居酒屋M&Aのメリット・デメリットと成功事例|コロナ禍で生き残る戦略

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

コロナ禍を経て、居酒屋業界ではM&Aによる事業再編が加速しています。生き残り戦略としてM&Aを検討する際のメリット・デメリット、成功事例、そしてM&Aを進める上でのポイントを解説します。

目次

  1. 居酒屋業界におけるM&Aの現状
  2. 居酒屋M&Aのメリット・デメリット
  3. M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性
  4. 居酒屋M&Aの成功事例と失敗事例から学ぶ
  5. 変化の時代における居酒屋M&A戦略
  6. 居酒屋M&Aを検討する際の注意点
  7. M&Aアドバイザーの選び方
  8. 変化への対応策としての居酒屋M&A
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1. 居酒屋業界におけるM&Aの現状

2020年からの新型コロナの影響もあり、居酒屋業界は苦しい経営を強いられることが多くなっています。

そのような状況下、M&Aを活用して生き残りを図る居酒屋も増えており、今後のM&A動向が注目されます。まずは、居酒屋業界の現状やM&A動向についてみていきます。

激変する居酒屋業界の現状とM&Aの役割

居酒屋業界は、市場縮小、人材不足、競争激化といった課題に直面しています。これらの課題解決策として、M&Aが注目されています。

縮小する市場環境

居酒屋業界および外食産業の市場は、バブルの頃を頂点としてその後は縮小傾向にあります。不況による消費の低迷に加えて、最近はお酒を飲まない若者が増えているのも要因といわれています。

さらに、2020年は新型コロナの影響で大きく売り上げが減少しており、外食産業全体で前年比約16%減となっています。

逆にテイクアウトとデリバリーは売り上げが増加しているので、居酒屋業界も宅配に活路を見出すことが重要になるでしょう。

深刻化する人材不足

飲食業界の人材不足は深刻化しており、2025年時点でも多くの企業が採用難に直面しています。賃金上昇や労働環境改善の動きもありますが、依然として人材確保は大きな課題です。

個人経営とチェーン展開:それぞれのM&A戦略

個人経営の居酒屋は、その個性や地域密着性を強みとしてM&Aを検討する場合があります。一方、チェーン店は、規模の経済を活かした経営効率化やブランド力の強化を目的としてM&Aを行うケースが多いです。

激化する大手企業間の競争

大手チェーンによるM&Aは、市場シェア拡大やブランド強化を目的として活発に行われています。この競争激化は、中小規模の居酒屋にとっては更なる経営の難しさにつながっています。

居酒屋のM&Aはさまざまな課題を解決する手段

ここまで見てきたように、居酒屋業界の現状はさまざま課題を抱えており、これをいかに解決していくかが重要となっています。

サービスや商品の充実により企業価値を高めるのはもちろんですが、M&Aをうまく活用するのも大切な要素となります

居酒屋のM&Aには、買い手側なら手早い店舗拡大、売り手側なら経営基盤の獲得など、さまざまなメリットがあります。

最新の居酒屋M&A動向

大手・中堅チェーンによるM&Aは、市場の再編を加速させています。また、オンラインM&Aプラットフォームの普及により、小規模なM&Aも増加傾向にあります。

2. 居酒屋M&Aのメリット・デメリット

居酒屋M&Aを成功させるには、そのメリットを正しく理解しておく必要があります。また、メリットだけでなくデメリットも考慮することが大切です。ここでは、居酒屋M&Aのメリット・デメリットをみていきます。

M&Aによるメリット:事業承継、経営資源の活用など

M&Aは、事業承継問題の解決、経営資源の有効活用、新たな市場への進出など、様々なメリットをもたらします。また、売却益による資金調達や、大手グループ入りによる経営基盤の強化も期待できます。

1.経営の心理的負担から開放される

M&Aの見過ごされがちなメリットとして重要なのが、経営の心理的負担から解放されることです。

居酒屋経営は時間的にも精神的にも負担が大きく、経営者の気力や情熱がなくなってしまうケースもあります。こういった経営者が負担から解放されるために、M&Aで居酒屋を売却することがあります。

心理的な理由で経営不振でない居酒屋を売却すると、買い手からお買い得案件とみなされることが多く、高い値段がつく可能性もあります。

2.新事業などを始めることができる

居酒屋経営をやめて他事業を始めたい場合は、居酒屋の存在が負担になることがあります。そのようなケースではM&Aで居酒屋を売却し、その売却益で新事業を始めると効率がよくなります

3.売却益を獲得できる

売却益を獲得できるのは、居酒屋をM&Aで売却する大きなメリットの一つです。個人経営の居酒屋なら売却益は経営者個人に入るので、引退後の生活資金などに充てることもできます。

ただし、個人経営の小さな居酒屋の売却益はせいぜい数百万円程度にしかならないことも多く、希望するお金が得られるとは限りません。

4.大手グループ入りで事業拡大や経営の安定が目指せる

M&Aで大手に買収されることに対してマイナスイメージを持つ人もいますが、売り手としては大手の経営基盤を活用できるというメリットもあります

例えば、地方で居酒屋を数店舗経営してそこから伸び悩んでいる中堅企業が、M&Aで大手の傘下に入って事業拡大するといった事例はよくみられます。

5.事業に資本を投入できる

M&Aで居酒屋を買収すれば、その事業に資本を効率的に投入できます。一から新規事業に参入すると設備投資など大きなコストがかかりますが、既存の居酒屋を買収することで設備投資も節約でき、資本効率を高めることができます

M&Aによるデメリット:企業文化の衝突、従業員への影響など

M&Aには、企業文化の衝突、従業員への影響、買収後のシナジー効果が期待通りに得られないといったリスクも存在します。また、デューデリジェンス(企業価値評価)の結果、希望金額での売却が難しい場合もあります。

【関連】居酒屋は事業譲渡と株式譲渡どちらが得?注意点も解説【事例あり】

3. M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性

M&Aを成功させるためには、デューデリジェンス(DD)が不可欠です。デューデリジェンスとは、買収対象企業の財務状況、法務状況、事業状況などを詳細に調査するプロセスです。
 

財務デューデリジェンス

財務DDでは、対象企業の財務諸表、資産負債状況、収益性などを分析します。過去の業績推移、将来のキャッシュフロー予測などを精査し、適正な買収価格を算定します。
 

法務デューデリジェンス

法務DDでは、対象企業の契約書、許認可、訴訟リスクなどを調査します。法令遵守の状況を確認し、潜在的なリスクを洗い出します。
 

事業デューデリジェンス

事業DDでは、対象企業の事業内容、市場環境、競争優位性などを分析します。将来の成長性や収益性を見極め、M&A後の事業戦略を策定します。

4. 居酒屋M&Aの成功事例と失敗事例から学ぶ

この章では、実際に行われた居酒屋のM&A事例から、比較的最近行われた大手M&Aの事例を5つ紹介します。

【居酒屋M&Aの事例】

  1. ダイナックホールディングスによるレストランサントリーUSAのM&A
  2. クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるいっちょうのM&A
  3. 梅の花によるテラケンのM&A
  4. SFPホールディングスによるジョー・スマイルのM&A
  5. ジー・テイストによる湯佐和のM&A

①ダイナックホールディングスによるレストランサントリーUSAのM&A

ダイナックホールディングス

ダイナックホールディングス

出典:https://www.dynac.co.jp/

2019年12月に、株式会社ダイナックホールディングスが、レストランサントリーUSAの株式を取得し子会社化すると発表しました。

ダイナックホールディングスは海鮮酒場「魚盛」などを展開する居酒屋チェーンで、レストランサントリーUSAはハワイなどで居酒屋を展開している会社です。

海外展開も視野に入れた、経営基盤の獲得や収益アップが本M&Aの目的となっています。しかし、本M&Aは新型コロナの影響などにより延期が発表されています。

②クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるいっちょうのM&A

クリエイト・レストランツ・ホールディングス

クリエイト・レストランツ・ホールディングス

出典:https://www.createrestaurants.com/

2019年10月に、株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスが、株式会社いっちょうの全株式を取得し完全子会社化しました。

クリエイト・レストランツ・ホールディングスはさまざまな居酒屋・飲食店チェーンをまとめる持株会社で、いっちょうは和食レストラン「いっちょう」や焼肉「萬家」などを展開する会社です。

互いのノウハウの活用によるシナジー効果の獲得などが、本M&Aの目的となっています。

③梅の花によるテラケンのM&A

梅の花

梅の花

出典:https://www.umenohana.co.jp/

2019年3月に、株式会社梅の花が株式会社テラケンの株式の58%を取得して子会社化しました。

梅の花は湯葉と豆腐の店「梅の花」などを展開する会社で、テラケンは居酒屋「さくら水産」などを展開する会社です。

シナジー効果による経営基盤の拡大が本M&Aの目的となっています。

④SFPホールディングスによるジョー・スマイルのM&A

SFPホールディングス

SFPホールディングス

出典:https://sfpdining.jp/

2019年3月に、SFPホールディングス株式会社が株式会社ジョー・スマイルの全株式を取得し、完全子会社化しました。

SFPホールディングスは「磯丸水産」などの居酒屋チェーンを展開する会社で、ジョー・スマイルは九州で居酒屋やレストランを展開している会社です。

SFPホールディングスは、地方の居酒屋チェーンと積極的にM&Aを行う「SFPフードアライアンス構想」を進めており、本M&Aもその一環となります。

⑤ジー・テイストによる湯佐和のM&A

ジー・テイスト

ジー・テイスト

出典:https://g-taste.co.jp/

2018年10月に、株式会社ジー・テイストが株式会社湯佐和の全株式を取得し、完全子会社化しました。

ジー・テイストは「平禄寿司」「焼肉屋さかい」などを運営する飲食チェーンで、湯佐和は神奈川県で海鮮居酒屋などを運営する会社です。

湯佐和が持つ漁港での買参権などを活用し、シナジー効果を得ることが本M&Aの目的となっています。

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5. 変化の時代における居酒屋M&A戦略

2020年は新型コロナの影響で居酒屋は大きな打撃を受け、その影響は2021年まで続いています。この章では、新型コロナの影響から、居酒屋はM&Aを前向きに検討すべきかどうかを考察します。

M&Aを成功させるための売り手側のポイント

M&Aを成功させるためには、財務状況の透明性確保、事業計画の明確化、そして独自の強みを効果的にアピールすることが重要です。早期の準備が、有利な条件でのM&A成立につながります。

M&Aを成功させるための買い手側のポイント

買い手側は、M&Aの目的を明確化し、デューデリジェンスを徹底的に行う必要があります。また、買収後の統合プロセス(PMI)を綿密に計画することで、シナジー効果の最大化を目指します。
 

6. 居酒屋M&Aを検討する際の注意点

M&Aを検討する際は、自社の強み・弱みを客観的に分析し、M&Aの目的を明確にすることが重要です。信頼できるM&Aアドバイザーを選定し、専門家のサポートを受けながら進めることが成功への鍵となります。

1.早めに準備し、タイミングを逃さない

M&Aはできるだけ早めに準備して、最も良いタイミングで売却することが成功のポイントとなります。数年前から準備して磨き上げを行い、企業価値が最も高い時点で売却できればベストです。

2.PR・アピールポイントをまとめておく

居酒屋はそれぞれが独自のメニューやサービスを持っているはずなので、これらの強みを買い手に効果的にアピールすれば買い手がつきやすくなります

アピールポイントをまとめて明確にしておくと、どのような買い手をターゲットにして売り込むべきかという戦略も見えやすくなります。

3.譲れない条件を決める

M&Aは全ての条件で満足できることはまれなので、譲れない条件を決めておくことが重要になります。

譲れない条件がどれになるかは、M&Aを行う目的によって変わってきます。売却益の獲得が目的なら売却額を高くすることが重要になり、従業員の雇用を守る目的なら雇用条件が優先になるでしょう。

4.M&Aの専門家に相談する

M&Aは専門的な知識と経験が必要であるとともに、買い手・売り手候補を探すネットワークも必要です。

居酒屋のM&Aを行う際は、M&A仲介会社などの専門家に相談すると希望に合ったM&Aが成功できる確率を高めることが可能になります。

【関連】居酒屋の売却の流れ・方法を解説!高い金額で売るコツは?

7. M&Aアドバイザーの選び方

M&Aアドバイザーを選ぶ際は、実績、専門性、費用体系などを比較検討することが重要です。複数のアドバイザーから提案を受け、自社に最適なパートナーを選びましょう。

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8. 変化への対応策としての居酒屋M&A

市場環境が大きく変化する中、居酒屋経営においてM&Aは有効な戦略の一つです。メリット・デメリットを理解し、適切な準備を行うことで、M&Aを成長の機会へと繋げましょう。


【居酒屋業界の現状】

  1. 市場は縮小傾向にある
  2. 人材不足を抱えている
  3. 個人店とチェーン店の特徴がある
  4. 大手により競争が激化

【居酒屋のM&Aのメリット】
  1. 経営の心理的負担から開放される
  2. 新事業などを始めることができる
  3. 売却益を獲得できる
  4. 大手グループ入りで事業拡大や経営の安定が目指せる
  5. 事業に資本を投入できる

【居酒屋のM&Aを検討するポイント】
  1. 早めに準備し、タイミングを逃さない
  2. PR・アピールポイントをまとめておく
  3. 譲れない条件を決める
  4. M&Aの専門家に相談する

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