2024年12月09日公開
カメラ業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2024年最新】
カメラ業界は、カメラ機能が充実したスマホとの競争激化の影響で市場の縮小が続いており、M&Aでの業界再編の動きが活発化しています。この記事では、カメラ業界の近年の動向と、M&Aについて詳しくみていきましょう。
1. カメラ業界の概要と動向
カメラ業界では、業界全体で厳しい状況が続いており、M&Aによる業界再編の必要性が高まっています。この記事では、近年のカメラ業界の動向と、M&Aの状況について詳しくみていきましょう。
まずは、カメラ業界の概要と近年の動向について解説します。
カメラ業界とは
カメラ業界とは、カメラの本体や付属品、フィルムなどを開発製造する業界のことです。
フィルムカメラとデジタルカメラに大別されて、1826年に発明されてから1990年代まではフィルムカメラが主流でした。1990年代にはパソコンの普及とともにデジタルカメラが広まり、現在はフィルムカメラの割合は2%程度となっています。
しかし、カメラ付きの携帯電話の登場からスマートフォン搭載カメラの性能向上で、カメラ市場の縮小が続いていて、カメラの出荷台数はここ数年激減しています。
その一方で、防犯カメラや監視カメラなどのセキュリティ分野でのカメラ利用が世界的に進んでおり、また、カメラやフィルムの技術を利用した新分野への進出を試みる企業も現れてきたようです。
今後のカメラ業界は、カメラ本体の製造だけでなく、カメラで培った技術全般を生かした業界へと変化していくことが考えられます。
カメラ業界の市場規模と動向
業界動向サーチの分析によると、2022年のデジタルカメラの総出荷台数は前年比4.2%減の約801万台でした。
デジタルカメラの出荷台数は、2011年には約1億1,552万台あったものが、毎年2,000万台から3,000万台ずつ減少が続いています。
2016年には2,418万台、2019年には1,521万台、2020年にはとうとう1,000万台を割り込み888万台まで落ち込みました。
2020年には新型コロナによるロックダウンの影響で外出先でのカメラ撮影の機会が減ったことも大きく影響しましたが、スマホカメラの普及とカメラ性能の向上の影響が、カメラの出荷台数に大きく影響していることがわかります。
参考:業界動向サーチ「カメラ業界の動向や現状、ランキングなど」
2. カメラ業界のM&A動向
カメラを長らく製造してきたメーカーでは、カメラ事業の大幅な落ち込みを補うための対策が急務となっています。カメラの開発で磨いた光学技術の他の製品への応用などを目的としたM&Aが盛んに実施されているようです。
例えば、カメラメーカーが、画像診断装置の画像処理技術にカメラ技術を応用するために、医療機器メーカーをM&Aで買収した事例がみられます。
また、今後成長が期待できるネットワークカメラの会社を買収する大手カメラメーカーもありました。
一方で、カメラ事業が不採算事業であることから、分社化した上で投資会社などに売却する動きもみられます。
3. カメラ会社をM&Aで売却するメリット
カメラ会社をM&Aで売却するメリットを解説します。
事業承継問題の解決
カメラ会社をM&Aで売却するメリットのひとつは、事業承継問題、後継者問題を解決できるという点です。
カメラ業界だけでなく、日本の産業界において、現在の経営者の後を継ぐ後継者が社内や身内にいなくて、将来的な会社の存続が危ぶまれている会社が増加しています。
事業が好調でも、後継者がいなくては、現在の経営者に万が一のことがあったら、会社を存続させることはできません。
M&Aは、ただ単に会社を他社に売却して金銭を得るというだけでなく、他社に事業承継してもらうことで、会社の事業承継問題を解決する手段としても注目されているのです。
売却益の獲得
カメラ会社をM&Aで売却するメリットのひとつは、売却益を獲得できるという点です。
会社を廃業したり、不採算事業を完全に取りやめてしまったら、次にみるように廃業や事業の廃止に係るコストが発生します。
しかし、M&Aで会社や事業を、必要としてくれる他社に売却できれば、売却利益を経営者や会社は手にすることができます。
売却金からM&Aの仲介手数料と税金を差し引いた売却益は、経営者や会社が自由に使うことが可能です。経営者の引退後の生活費に充てたり、会社の採算事業を強化したり、新規事業を起こしたりするための資金に使うことができます。
廃業や事業撤退にかかる費用の削減
カメラ会社をM&Aで売却するメリットのひとつは、廃業や事業撤退にかかるコストを削減できるという点です。
M&Aで会社や事業を売却せずに、カメラ会社を廃業したり、カメラ事業から撤退すると、従業員を解雇するための退職金、設備や機材の処分費用、廃業や撤退にかかる手続きの費用などのコストが発生します。
退職金は、従業員規則に記載がなければ支払義務はありませんが、記載があれば廃業の場合でも支払義務が会社側に発生します。
カメラ会社では、カメラ本体や部品の製造や加工を行う工場を持っていることが多いので、廃業や事業から撤退する場合には、機械や工場の建物の処分が必要で、そのための多額の費用が必要です。
会社を廃業するためには、登記手続きや廃業後も必要になる確定申告などの手続きを司法書士や税理士に依頼する必要があり、手続きそのものの費用と、税理士などへの報酬が発生します。
M&Aで会社を売却できれば、従業員も設備や機材も買収側へ引き継ぐことができます。必要になる費用はM&Aの仲介手数料だけで、その他の費用をかけずに、売却益を手に入れる事ができます。
廃業ではマイナスになる収支も、M&Aでの売却ならプラスにできるので、M&Aのほうがメリットが大きいといえるでしょう。
技術やノウハウの継承
カメラ会社をM&Aで売却するメリットのひとつは、技術やノウハウを継承できるという点です。
カメラ会社には、レンズなどの精密部品を開発、製造、加工する高度な技術やノウハウが蓄積されています。しかし、M&Aで会社を売却せずに廃業してしまうと、その会社が蓄積してきた技術やノウハウは全て失われてしまいます。
カメラ本体の売上は厳しい状況でも、今後の防犯カメラやスマホカメラに活かせる技術があったとしても、廃業ではその技術を後世に残すことは難しいことでしょう。
M&Aで会社を売却することができれば、その技術やノウハウは買収側の会社に継承できて失われずにすみます。M&Aでの会社売却は、貴重な技術やノウハウを失わずにすむというメリットも大きいのです。
4. カメラ会社のM&A・買収・売却事例5選
カメラ業界で実施されたM&Aの事例を紹介します。
テクノホライゾン・ホールディングスがケイグランデを子会社化した事例
平成30(2018)年8月10日に、テクノホライゾン・ホールディングス株式会社から、同社の連結子会社である株式会社エルモ社が株式会社ケイグランデの全株式を取得するM&Aを実施したことが発表されました。
テクノホライゾン・ホールディングスは、映像とIT、ロボティクス技術を核に、教育、ファクトリーオートメーション、医療、セキュリティや自動車関連事業などを重点的に展開しています。
その子会社のエルモ社は、光学機器、電気機器、精密機器の製造販売を行う会社で、現在は、教育や医療、介護施設のIT機器の開発などを行っています。
ケイグランデは、デジタル技術を活用したソリューションサービス、クラウド、マーケティングオートメーションなどのシステムを提供している会社です。
エルモ社では、今後大きな成長が見込まれるセキュリティ市場への展開を強化する予定です。
ケイグランデとマーケティング力、商品開発力、施工メンテナンス対応などのノウハウを共有することで、相互の事業拡大が図れると判断してのM&Aの実現となりました。
参考:株式会社ケイグランデの株式取得に関するお知らせ
シャープがSAIGON STEC Co.,LTDを子会社化した事例
平成29(2017)年5月12日に、シャープ株式会社から、SAIGON STEC Co.,LTDの発行済株式の51%を取得して子会社化するM&Aを決定したことが発表されました。
シャープは日本の老舗電機メーカーです。SAIGON STEC Co.,LTDは、ベトナムでカメラモジュールの製造を行っています。
シャープとしては、「技術のシャープ」のブランドイメージを確立させるための独自の技術力の強化を目的とした、キーテクノロジー強化を進めています。
このM&Aによって、今後、より一層の市場拡大が見込まれるスマートフォンやタブレット端末向けのカメラモジュール事業の競争力強化を図りたいとしています。
参考:当社によるSAIGON STEC CO.,LTD.の持分の取得(子会社化)に関するお知らせ
キヤノンが宮崎ダイシンキヤノンを子会社化した事例
2017年4月26日に、キヤノン株式会社から、宮崎ダイシンキヤノン株式会社を株式交換で完全子会社化するM&Aを決議したことが発表されました。
キャノンが株式交換完全親会社となり、宮崎ダイシンキヤノンを株式交換完全子会社とします。
キヤノンは、日本を代表するカメラ、ビデオなどの映像機器やプリンタ、複合機などの事務機器、デジタルマルチメディア機器などを製造販売する精密機器の大手メーカーです。
宮崎ダイシンキヤノンは、1980年にキャノンの持ち株法適用会社として設立されて、レンズ交換式デジタルカメラの製造などを行ってきました。
キャノンとしては、生産機能の国内回帰での開発と生産の間の相互連携の強化を図ってきました。
このM&Aによって、宮崎ダイシンキヤノンを完全子会社化することで、グループ内の経営資源を有機的に結びつけて、意思決定と実行力の機動性を高める狙いがあるとのことです。
参考:簡易株式交換による宮崎ダイシンキヤノン株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約締結のお知らせ
ソニーが索尼電子華南有限公司の株式を譲渡した事例
2016年11月7日に、ソニー株式会社から、同社の中国完全子会社である索尼(中国)有限公司が、完全子会社の索尼電子華南有限公司の全株式を、中国深圳欧菲光科技股份有限公司に譲渡する確定契約を締結したことが発表されました。
索尼電子華南有限公司は、カメラモジュールを製造する会社で、ソニーとしては以前からカメラモジュール事業の規模の適正化について検討しており、その一環としてのM&Aの実施だとのことです。
参考:ソニー中国子会社による索尼電子華南有限公司の持分の売却について
日本電産がPT. NAGATA OPTO INDONESIAを子会社化した事例
平成27年7月22日に、日本電産株式会社から、同社の子会社である日本電産サンキョー株式会社が、PT. NAGATA OPTO INDONESIAの全株式を取得する株式譲渡契約を締結したことが発表されました。
日本電産は小型モーターの開発、製造で世界一のシェアを持つ電気機器メーカーで、その子会社の日本電産サンキョーは、モーターやモーター駆動ユニット、産業用ロボットなどの開発、製造を行っている会社です。
PT. NAGATA OPTO INDONESIAは、インドネシアで車載カメラ用のガラスレンズを主力商品としています。
日本電産グループでは、車載製品に力を入れており、日本電産サンキョーは、プラスチックレンズユニットの製造を得意としている会社です。しかし、使用環境によってはガラスレンズが求められることもあります。
このM&Aにより、日本電産サンキョーとしてはガラスレンズの内製化が可能となり、収益の拡大につながるとしています。
参考:PT. NAGATA OPTO INDONESIAの株式取得に関する 株式譲渡契約締結のお知らせ
5. カメラ会社のM&Aにおける成功のポイント
カメラ会社のM&Aを成功させるためのポイントをみていきましょう。
M&Aの専門家に相談をする
カメラ会社をM&Aで売却しようか検討し始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aの専門家は、金融機関が扱わない中小企業のM&Aを専門的に取り扱っています。
豊富なM&Aのサポート経験で、その会社の将来にとってM&Aが最適な答えなのかどうかといった判断から、売却先探し、法律や財務の専門的な知識が必要な手続きまで、丁寧にサポートしてくれます。
M&Aの経験がない一般的な会社の経営者では、売却先探しや手続きでつまづいてしまうことが多いので、ぜひ専門家のサポートを受けましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報漏洩に注意する
M&Aの成功は、情報漏洩が起きないかどうかにかかっています。
M&Aで情報漏洩が起きる場面は2つあります。
1つは、売却側の機密資料が買収側から漏洩することです。
M&Aでは、買収側が売却側の企業価値評価やリスク調査を行うために、財務や人事、ノウハウといった機密資料の提出を求めます。これが、買収側から流出して、売却側に大きなダメージを与えることがあるようです。
買収側に提出した機密資料の流出防止には、秘密保持契約の締結が効果的です。M&Aで機密資料を開示する前には、必ず秘密保持契約を結びましょう。
もう1つは、会社売却の噂や憶測が従業員や取引先に広がってしまうことです。これは、M&Aについての専門家や買収側との会話の断片を従業員などに聞かれてしまうことから起きることが多いようです。
M&Aについての情報を共有する人数は必要最低限にしておき、会社の中ではM&Aの話をしない、話をするときには周囲の状況によく気をつけることを徹底しましょう。
目的や戦略を明確化する
M&Aで会社を売却するときには、目的によって選択するべきスキームが異なります。
後継者問題などで会社を丸ごと売却するときには株式譲渡が一般的です。他の事業は残し、カメラ事業だけを売却したいのなら事業譲渡です。
スキームが異なると、M&A完了後の会社のあり方や、税額などが大きく異なります。目的が曖昧な場合には、M&Aを進める前に、専門家の助けを借りて、明確化して、選択するべき戦略を明確化させましょう。
早めに動き出す
M&Aでは、想定していた金額よりも買い叩かれてしまうことがよく起こります。その原因は、短期間で売り急ぐためです。
特に、経営者が高齢化して健康問題が発生してから急いで売却しようとすると、買収側に足元を見られてしまいます。
後継者問題を抱えていて、将来的な会社の売却が必要であれば、まだ経営者が元気で判断力がしっかりしているうちから、数年単位で準備を始めることが大切です。
相乗効果が得られる相手先を選ぶ
M&Aでカメラ会社を買収するのなら、現在の事業と相乗効果を得られる相手を選ぶことが大切です。
特に、カメラ会社の場合には、それぞれの会社で得意とする分野が大きく異なります。買収側は、どのような技術やノウハウが必要なのかをよく検討した上で、慎重に買収するべき会社を選ぶことが大切です。
6. カメラ業界のM&A・事業譲渡まとめ
カメラ業界では、カメラ本体の売上は激減していますが、カメラ技術の必要性は様々な場面で高まっています。今後は、今まで培ってきた技術を、次の時代へ対応させることが必要となってくるでしょう。
そのためには、今まで育ててきた技術を、新しい需要と融合させることが大切で、そのためのM&Aでの売却も必要になります。
カメラ会社の将来に不安を感じているのであれば、まずはM&Aでの会社売却が可能か、M&Aの専門家へ相談してみましょう。
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