譲受企業インタビュー
株式会社スプラウトイット管理本部長 兼
キャル株式会社取締役 甲良 壮一様
キャル株式会社 代表取締役社長 前田 明様
─M&Aで広がる可能性
企業成長の新たな道を探る
ー御社の事業内容と強みを教えてください。
前田様:
キャル株式会社は1990年に設立し、2009年からエンジニアのアウトソーシング事業を展開しています。現在、約2800名の社員を抱え、IT業界の拡大とともに成長してきました。特に当社の強みは「採用力」にあり、市場のニーズを先取りし、優秀な人材を確保できる体制を整えています。営業も重要ですが、最も大切なのは採用戦略の成功です。採用がうまくいっている拠点は成長し、そうでない拠点は伸び悩む傾向があります。当社は、この採用力を活かし、さらなる事業拡大を目指しています。
ーM&Aを検討されたきっかけを教えてください。
前田様:
数年前からM&Aを視野に入れ、当社の強みを伸ばし、弱みを補う手段として検討していました。特に、自社開発や請負業務の経験が少なく、受託開発の強化が課題でした。現在、社員の約12%がグローバル人材で、韓国やウズベキスタンなどに拠点を持っています。今後、日本のIT人材不足が深刻化する中、海外人材の活用や業務の海外展開が必要と考えました。そのため、海外人材マネジメントの経験があり、営業力を持つ企業との提携が不可欠であり、M&Aの選択に至りました。
ー今回のM&Aで譲り受けを決めた理由を教えてください。
甲良様:
当初、交渉が難航する可能性を懸念していましたが、W社の経営者の事業に対する思いや姿勢に共感し、前向きに検討することにしました。一度は条件面で折り合わず交渉がストップしましたが、シナジー効果を再評価し、調整を進めました。最終的に、互いの強みが補完し合い、より大きな成果を生み出せると確信し、譲り受けを決定しました。

ーM&A成立後の展望について教えてください。
前田様:
M&Aは成立してからが本番です。すでに受託開発チームとの連携を進めており、技術やリソースを統合する作業を開始しました。日本のIT市場は人材不足が深刻化するため、今後は海外業務の展開が不可欠です。そのため、韓国支社の法人化を進め、現地での事業拡大を目指します。また、モンゴルやウズベキスタンの拠点を活用し、ヨーロッパ市場への進出も視野に入れています。国内外での成長戦略を強化し、新たなビジネスチャンスを創出していきます。
ー今後のM&Aの方針について教えてください。
甲良様:
当社グループは20社以上の事業会社を持ち、M&Aを積極的に活用しながら成長を続けています。シナジーが見込める企業との連携を今後も進めていく方針です。特に「警備業」に注力しており、関東・関西での警備スタッフの確保が課題となっています。警備業界は人材採用が難しく、適切な企業との提携が必要と考えています。今後もM&Aを通じ、事業の成長を加速させるとともに、新たな市場を開拓していきたいと考えています。
ーM&Aを検討している経営者様へのアドバイスをお願いします。
甲良様:
M&Aは単なる企業の売買ではなく、「人と人とのつながり」が最も重要です。企業文化や経営者の考え方が合わなければ、統合後に成功するのは難しくなります。M&Aを検討する際には、財務状況だけでなく、相手企業の価値観や事業への姿勢を見極めることが大切です。また、適切なタイミングで動くことが成功の鍵を握ります。縁とタイミングを大切にしながら、双方が納得できる形でのM&Aを進めることが理想的です。
ーM&A総合研究所のサポートについての感想をお聞かせください。
前田様:
これまで複数のM&A仲介会社やアドバイザーと関わりを持ちましたが、担当者の質やレベルによって成否がこんなに大きく分かれるのかと感じました。今回、担当アドバイザーの塚本さんは、業界の知見もあり、双方の意向をしっかりと汲み取り、スムーズな交渉を進めてくださいました。特に、トップ面談やキーマン面談を数回実施できたことは大きな要因でした。オンラインでは伝わりづらい温度感や人柄を直接感じることができ、最終的な判断において重要な要素となりました。迅速かつ円滑にM&Aを進めることができたのは、大きな成功要因の一つです。
担当者からのコメント

更なる海外展開を狙っている企業様同士の「成長戦略型M&A」のご支援をさせていただきました。国内におけるIT人材不足は非常に深刻になっており、海外展開に目を向けている企業様は少なくないと考えます。国ごとに労働基準法や、文化、言語が異なる中で、知見が無く一から進出するのは極めて困難であり、今回のようなM&Aは増えてくることが予想されます。
今回、譲渡企業の社内用語は英語ということから、英語表記の契約書類が非常に多く、海外在住の経験を活かしながらご支援できたことを大変光栄に感じております。
これから両社の強みを生かし、さらなる発展を心より楽しみにしております。
(会計提携第一部 マネージャー 塚本 航洋)