着物業界のM&A動向!売却・買収事例2選とメリットを解説!【2024年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

着物業界では、着物を購入せずにレンタルで済ませる人が増加するなど、1人当たりの消費額が大幅に減少している厳しい状況があり、M&Aでの業界再編の動きが活発化しています。この記事では、着物業界のM&A動向について詳しくみていきましょう。

目次

  1. 着物業界の概要と動向
  2. 着物業界のM&A動向
  3. 着物業界のM&Aにおけるメリット
  4. 着物業界のM&Aにおける買収・売却事例2選
  5. 着物業界のM&Aにおける成功のポイント
  6. 着物業界のM&A・事業売却まとめ
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1. 着物業界の概要と動向

現在、後継者問題や人手不足などで多くの業界でM&Aが活発に行われるようになってきました。着物業界でも、市場の縮小やレンタル市場の成長などにより、M&Aでの業界再編の必要性が高まっています。この記事では、着物業界の業界動向と、M&Aについて詳しく解説します。

まずは、着物業界の概要と動向をみていきましょう。

着物業界とは

着物業界とは、着物や和装小物の製造と販売を行う業界です。着物の布地の製造や、着物への仕立て、和装小物を扱うメーカーや店舗を着物業界といいます

着物を販売する店舗を呉服屋といいますが、呉服の呉は古代中国にあった国で三国志にも登場する呉です。着物の生地が呉の国からやってきたものなので、着物の生地をもともと呉服と呼びました。

しかし、いつしか、布地の呉服を扱う店舗だった呉服屋が、着物全般を扱う店舗として呼ばれるようになり、呉服屋が着物を扱う小売店のことになったようです。

着物業界の市場規模と動向

着物業界のここ10年の市場規模は、2013年に3,010億円だったのが、年々減少し続けており、2018年には2,681億円、2019年には2,605億円となっています。

2020年には新型コロナの影響で1,925億円まで大きく落ち込み、その後は若干回復したものの、2022年は2,210億円と、コロナ禍前の水準までは戻っていません。

世帯別の着物に対する消費金額の推移を見ていくと、2002年には1世帯あたり購入額が7,952円、レンタル額が999円でしたが、2018年には購入額が2,094円、レンタル額が1,549円と購入額が大幅に減少しています。

レンタル市場は成長が見られますが、1世帯あたりの購入とレンタルの合計金額も大幅に減少しており、着物市場の縮小傾向は今後も続くことが考えられるでしょう

参考:矢野経済研究所「呉服市場に関する調査を実施(2022年)」 業界動向サーチ「着物業界の動向や現状、ランキングなど

着物業界の課題

市場の縮小が続く着物業界では、次のような問題が今後の課題として挙げられます。

  • 価格競争の激化による過当競争
  • 若者への訴求不足
  • 価格や商品表示の不透明感が原因の消費者からの不信感

このような問題を受けて、着物業界ではSNSなどを活用して若者にわかりやすく楽しく着物文化を伝える試みや、素材や価格の表示を工夫するなどの対策が進められています。

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2. 着物業界のM&A動向

着物業界のM&Aにはどのような傾向がみられるのでしょうか。着物業界におけるM&Aの動向について解説します。

M&Aにより事業規模の拡大を望む事例が多い

着物業界でのM&Aでは、同業他社を買収する事例と、着物会社がレンタル会社や旅行会社に買収される事例がよくみられます。

着物会社が他の着物会社を買収する場合には、買収する会社が持つノウハウやブランドを自社内に取り込んだり、店舗や仕立て職人などの経営資源を獲得したりして、事業の拡大を目的とする例が多くあるようです。

レンタル会社や旅行会社では、観光客向けのレンタル事業として着物事業を自社内に取り込む動きが見られます。特に、外国人観光客に日本文化が注目されている現在、新規参入が難しい着物会社をM&Aで買収することで、着物レンタル事業を始める会社もあるようです。

着物事業撤退を目的とする事例も少なくない

M&Aで着物会社を売却する側の動向をみてみると、着物事業からの撤退や縮小を目的とした買収も見られるようです。

着物業界は、1世帯あたりの年間購入額が2003年から2018年までで3分の1以下まで市場規模が落ち込んでいます。

レンタル市場は伸びているものの、より大きな金額が動く購入市場が縮小していくようでは、業界再編による会社や店舗を集中させる必要性が今後は高まっていくでしょう。

多様な事業を展開しているアパレルメーカーなどは、今後の着物市場の減少を見据えて、着物事業からの撤退のためのM&Aを進める動きも出てきています

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3. 着物業界のM&Aにおけるメリット

着物業界でM&Aを実施するメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。売却側と買収側のそれぞれのメリットについて解説します。

売却側が得られるメリット

着物会社のM&Aで売り手側のメリットとして次のような点が考えられます。
 

  • 後継者問題の解決
  • 従業員の雇用と取引先との契約の継続
  • 廃業コスト0円での着物事業からの撤退
  • 売却金の獲得
  • 経営者の個人保証からの解放
  • 不採算事業の売却によって主力事業へ経営資源を集中できる
  • 大手企業の傘下に入ることによる事業の成長と拡大

特に、着物業界では「廃業コスト0円での着物事業からの撤退」が、M&Aの大きなメリットとして注目されています。

会社や店舗を廃業するためには、解雇する従業員への退職金や工房や店舗の処分費用、廃業の手続きにかかる費用など、かなり大きな支出が必要です。

しかし、M&Aで会社を売却できれば、これらの費用は必要なく、逆に売却金を手に入れることができます

買収側が得られるメリット

買収側のメリットは次のような点が考えられます。

  • 同業他社の買収による事業規模の拡大
  • ブランド力やノウハウなどの希少資源の獲得による収益の向上
  • 事業規模拡大によるスケールメリット
  • 異業種からの着物業界への速やかな参入

歴史と伝統のある着物業界は、業界慣習などの壁が高いために、異業種からの参入が他の業界に比べて難しいといわれています。

着物は、観光客へのレンタルや土産物、成人式などの人生の節目にレンタルの利用者が増加していることから、観光業界やレンタル業界から着物業界は注目されています。新規参入が難しい着物業界へ、M&Aでの着物会社の買収により参入を図る動きがみられます

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4. 着物業界のM&Aにおける買収・売却事例2選

着物業界で実施されたM&Aにはどのような事例があるのか、M&Aによる会社の売却、買収の事例を2つ紹介します。

和心が着物レンタル事業をインバウンドコンソーシアムにM&Aした事例

2022年12月29日に、株式会社和心から、同社の着物レンタル部門であるコト事業を、株式会社インバウンドコンソーシアムに事業譲渡することを決議したことが発表されました。

和心は、「日本のカルチャーを世界へ」という経営理念のもと、着物や和アクセサリーなどのオリジナルブランドの販売などを行っている会社です。事業譲渡したコト事業は、観光地などに着物のレンタル店を出店する事業を行っていました。

しかし、コロナ禍でのインバウンドの急激な減少を受けて収益が悪化し、オリジナル製品の製造販売などを行うモノ事業へ経営資源を集中させるために、M&Aでのコト事業の譲渡に踏み切ったとのことです。

参考:着物レンタル部門の事業譲渡に関するお知らせ

テイツーが山徳・着物インターナショナルをM&Aした事例

2002年5月18日に、株式会社テイツーから、株式会社山徳及び株式会社着物インターナショナル(以下まとめて、三徳)の全株式を取得して、連結子会社化するM&Aを決議したことが発表されました。

テイツーは書籍やゲームなどの中古品の販売などを行うリユース事業を展開する会社です。

三徳もリユース事業を行う会社ですが、テイツーが取り扱っていないトレーディングカードやアイドルグッズ、着物の買取販売も行っています。さらに、eBayを通じて海外100ヶ国以上への販売ルートも確立しています。

このM&Aにより、テイツーとしては、取扱商品の幅を広げるとともに、国内だけでなく海外の販路拡大も可能になるとのことです。

参考:株式会社山徳等の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

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5. 着物業界のM&Aにおける成功のポイント

着物会社のM&Aを成功させるためにはどのようなポイントに注意したらいいのでしょうか。着物会社のM&Aで特に注意するべき4つのポイントについて解説します。

M&Aの専門家に相談する

着物会社をM&Aで売却した方がいいのか迷い始めたら、まずはM&Aの専門家に相談した方がいいでしょう。

M&Aでの会社売却では、相性の良い相手を探すことや、M&Aに関する法律や会計についての高度で専門性の高い知識が必要な手続きを行うことなど、M&A未経験者には難しい点がたくさんあります。

M&Aの経験がない会社の経営者だけでは、相手探しや手続きがうまくいかないことも多いので、M&Aについては専門家と一緒に進めた方がいいでしょう

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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情報収集の徹底と相手先の選定

M&Aが成功するかどうかは、相手選びにかかっているといってもいいでしょう。

経営統合した後で、両社がお互いにシナジー効果を発揮して業績が伸ばせなければ、M&Aに成功したとはいえません。そのためには、準備段階でしっかりとした情報収集と情報の整理が大切です。

売却側の会社が買収側に与えられる強味と、買収側に補ってもらいたい弱味を明確化しておき、両社の弱みと強みを相互に補い合えるような相手かどうかの情報収集を行いましょう

情報漏洩に気をつける

M&Aがクロージングまでたどり着くかどうかは、情報漏洩が起きないかどうかにかかっているといっても過言ではありません。

売却側に会社売却の噂が流れてしまうと、不安になった従業員の離職や取引先からの取引停止を招く恐れがあります。

M&Aについての情報は、最終契約書を締結して情報を公開できるようになるまで厳重に管理して、最低限の役員のみで情報を共有するように心がけましょう。

また、噂はちょっとした会話の断片から広がっていくものです。M&Aについての電話や社内での会話にはよく気をつけましょう。

早めに検討し適切なタイミングを掴む

売却側が満足できるM&Aを実施するためには、準備を早めに始めることが大切です。経営者の高齢化による健康不安から、短い準備期間で売り急ぐと、想定よりも安く買い叩かれてしまうこともあります。

M&Aでの会社売却の理由が後継者問題である場合には特に、まだ経営者が元気で判断力がしっかりとしているうちに、会社の将来の売却に向けた準備を始めるようにしましょう。そして、最も高額で売却できるタイミングを掴んで売却することが大切です。

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6. 着物業界のM&A・事業売却まとめ

着物に対する年間消費金額は、ここ20年ほどで1世帯当たり3分の1以下まで激減する状況で、着物業界は今後も業界再編が待ったなしの状況が続くでしょう。しかし、日本の伝統文化である着物文化が、今後、ゼロになることは考えられません。

レンタルや観光など、今までにはなかった切り口からの需要は伸びている状況があります。着物会社の将来が不安な経営者の方は、ぜひ一度、M&Aでの売却の可能性はどうか、M&Aの専門家に相談してみるといいでしょう。

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