2020年10月08日更新
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収!事例や動向、価格相場を解説

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
本記事では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A売却・買収について、M&A動向・成功させるポイント・M&A価格の算定方法を解説しています。また、リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aによる売却・買収事例も紹介しています。
目次
1. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収・事業承継
本記事では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継動向やM&Aによる売却・買収事例などをご紹介していきますが、まずはリネンサプライ・クリーニング会社の定義や、M&A・事業承継の意味について解説します。
リネンサプライ・クリーニング会社とは
リネンサプライ・クリーニング会社とは、クリーニング業法の分類に定められている普通クリーニング店・クリーニング取次店、無店舗取次店・リネンサプライ業やホールセールに該当する事業を行う会社をさします。
リネンサプライ業とは
リネンサプライ業とは、ホテル・旅館へシーツ類の貸与・回収を行ったり、飲食店へおしぼりなどの貸与・回収を行ったりするなど、リネン製品の貸与・洗浄・回収を繰り返す事業をさします。
近年は、インバウンド需要拡大によって、ホテル・旅館のリネン製品需要も増加していますが、競争も激化しています。
クリーニング業とは
クリーニング業とは、衣類などの繊維品や皮革品を預かり、洗濯をして返す事業をさします。
クリーニング業は、店舗で預かったり返したりする形態が主流ですが、近年は高齢化などにより、集配・宅配によるサービスが増加傾向にあります。
M&A・売却・買収とは
M&Aとは、株式や事業用資産の売買により、経営権の移行や統合などを行う手法を総称した呼び方です。
リネンサプライ・クリーニング会社の場合、買収側は店舗網の拡充・事業エリアの拡大目的、売り手側は事業のスリム化・ブランド力の獲得目的などでM&Aを行っています。
事業承継とは
事業承継とは、後継者へ事業を引き継ぐ行為をさします。中小リネンサプライ・クリーニング会社では、経営者の高齢化などにより事業承継の必要なケースが増加しています。
しかし、競争の激化や利益率低下により、厳しい経営を強いられている企業も多いことから、親族への事業承継割合は減少し、第三者へのM&Aによる事業承継が増加傾向にあります。
2. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収事例
ここからは、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例をご紹介します。
- 白洋舎による子会社日本リネンサプライの吸収合併
- きょくとうによる新幸からのクリーニング取次店の譲受
- ヤマシタによる子会社日商リネンサプライの吸収合併
- トーカイによる松屋リネンサプライからの事業譲受
- 白洋舎による北海道リネンサプライの買収
①白洋舎による子会社日本リネンサプライの吸収合併
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例1件目は、2020年6月に行われたクリーニング会社の白洋舎による連結子会社日本リネンサプライの吸収合併です。
横浜でリネンサプライ事業を行っている日本リネンサプライは、新型コロナウイルス感染拡大のため厳しい状況にあります。
この吸収合併で、首都圏エリアでの一体的で効率的な業務運営を実現して、収益力の回復を行うことを見込んでいます。
②きょくとうによる新幸からのクリーニング取次店の譲受
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例2件目は、きょくとうによる新幸からのクリーニング取次店の譲受です。
きょくとうは福岡を拠点として全国各地にクリーニング取次店とクリーニング工場を持っており、2019年5月、新幸から首都圏で営業しているクリーニング取次店20店舗を事業譲受しました。
また、新幸は東京と埼玉で、クリーニング取次店の運営や個人・法人向けにクリーニング宅配サービスなどを展開しています。
きょくとうは、首都圏のクリーニング取次店を取得することで、関東でのクリーニング事業強化を図っています。
③ヤマシタによる子会社日商リネンサプライの吸収合併
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例3件目は、ヤマシタによる子会社日商リネンサプライの吸収合併です。
ヤマシタは、ホテル向けと病院向けにリネンサプライ事業を展開しており、2019年4月、100%子会社である日商リネンサプライを消滅会社として吸収合併しています。
2011年には、栃木県でリネンサプライ事業を営む日商リネンサプライを買収し、北関東での事業基盤を固めました。
ヤマシタは、日商リネンサプライを吸収合併することによって、事業の効率化を進めています。
④トーカイによる松屋リネンサプライからの事業譲受
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例4件目は、トーカイによる松屋リネンサプライからの事業譲受です。
トーカイは2018年11月、松屋リネンサプライから会社分割された福祉用具レンタル・販売事業を譲受しました。
トーカイは、病院・ホテル向けリネンサプライ事業や、クリーニング設備の製造販売事業、介護用品レンタル事業などの健康生活サービス分野を主事業としています。
また、松屋リネンサプライは愛知県で福祉用具レンタル・販売事業などを展開していました。
トーカイは、松屋リネンサプライの福祉用具レンタル・販売事業を取得することで、中部エリアでの事業強化を進めています。
⑤白洋舎による北海道リネンサプライの買収
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例5件目は、白洋舎による北海道リネンサプライの買収です。
大手クリーニング会社である白洋舎は、北海道拠点の子会社によってクリーニングサービスやリネンサプライ事業を展開しており、2016年6月、北海道リネンサプライの株式を取得し、子会社化しました。
白洋舎は、北海道でブランド力を持つ北海道リネンサプライをグループに加えることで、道内での事業強化とともに、グループ全体の企業価値向上につながるとしています。
3. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収動向
リネンサプライ・クリーニング会社における近年のM&A動向には、以下のような特徴が見られます。
- 市場縮小の影響で競争が激化
- 業界全体で後継者不足・人手不足が悩み
- 原油高の影響で経営を圧迫するケースも
- クリーニング業者がリネンサプライ事業へ参入するケースも
- 総合サービスの確立を目指したM&Aが増加
①市場縮小の影響で競争が激化
リネンサプライ・クリーニング業界は、全体として市場が縮小傾向にあります。
過当競争によって事業所数は減少し続けていますが、それ以上に利用者数の減少幅が大きく、過当競争は引き続き継続している状況です。
②業界全体で後継者不足・人手不足が悩み
厚生労働省の資料によると、リネンサプライ・クリーニング事業者の8割以上が営業30年以上であり、経営者の年齢は70歳以上が5割を超えています。
しかし、後継者不在により事業承継ができない事業者は7割を超え、人手不足も重なって事業継続が難しいことから、廃業を選ばざるを得ない事業者が多く存在します。
③原油高の影響で経営を圧迫するケースも
総務省の調査によると、原油高や資源高の影響でコストが上昇しているにもかかわらず、料金はほぼ横ばいで推移しています。
各事業所は価格競争により料金を上げることができず、結果として業界全体が利益率の低さに苦しむ結果となっています。
④クリーニング業者がリネンサプライ事業へ参入するケースも
クリーニング市場は市場縮小が続いていますが、リネンサプライ市場ではインバウンド需要によってホテル・旅館への供給需要があります。
そのため、クリーニング業者がM&Aによって、事業親和性の高いリネンサプライ事業へ参入するケースも見られます。
⑤総合サービスの確立を目指したM&Aが増加
大手のリネンサプライ・クリーニング会社は差別化を図るため、M&Aによって多様なサービスを展開するようになっています。
価格や営業網だけでは差別化が難しくなっている近年では、いかに付加価値を持ったサービスで差別化を図るかが課題です。
4. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収相場
この章では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継相場の算定について、解説していきます。
企業評価価値の算定方法
企業価値算定では、現在の企業価値に加えて、買い手企業と統合した後の収益力やブランド力などを「のれん代」として換算します。
リネンサプライ・クリーニング会社の企業価値算定で評価が高くなるのは、地域優位性を持っていたり、付加価値の高いサービスを展開していたりするケースです。
小規模事業者や個人事業主のように、地域密着型でリネンサプライ・クリーニング会社を営んでいる場合、地域優位性やサービスなどの強みがあり、周辺商圏の顧客と信頼関係を構築していることが重要です。
簡易的な算出と本格的な算出の違い
簡易的な企業価値算出の場合、資産や負債・売上・利益などから、現在の企業資産価値を算出します。
一方、実際にM&Aの際に用いる算出方法では、現在の企業資産価値に加えて、将来的な収益力や数字には現れないブランド力、買い手企業とのシナジー効果なども含めて精緻に算出します。
本格的に企業価値を算出するには、企業の決算資料を読むだけではなく、経済動向や自社の業界動向、相手企業の業界動向なども読む専門性が必要です。
5. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収される理由
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継は、主に以下の理由で行われます。
- 後継者問題を解決するため
- 人材不足を解決するため
- 競合が増え、経営が難しくなったため
- 最良のタイミングがきたため
- 倒産・廃業を避けるため
①後継者問題を解決するため
リネンサプライ・クリーニング業界では個人事業主と小規模事業主が大半を占めているうえ、経営者の平均年齢が高い業界です。
また、厚生労働省の資料によると、直近10年以内で新規にリネンサプライ・クリーニング事業を始めた事業所は全体の1.1%と、新規参入が少ない業界です。
事業承継が必要であるにもかかわらず、後継者不足が課題となっているため、全国から最適な後継者を探す目的でM&Aによる事業承継が行われるケースがあります。
②人材不足を解決するため
リネンサプライ・クリーニング業界は、従業員の有資格者率が高くなっていますが、リネンサプライ・クリーニング会社では、有資格者人材の安定確保が難しくなっています。
そのため、M&A・事業承継によって有資格者の人材不足解消を図るケースもあります。
③競合が増え、経営が難しくなったため
リネンサプライ・クリーニング事業者は1970年代から1990年代にかけて増加しましたが、その後は需要減少により過当競争が起き、厳しい経営を強いられる事業者が増加しました。
以前は廃業を選ぶ事業者が大半でしたが、近年はM&A・事業承継の認知度やイメージが向上したことによって、M&A・事業承継による売却を選ぶ事業者が増加傾向にあります。
④最良のタイミングがきたため
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継では、原材料費や燃料費の変動、競合他店舗の状況、立地条件の変化などの外部要因や、店舗・設備の状態、売上・収益状況などの内部要因によって、最適な買収・売却タイミングがあります。
最適なタイミングで買収・売却の打診があったことにより、M&A・事業承継を決断するケースもあります。
⑤倒産・廃業を避けるため
事業継続が困難となったことにより倒産や廃業を選ぶ割合はまだ多いですが、近年は倒産・廃業のデメリットを避けるため、M&A・事業承継を選択するケースが増えてきています。
M&A・事業承継であれば、事業を存続でき、売却益を得ることもできます。
6. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却を行う際のポイント
リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aによる売却を行う際は、以下のポイントを意識して行うことが重要です。
- M&A・売却までを計画的に準備する
- M&A・売却を行う理由を明確にする
- 最適な買い手を見つける
- M&A・売却の専門家に相談する
①M&A・売却までを計画的に準備する
M&A・事業承継による売却の準備は、時間をかけて計画的に行う必要があります。
株式や事業用資産の整理だけでなく、経営者が覚悟を決める時間も必要となるからです。
近年は、小規模事業者や個人事業主でもM&A・事業承継による売却が行いやすくなっているものの、経営者にとってはやはり大きな不安が伴います。
計画的に準備することで、スムーズなM&A・事業承継が可能となり、不安を減らすこともできます。
②M&A・売却を行う理由を明確にする
M&A・事業承継は事業を売却して終わりではなく、売却後のリネンサプライ・クリーニング会社をどのようにして欲しいか、自身は売却後どのようにしたいかなどを明確にしておく必要があります。
売却理由によって、交渉スタンスも大きく変わるため、M&A・事業承継を行う際は事前に目的・理由を明確にしておき、相手先や仲介会社に説明できるようにしましょう。
③最適な買い手を見つける
経営者が高齢であったり、経営が苦しい状況であったりすると、早く売却相手を見つけてM&A・事業承継を終わらせたいと焦りがちです。
しかし、入念に最適な事業売却先を探すことが、最終的には満足のいくM&A・事業承継につながります。
自社のみで最適な売却先を探すのは非常に困難であるため、M&A仲介会社など専門家に依頼をして進めるのがよいでしょう。
④M&A・売却の専門家に相談する
M&A・事業承継の専門家に相談することで、最良の条件で事業を売却するための準備や、手続き面のサポートを受けることができます。
また、専門家の有するネットワークを活用することで、最適な売却相手をスムーズに見つけることが可能です。
M&A・事業承継には計画的な準備が必要になるため、将来を見据えて早めに相談しておくことが大切です。
7. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・買収を行うポイント
リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aによる買収を行う際は、以下のポイントを押さえる必要があります。
- デューデリジェンスを行う
- 買収先の従業員の離職を防ぐ
- 設備の老朽化などを確認する
- M&A・買収の専門家に相談する
①デューデリジェンスを行う
リネンサプライ・クリーニング会社をM&Aによって買収する際は、デューデリジェンス(企業内監査)を入念に行うことが重要です。
特に、リネンサプライ・クリーニング会社の多くを占める小規模企業や個人事業主の場合、事業データが整理されていなかったり、抜けや漏れがあったりするケースも少なくありません。
買収後に簿外債務が発覚するなどのリスクやトラブルを防ぐためにも、丁寧なデューデリジェンスが必要です。
②買収先の従業員の離職を防ぐ
人材不足が続くリネンサプライ・クリーニング業界では、買収をきっかけに買収先の従業員が離職すると、大きな痛手となります。
リネンサプライ・クリーニング会社の場合、買収後のブランド転換を急ぎすぎた結果、従業員の不安・不満を招き、離職につながってしまったケースもあります。
M&Aによる買収を行う際は、買収先従業員とのコミュニケーションを丁寧にとり、トラブルを防ぐことも重要です。
③設備の老朽化などを確認する
買収手続きの際は設備の状態をよく確認しておかなければ、買収後に想定外の出費がかさむ可能性があります。
投資の回収にその分時間がかかってしまうので、相手からの情報だけでなく、買収側も直接状態を確認するなど十分な注意が必要です。
④M&A・買収の専門家に相談する
買収を行う際のデューデリジェンスや、買収後の統合プロセスを的確に行うには、専門家の知識や経験によるサポートが必要です。
リネンサプライ・クリーニング業界のM&Aサポート経験を持つ専門家に相談することで、成功率をより高めることができます。
8. リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収におすすめの仲介会社
リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継を成功させるためには、M&Aに関する専門的で幅広い知識と、豊富な経験・成功実績を持った専門家によるサポートが必要です。
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9. まとめ
本記事では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A動向や売却・買収事例などをご紹介してきました。
リネンサプライ・クリーニング業界は、市場縮小に伴い競争が激化しており、業界全体では慢性的な人材不足に陥っています。
近年では、後継者問題を解決するべくM&Aによる事業承継を行う企業や、総合サービスの確立を目的としたM&Aも増えています。
【リネンサプライ・クリーニング会社における近年のM&A動向】
- 市場縮小の影響で競争が激化
- 業界全体で後継者不足・人手不足が悩み
- 原油高の影響で経営を圧迫するケースも
- クリーニング業者がリネンサプライ事業へ参入するケースも
- 総合サービスの確立を目指したM&Aが増加
【リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aによる売却のポイント】
- M&A・売却までを計画的に準備する
- M&A・売却を行う理由を明確にする
- 最適な買い手を見つける
- M&A・売却の専門家に相談する
【リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aによる買収のポイント】
- 買収先の従業員の離職を防ぐ
- 設備の老朽化などを確認する
- M&A・買収の専門家に相談する
M&Aによる売却・買収を成功させるには、M&Aの実績が豊富な専門家によるサポートが欠かせません。
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