建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡の違いを解説【事例あり】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡の違いを解説しています。また、建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却・株式譲渡のポイントや注意点、全体の流れなどを事例を交えてわかりやすく解説しています。

目次

  1. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡
  2. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡の違い
  3. 事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡の違いについてのまとめ
  4. 建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由
  5. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例
  6. 建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境
  7. 建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却と株式譲渡する際の注意点
  8. まとめ
  9. 建材・住宅設備機器の卸業界の成約事例一覧
  10. 建材・住宅設備機器の卸業界のM&A案件一覧
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1. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡

建材・住宅設備機器の卸・問屋を他社へ譲り渡す場合、どのような手法が利用できるのでしょうか。

ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋の概要を踏まえて、建材・住宅設備機器の卸・問屋に選ばれているM&Aである譲渡の手法を、2つ紹介します。

建材・住宅設備機器の卸・問屋とは

建材・住宅設備機器の卸・問屋とは、メーカーから仕入れた建材・住宅設備機器を、小売業者へ販売する会社をさします。建材・住宅設備機器の卸・問屋は、メーカーと販売店の間に立ち、両者のニーズに応えています。

卸と問屋についての明確な違いはなく、どちらも仕入れた製品を、消費者以外の事業者に販売するのをさします。消費者へ製品を届ける際の仲介役として、作り手と売り手が求める製品に精通しているのが、卸と問屋といえるでしょう。

このように建材・住宅設備機器の卸・問屋は、仕入先の確保・製品や商品の購入による販売リスクの肩代わり・製品や商品の保管と管理・販売ルートの確保・メーカーと小売業者への情報提供を行い、事業を運営しています。

事業譲渡/事業売却とは

事業譲渡/事業売却とは、自社の建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を、他社に譲り渡すことです。

事業譲渡/事業売却では、譲渡する事業について権利義務の範囲を決められているため、事業のすべてを譲渡したり、一部のみを譲渡したりといったことも可能です。

事業譲渡/事業売却を行う企業は、不採算事業の切り離し・他事業への集中・廃業の回避などを目的として、自社の建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲り渡しています。

株式譲渡/会社譲渡とは

株式譲渡/会社譲渡とは、自社の株式を他社へ譲り渡し、経営権を引き渡すことです。事業譲渡とは異なり、会社そのものを譲渡するため、建材・住宅設備機器の卸・問屋会社の権利義務がすべて第三者に渡ります。

株式譲渡/会社譲渡を選択する企業は、手続きの簡便さや、大手の傘下入りによる経営資源の共有・ノウハウの提供、会社・事業の存続などを目的に、建材・住宅設備機器の卸・問屋会社の株式を譲り渡しているといえます。

2. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡の違い

建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡する場合には、事業譲渡/事業売却と株式譲渡(会社譲渡)のスキームが用意されています。ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却に関する特徴

建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

まずは、建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 後継者問題の解消
  2. 本業・他事業への集中
  3. 法人格の継続使用

メリット①後継者問題の解消

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のメリットは、後継者問題の解消です。

社内や親族のなかに後継者がいない場合、本業の建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲渡し、経営者への負担が少ない事業を手元に残すことで、高齢による体力低下に対応できたり、老後の資金を確保したりできます。

事業譲渡/事業売却であれば、社内・親族から適した後継者がいない場合でも事業の継続を図れるため、建材・住宅設備機器の卸・問屋会社は、自社の事業を譲渡して後継者問題を解消しています。

メリット②本業・他事業への集中

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のメリットは、本業・他事業への集中です。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業で採算が取れない場合、事業から撤退しなければ、自社の存続が危ぶまれます。

そこで、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を他社へ譲渡して本業・他事業への集中を図れば、会社の経営資源を本業や並行して行う他事業あるいは新規事業に回し、経営の立て直しを図れます。

メリット③法人格の継続使用

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のメリットは、法人格の継続使用です。

事業譲渡/事業売却では、自社の建材・住宅設備機器の卸・問屋事業のみを譲り渡すため、引き続き会社の法人格を使用できます。

したがって、自社の法人格で並行して行う事業に専念したり、新しい事業を始められたりといった事業展開が可能となります。

デメリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却には、当然のことながらメリットだけでなくデメリットも存在します。主なデメリットには以下の3つがあるので、しっかりと把握しておきましょう。

  1. 煩雑な手続き
  2. 譲渡益にかかる課税率の高さ
  3. 競業避止義務の遵守

デメリット①煩雑な手続き

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のデメリットは、手続きの煩雑さです。事業譲渡/事業売却では、譲渡する権利義務を個別に引き継ぐ必要があります。

譲渡する資産・負債の選定や取引・雇用契約の同意を得るなど、煩雑な手続きを経て、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲渡しなければなりません。

デメリット②譲渡益にかかる課税率の高さ

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のデメリットは、譲渡益にかかる課税率の高さです。

株式譲渡/会社譲渡では、譲渡益にかかる課税率は約20%(所得税+住民税)としているものの、事業譲渡/事業売却では法人税が約30%かかります

譲渡益の金額に比例して課税額の負担が大きくなるため、建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却では、譲渡益にかかる課税率の高さがデメリットといえるでしょう。

デメリット③競業避止義務の遵守

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却のデメリットは、競業避止義務の遵守です。

事業譲渡/事業売却では、原則として譲渡した事業について、一定のエリア・期間における事業の営業を禁止しています(会社法21条)。

競業避止義務では、同一の市町村や隣接する市町村で、譲渡日から20年間は譲渡した事業が禁止されているため、事業を譲渡した後も建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を行う場合には、注意する必要があるでしょう。

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建材・住宅設備機器の卸・問屋の株式譲渡(会社譲渡)に関する特徴

建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)には、どのような特徴が見られるのでしょうか。

ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のメリットとデメリットを取り上げます。

メリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)では、以下4つのメリットが得られます。

  1. 簡便な手続き
  2. 創業者利益の獲得
  3. 譲渡益に対する税率の低さ
  4. 雇用の維持

メリット①簡便な手続き

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、手続きが簡便であることです。

株式譲渡(会社譲渡)では、株式の譲渡によりすべての権利義務を譲り渡せるため、複雑な手続きを必要としません。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業の資産や負債・営業権・契約などが、そのまま買い手に引き継がれるので、簡易な手続きで建材・住宅設備機器の卸・問屋会社を譲り渡せます。

メリット②創業者利益の獲得

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、創業者利益の獲得です。株式譲渡(会社譲渡)のスキームを利用すると、オーナー(株主)に譲渡益が入ります。

得られた譲渡益は、新会社の立ち上げ資金や老後の生活費の一部に充てられるため、新しい会社を立ち上げる・経営から退く場合に、株式譲渡(会社譲渡)が用いられています。

メリット③譲渡益に対する税率の低さ

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、譲渡益に対する税率の低さです。

事業譲渡/事業売却における譲渡益の税率は、約30%(法人税)に設定されていますが、株式譲渡(会社譲渡)における譲渡益の税率は約20%(所得税+住民税)としています。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲渡する場合には、株式譲渡(会社売却)を選択すると、譲渡益にかかる課税額を抑えられます。

メリット④雇用の維持

4つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、雇用の維持です。

株式譲渡(会社譲渡)は、雇用契約もそのまま引き継がれるため、従業員の雇用が維持されます。

事業譲渡/事業売却とは違い、売り手側で事前に承諾を得たり、買い手側によって雇用契約を巻き直したりする必要がないので、スキームを実行すれば、従業員の雇用を維持できるといえるでしょう。

デメリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)には、いくつかのデメリットもあります。

メリットはもちろん、不利益を被るデメリットにも目を向けてから、実行するスキームを決めるようにしましょう。

  1. 事業単体を切り離せない
  2. 訴訟と契約解除のリスク
  3. 譲渡制限株式の譲渡では会社の承認を得なくてはいけない

デメリット①事業単体を切り離せない

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、事業単体を切り離せない点です。

株式譲渡(会社譲渡)は、事業譲渡/事業売却とは異なり、会社そのものを第三者に譲り渡します。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業など、一部の事業だけを切り離せないため、並行して行う事業や新しい事業に注力する場合には、不向きといえるでしょう。

デメリット②訴訟と契約解除のリスク

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、訴訟と契約解除のリスクです。

株式譲渡(会社譲渡)は、すべての権利義務を譲渡するため、負債なども引き継がれます。そのため、譲渡後に簿外債務などが発覚した場合、表明保証に反するとして買い手から訴えられる事態も想定されます。

また、賃貸借や取引契約のチェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)に反して、事前に相手先の承諾を得なかった場合、株式譲渡(会社譲渡)の実行により契約が解除されることもあります。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)では、訴訟と契約解除のリスクがあることを把握しておきましょう。

デメリット③譲渡する株式に譲渡制限がついている

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋における株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、譲渡する株式に譲渡制限がついている点です。

会社の定款に定められている譲渡制限株式は、株式の譲渡について会社の承認を得ることを必要とします。

そのため、譲渡制限株式を譲渡する場合、売り手側の株主は、会社の承認機関(株主総会または取締役会)に、譲渡の可否を求める承認請求を行う必要があります(会社法136条)。

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3. 事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡の違いについてのまとめ

事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡には、どのような違いが見られるのでしょうか。

ここでは、先の項目で取り上げた事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡の特徴に加えて、事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡の違いを一覧にまとめています。
 

事業譲渡/事業売却と株式譲渡/会社譲渡の違い
  事業譲渡/事業売却 株式譲渡/会社譲渡
取引の主体 法人 株主
譲渡益を受け取る対象 法人 株主
譲渡の対象 事業に関する資産・負債・営業権・契約 株式
資産・負債の承継 個別の手続き 包括的承継
契約の承継 個別の同意 相手方の同意は不要
(COC事項の場合を除く)
従業員の引き継ぎ 個別の同意 包括的承継
許認可の引き継ぎ 承認 再取得
競業避止義務 原則あり なし
反対株主の買取請求権 あり
(株主総会で事業の全部の譲渡と
会社の解散が決議される場合を除く)
なし
(譲渡制限・全部取得条項付種類株式を除く)
簿外債務 承継しない 承継

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4. 建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由

建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する企業は、どのような事情を抱えているのでしょうか。ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する主な理由を紹介します。

  1. 後継者問題を解決するため
  2. 廃業や倒産を避けるため
  3. 雇用・取引契約を継続させるため
  4. 別事業を開始するため
  5. 売却・譲渡益を獲得する

①後継者問題を解決するため

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由は、後継者問題の解決です。

自社や親族のなかに経営を任せられる人物がいなかったり、高齢・健康上の問題を抱えていたりする場合、第三者への譲渡/売却を通じて後継者問題の解決ができます。

経営のノウハウを備えている同業者・関連事業者に経営を引き継いでもらえれば、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を任せられるといえるでしょう。

②廃業や倒産を避けるため

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由は、廃業と倒産を回避するためです。

建材・住宅設備機器の卸・問屋業では、人口の減少に伴い市場が縮小し、競争は激しさを増しているため、自社のみでは市場競争に勝てない場合、廃業・倒産を視野に入れなければなりません。

そこで、第三者への事業譲渡・株式譲渡を選択して、大手の企業や同業者などの傘下に入ることで、経営資源の共有により事業規模の拡大し、市場での生き残りを図っています

③雇用・取引契約を継続させるため

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由は、雇用・取引契約の継続です。

廃業・倒産を選んでしまえば、従業員を解雇しなければならず、取引先の受注・発注先をも失わせてしまいます。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋業を営む会社は、第三者への譲渡/売却を選択して、雇用・取引契約を継続させています。

株式譲渡を行えば雇用・取引契約は包括的に承継され、また事業譲渡の場合でも、従業員と取引先の同意を得て買い手側が再契約を結べば、継続は可能になります。

④別事業を開始するため

4つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由は、別事業を開始するためです。

近年は市場が縮小していることから、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業に見切りをつける企業も少なくありません。

このような企業は別事業を始めるために、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を他社へ譲渡/売却し、既存の法人や、新たに設立する法人で別事業への転換を図っています。

⑤売却・譲渡益を獲得する

5つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を譲渡/売却する理由は、売却・譲渡益の獲得です。

資金面の問題を抱えている企業は、自社の建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲り渡し、売却・譲渡益を獲得して、別事業への注力や、新会社の設立資金など、必要な資金の一部を確保しています。

また、経営から退く場合には、売却・譲渡益を得て、老後の生活費を確保するケースも見られます。

5. 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例

建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却と株式譲渡は、どのような企業によって実施されているのでしょうか。ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋について、事業譲渡/事業売却と株式譲渡の事例を取り上げます。

  1. 神戸製鋼による日鉄建材、ケイコンへの事業譲渡
  2. JKホールディングスによる長谷川建材の株式譲渡
  3. コーナン商事による社建デポの株式譲渡
  4. 建デポによるナンバへの事業譲渡
  5. OCHIホールディングスによる丸滝の株式譲渡
  6. 橋本総業ホールディングスによる永昌洋行の株式譲渡

①神戸製鋼による日鉄建材、ケイコンへの事業譲渡

1つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、神戸製鋼による日鉄建材、ケイコンへの事業譲渡です。

神戸製鋼所は2020年3月に、鋼製透過型砂防堰堤、砂防鋼構造物の事業を日鉄建材へ、フレア護岸事業をケイコンに譲渡しました。

鋼製砂防堰堤事業は営業や製造技術を持っており、防災や減災に関連する分野に特化している日鉄建材へ、フレア護岸事業はコンクリートの2次製品の提案・設計・製造・施工のノウハウを持っているケイコンへの譲渡となりました。

今回の事業譲渡により、それぞれの事業がさらに事業を容拡大し、成長を目指しとしています。

②JKホールディングスによる長谷川建材の株式譲渡

2つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、JKホールディングスによる長谷川建材の株式譲渡です。

JKホールディングスは2020年3月に、建築資材の販売、建設工事を行う長谷川建材の全株式を取得し、子会社化しました。

JKホールディングスは、住宅関連業界に幅広く展開している企業ですが、小売セグメントにおいて北海道道東地区の拠点を持っていませんでした。そのため今回のM&Aにより北海道の主要都市に拠点を持つことになり、経営基盤が強化され、企業価値が向上されるとしています。

③コーナン商事による建デポの株式譲渡

3つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、コーナン商事による建デポの株式譲渡です。

ホームセンター事業を展開するコーナン商事は、2019年の6月に、会員制の建設資材卸売店「建デポ」をプロ向けに展開する建デポの株式と新株予約権を取得し、子会社としています。

コーナン商事は、対象企業をグループの傘下に収めることで、首都圏での事業基盤を強化し、ノウハウの共有によるシナジーの獲得を目指すとしています。

④建デポによるナンバへの事業譲渡

4つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、建デポによるナンバへの事業譲渡です。

プロ向けに会員制の建材卸店「建デポ」を展開する建デポは、2018年の3月に、岡山県を中心に16店のホームセンターを運営するナンバへ、直営店の岡山大元店について事業譲渡を行っています。

ナンバは、2016年に建デポとフランチャイズ契約を結び、「建デポ」の事業を展開していましたが、今回の事業譲渡を通じて、譲渡した店舗を中心に、中国・四国地方への出店に力を入れて、既存店とのシナジー効果を獲得するとしています。

⑤OCHIホールディングスによる丸滝の株式譲渡

5つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、OCHIホールディングスによる丸滝の株式譲渡です。

建材や住宅設備機器(暖房・空調機器など)の卸業を営むOCHIホールディングスは、2018年の2月に、連結子会社の越智産業を通じて、丸滝の株式を取得し、子会社化を図っています。

丸滝は、3つの拠点で建材・住宅設備機器の卸しや、建設工事を請け負っている会社です。

OCHIホールディングスは、対象会社の株式譲渡を通じて、甲信越エリアでの事業展開・人材交流による技術とノウハウの蓄積などを目指し、業容・グループ内のシナジー拡大を図るとしています。

⑥橋本総業ホールディングスによる永昌洋行の株式譲渡

6つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡事例は、橋本総業ホールディングスによる永昌洋行の株式譲渡です。

管工機材・住宅設備機器の販売会社や、プラント用機器と装置の専門会社などを束ねる橋本総業ホールディングスは、2018年の1月に、九州エリアで住宅設備機器や衛生陶器などの卸を行う永昌洋行の株式を取得し、子会社としています。

橋本総業ホールディングスは、株式譲渡を通じて、九州エリアに拠点を置く自社の支店と連携を図り、同エリアでの事業展開を進めていく方針です。

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6. 建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境

建材・住宅設備機器の卸・問屋業界では、どのような動きが見られるのでしょうか。ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境を取り上げ解説していきます。事業譲渡・株式譲渡を検討する際は、業界の動向をしっかりと把握しておきましょう。

  1. 市場規模が縮小する
  2. 中小規模の企業は今後ますます経営が難しくなる
  3. 地域と密接に関わり活路を見出している
  4. 後継者問題に直面している企業も多い

①市場規模が縮小する

1つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境は、市場規模の縮小です。

国土交通省が発表している建築着工統計調査報告によると、建築着工数は平成27から令和元年にかけて、90万戸の前半から90万台中盤あたりで推移しています。令和元年の新設住宅着工戸数は 905,123戸で、前年比では4.0%減と3年連続の減少となっています。

新しく建てられる住宅の数が減ることで、使用される建材・住宅設備機器の需要も減少となるため、建材・住宅設備機器の卸・問屋業界では、市場規模が縮小すると見られています。

参照:国土交通省「建築着工統計調査報告」(2019年度)

②中小規模の企業は今後ますます経営が難しくなる

2つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境は、困難を極める中小企業の経営です。

国内人口は、2008年の1億2,808万人をピークに減少へと転じ、2048年には9,913万人まで減ると予想されています。

リフォーム・リノベーション市場への注力が期待されるものの、建材・住宅設備機器においては、新設住宅の着工が大きなウエイトを占めていることから、競争力に乏しい中小企業の経営は厳しさを増すと考えられます。

参照:内閣府「選択する未来 -人口推計から見えてくる未来像-」(2015年)

③地域と密接に関わり活路を見出している

3つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境は、地域密着型への注力です。

建材・住宅設備機器の市場では、地域に根差した中小企業が多く、大手による市場の独占には至っていません。

そのため、市場では事業規模の大きな企業が、地域密着の中小企業を買収し、対応エリアの拡大を図っているのが窺えます。

④後継者問題に直面している企業も多い

4つ目に紹介する建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境は、後継者問題を抱える企業の多さです。

建材・住宅設備機器の卸・問屋業界では、中小企業の数が多く、オーナーの高齢化により経営の引き継ぎを希望するケースも少なくありません。

しかし、親族・社内にふさわしい人物を見つけられなかったり、親族・社内にふさわしい人物がいても、後継者の育成に時間がかかっていたりと、希望する時期に事業承継を終えられないケースも見られます。

そこで、建材・住宅設備機器の卸・問屋を営む事業者は、他社への譲渡を選択し、後継者問題の解消を図っています。

7. 建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却と株式譲渡する際の注意点

建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却と株式譲渡する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、譲渡/売却を行う際に特に注意すべき5つのポイントについて解説していきます。

  1. 事業譲渡/事業売却・株式譲渡の目的を明確にする
  2. 地域性や実績など強みをまとめる
  3. 時間がかかることを念頭に置き準備を行う
  4. 最良のタイミング・最適な戦略を選ぶ
  5. 事業譲渡/事業売却・株式譲渡の専門家に相談する

①事業譲渡/事業売却・株式譲渡の目的を明確にする

1つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却または株式譲渡する際の注意点として、目的を明確にするのが大切です。

事業譲渡・株式譲渡の目的を曖昧にしておくと、交渉先が見つからない・交渉が決裂するなど、円滑な譲渡ができない可能性も考えられます。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却・株式譲渡する場合には、譲渡の目的をはっきりさせておきましょう。

後継者不足の解消・大手の傘下に入る・資金調達・廃業の回避など、あらかじめ目的を明確にしておけば、スムーズに譲渡を進められます。

②地域性や実績など強みをまとめる

2つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却または株式譲渡する際の注意点は、自社の強みをまとめておくことです。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を買収する企業は、売り手の地域性・実績・ノウハウなどをもとに、買収を検討します。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却・株式譲渡では、自社の強みを把握し、まとめておきましょう。

自社の特徴を示せるようデータにまとめておくと、買い手に正しく伝わりやすくなり、交渉から成約につながる確率も高くなります。

③時間がかかることを念頭に置き準備を行う

3つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却または株式譲渡する際の注意点は、長期間を想定した準備です。

会社や事業を譲り渡す場合、将来の売上・利益を計算した計画書の作成、在庫管理の徹底、法務・税務に関する問題点の洗い出しなど、譲渡前の準備を必要とします。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却・株式譲渡では、時間がかかることを念頭において、早めの準備を心がけましょう。

④最良のタイミング・最適な戦略を選ぶ

4つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却または株式譲渡する際の注意点は、適切なタイミングで最適な戦略を選択する必要があります。

売り上げが落ちてきたり抱える負債が膨らんだりすると、なかなか買い手が見つからず、譲渡するタイミングを逃してしまいます。

また、スキームに合った戦略を選ばないと、安く買いたたかれてしまったり不当な条件を呑んだりと、求める譲渡に至らない可能性もあります。

そのため、建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却・株式譲渡では、ふさわしいタイミング・戦略を選ぶのが重要といえます。

また、市場分析・スキームの選択・戦略策定には、専門的な知識や見解も必要となるため、M&A仲介会社などの専門家と相談しながら進めるとよいでしょう。

⑤事業譲渡/事業売却・株式譲渡の専門家に相談する

5つ目に挙げる建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却または株式譲渡を行う際の注意点は、事業譲渡/事業売却・株式譲渡の専門家に相談するのが大切です。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業の買い手を自社のみで探すと、交渉先が見つからない・見つけられるまでに長期間を要するなど、求める期間内での譲渡が難しくなることもあります。

M&A仲介会社・金融機関・公的機関などの専門家に相談しながら進めれば、交渉先の紹介・適切な譲渡価格やスキームの提示・交渉や手続きなどのサポートを受けられます

自社に事業譲渡/事業売却・株式譲渡の専門家がいない場合は、M&Aの専門家に相談しサポートを受けながら行うことで、成功する確率が高くなります。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の譲渡/売却を行う際におすすめのM&A仲介会社

建材・住宅設備機器の卸・問屋の譲渡/売却を行う際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所は、中堅・中小企業向けにM&A仲介を行う会社です。M&A総合研究所では、案件ごとにM&Aアドバイザーがつき、クロージングまでのフルサポートを行っています。

料金体系は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の譲渡/売却を行う際は、ぜひM&A総合研究所へお問い合わせください。

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8. まとめ

建材・住宅設備機器の卸・問屋における事業譲渡/事業売却と株式譲渡について、スキームの違いや、譲渡/売却する理由、業界の状況などを紹介しました。

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業では、需要・人口の減少が予想されるため、市場での競争が激しくなると予想されています。

そのため、競争に勝てない中小企業は、自社・事業を譲り渡して事業の継続を図っているといえるでしょう。

【建材・住宅設備機器の卸・問屋業界を取り巻く環境】

  • 市場規模が縮小する
  • 中小規模の企業は今後ますます経営が難しくなる
  • 地域と密接に関わり活路を見出している
  • 後継者問題に直面している企業も多い

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業を譲渡/売却する場合は、スキームの違いや、事例、注意点を参考にして、自社に合ったスキームを選択してください。

【建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却と株式譲渡の違い】
  • 建材・住宅設備機器の卸・問屋の事業譲渡/事業売却に関する特徴
  • 建材・住宅設備機器の卸・問屋の株式譲渡(会社譲渡)に関する特徴

【建材・住宅設備機器の卸・問屋を事業譲渡/事業売却と株式譲渡する際の注意点】
  • 事業譲渡/事業売却・株式譲渡の目的を明確にする
  • 地域性や実績など強みをまとめる
  • 時間がかかることを念頭に置き準備を行う
  • 最良のタイミング・最適な戦略を選ぶ
  • 事業譲渡/事業売却・株式譲渡の専門家に相談する

建材・住宅設備機器の卸・問屋事業の譲渡/売却は自社のみで行わず、M&A仲介会社などの専門家のサポートを受けて進めるようにしましょう。

専門家に相談すると、交渉先の紹介、適切なスキーム・譲渡価格の提示、交渉・成約手続きの代行などサポートを受けられるので、スムーズな譲渡が可能になります。

9. 建材・住宅設備機器の卸業界の成約事例一覧

10. 建材・住宅設備機器の卸業界のM&A案件一覧

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