2024年12月09日公開
ゲストハウス業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2024年最新】
新型コロナでの旅行客激減の影響を受けて、ゲストハウス業界ではM&Aによる事業の売却、譲渡の動きが増加しています。この記事では、ゲストハウス業界のここ最近の動向と、M&Aの動きについて、メリットや事例などを詳しく解説します。
目次
1. ゲストハウス業界の概要と動向
インバウンドの増加による海外からの観光客の増加を受けて、国内で増えつつあったゲストハウスですが、2020年の新型コロナの大流行による旅行客の激減で、厳しい経営状況に陥りました。
その結果、M&Aで会社やゲストハウス事業を売却する事例が増加しています。この記事では、近年のゲストハウス業界の動向と、M&Aについて詳しくみていきましょう。
ゲストハウス業界とは
宿泊業としてのゲストハウスとは、旅行客のために提供される安価な間に宿泊所のことです。ゲストハウスに厳密な定義はありませんが、ホテルや旅館とは違い、初対面同士の相部屋の施設もあり、トイレやシャワーは共有が基本です。
旅行客同士が交流できるリビングを備えている施設が多く、できるだけ旅行代金を安く抑えたいという利用者以外にも、他の人との交流を求めて利用する人も多くみられます。
古民家や廃業したホテル等をおしゃれにリノベーションして、ゲストハウスとして提供している施設も多く、その土地ならではの食事やお酒を楽しめたり、海や山の自然を楽しめたりする立地の工夫などで、人気のゲストハウスも多く登場しています。
ゲストハウスの施設数
ゲストハウスの施設数は、2010年頃までは全国で500軒程度と、ホテルや旅館といった宿泊施設の1%程度しかありませんでした。
しかし、2011年の東日本大震災をきっかけに生き方を見直す人が増えたことに加え、東京オリンピック2020の開催決定、インバウンド需要の増加により、2019年頃には全国で3,000軒を超えるまで増加しました。
しかし、需要を超える増加による過当競争や、周辺住民とのトラブルの多発などが頻発したために、規制を強化する地域も現れています。
客室稼働率や新型コロナウイルス感染症の影響
ゲストハウスの客室稼働率は、2019年までは30%前後で推移していました。
他の宿泊施設では、ビジネスホテルとシティホテルが70%を維持していたのに比較すると、夏休みや冬休みに一気に稼働率が高まり、その他の季節は比較的予約が取りやすい状況であったことが伺えます。
2020年になると、稼働率は一気に15%まで落ち込みました。これは、新型コロナの流行による旅行客の激減が原因です。経済の回復とともに、旅行需要も増加傾向にありますが、今後、どこまで需要が回復するのか、もう少し様子を見る必要があるでしょう。
2. ゲストハウス業界のM&A動向
ゲストハウス業界では、多様化する宿泊客のニーズに応えるために提供するサービスの独自化を進めたり、業務効率化や顧客満足度を向上させるためのDX化を推進したりするためのM&Aが活発化しています。
ゲストハウスの宿泊者数は増加傾向にありますが、施設の数も増加しているので、過当競争状態となっています。その中にコロナ禍が直撃して、各社生き残りをかけて付加価値を向上させるためのM&Aを模索するような状況です。
サービスの独自化や業務のDX化は小規模経営のゲストハウスでは難しい点があり、不動産会社や旅行関連事業を展開するIT関連会社などの大手の傘下に入ることで、次世代に向けた経営体制の構築を図る動きがみられます。
3. ゲストハウス業界のM&Aにおけるメリット
ゲストハウス業界でM&Aをするメリットは次のような点が考えられます。
売却側のメリットです。
- 付加価値向上による稼働率向上
- DX化による業務効率化
現在、ゲストハウスは施設数が増えすぎてしまい、過当競争になってしまい、そこにコロナ禍が追い打ちをかけました。
他のゲストハウスと差別化を図り、収益を上げるためにも、大手企業の傘下に入って、付加価値向上によるアピールと、DX化による収益向上が欠かせないポイントとなっています。
買収側のメリットです。
- 事業の多角化
- 宿泊業界への進出
不動産会社や旅行関連の会社が、コロナ禍で倒産したゲストハウスの事業や運営会社を買収する動きがあります。ゲストハウスの運営ノウハウを手に入れて、宿泊業界へ進出し、自社の事業の多角化を図る動きがあるようです。
4. ゲストハウス業界のM&Aにおける買収・売却事例5選
ゲストハウス業界のM&A事例5選を紹介します。
バルニバービが菊水を譲渡した事例
2020年7月29日に、株式会社バルニバービから、同社の連結子会社である株式会社菊水の全株式を譲渡するM&Aを決議したことが発表されました。
バルニバービは、外食事業やホテル事業を展開しています。菊水は、京都にある豊かな情緒を感じることができる料理旅館です。
バルニバービは、2017年に菊水を買収しましたが、総合的な企業価値向上のために、事業の選択と集中を行い、経営資源を有効活用して財務体質の強化を図る必要性から、今回の売却に至ったとのことです。
参考:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
新日本建物がファーストキャビンのカプセルホテル事業を取得した事例
2020年7月17日に、株式会社新日本建物から、同社の非連結子会社である株式会社NAPが、破産した株式会社ファーストキャビンが保有する、ホテルのフランチャイズ事業及び運営受託事業を譲受したことが発表されました。
新日本建物は、不動産総合デベロッパーで、首都圏を中心に、分譲マンションや戸建住宅等を提供している会社です。また、収益物件の開発、販売や、既存ビルのバリューアップなどの事業も展開しています。
ファーストキャビンは、飛行機のファーストクラスをイメージした高級感のあるコンパクトホテルの会社ですが、新型コロナ禍での急激な収益悪化の影響で、2020年4月に東京地裁へ破産を申請しました。
新日本建物としては、同社が持つ物件仕入れ力に、ファーストキャビンが所有するコンパクトホテルに関する知的財産権とフランチャイズ展開する運営ノウハウを融合させることで、新しい収益物件の開発、販売の可能性を見込んでいます。
参考:当社非連結子会社による事業譲受に関するお知らせ
ベストワンドットコムがえびす旅館を子会社化した事例
平成30(2018)年12月26日に、株式会社ベストワンドットコムから、株式会社えびす旅館の全株式を取得して子会社化するM&Aを決議したことが発表されました。
ベストワンドットコムは、オンライン旅行業者で、クルージングツアー、国内宿泊予約、格安国内ツアー等の予約サイトの運営などを行っています。えびす旅館は京都市内の旅館で、京都駅から徒歩5分の好立地にあります。
ベストワンドットコムとしては、えびす旅館が持つホテル所有、運営、オンラインでの集客ノウハウを獲得してホテル事業へ参入し、同社が企画するクルーズツアーへの参加者への宿泊提供によるシナジーや、インバウンド需要の取り込む目的でのM&Aとのことです。
参考:株式会社えびす旅館の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ビーロットがヴィエント・クリエーションを子会社化した事例
平成29(2017)年6月15日に、株式会社バルニバービが、株式会社菊水の発行済株式の70%を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。
菊水は、京都市東山山麓にある南禅寺近くに昭和30年に創業した、創業60年を誇る歴史ある料理旅館です。最大の特徴は約820坪の広大で優美な庭園で、宿泊客や食事客に四季折々で変化する季節の味わいを感じさせています。
バルニバービでは、長年、ロケーション開発やデザイン力を生かした店舗運営ノウハウを構築してきました。同社のノウハウと、菊水の美しい庭園と料理と融合させることで、新しい付加価値を提供できるとして、M&Aを実施したとのことです。
参考:株式会社菊水の株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ
バルニバービが菊水を子会社化した事例
平成29(2017)年1月16日に、株式会社ビーロットが、株式会社ヴィエント・クリエーションの全株式を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。
ビーロットは、東京都港区に本社がある、国内外の富裕層を対象とした資産運用・不動産コンサルティングを提供している会社です。
ヴィエント・クリエーションは、都内の渋谷区恵比寿と品川区五反田の希少な立地に、カプセルホテルを2棟所有しています。
ビーロットでは、インバウンド戦略として長期的に収益を見込める宿泊施設やホテルを開発して、海外の投資家へ販売する事業に力を入れています。
そこで、ヴィエント・クリエーションをオペレーショナルアセットとして、不動産再生を図り、プライベートエクイティ投資の事業領域へ進出する礎にしていくとのことです。
参考:株式会社ヴィエント・クリエーションの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
5. ゲストハウス会社のM&Aを行う成功ポイント
ゲストハウス会社のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。
営業許可の引き継ぎ確認
ゲストハウスの運営は宿泊業なので、都道府県の旅館業営業許可を取得する必要があります。
M&Aのスキームが株式譲渡の場合には包括的譲渡なので、売却側が取得していた営業許可はそのまま買収側に引き継がれます。
しかし、売却側が取得した時と、条件が変更されている場合もあるので、売却側から引き継いだ営業許可で買収側が営業を開始できるか、都道府県の旅館業法担当窓口に確認しておきましょう。
M&Aのスキームが事業譲渡の場合には、営業許可を引き継ぐことはできません。新規取得することになるので、早めに手続きを進めましょう。
情報漏洩に気をつける
ゲストハウスをM&Aで売却する時には、最終契約書を締結するまでに売却の情報が漏れないように気をつけましょう。
万が一、情報漏洩が起きてしまうと、不安になったスタッフが辞めてしまう可能性があるためです。
現在、国内のゲストハウスの多くが、単なる簡易宿泊所の提供ではなく、それぞれの魅力を発信したり、提供したりする場になっていて、ゲストハウスの運営には、その施設の運営に精通したスタッフの存在が欠かせません。
買収側は、人材も合わせてのM&Aと考えている場合も多く、スタッフの離職が起きてしまうと、大きなダメージとなります。
何気ない会話の断片から憶測が広がってしまうことがよくあります。M&Aについて話をするときには、他のスタッフや関係者に聞かれないように、周囲に気をつけましょう。
M&Aの専門家に相談する
ゲストハウスをM&Aで売却することを検討し始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。中小企業や個人事務所や店舗などの売買を専門的に扱っているM&Aの専門家なら、最適な相手を探してくれます。
ゲストハウスの経営者だけでは、相手探しや法律や財務についての高度な知識が必要なM&Aの手続きがうまく進められない可能性があるので、まずはM&Aの専門家に相談することがおすすめです。
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6. ゲストハウス業界のM&A・事業売却まとめ
コロナ禍からの経済の回復に伴い、旅行需要も回復していますが、経営状態を回復できないというゲストハウスの運営会社もみられます。
一方で、今後の旅行需要の増加を見込んで、ゲストハウスの買収に乗り出したいという異業種の会社もあることから、M&Aでの売却を決断すれば、買収に手を挙げるところもあるかもしれません。
ゲストハウスの今後の運営に不安があり、廃業も考えているようであれば、まずはM&Aでの売却の可能性について、M&Aの専門家に相談することからはじめてみましょう。
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