2024年12月09日公開
カラオケ業界のM&A動向!売却・買収事例4選とメリットを解説!【2024年最新】
コロナ禍での行動制限の影響を大きく受けたカラオケ業界では、カラオケ以外の業種への進出や、今後の市場縮小が確実な日本から海外へ進出するためのM&Aを模索する動きが活発化しています。この記事では、カラオケ業界でのM&A動向についてみていきましょう。
目次
1. カラオケ業界の概要と動向
カラオケ業界では、全盛期と比較すると1990年代終わり頃から徐々に市場の縮小が続いていていました。
さらに、コロナ禍での行動制限で売上が激減したことで、現在、多くの会社が厳しい状況に立たされています。そのような中で注目されているのが、M&Aによるカラオケ業界の業界再編です。
この記事では、カラオケ業界の近年の動向と、M&Aについて詳しくみていきましょう。まずは、カラオケ業界の概要と動向について解説します。
カラオケ業界とは
カラオケとは、「空(から)のオーケストラ」の略です。もともとは、放送業界で使われていた用語で、生演奏ではなく録音したレコードやテープを使って音楽を流すことを指しました。
録音機材が発達する以前は、生のバンドやオーケストラを使っての演奏を放送していましたが、録音できるようになると、カラオケを使って番組制作費用を削減するようになったのです。
現在の形で一般にカラオケが普及し始めたのは1960年代後半から70年代にかけてです。マイク入力式の8トラック磁気テープ式小型ジュークボックスと、伴奏用ミュージックテープが販売されて、客に歌わせる店が登場しました。
カラオケは、8トラックテープから始まり、コンパクトカセット、レーザーディスクと進化してきて、現在は通信カラオケが主流です。
カラオケ業界とは、カラオケ機器と伴奏の音源を製造するメーカーと、カラオケ機器を利用してカラオケボックスやカラオケスナックなどのサービスを提供する会社で成り立っている業界です。
日本国内では、カラオケボックスなどのサービスを提供する会社はたくさんありますが、メーカーがDAMを提供する第一興商と、JOYSOUNDを提供するエクシングの2社に限られているのが、カラオケ業界の大きな特徴となっています。
カラオケ業界の市場規模と動向
三井住友銀行の分析によると、国内でカラオケを楽しむ人の人数であるカラオケ参加人口は、1994年には6,000万人弱であったのが、2000年頃から5,000万人を切るようになり、30年前と比較すると1,000万人程度減少しています。
その一方で、カラオケ店の店舗数はコロナ禍前まで増加しており、特に、大手事業者の積極的な出店戦略により、競争が激化していました。そこに、2020年からのコロナ禍での行動制限での売上激減が起こったのです。
業界動向サーチの分析によると、業界1位の第一興商の2019年の売上は637億円、2020年は257億円、2021年は244億円でした。業界第2位のコシダカホールディングスの売上は、2019年は357億円、2020年は271億円、2022年は191億円でした。
2023年に入り行動制限が撤廃されたことで、カラオケボックスやカラオケスナックなどに客が戻り始めていて、売上が回復傾向にあります。今後、コロナ禍以前のカラオケ文化が戻ってくるのかどうか、注視していく必要があるでしょう。
参考:三井住友銀行「カラオケ業界の動向」 業界動向サーチ「カラオケ業界の現状や動向、ランキングなどを解説」
2. カラオケ業界のM&A動向
カラオケ業界では、今後も続くであろう国内での市場縮小を見据えて、M&Aでは2つの方向性がみられます。1つは、国内での収益拡大を目指して、他の会社を買収する動きです。
国内の会社を買収するM&Aでは、カラオケ業界でのエリア拡大やシェア拡大を目指した同業他社を買収する動きと、カラオケ事業以外の分野へ進出を目指す異業種を買収する動きがあります。
もう1つは、海外への事業展開を図る動きです。一般人が歌うカラオケは日本で発祥した文化であることから、日本で成長したカラオケ文化を海外へ展開する動きです。
海外でもカラオケ人気が高いことから、カラオケボックスで飲食を提供する日本型のカラオケスタイルなどのノウハウを、アジアを中心に展開するためのM&Aを積極的に行っている会社もみられます。
3. カラオケ会社をM&Aで売却するメリット
カラオケ会社をM&Aで売却するメリットを解説します。
後継者問題の解決
カラオケ会社をM&Aで売却することのメリットの1つには後継者問題を解決できるという点が挙げられます。
カラオケ業界に限らず、現在、日本では経営者の高齢化と後継者不足が大きな問題になっています。日本の会社の6割以上の社長が60歳以上と高齢化しており、さらに、約4割の会社に社内や親族に経営の後を継ぐ人がいません。
現在の経営者に万が一のことがあれば、廃業するしかないという状況の会社が4割以上もあるのが現状です。
M&Aは、現在、日本の多くの会社で深刻化している後継者問題を解決するための手段として注目されています。将来的に後継者問題で会社の廃業を考えるしかないというカラオケ会社は、M&Aでの事業承継も検討してみる価値があるでしょう。
従業員の雇用維持
カラオケ会社をM&Aで売却することのメリットの1つには、従業員の雇用を維持できるという点が挙げられます。
後継者問題などでカラオケ会社を廃業することになったら、従業員は全員解雇するしかありません。
会社が雇用保険を支払っていた場合には、廃業による解雇は会社都合での失業なので失業保険がすぐに支給されます。
しかし、会社が雇用保険をかけていなかった場合や、再就職のための就職活動をしてもうまくいかなかった場合には、従業員が生活に困ってしまう可能性もあります。
カラオケボックスの店舗スタッフなどは、特別な資格や技能が必要な仕事ではないので、長年働き続けてきた人ほど、解雇された場合には再就職が難しい人もいることでしょう。
M&Aで会社を売却することができれば、多くの場合、従業員の雇用は買収側が引き継いでくれます。現在の態勢で会社を維持することが難しくても、M&Aでの売却で従業員の雇用と生活を守ることが可能になるのです。
個人保証・債務の解消
カラオケ会社をM&Aで売却することのメリットの1つには、経営者が個人保証や債務の負担から解放されるという点が挙げられます。
小規模のカラオケボックスやカラオケスナックなどは、個人経営や中小企業が運営していることが多く、経営者が会社の金融機関からの借り入れの連帯保証人になっている場合がほとんどです。
経営者が会社の連帯保証人である場合、もしも後継者問題などで廃業することになっても、廃業後に債務が残ってしまったら、担保として自宅を差し出したり、引退後も返済を続けたりしなくてはいけない可能性があります。
もしも、M&Aで会社を売却することができれば、多くの場合、会社の債務は買収側が引き取ってくれます。経営者は連帯保証人からも外れることができて、引退後に債務を追わずにすむので、個人保証から完全に解放されます。
さらには、売却金も入ってくるので、引退後の生活に余裕も生まれるでしょう。
大手企業の傘下でブランド力の強化
カラオケ会社をM&Aで売却することのメリットの1つには、大手傘下に入ることによってブランド力を強化dできるという点が挙げられます。
カラオケ店は個人経営の店舗であったり、地域限定の数店舗のみで展開している小規模な会社も多いものです。
小規模経営の会社や店舗であれば、常連客がついていれば経営に問題はないでしょうが、コロナ禍のような緊急事態が起きたときに、対処しきれない場合も出てくるでしょう。
大手企業の傘下に入る形でのM&Aを実施すれば、大手企業のノウハウを利用することが可能になります。大手のブランドを利用した売上増加も期待できる上に、緊急時にもサポートを受けることもできるようになり、収益の増加を見込めるでしょう。
4. カラオケ会社のM&A・買収・売却事例4選
カラオケ業界ではどのようなM&Aが行われているのでしょうか。カラオケ業界でのM&Aの事例4選をみていきましょう。
コシダカホールディングスが大庄からカラオケ事業を取得した事例
2021年3月10日に、株式会社コシダカホールディングスから、株式会社大庄のカラオケ事業を事業譲受することを決議したことが発表されました。
コシダカホールディングスは、株式会社コシダカなどを傘下に持つ純粋持株会社です。グループでカラオケボックスの「カラオケまねきねこ」を全国に600店舗以上展開し、その他に温浴事業や不動産事業などを手掛けています。
大庄は、「庄や」「やるき茶屋」などの大衆割烹チェーンを展開している外食産業の会社ですが、カラオケ事業では50店舗を展開しています。
コロナ禍で居酒屋事業が苦戦する中で、カラオケ事業の43店舗を売却して、居酒屋事業に経営資源を集中させる模様です。
コシダカホールディングスでは、コロナ禍でも積極的な店舗展開を行っています。このM&Aでは、売却される店舗のうち32店舗が、同社が積極展開している首都圏にあり、同社が目指す都市部へのドミナント戦略に合致するとのことです。
また、譲り受ける店舗は居抜きであることから、短期間での投資の回収が可能であるとしています。
参考:株式会社大庄のカラオケ事業の譲受に関するお知らせ (「カラオケ歌うんだ村」「カラオケファンタジー」等43店舗を譲受)
コシダカホールディングスがマレーシアのカラオケ店を事業譲受した事例
平成30(2018)年7月4日に、株式会社コシダカホールディングスから、マレーシアのカラオケ店KMAX KARAOKEを事業譲受して、営業を開始したことが発表されました。
KMAX KARAOKEは、32ルームあるマレーシアのカラオケ店です。
コシダカホールディングスのカラオケ事業では、国内では首都圏への積極的な展開を図っている他、海外展開も進めており、平成30年6月までに韓国に12店舗、シンガポールで11店舗開業しています。
アジアを中心とする海外では、カラオケニーズがとても高く、同社のサービスも海外の顧客にも高く評価されていることから、マレーシアへ進出を図るための第一号店として、M&Aで買収したとのことです。
参考:当社子会社による事業譲受および営業開始に関するお知らせ (マレーシアにおけるカラオケ店の営業開始)
第一興商がAirsideを子会社化した事例
平成29(2017)年6月1日に、株式会社第一興商から、株式会社Airsideの全株式を取得して完全子会社化したことが発表されました。
第一興商は、業務用カラオケやコンテンツ関連の会社です。業務用通信カラオケとカラオケボックスの業界最大手で、通信カラオケ「DAM」の開発、運用、カラオケボックス「カラオケビッグエコー」の直営などをしています。
Airsideは、東京都品川区に本社のあるカラオケボックスの運営を行っている会社です。首都圏を中心に「カラオケマック」を40店舗展開しています。
このM&Aにより、第一興商としては同社のカラオケボックス事業の業容拡大と、シナジー効果による事業基盤強化が可能になるとしています。
参考:株式会社Airsideの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
音通がソピックを子会社化した事例
平成22(2010)年7月1日に、株式会社音通から、株式会社ソピックの発行済株式の88.0%を取得して子会社化するM&Aの実施を決議したことが発表されました。
音通は、貸しレコード店から始まった会社で、現在はカラオケ機器のレンタル及び販売事業と、フィットネス事業の2つの事業を主に展開しています。
ソピックは、東京都中央区と町田市に拠点のある業務用カラオケ機器の販売及びレンタルを行っている会社です。昭和49年創業で、長年培ってきた強固な営業基盤を持っています。
このM&Aにより、音通としては関東地区の経営効率の向上とさらなるシェア拡大を図ることができ、ソピックとしては音通のノウハウ導入による管理コストの削減や事業の合理化、効率化を図ることが可能になり、両社にとってのシナジー効果が期待できるとのことです。
参考:株式会社ソピックの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
5. カラオケ会社のM&Aにおける成功のポイント
カラオケ会社のM&Aを成功させるためにはどのようなポイントに気をつけたらいいのでしょうか。M&Aは希望しても4割程度しか成功しないともいわれています。
M&Aでの会社売却を希望したときに、必ず成功させるために心がけておきたいポイントについて解説します。
M&Aの専門家に相談をする
カラオケ会社のM&Aを考え始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aの専門家は、主に中小企業のM&Aを専門的に取り扱っています。
M&Aの豊富な相談や仲介の実績から、M&Aでの事業承継がベストな選択肢なのかどうか、といったところから親身になって相談に乗ってくれるでしょう。
M&Aを進めることを決断したら、M&Aの素人には難しい最適な会社とのマッチングや、法律や財務についての高度な知識が必要な手続きのサポートもしてくれます。まずは、M&Aの専門家に相談することがおすすめです。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報漏洩に気をつける
M&Aで会社を売却することを決めたら、M&Aについての情報を公開できる時期が来るまで情報が漏れないように気をつけましょう。
会社売却の噂が立つと、不安から従業員の離職や取引先からの取引停止が起きてしまう可能性があります。
そのようなことが起きないように、M&Aについて話をするときには、周囲の状況に気をつけて、会話の断片などを聞かれないように気をつけましょう。
目的の明確化
M&Aで会社を売却する目的を明確化しましょう。会社売却の目的によって、M&Aのスキームの選択が変わります。
後継者問題などで完全に事業承継したい場合には株式譲渡が一般的です。不採算事業のカラオケ部門を売却して整理したい場合には事業譲渡になります。
スキームの選び方で、M&A後の会社のあり方や税額が大きく変わるので、最初の目的の明確化がとても重要です。
早めの検討
M&Aでの会社売却の準備は早めに始めましょう。できれば、経営者がまだまだ元気で判断力がしっかりとしているうちから数年単位で準備を始めて、最も高額で売却できるタイミングを見計らうのが理想的です。
最も失敗するパターンは、経営者が高齢化して健康問題が深刻化してからM&Aでの会社売却を希望することです。売り急ぐことで安く買い叩かれたり、時間切れで売却できずに廃業に追い込まれてしまうことがよくあります。
そのようなことにならないように、M&Aの準備は早めに始めましょう。
相乗効果が得られる相手先を選ぶ
M&Aは会社売却が最終目的ではありません。M&A後からが本当の勝負だともいわれています。
というのは、M&Aで最も困難な道程は、2つの全く違う企業文化を持つ会社同士を統合させていく過程であるからです。
M&A後に従業員が満足して働き続けられるようにするためには、売却した会社が買収側に大きなメリットをもたらすことが大切です。そのためには、お互いにシナジー効果を得られる相手を探すことが大切です。
シナジー効果を得られる相手を見つけることができれば、売却側の従業員も買収側に必要とされて満足感を得ながら働くことができるでしょう。しかし、シナジー効果がなければ、買収側にとっての単なるお荷物になってしまう可能性もあります。
会社売却後に、従業員が幸せに働き続けられるように、シナジー効果を得られる譲渡先かどうか、よく見極めましょう。
6. カラオケ業界のM&A・事業譲渡まとめ
コロナ禍を経て、カラオケ業界ではアフターコロナに向けた態勢を整えられたところと、売上激減の影響で厳しい状況に陥ったところの2極化が進みました。
行動制限が解除されて客足も戻りつつあり、カラオケ業界ではM&Aでの業界再編が今後も続くようです。カラオケ会社の今後に不安を感じているのであれば、まずはM&Aの専門家に相談して、会社売却の可能性を探ってみることをおすすめします。
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