小企業が多く、ここ数年は厳しい価格競争で赤字営業を続けている会社が多いなど、業界全体で多くの問題を抱えている状態です。

そこで、M&Aによる中小企業の集約による業界再編の必要性が高まっています。

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3. トレーラー輸送会社をM&Aで売却するメリット

トレーラー輸送会社をM&Aするメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。トレーラー輸送会社をM&Aで売却する側のメリットと、買収する側のメリットをそれぞれ解説します。

売り手側のメリット

トレーラー輸送会社を売却する側のメリットは主に5つあります。

事業承継問題の解決

現在、トレーラー輸送会社を含めて日本全体の会社の6割以上の社長が60歳以上と高齢化しています。また約4割の会社に親族などに後継者がおらず、現在の経営者が経営できなくなった時に会社を存続できない可能性が高い状態です。

M&Aで会社を売却することができれば、社内や親族に後継者がいなくても、買収側の会社に事業承継することが可能です。M&Aは後継者問題を解決するための効果的な手段といえるでしょう。

従業員の雇用維持

後継者問題や経営の悪化などで廃業することになると、従業員は全員解雇するしかありません。現在、物流業界は深刻な人手不足なので、若いドライバーであれば簡単に次の仕事を見つけることができるでしょう。

しかし、定年が近い高齢のドライバーや、DX化の波についていけない事務職員は再就職先を見つけることが難しいかもしれません。

M&Aでは、従業員の雇用もそのまま買収側に引き継いでもらうのが一般的なので、M&Aで会社を売却できれば、従業員の雇用を守ることもできるのです

売却、譲渡益の獲得

M&Aで会社を売却すれば、譲渡益が経営者の手元には入ってきます。税金を差し引いた残りは、自由に使うことができるお金です。

もしも廃業することになると、従業員への退職金を支払う必要があります。牽引車やトラックも売却できなければ処分費用を負担する可能性もあるでしょう。

廃業では経営者が負担しなければいけない持ち出しがありますが、M&Aで売却できればプラスの収支となります

事業規模の拡大・サービスの質向上

他社との価格競争や、荷主からの無理な要求に苦しんでいるトレーラー輸送会社であれば、大手企業の傘下に入るM&Aを行うという選択肢もあります。

大手企業の傘下に入れば、今までに獲得できなかったような仕事ができたり、大手企業のリソースを使って中小企業には難しい業務のDX化を進めたりできるようになるでしょう

顧客との交渉力も強化することに繋がり、事業規模の拡大やサービスの質向上に繋げられる可能性が高まります。

個人保証・債務の解消

中小企業は、金融機関からの融資に対して、経営者個人が連帯保証人になっていたり、担保を提供していたりすることが多いでしょう。

廃業を選択した場合、廃業後も債務が残ってしまったら、経営者個人が返済を続けなければいけません。

M&Aで会社を売却できれば、会社の債務も買収側の企業が引き継いでくれることが多いので、売却側の会社の経営者は個人保証から解放されて、売却益が手に入る上に債務の負担から自由になることができるのです

買い手側のメリット

トレーラー輸送会社のM&Aには、買収側にも大きなメリットがあります。買収側の主な3つのメリットについて解説します。

ドライバーの確保

現在、物流業界では人手不足が深刻化しています。少子高齢化により、トレーラー輸送のドライバーも高齢化が進んでいる上に、若いドライバーがなかなか入ってきません。

さらに、物流業界では低賃金で長時間の重労働というイメージも定着してしまい、新規の採用が難しい状況が続いています。さらに、2024年問題で人手不足は更に深刻化していくことでしょう。

M&Aで他の会社を買収することで、その会社で働いているトレーラー輸送のドライバーを確保することができます。会社の人的資源を確保する手段としてのM&Aを行う物流会社が増加しているようです。

物流システムの差別化

自社にはないシステムを持つ物流会社をM&Aで買収する試みも増えているようです。

物流業界では、業務の効率化が大きな課題となっており、先進的な試みを行っている会社では、独自の業務効率アプリ開発などで、他社との差別化を図るところも登場しています。

自社にはないシステムを持つ会社をM&Aで買収することで、物流システムを他社と差別化することが可能になるでしょう。

実働率・積載効率の向上

物流会社やトレーラー輸送会社をM&Aで買収すれば、その会社が持つ車両や倉庫などの設備を自社に取り込むことができます。

車両や倉庫など、物流業界に欠かすことができない設備を増やすことができれば、それだけ荷物の輸送量を増やすことができるので、実働率や積載率を向上させることが可能です

事業全体の効率性を高めることができれば、会社全体のコスト削減も可能となり、長い目で見た時の収益拡大につなげられる可能性が高まります。

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4. トレーラー輸送会社のM&Aにおける成功のポイント

トレーラー輸送会社のM&Aを成功させるためにはどのようなポイントに気をつけたらいいのでしょうか。

M&Aは希望しても4割程度の成功率しかないといわれています。会社をM&Aで売却したいと思っても、約6割の会社は売却できずに廃業を選ぶしかないのが現実です

M&Aを希望した時に、必ず売却や希望する会社の買収に成功するために大切なポイントを解説します。

M&Aの専門家に相談をする

M&Aを考え始めた時に真っ先にやるべきことは、M&Aの専門家に相談することです。会社を売却した方がいいのか考え始めた時に、絶対に自分一人で全てを進めようとしないようにしましょう。

M&Aには高度な知見が必要で、M&Aについての専門的な知識のない経営者が一人で進めようとしても、本来の価値よりも買い叩かれてしまったり、手続きがうまく進められなかったりしてしまいます。

M&Aの専門家なら、最も適切な相手探しや法律や財務についての高い知見が必要な手続きを親身になってサポートしてくれるでしょう。M&Aについては、M&Aの専門家に相談することから始めてください。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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情報漏洩に気をつける

M&Aが成功するかどうかは、最終契約書の締結までにM&Aについての情報が漏洩しないかどうかにかかっているともいわれています。

売却側の会社で、会社が売却されるという噂が広がってしまうと、不安や憶測から従業員の離職や取引先からの取引停止を招いてしまう可能性があり。

噂は社内でM&Aについて、専門家や交渉相手と電話などで会話をしている会話の断片から広がることもあります。M&Aについて話をする時には、周囲の状況によく気をつけるようにしましょう。

また、交渉相手に機密情報を開示するときには、秘密保持契約を事前に結び、機密情報が漏れないように対策することも大切です。

目的の明確化

M&Aは目的が重要です。売却側としては、経営者が売却益を得ることなのか、事業を立て直すことなのか、目的が異なれば売却先選びも大きく変わります。

買収側としても、ドライバーや顧客を獲得しての事業拡大なのか、ノウハウの獲得なのか、M&Aの目的によってどのような会社を買収すればいいのかが大きく異なるでしょう。

M&Aの目的が不明瞭な場合には、M&Aを進める前に、専門家の力を借りて目的を明確化しておきましょう。

早めの検討

M&Aはタイミングも大切です。

経営者が高齢化して健康不安が出てきてから、慌てて売却先探しを始めてもなかなかうまくいきません。売却先を見つけることができなかったり、買ってくれる相手が見つかっても買い叩かれてしまうこともよくあります。

将来的なM&Aの必要性を理解しているのであれば、経営者がまだ元気で動けるうちに準備を始めた方がいいでしょう。

早めに準備を進めておき、最も高額で売却できるタイミングで売却するのが理想的なM&Aです。

相乗効果が得られる相手先を選ぶ

M&Aは、M&Aしてからが本当の正念場です。M&Aで2つの会社が1つになったからには、お互いがお互いの会社の業績向上に寄与できるものにならなくてはいけません。

トレーラー輸送会社をM&Aするのなら、両社にとってどのようなシナジー効果を得られるのかよく検討した上で、相手探しを行いましょう。

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5. トレーラー輸送業界のM&A・事業譲渡まとめ

トレーラー輸送業界では2024年問題が迫る中で、ドライバーの確保や労働環境の改善を図ることが急務となっています。

中小企業1社だけでは対応が難しい問題でも、大手傘下に入る、複数の会社が合併して体制を強化する、などの対策で難局を乗り切れる可能性が高まります。M&Aを検討してみるのも一つの選択肢でしょう。

トレーラー輸送会社でM&Aの必要性を感じているのであれば、まずは専門家への相談からはじめてみることをおすすめします。

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