北海道の“食”を支える中核へ
セントラルキッチン化の未来図
■インタビュー
譲受企業:北海道ホテル&リゾート株式会社 代表取締役 小林 英樹 氏
北海道札幌市に拠点を構える食品加工卸売業K社。
北海道内のサービスエリアなど、飲食店舗への食材供給を手がけてきた同社は、今回、北海道ホテル&リゾート株式会社へと事業を譲り渡した。
宿泊事業・飲食を多角的に展開し、地域密着型の経営を進める北海道ホテル&リゾートにとっても、重要な転換点となった本件。その背景と今後の展望を、小林代表に伺った。
“職人不足”に対応するため、セントラルキッチンの必要性を痛感
M&Aを検討したきっかけについて、北海道ホテル&リゾート小林代表は「料理人不足」が最大の理由だと語る。
「各ホテルや飲食店舗で“すべて手作り”を貫いてきましたが、その強みが逆にボトルネックにもなり始めていたんです」。
料理人や調理スタッフが集まりにくくなる中で、品質を維持しつつ効率化できる仕組みとして“セントラルキッチン”の必要性を強く感じていた。
そんなタイミングで今回のM&Aのお話があり、立地、従業員、設備の3点で高い親和性を感じたという。
“人と設備”を一体で譲り受けることの価値
「今回の譲り受けは、建物だけではなく“人”を含めての決断でした」。
小林代表は、K社の長年の業務を支えてきたスタッフ陣に強く魅力を感じたと話す。
「K社代表の想いに共鳴しましたし、その想いのもとで長く働いてきた従業員の皆さんも、非常に真面目で勤勉。このバランスの取れた組織状態で引き継げたことは非常に大きな価値です」。
既存スタッフの協力により、引き継ぎ後の混乱も最小限に抑えられ、即戦力としての運用が可能となっている。
“手作り”の価値を守りながら、新たな収益源へ

今後の展望として、小林代表は「セントラルキッチンとしての機能強化」を掲げている。
「ホテルや飲食事業の“提供の核”として、ここを活用していきます。単に料理をつくる場ではなく、新しい商品開発や、冷凍パッケージ化による新たな販路拡大も視野に入れています」。
これにより、北海道ホテル&リゾートグループ全体での調理負荷が軽減され、料理人がより創造性の高い業務に集中できるようになることも期待されている。
M&Aを今後も積極的に活用していきたい
北海道ホテル&リゾートでは、今後もM&Aを活用した事業拡大を視野に入れている。
「業種にこだわらず、“飲食”に通じる事業であれば、地域・業態を問わず検討したい。今回のように、良い部分を引き継ぎ、改善点は譲渡を契機に整える。そういった柔軟な事業再構築が可能になるのも、M&Aの良さだと実感しています」。
スピーディーな立ち上げと現場への展開を重視しており、今後も機会があれば積極的に取り組む構えだ。
“買って終わり”ではない。人を大切にするM&Aを
譲受企業として大切にしていることを尋ねると、
「譲り受けたスタッフの環境を良くすること、会社としての成長とともに個人の幸せにもつながる形にしていきたい。買って終わりではなく、“ともに働く仲間として迎える”姿勢が何より重要です」。と小林代表は語る。
アドバイザーの支援が、安心と決断をもたらした
「銀行出身で知識も豊富で、こちらの質問などにスピーディーに対応いただきとても相談しやすかった。何より売り手・買い手双方に親身になっていただいた印象ですし、売り手オーナー様からも非常に信頼されていた」と振り返る。
「マッチングの精度も高く、契約までの流れが非常にスムーズだった。安心して任せることができました。今後も継続的に関係を築いていきたい存在です」。
“北海道の食を、もっと豊かに”──
地域の味と働く人の価値を守り育てる取り組み
として、新たなスタートを切った。
担当者からのコメント

売主様は後継者不在を理由にご譲渡の検討をされておりました。一方で、業績が悪化されていたこともあり「本当にうちなんて売れるのだろうか」「最悪は廃業も検討している」といったご相談が最初の面談でした。
財務だけを見ると厳しい印象もありましたが、工場が清潔に保たれており立地も良かったため、魅力をしっかりと伝えられればM&Aの可能性は十分にあると思い、是非お手伝いさせて欲しい旨お伝えしました。
アドバイザリー契約締結後は、売主様にもスピーディーにご対応いただき複数の候補先に手を挙げて頂きました。
売主様にとっては事業の継続と従業員の雇用維持、買主様にとっては製造拡大に寄与することに繋がり、お互いにとってWin-WinなM&Aになったかと思います。
今後の企業成長のきっかけとなるお手伝いが出来たことを担当者として嬉しく思います。
(企業情報第一本部第四部 マネージャー 花形 和哉)