2024年11月09日公開
食品小売業界のM&A動向!売却・買収事例3選とメリットを解説!【2024年最新】
スーパーやコンビニをはじめとする食品小売業界では、店舗規模の大規模化や流通コストの上昇、少子化の流れを受けたM&Aが加速化しつつあります。この記事では、食品小売業界でのM&Aの動向について、メリットや売却や買収が行われた事例を紹介します。
目次
1. 食品小売業界の概要と動向
一般消費者が最もお世話になる店舗の一つが食品小売店です。食品小売業界ではM&Aがどのように行われているのでしょうか。この記事では、食品小売業界の動向とM&Aについて詳しくみていきましょう。まずは、食品小売業界の概要と動向について解説します。
食品小売業界とは
食品小売とは、一般消費者向けに食品を販売することです。一般消費者が家庭で食べるための食事の肉や魚、野菜、調味料などの素材を用意して販売します。
また、素材だけでなく、出来上がったおかずや弁当などの惣菜や、千切りキャベツなどの半調理品として販売することもあります。
食品小売業界の具体的な業態としては、スーパーマーケットや百貨店の食品売場、コンビニエンスストアなどが挙げられるでしょう。
食品小売業界の市場規模と動向
食品小売業界の代表的な業態であるスーパーの売上の推移をみていきましょう。業界動向サーチの分析によると、全国のスーパーの売上高は2013年から2019年まで約13兆円で推移していました。
2020年からの新型コロナ禍における巣ごもり需要で、2020年には14.8兆円、2021年と2022年には15兆円を超える売上高となっています。
しかし、2019年から2020年の1兆円を超える伸びと比較すると、2020年から2022年の伸びはわずかで鈍化してます。
2023年以降、経済が回復して外食の利用が活発化する中で、食品小売業界の売上高がどのように変化していくのか注視する必要があるでしょう。
参考:業界動向サーチ「スーパー業界のランキングや売上高、動向等を研究」
2. 食品小売業界のM&A動向
食品小売業界では、近年、M&Aの動きが活発化しています。M&Aによる会社の統合の動きが激しくなっている理由は、経営者の高齢化と後継者問題、ECサイトや大型ショッピングセンターとの競争の激化などです。
高度経済成長期からバブル期にかけて創業した食品小売店の経営者が高齢化し、跡継ぎ問題で会社を売却する動きがあります。
また、ECサイトや大型ショッピングセンターとの競争が激しくなる中で、食品小売業界も他店と差別化するための付加価値の創出が求められています。
食品小売業界では、経営者の高齢化とともに環境の大きな変化への対応が求められており、M&Aによる売却を検討する会社が増加しています。
3. 食品小売業界をM&Aで売却するメリット
M&Aで食品小売会社を売却すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。売却する会社や経営者にもたらされる4つのメリットについて解説します。
創業者利益を獲得できる
会社を続けることが難しくなったときに、M&Aで売却を選択しなければ廃業するしかありません。しかし、会社を廃業すると建物や設備の処分費用や、解雇するしかない従業員への退職金の支払いなどのコストが必要になります。
また、金融機関から借り入れをしていた場合には、経営者が個人保証を付けている事が多いので、廃業後にも借金の返済が続く可能性があります。
M&Aで売却できれば、廃業でかかるコストは一切必要ありません。また、負債も買収側へ引き継がれるので、個人保証からも解放されます。その上、売却した利益も手元に残り、創業者利益を獲得できるのです。
会社の継続が可能となる
食品小売店を廃業するということになると、もしも近隣に同じような店舗がなければ、その店舗を利用していた地域の人達が買い物難民になる可能性があります。
また、従業員は解雇するしかなく、再就職に失敗した従業員が路頭に迷う可能性もあるでしょう。
M&Aで食品小売会社を売却できれば、店舗もそのまま継続して営業を続けられる可能性が高まります。地域の人達への食品の供給や、従業員の雇用を継続できるでしょう。
販路が拡大できる
M&Aで大手企業の傘下に入った場合、親会社の販路を活用できるようになる場合があります。
例えば、食品小売店でその地域の特産品を扱っていた場合、親会社のECサイトや他の店舗で販売することで、特産品の販路を他の地域や全国に拡大することも可能です。
仕入れコストの軽減につながる
M&Aで大手企業の傘下に入れば、買収側企業の仕入れルートを利用できるようになります。
食品小売店舗の場合には、全国どこでも売られているような一般的な商品も多く、大手企業の仕入れルートを利用することで、ボリュームディスカウントによる仕入れ単価の引き下げも可能です。
実際に、赤字が続いていた食品小売会社がM&Aで譲渡されたことで、原価率を大幅に下げることに成功して、黒字回復できた事例もあります。
4. 食品小売業界のM&Aにおける買収・売却事例3選
食品小売業界においてM&Aで買収や売却された事例を紹介します。
ミニストップとLOTTEのM&A事例
2022年1月に、ミニストップ株式会社から、同社の子会社である韓国ミニストップ株式会社の全株式を、LOTTE Corporationに譲渡するM&Aが発表されました。
ミニストップは1980年に現在のイオンの出資により設立されたコンビニチェーンです。1990年に子会社の韓国ミニストップを設立して、韓国におけるコンビニエンス事業を展開してきました。
ミニストップとしては、経営の最適化と経営資源の集中、効率化の観点から、韓国ミニストップを持続的に成長できる企業への譲渡が最善であると判断し、日本と韓国で幅広い事業を展開しているロッテグループへの売却を決定しました。
参考:ミニストップ株式会社「連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」
バローホールディングスが三幸をM&Aした事例
2019年1月に、株式会社バローホールディングスが、三幸株式会社の発行済株式のうち81.6%を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。
バローホールディングスは、東海地方を中心に、スーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストア、スポーツクラブなどの店舗を多角的に展開しているグループです。
三幸株式会社は、富山県の呉西(西部地域)を中心として、スーパーマーケット「サンコー」など、地元住民から高い支持を集めている8店舗を展開している会社です。
このM&Aにより、バローホールディングスとしては、富山県内エリアのシェアを向上させるとともに、三幸の新鮮な野菜や魚の仕入れと販売ノウハウを生かして、グループ全体での競争力強化に活かしたいとのことです。
参考:株式会社バローホールディングス「三幸株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
平和堂が丸善をM&Aした事例
2011年12月に、株式会社平和堂から、株式会社丸善の全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
平和堂は滋賀県を中心に、京阪神、北陸、東海地域に食料品、衣料品、住宅関連用品を販売する店舗を展開しています。丸善は滋賀県を拠点として8店舗のスーパーマーケットを展開している会社です。
このM&Aにより、平和堂としては拠点である滋賀県での店舗網を拡充して、顧客満足度の向上に務めたいとのことです。
参考:株式会社平和堂「株式会社丸善の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
5. 食品小売業界のM&Aにおける成功のポイント
食品小売会社に限らず、日本でM&Aでの売却を検討しても、最終的な成功率は4割程度だといわれています。M&Aで売却できなければ、廃業するしかない会社も多い中で、売却に成功するかしないかは大きな分かれ目となります。
食品小売業界でM&Aを成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか。成功のためのポイントを解説します。
M&Aの専門家に相談をする
M&Aを成功させるためには、最適な譲渡先とのマッチングや、法律や財務についての複雑で専門的な手続きが必要です。食品小売業の経営者の手に負えることではありません。
ぜひ、会社の売却を考え始めたら、まずはM&Aの専門家に相談してみましょう。日本には、中小企業のM&Aを専門的に支援している専門家がいます。
M&Aをするべきなのか、というところから丁寧に相談に乗ってもらえるので、ぜひM&Aの専門家への相談から始めてみましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
適切なタイミングで売却を行う
M&Aでの売却はタイミングが重要です。まだ経営者自身が元気で、業績がある程度安定しているうちに売却の準備を始めましょう。
経営者の年齢が行き過ぎたり体調が悪化したために売却を急ぐようなことでは、企業価値は下落して高額での売却は不可能です。それどころか、売却そのものができないこともよくあります。
企業価値が高く見込めるタイミングで売却するようにしましょう。
売却対象会社の強みを明確にする
M&Aで他の会社を買収したいと考えている会社の目的は、他社を買収することで自社の業績を成長させるためです。
食品小売であれば、まだ進出していないエリアへ進出したい、自社にはなく売却側企業が持つ仕入れルートや独自商品、ノウハウ、スタッフを傘下に収めたい、といったところが買収側の目的になります。
買収側がゼロから店舗を立ち上げるよりも、他社を買収したほうがお得だと思えるような強みはどこにあるのか、M&Aで売却を検討するのならしっかりと洗い出して明確にしておきましょう。
なお、自社の弱みについては、買収側企業のリソースで補強できることも多いので、弱みよりも強みにフォーカスして明確化しましょう。
実態を把握し適切に開示する
M&Aを進めることで、売却側も買収側も同意したら、交渉、基本合意書締結、デューデリジェンス、最終交渉、最終契約書締結と進みます。
デューデリジェンスとは、買収側企業が売却側企業のリスクを調査することで、法務や財務、人事などについてM&Aの専門家が徹底的に調査します。
デューデリジェンスで、基本合意書締結までに開示されていなかった深刻な問題が発見されてしまった場合には、譲渡価格の大幅な引き下げや、最悪の場合にはM&Aの破談もありえます。
不利な情報はできるだけ開示したくないのは当然ですが、隠してもどこかでわかってしまいます。経営者は社内の隅々まで正確に実態を把握して、相手側に正直に開示するように心がけましょう。
6. 食品小売業界のM&Aにおける注意点
食品小売会社をM&Aで売却する場合には、取引先との契約に注意しましょう。注意するべき契約とは、特約と、COC条項についてです。
売却側企業が卸やメーカーと何らかの特約を結んでいる場合、その契約がM&Aでの売却後も継続できるか確認が必要です。
また、COC(チェンジ・オブ・コントロール)条項を結んでいる場合には、代表者や株主の変更を相手方に通知する必要があります。どのような形での通知なのか、承諾も必要なのか、確認しておきましょう。
上記2つの契約について確認した上で、取引先との取引がM&A後にも継続できるかの確認も必要です。
7. 食品小売業界のM&A・事業売却まとめ
近年、経営者の高齢化と後継ぎ不足による食品スーパーの撤退により、住人の食品の購入が難しくなってしまった地域が増えています。食品小売店の廃業は、地域住民の生活にも大きな影響を及ぼすので、会社の売却で存続できるのなら存続させたほうがいいでしょう。
経営者自身での継続が難しくても、M&Aで売却できれば店舗も継続可能です。後継者不足などで会社の今後が不安なら、ぜひ一度M&Aの専門家に相談してみましょう。
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