家具・インテリア業界の事業承継動向や事例を解説!メリットとデメリットは?

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

家具・インテリア業界は、需要が増加傾向にあり、他業界からの参入や異業種への進出といったM&Aが見られる業界です。当記事では家具・インテリア業界の事業承継事例を取り上げながら、詳しい動向を解説します。事業承継のメリットや注意点もチェックしましょう。

目次

  1. 家具・インテリア業界の事業承継
  2. 家具・インテリア業界の事業承継の流れ
  3. 家具・インテリア業界の事業承継のメリット・デメリット
  4. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継の相談先
  5. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継・買収事例10選
  6. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継の相場
  7. 家具・インテリア業界の事業承継の注意点
  8. 家具・インテリア業界の事業承継は専門家へ!
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1. 家具・インテリア業界の事業承継

家具・インテリア業界は、M&Aによる異業種からの参入や他業種への進出、後継者への事業承継が活発化しています。ここでは、家具・インテリア業界の特徴と業界内で見られる具体的なM&A動向を解説します。

家具・インテリア業界の特色

家具・インテリア業界は、家庭で使用するベッドやテーブル、椅子、キッチン用品や生活雑貨等を販売する業界です。家庭用だけでなく、職場で使用する椅子や机などのオフィス家具を一緒に扱う企業も多く存在します。

大手は家具製品の開発から販売まで一貫して手掛けるケースが多く、また中小規模企業は、家具の販売を中心とするケースが多い点が特徴です。リーズナブルな家具を販売する店舗もあれば、高級家具に特化した店舗もあるなど、ターゲット層を絞った店舗展開も見られます。

家具・インテリア業界の事業承継の動向

家具や生活雑貨の需要は拡大傾向にあるため、家具・インテリア業界は他業界からも注目を集める業界です。例えば家電量販店が家具業界に参入するなど、M&Aを活用して家具販売のノウハウ獲得を目指す動向が見られます。

逆に家具業界大手が他の業種に事業を拡げるためのM&A動向も活発化している点が特徴です。一方中小規模企業では、後継者不在の解消を目的とした事業承継の事例が多く見られます。

【関連】家具製造業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

2. 家具・インテリア業界の事業承継の流れ

事業承継を進める際の手続きの流れを6つのステップに分けて押さえましょう。基本的には、家具・インテリア業界に限らず以下のように手続きを進めていきます。スムーズに進めるためには、M&A仲介会社や専門家のサポートを得ることが理想です。

  1. 相手先企業の状況確認
  2. 後継者選定
  3. 事業計画書作成
  4. 親族・従業員など関係者への説明
  5. 会社の経営改革
  6. 事業承継に着手

①企業の状況確認

事業承継の手続きに入る前に、まずは自社の状況確認をしましょう。資産や株式評価額に加え、財務諸表をチェックします。経営上の課題点がある場合は、M&Aや事業承継で解決できるのかを検討します。事業承継をすることで一定の効果が期待できる場合にのみ具体的な手続きを開始してください。企業価値算出や手法策定で悩んだときは、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。

②後継者選定

次に後継者(M&Aの相手企業)の選定プロセスです。すでに後継者が決まっている場合はその方に事業承継の話を伝えられますが、複数候補がいる場合は、会社役員として経営に携わらせるなど時間をかけて慎重に適正を見極めるのが良いでしょう。

親族や従業員に後継者候補が居ない場合は、M&Aによる第三者への事業承継を検討します。マッチングを円滑に進めるためには、仲介会社や専門家に相談するのが理想です。

③事業承継計画書作成

次に、事業承継計画書を作成します。家族や従業員に事業承継をする場合に作成する書類です。計画書には、事業承継の実施時期、当事者、事業承継の手法や引き継ぐ項目などを明確に記載します。事業承継計画書は、現経営者と後継者となる方が共同で作成するのが一般的です。事業承継を実施した後の経営方針や実現させたい目標を一緒に盛り込むと良いでしょう。

④親族・従業員など関係者への説明

事業承継計画が定まったら、関係者に事業承継の説明をします。親族や従業員に事業を引き継ぐ場合、関係者から合意を得やすい傾向にありますが、M&Aで第三者(他社)に売却する場合は、関係者が反発するおそれがあります。未確定の段階では情報を漏らさず、従業員の待遇を確保してから丁寧に説明することが大切です。

⑤会社の経営改革

事業承継が確定したらそこで終了ではありません。後継者が気持ちよく会社事業を引き継げるように、経営状態を少しでも改善させておきましょう。例えば、設備に老朽化が見られれば積極的に投資します。また、従業員が気持ちよく働けるように労働環境を整備することも重要です。より有益な経営改善策を練るためにも、専門家からアドバイスを受けると良いでしょう。

⑥事業承継に着手

いよいよ事業承継に着手します。後継者に早く引き継ぎたいからといって、準備不足のまま事業承継を実行するのはおすすめできません。後継者教育がまだ十分でないと考えられる場合は、育成を完了させてから実施するのが理想です。事業内容によっては、完全に引き継がれるまでに時間を要する場合もあります。

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3. 家具・インテリア業界の事業承継のメリット・デメリット

家具・インテリア業界で事業承継を実施することで得られるメリットとデメリットを解説します。事業承継に成功すればさまざまな効果が得られますが、リスクも伴うため注意しなければなりません。手続きを進める上でどのような点に留意すれば良いのかを、事前にチェックしましょう。

メリット

まず、家具・インテリア業界で事業承継を実施する際に、当事者が得られるメリットを解説します。売却側・買収側それぞれの視点に分けてメリットをチェックしましょう。

売却側

家具・インテリア業界で事業承継を実施する際、売却側企業が得られる主なメリットは、次の通りです。

  • 経営者引退に伴う後継者不在を解消できる
  • 経営者が売却益を受け取れる
  • 経営者が個人保証などの債務から解放される
  • 従業員の雇用を継続させられる
  • 大手傘下に入れば経営状態を改善できる

事業承継で後継者に経営を引き継げば、廃業を避けられます。つまり、会社事業の消失や従業員の失業を心配する必要がありません。また、経営者は売却益を引退後の生活資金に充てられます。経営状態が芳しくない場合でも、大手にM&Aで売却できれば効率的に経営を立て直せるでしょう。

買収側

一方、買収側企業が得られるメリットは、以下の通りです。

  • 家具・インテリア業界で事業拡大できる
  • 売却側の優秀な人材を獲得できる
  • 売却側の事業拠点を活用し事業展開エリアを拡げられる
  • 家具・インテリア業界にコストを抑えながら新規参入できる
  • 顧客や販路を拡げられる

家具・インテリア業界に参入を検討する場合、すでに同事業を展開している企業を買収すれば効率的に目的を達成できます。その上、事業に必要な人材やノウハウを有効活用できるため、設備投資や人材教育のコストを抑えられるという点も魅力です。

デメリット

次に、家具・インテリア業界の事業承継におけるデメリットを売却側・買収側の視点別に解説します。

売却側

家具・インテリア業界の事業承継で売却側企業に想定されるデメリットは、次のとおりです。

  • M&Aの場合は従業員が反発する可能性がある
  • 取引先との関係が悪化するおそれがある
  • 後継者(売却先)が見つかるまでにかなりの時間を要する場合もある

M&Aで第三者に事業承継する場合、従業員が不安を抱きます。最悪の場合、人材流出が発生し事業承継が失敗するリスクがある点には留意が必要です。情報管理や雇用確保などきめ細かい配慮が求められます。また、マッチングが長期戦になる場合もあるので、余裕を持った事業承継計画を策定しましょう。

買収側

一方、買収側が留意すべきデメリットは、以下の通りです。

  • 売却側従業員が待遇に不満を抱くおそれがある
  • 株式譲渡や事業譲渡の場合は買収資金の調達が必要
  • 簿外債務が見つかる可能性がある

株式譲渡で買収した場合、売却側に簿外債務が見つかると、損失となり買収資金の回収が難しくなるおそれがあります。金額によってはM&Aが失敗するリスクがあるので、デューデリジェンスによる調査を徹底しましょう。また、売却側従業員が待遇に不満を感じると、業務効率が下がるので、労働環境の整備も大切です。

【関連】事業承継のメリット・デメリットを徹底解説【親族内/親族外】

4. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継の相談先

事業承継やM&Aを個人の力だけで進めるのは、リスクが高くおすすめできません。トラブルを最小限に抑える観点からも、専門家によるサポートは重要です。ここでは、家具・インテリア業界の事業承継の相談ができる専門家や機関を5つ紹介します。

  1. 顧問税理士・公認会計士
  2. 事業承継・引継ぎ支援センター
  3. 金融機関
  4. 商工会議所
  5. M&A仲介会社・専門家

①顧問税理士・公認会計士

事業承継にかかる税務や財務の相談なら、税理士や公認会計士がおすすめです。特にM&Aは、売却益を受け取る側に所得税や法人税が発生します。事業承継の内容によっては贈与税・相続税への対処も必要です。顧問契約がある場合はその税理士に依頼し、税金対策を講じましょう。

②事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業の事業承継に関するサポートを無料で提供する公的支援機関です。経営者と後継希望者のマッチング支援サービス「後継者・人材バンク」も利用できます。全国に設置されているため、都心部まで移動する必要がありません。

③金融機関

銀行などの金融機関でも事業承継の相談ができます。特に、事業承継における資金調達の相談なら有益な助言が得られるでしょう。会社で普段から取引がある銀行なら経営状況など会社事情を熟知しているケースが多く、より現実的なアドバイスが受けられます。情報の漏洩リスクを軽減できる点も魅力です。

④商工会議所

中小企業の経営発展をサポートする経済団体である、商工会議所を利用するのも良いでしょう。各種サポートを受けるためには入会の必要がありますが、所属している企業経営者間でネットワークを構築できるというメリットがあります。定期的にセミナーを開催しているので、事業承継だけでなく、経営全般で有益な情報が得られるでしょう。

⑤M&A仲介会社・専門家

事業承継の手続きやM&Aに関する全般的な相談は、仲介会社などM&Aに特化した専門家がおすすめです。手法の策定や相手企業の選定まで包括的なサポートが受けられます。仲介会社に依頼する際は仲介手数料が発生するので、契約前に料金体系をチェックしましょう。

【関連】事業譲渡・事業売却の相談先15選!無料アドバイスを受ける際のポイントも【弁護士・M&A仲介会社】

5. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継・買収事例10選

家具・インテリア業界で実施されたM&Aや事業承継の事例を10個紹介します。採用した手法や実施目的を事例ごとにチェックしましょう。

  1. フォーバルが三知を子会社化
  2. アント・キャピタル・パートナーズによるイーナの買収
  3. 日本毛織がインテリアオフィスワンを子会社化
  4. シナモンとオカムラが資本業務提携
  5. フォーバルがえすみを完全子会社化
  6. マイタウンとエムザジャパンが資本業務提携
  7. ウェブシャークがYogibo LLC.を買収
  8. ヤマダ電機と大塚家具によるM&A
  9. ニトリHDが島忠を子会社化
  10. イトーキとダルトンによるM&A

①フォーバルが三知を子会社化

経営コンサルタント会社が家具販売企業を子会社化したM&A事例です。売却側には官公庁にネットワークを保有しており、買収側は売却側の資源を獲得することで、中国地方におけるDX化推進に貢献できると判断しました。
 

売却側 三知
(OA機器・オフィス家具の卸売)
買収側 フォーバル
(経営コンサルタント業)
M&Aの手法 株式譲渡
目的 ・官公庁や民間企業へのソリューション提供
・中国地方でのDX化推進
時期 2023年5月
価格 非開示

株式会社フォーバル OA機器・オフィス用品等の販売を主軸とした 株式会社三知をグループ化!

②アント・キャピタル・パートナーズによるイーナの買収

投資ファンドが家具販売を手掛ける企業を買収した事例です。ファンド側は売却側の事業成長性に魅力を感じ、事業支援の目的でM&A実施を決断しました。
 

売却側 イーナ
(家具のECサイト運営、家具の企画・販売)
買収側 アント・キャピタル・パートナーズ
(投資ファンド)
M&Aの手法 株式譲渡
目的 ・売却側の事業成長性に魅力を感じたため
・売却側へのサポートの一環
時期 2021年11月
価格 非開示

株式会社イーナの株式譲受について

③日本毛織がインテリアオフィスワンを子会社化

毛織物メーカーがインテリア企画を手掛ける企業を買収した事例です。双方の強みを活用することで、質の高い商品を提供できると判断しました。
 

売却側 インテリアオフィスワン
(家具・インテリアの企画・開発・販売)
買収側 日本毛織
(毛織物メーカー)
M&Aの手法 株式譲渡
目的 ・両社における得意分野の相互活用
・より良い商品やサービスの提供
・企業価値向上
時期 2023年6月
価格 非開示

株式会社インテリアオフィスワンの株式取得に関するお知らせ

④シナモンとオカムラが資本業務提携

AI事業を手がける企業とオフィス家具の販売会社の提携事例です。資本業務提携のスキームが用いられ、顧客の体験向上や事業・業務のDX化を主な狙いとしています。
 

提携企業① オカムラ
(オフィス家具の販売)
提携企業② シナモン
(機械学習やディープラーニングを用いたAI事業)
M&Aの手法 資本業務提携
目的 ・顧客の体験価値向上
・事業や業務におけるDX実現
・新たな価値の創出
時期 2023年7月
価格 非開示

オカムラと株式会社シナモンが資本業務提携 新たな価値創出を目指してAIを活用したDXの取り組みを推進

⑤フォーバルがえすみを完全子会社化

経営コンサルタント会社がオフィス家具の販売会社を買収した事例です。このM&Aで買収側は売却側から山陰地域の顧客を獲得し、自社事業をさらに拡大できると判断しました。
 

売却側 えすみ
(オフィス家具・文具用品の販売・保守)
買収側 フォーバル
(経営コンサルタント業)
M&Aの手法 株式譲渡
目的 ・買収側における山陰地域の顧客基盤獲得
・アイコンサービス(※)の事業拡大
※定期訪問で経営の悩みを解決するサービス
時期 2020年4月
価格 非開示

株式会社えすみの株式を取得! ~山陰地域の顧客基盤を獲得~

⑥マイタウンとエムザジャパンが資本提携

家具のコーディネートを手掛ける企業が不動産会社と提携した事例です。モデルハウスに設置する家具のコーディネートを手掛けるなど、事業面の連携を主な目的としています。
 

提携企業① マイタウン
(不動産売買・賃貸・仲介業)
提携企業② エムザジャパン
(家具・インテリアのコーディネート事業)
M&Aの手法 資本提携
目的 ・モデルハウスにおける家具のコーディネート
・事業連携
時期 2021年10月
価格 非開示

インテリアコーディネートのエムザジャパン株式会社との資本提携のお知らせ

⑦ウェブシャークがYogibo LLC.を買収


Yogiboで知られるビーズソファの国内代理店が、製造元を買収した事例です。売却側からM&Aによる買収の打診を受けており、買収側もグローバル規模での事業展開を考えていたため今回のM&A実施を決断しました。
 

売却側 Yogibo LLC.
(米国のビーズソファ製造会社、「Yogibo」ブランド事業)
買収側 ウェブシャーク
(「Yogibo」の日本総代理店、エッグウィッチ専門店の運営事業)
M&Aの手法 株式譲渡
目的 ・売却側からの買収打診があったため
・買収側におけるグローバルなビジネス展開の一環
時期 2022年1月
価格 非開示

米国「Yogibo」本体、Yogibo LLC 社の買収について​

⑧ヤマダ電機と大塚家具によるM&A

家電量販店大手企業と家具販売大手企業間で実施されたM&A事例です。双方の事業におけるノウハウを掛け合わせることにより、商品開発やネット販売における拡販など効果が得られると判断しました。
 

売却側 大塚家具
(家具販売大手)
買収側 ヤマダ電機
(家電量販店大手)
M&Aの手法 資本提携
第三者割当増資
目的 ・商品の共同開発とネット事業による拡販
・協業の強化
・競争力向上と経営効率の改善
・顧客満足度の向上
・企業価値向上
時期 2019年12月
価格 約43億円

株式会社大塚家具との資本提携及び それに伴う第三者割当増資の引き受けによる子会社の異動に関するお知らせ

⑨ニトリHDが島忠を子会社化

家具販売大手が、ホームセンター事業を手掛ける企業を買収したM&A事例です。今回のM&Aで、売却側の店舗を活用できるようになるなど買収側の販路拡大につながります。なお、この案件が確定する前にホームセンター事業を手掛けるDCMが島忠の買収を提案していましたが、後にニトリHDがそれよりも高い価格での買収を提案し、当事例の成立に至っています。
 

売却側 島忠
(ホームセンター事業)
買収側 ニトリHD
(家具販売大手)
M&Aの手法 公開買付け(TOB)
目的 ・シナジー効果の創出
・買収側における販路拡大
・売却側が保有する店舗の有効活用
時期 2020年12月
価格 約2,142億円

株式会社島忠(証券コード:8184)の株券等に対する 公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ

⑩イトーキとダルトンによるM&A

オフィス家具の製造会社が研究施設の開発企業を買収した事例です。買収側は、研究設備事業での協業によるサービス向上や木製家具の内製化と合わせてM&A実施を判断しました。
 

売却側 ダルトン
(研究施設の開発・メンテナンス)
買収側 イトーキ
(オフィス家具の製造・販売)
M&Aの手法 公開買付け(TOB)
目的 ・顧客サービスの向上
・研究設備機器事業における協業
・買収側における木製家具の内製化
・収益拡大
時期 2016年8月
価格 約15億円

子会社である株式会社ダルトン普通株式(証券コード7432)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
【関連】家具業界のM&A・事業譲渡・買収の動向は?成功事例や相場から手法まで解説!

6. 家具・インテリア業界のM&A・事業承継の相場

家具・インテリア業界でM&Aを実施する場合、どのくらいの相場を想定すべきなのでしょうか。経営者にとって価格相場は特に気になる部分ではありますが、業界で共通した相場の記載は困難です。ここでは、そのわけも含め相場算出の際に押さえておきたい知識を解説します。

売却・買収相場

家具・インテリア業界における売却・買収価格の相場には、共通する数字がありません。当事者企業の規模や展開する事業の大きさ、将来期待できる収益性などによって価格が決まるためです。自社の大まかな価格相場を把握するためには、企業価値を評価する必要があります。

価格の算出方法

企業価値は、専門的なアプローチを用いて算出します。主に、以下の3つのアプローチを用いるのが一般的です。将来性の判定など難しい部分が多々あるので、算出の際は仲介会社や専門家に依頼しながら進めることをおすすめします。

  • インカムアプローチ
  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ

上記の3つのアプローチについては、以下の記事で詳しく解説しています。参考までに併せてご覧ください。

【関連】M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

7. 家具・インテリア業界の事業承継の注意点

最後に、家具・インテリア業界で事業承継・M&Aを実施する際の注意点を紹介します。売却側・買収側双方の観点でチェックしましょう。

売却側

家具・インテリア業界の事業承継で、売却側が留意すべき点には、以下のような項目が挙げられます。

  • 早い段階から準備をスタートする
  • 後継者として適正な人材を選出する
  • 相続トラブルを抑える

事業承継は各種手続きに時間がかかります。後継者が引退を決断してから事業承継を始めても後継者育成が間に合いません。経営が安定している頃から、将来に向けて事業承継の準備を進めておくことが理想です。焦って事業承継を進めるのは、トラブルにつながります。余裕を持って事業承継計画を立ててください。

また相続人が複数いる場合は、相続トラブルが発生する可能性があります。生前贈与や遺言書の作成など事前に対処する必要があります。税理士や弁護士など専門家に相談しながら進めましょう。

買収側

一方、買収側が留意すべき点には、以下のような点が挙げられます。

  • 売却側従業員の待遇に配慮する
  • デューデリジェンスを実施する
  • 効果が期待できる企業を買収する

売却側従業員の待遇に不利益な内容がある場合、モチベーションが低下し業務効率が悪化します。最悪のケースでは離職してしまう可能性があるでしょう。待遇を確保し、気持ちよく働いてもらえるよう環境を整えましょう。また、簿外債務により不利益を被ることが無いように、デューデリジェンスを専門家に依頼し、入念に調査を実施してください。

【関連】事業承継とは?事業継承との違いや承継を成功させるポイントを解説

8. 家具・インテリア業界の事業承継は専門家へ!

家具・インテリア業界は、将来的にも需要が見込める業界とされ、異業種からの参入や異業種への進出を目指すM&A動向が各企業で見られる業界です。経営者高齢化で引退を検討する場合でも、事業承継を進めれば事業を存続させられるだけでなく、従業員の雇用も維持できます。大手と協業できれば、自社の家具・インテリア事業を効率的に拡大できるという点も、M&Aの大きな魅力です。

ただ、M&Aで事前に見込んだ通りの効果を得るためには、市場動向や会社状況に適したスキームを策定しなければなりません。また、事業承継の場合は、後継者育成に時間をかける必要があります。より円滑かつ円満なM&A・事業承継を目指すためにも、ぜひ仲介会社や専門家に相談し、サポートを受けながら手続きを進めましょう。

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